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【サッカー少年】キャプテンEDIT【奮闘記】
[726]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 00:57:51 ID:Kzd2pHXI 篠田「同感だな」 長池(……悪い空気だ。これを変えたい。――けど今の俺にそんな勇気は無い) 瀬川「大体、そいつは攻め込むのにしたって雪村だよりだったじゃん。自分が目立ちたいなら、俺みたいに自分で切りこめよ。 人の力を当てにしておいて、ずうずうしく自分のお手柄を上げたがった。前半最後にそいつがやったのは、そういうことだろ?」 本条「同じしくじりなら、雪村の体力を使わなかった分、ロングシュートの方がまだマシだぜ」 末松「俺が涙を呑んでDFに甘んじてるってのにさ〜、そういう態度とかどうかと思うよ?」 大前への口撃は、後から後から止まなかった。 そこへ、 雪村「もう止めようよ」 割って入った雪村の声に、一瞬場が静まり返った。 大前「雪村……?」 比良山(ホッ……これで何とかなりそうだ。雪村なら俺より大前との付き合いも長いし、この程度の事は笑って受け流すはずだ。 雪村に迷惑を掛けた、という論調を本人であるコイツが封じてくれる) 国岡(げっ、雪村……こいつ、大前と仲良かったんだっけ……せっかく、場が良い流れ出来てるのに、邪魔するんじゃ――) 流れに関わる人物である雪村の発言に、比良山は胸をなでおろし、国岡は冷や汗を流す。 大前(な、なんだこの感じ――) だが、大前は嫌な予感を感じていた。 雪村が浮かべていた表情は、この二カ月余りともに過ごした中で、一度も見たことの無い種類のものだった。
[727]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 00:59:56 ID:Kzd2pHXI 雪村「――早くしないとハーフタイムが終わっちゃうよ? もう結論は出ているんだから、さっさと次に行こうよ」 比良山「え?」 比良山が、信じがたいとでもいうように目を丸くする。 雪村「これだけの人が反対しているんだから、もう決まりでしょ? 交代の発表とかまだ終わってないし、時間の無駄は避けよう」 早瀬「な、何言ってるんだよ、お前!? 雪村、お前は大前と友達じゃなかったのかよ!?」 早瀬がどなり声を上げた――ようだと大前は感じた。 何だか、周りの空気に現実感が無い。 全てが遠い世界で、雪村の声だけがヤケに明瞭に聞こえた。 雪村「早瀬先輩、僕は友達だからこそ許せないものがあるって思うな。 確かに僕が作ったチャンスが不意になったのはムッとしたけど、それは後になれば許せることだった。 けど、サッカーで皆に迷惑をかけて、キャプテンが反省の場を用意してくれたのに、まだ出たいっていうのはイケないと思う」 早瀬「お、おい?」 雪村「先輩。僕、初めて大前君と会った時に、思ったんですよ。 あの日、学校のグラウンドで暗くなってた大前君を見て、 『ああ、サッカーが好きなのに、このチームでやってく自信が無くて、それであんなに悲しそうなんだなあ』って」 早瀬「……ああ、あの日のことか」 それには早瀬も立ち会っていた。 雪村「けど、上手くなったはずの大前君の今日のプレイを見ていて、違うんじゃないかなあって思っちゃいました。 あの日、グラウンドで大前君が悲しそうにしていた理由は、単に『自分より強い選手がたくさんいたから』なんじゃないかなって。 大前君はひょっとして、サッカーが好きなんじゃなくて、サッカーが強い自分を好きなんじゃないかなって」
[728]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:01:17 ID:Kzd2pHXI 大前「違う!!」 菱野「きゃ!?」 大前の強い否定に菱野が飛び上がる。だが、それでも雪村は続けた。 雪村「だって、今日の大前君のプレイは、そうとしか思えないよ。 前半最後のあのプレイ、どう考えたって自分がゴールしたかっただけじゃないか。 ……僕もゴールしたいって気持は痛いくらいわかるけど、それでミスをして反省するべきところを無理押しするなんて、 ちょっと違うと思う。それじゃあ、チームの事なんかどうでも良くて、自分が凄いプレイをしたいだけじゃないか」 大前「う……」 早瀬「じゃあ、てめえはどうなんだよ! 入学式の日に、乗り気じゃなかった大前を引っ張って、 乱入に巻き込んだのはお前だろ!?」 大前「!」 大前は思わず顔を上げた。早瀬がなおも自分を庇いだてしてくれているから――ではない。 このままでは、早瀬は何か決定的に取り返しのつかないことを言ってしまう。そんな予感がした。 早瀬「何か? お前はあの時、大前が可哀そうだったから勝手なお情けで一口噛ませたとでも――」 大前「早瀬さん!!」 早瀬「う……わ、悪い。言い過ぎた」 雪村「いいですよ、気にしてません。だって――」
[729]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:02:23 ID:Kzd2pHXI 言うな、雪村。 そう言おうとした舌が、凍りついたように動かない。 それさえ言わなければ、明日には元通りに振舞える。 それを雪村も分かっているはずだと、淡く期待している。そんな甘えの様なモノが、大前自身の動きを封じていた。 雪村「――その通りなんだし」 ……終わった。 自分と雪村の間で、決定的な何かが終わったと大前は思った。 これがもし、大前を糾弾する場ではなくもっと別の――例えば祝勝会の席で言ったのなら単なる青臭い思い出話で済んだろう。 だが、この場は大前を否定する人間が何人も集まっていた。 そこで、こんなことを言えば―― 菱野「ゆ、雪村さんっ! 言い過ぎで――」 国岡「はははっ、傑作だな! お友達だと思っていた相手が自分を一方的に憐れんでいただけってか? すげえ道化じゃないか、大前!」 やす子「――いい加減にしなさい!」 バァン!! 突然の怒声と何かを強く叩いた音に、場が一気に静まり返った。 やす子「私は、貴方達に『意見』を聞いていたの。こんな吊るし上げは、許可してません」 国岡「え……」 やす子「決はもう出てるわよね?」 雪村「はい。今回のスタメンで交代に反対なのは、比良山くんだけです」 比良山(俺としたことが、なんと不甲斐ないことだ……すまん、大前)
[730]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:04:43 ID:Kzd2pHXI やす子「じゃあ、大前くんに替えて早瀬くん。不調の長池くんに替えて小豆沢くん。キャプテン直々の采配を期待するわ。 小豆沢くんは不動のトップ下だから、雪村くんは後半はサイドに移動。次に国岡くんは柿原くんと交代。君も少し反省なさい」 国岡「な、何でですか! 俺は問題なんて何も――」 やす子「それが分からないなら、考える時間はいくらでも上げるわ。頭を冷やしなさい」 本条(大前叩きに夢中になってたからだろ……ホントに大丈夫かコイツ) ざわざわ……。 やす子「静粛に! ……今後も前半からの面子は、スタミナが切れ次第、正規のレギュラーと交代ね。以上!」 監督がそう宣言すると、後は各々休憩や交代出場に備えてのアップに移る。 動けないでいるのは、大前と、その弁護に回っていた早瀬と比良山だけだった。 小豆沢が、石の様に佇む大前の肩を叩いた。柿原も申し訳なさそうな顔で、その隣にいる。 小豆沢「これが、サッカーの怖いところだ。一度のミスで全ての信頼が失われ、挽回もしくじると本当に取り返しがつかなくなる。 高い授業料を払ったな、大前」 大前「……」 のろのろと顔を上げる。返事する気力も無いが、小豆沢はそれに気を悪くする様子も無く続ける。 小豆沢「それでも、まだここでサッカーを続けたいのなら、練習を見るつもりくらいはある。……どうか腐らないでくれよ」 そう言うと、アップに戻る。 最後の一言は本当に小豆沢が言ってくれた言葉なんだろうか。 自分の希望的観測が囁いた幻聴ではないのだろうか。 そんなことを考えると、体から力が抜けて、ようやく座り込むことが出来た。単に立ち続ける気力も無くなったのかもしれない。
[731]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:06:48 ID:Kzd2pHXI 早瀬「……こんなことってあるかよ」 比良山「すまん、俺がついていながら――いや、こんなことを口にする資格は無いかもしれんが」 大前「いや、いいんだ。それより、比良山も、早瀬さんも、後半の準備、した方が良いよ」 言葉を返すのも億劫だったので、口調もとぎれとぎれになる。 怒るかな、上下関係に厳しい早瀬先輩は、顔を赤くして怒鳴るかもな。 そんなことを思ったが、二人とも無言で優しく肩を叩いてくれた。 ……しばらくして、後半戦が始まった。 小豆沢を避けて攻める氷潤だったが、サイドにポジションを変えた雪村があっさりとカットする。 それを受けて、またドリブルを華麗に決める瀬川。 苛立った様子の早瀬が、八つ当たり気味のジャンピングボレーで豪快に点を決める。 比良山は、前半飛ばし過ぎたせいか不調の様で、10分後に交代した。 小豆沢のプレイは、明らかに周りと桁が違った。パスカット、ドリブル、ミドルシュート。その流れは創造的で格好が良い。 小豆沢のいるピッチはまるで、サーカスの様に華やかだった。大前はそれを、ベンチと言う最前列の特等席で眺めている。 ……昨日まではそれを当然と思っていた。 何かの間違いでスタメンになって、そして手痛いしっぺ返しを伴って元に戻ったのだ。 そう思うと心は陰鬱に沈むけれど、代わりに荒むことは無い。 隣の国岡がにやけながら何かを言ってくるが、まるで外国語の様で意味が分からなかった。 そして、30分が過ぎた。 スコアは8−0。 鳴紋の圧勝だった。 それから更に一時間が経って、――大前はそのままベンチにいた。 比良山は一緒に帰ろうと言ってくれた。早瀬は力づくで立ち上がらせようとした。 だが、目を合わせると、バツが悪そうに撤回する。 そして、一人ぼっちでグラウンドに居残っていた。
[732]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:07:54 ID:Kzd2pHXI 菱野「――大前さん」 誰かの声がしたと思って顔を上げる。 気付けば、目の前に菱野が佇んでいた。 菱野「……あの、」 何かを言おうとして、また口を閉じる。 菱野の姿は、暮れ始めた赤い日差しに染まって綺麗だった。 しばらく一緒にいるとあまり意識しないが、菱野の容貌は本当に同じ生き物とは思えないくらい美しい。 そういえば、 大前「ごめん」 菱野「え?」 大前「応援してくれたのに、台無しにしちゃった」 それだけは、詫びておかなければならない気がして、頭を下げた。 菱野「……いいんです。むしろ、大前さんにプレッシャーを掛けてしまって、その――」 大前「えっと、……ああ」 自分の応援が、かえって大前に功名心を抱かせたのではと考えているのだろう。 いらぬ誤解だった。 大前「気にしなくていいよ。アレは、本当に俺自身がやりたくてやったことなんだから」 菱野「大前さん……」
[733]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:09:57 ID:Kzd2pHXI 大前「雪村の言う通りだな、俺、自分勝手だった。サッカーがチームでやるものだって忘れて、格好付けたがって。 本当に馬鹿だよなあ。サッカーが好きじゃなくて、サッカーが強い自分が好き、か。当たってるよな」 菱野「そんなことないです!」 強い口調で、菱野が否定する。 菱野「大前さん、今より下手っぴだった時から、ずっと楽しそうでしたわ! 練習で何度も先輩や雪村さんに負けた時も、楽しそうにボールを追いかけてました! そんな人が、サッカーよりも、それが上手い自分が好きだなんてこと、あり得ないです!」 大前「菱野さん……」 菱野「もしそうだったとしても、それはスタメンになって浮かれていた時の大前さんです! 大前さんさえその気なら、いつだってサッカーが何より好きだった大前さんに戻れます! 明日からでも、今からでもです!」 大前「そう、かな……」 自信なさげに呟くと、菱野が逆に自信たっぷりの顔で口を開く。 菱野「そうです。自分が好きな大前さんをやめて、サッカーを好きな大前さんになるなんて簡単です。 だって、……えっと、私の場合ですけど、嫌なことがあったら自分の事をすぐに嫌いになっちゃいます。自己嫌悪ですわ。 けど、すごくすごく好きなものは、悪いことがあってもひどいことがあっても、なかなか嫌いになれませんの。 大前さん、自分なんていう嫌いになりやすいものが、サッカーよりずっと好きだったんですの?」 大前「それは――――」 菱野「それは?」 小首を傾げる菱野が、答えを促す。
[734]森崎名無しさん:2010/02/28(日) 01:10:19 ID:??? 撃てば百発百中のストライカーにならざるを得ない
[735]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:11:09 ID:Kzd2pHXI 大前「――――違う。俺はサッカーが好きだ。自分なんてどうだっていいくらい、サッカーが好きだ。 理由はもう思い出せないけど、いや、理由が思い出せないくらい昔からサッカーが好きだ。 足が折れたって、死んだって、サッカーが好きだ。何よりサッカーが好きだ!」 衝撃で遠くまで失せていた感情が、一気に戻ってくる。御蔭で叫ぶような調子の答えになってしまった。 菱野は突然の大声に驚いて目を丸くしていたが、軽く首を振って気を取り直すと、 菱野「……それでこそ、大前良さんですわ」 誇らしそうに、切なそうに、言った。 大前「う……ぐ……」 途端に、目から涙が出てくる。 感情を取り戻したせいか、自分を取り戻したせいか、それは大前自身にも分からない。 だが、今日起きた色んな事が、いま悲しかった。 自分の勝手さや不甲斐なさ。 チームメイトの信頼を裏切り失ったこと。 雪村と友達ではなくなってしまったこと。 色んな出来事が、今、悲しくて、涙が後から後から沸いてくる。 菱野「大前さん……」 菱野が優しく背中をさすってくれた。 ――泣き止んだら、またやり直そう。 ――どんな小さなことでもいいから、一歩ずつ。 ――失くしたものは大きくて、取り返しがつかないかもしれないけど。 ――それでも、サッカーを続けよう。 涙に暮れながら、そんなことを思ったりした。
[736]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:12:17 ID:Kzd2pHXI ※ チームメイトの中で比良山と早瀬、柿原と小豆沢以外の好感度が暴落しました ※ ※ 雪村との関係が変化します。『大前→(絶交)←雪村』となりました ※ ※ 長池は何故か好感度が上がるみたいです ※ ※ 夏の県予選はスタメン落ちが確定しました ※ ※ ……それでも大前はサッカーを続けます ※
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0ch BBS 2007-01-24