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【サッカー少年】キャプテンEDIT【奮闘記】
[731]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:06:48 ID:Kzd2pHXI 早瀬「……こんなことってあるかよ」 比良山「すまん、俺がついていながら――いや、こんなことを口にする資格は無いかもしれんが」 大前「いや、いいんだ。それより、比良山も、早瀬さんも、後半の準備、した方が良いよ」 言葉を返すのも億劫だったので、口調もとぎれとぎれになる。 怒るかな、上下関係に厳しい早瀬先輩は、顔を赤くして怒鳴るかもな。 そんなことを思ったが、二人とも無言で優しく肩を叩いてくれた。 ……しばらくして、後半戦が始まった。 小豆沢を避けて攻める氷潤だったが、サイドにポジションを変えた雪村があっさりとカットする。 それを受けて、またドリブルを華麗に決める瀬川。 苛立った様子の早瀬が、八つ当たり気味のジャンピングボレーで豪快に点を決める。 比良山は、前半飛ばし過ぎたせいか不調の様で、10分後に交代した。 小豆沢のプレイは、明らかに周りと桁が違った。パスカット、ドリブル、ミドルシュート。その流れは創造的で格好が良い。 小豆沢のいるピッチはまるで、サーカスの様に華やかだった。大前はそれを、ベンチと言う最前列の特等席で眺めている。 ……昨日まではそれを当然と思っていた。 何かの間違いでスタメンになって、そして手痛いしっぺ返しを伴って元に戻ったのだ。 そう思うと心は陰鬱に沈むけれど、代わりに荒むことは無い。 隣の国岡がにやけながら何かを言ってくるが、まるで外国語の様で意味が分からなかった。 そして、30分が過ぎた。 スコアは8−0。 鳴紋の圧勝だった。 それから更に一時間が経って、――大前はそのままベンチにいた。 比良山は一緒に帰ろうと言ってくれた。早瀬は力づくで立ち上がらせようとした。 だが、目を合わせると、バツが悪そうに撤回する。 そして、一人ぼっちでグラウンドに居残っていた。
[732]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:07:54 ID:Kzd2pHXI 菱野「――大前さん」 誰かの声がしたと思って顔を上げる。 気付けば、目の前に菱野が佇んでいた。 菱野「……あの、」 何かを言おうとして、また口を閉じる。 菱野の姿は、暮れ始めた赤い日差しに染まって綺麗だった。 しばらく一緒にいるとあまり意識しないが、菱野の容貌は本当に同じ生き物とは思えないくらい美しい。 そういえば、 大前「ごめん」 菱野「え?」 大前「応援してくれたのに、台無しにしちゃった」 それだけは、詫びておかなければならない気がして、頭を下げた。 菱野「……いいんです。むしろ、大前さんにプレッシャーを掛けてしまって、その――」 大前「えっと、……ああ」 自分の応援が、かえって大前に功名心を抱かせたのではと考えているのだろう。 いらぬ誤解だった。 大前「気にしなくていいよ。アレは、本当に俺自身がやりたくてやったことなんだから」 菱野「大前さん……」
[733]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:09:57 ID:Kzd2pHXI 大前「雪村の言う通りだな、俺、自分勝手だった。サッカーがチームでやるものだって忘れて、格好付けたがって。 本当に馬鹿だよなあ。サッカーが好きじゃなくて、サッカーが強い自分が好き、か。当たってるよな」 菱野「そんなことないです!」 強い口調で、菱野が否定する。 菱野「大前さん、今より下手っぴだった時から、ずっと楽しそうでしたわ! 練習で何度も先輩や雪村さんに負けた時も、楽しそうにボールを追いかけてました! そんな人が、サッカーよりも、それが上手い自分が好きだなんてこと、あり得ないです!」 大前「菱野さん……」 菱野「もしそうだったとしても、それはスタメンになって浮かれていた時の大前さんです! 大前さんさえその気なら、いつだってサッカーが何より好きだった大前さんに戻れます! 明日からでも、今からでもです!」 大前「そう、かな……」 自信なさげに呟くと、菱野が逆に自信たっぷりの顔で口を開く。 菱野「そうです。自分が好きな大前さんをやめて、サッカーを好きな大前さんになるなんて簡単です。 だって、……えっと、私の場合ですけど、嫌なことがあったら自分の事をすぐに嫌いになっちゃいます。自己嫌悪ですわ。 けど、すごくすごく好きなものは、悪いことがあってもひどいことがあっても、なかなか嫌いになれませんの。 大前さん、自分なんていう嫌いになりやすいものが、サッカーよりずっと好きだったんですの?」 大前「それは――――」 菱野「それは?」 小首を傾げる菱野が、答えを促す。
[734]森崎名無しさん:2010/02/28(日) 01:10:19 ID:??? 撃てば百発百中のストライカーにならざるを得ない
[735]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:11:09 ID:Kzd2pHXI 大前「――――違う。俺はサッカーが好きだ。自分なんてどうだっていいくらい、サッカーが好きだ。 理由はもう思い出せないけど、いや、理由が思い出せないくらい昔からサッカーが好きだ。 足が折れたって、死んだって、サッカーが好きだ。何よりサッカーが好きだ!」 衝撃で遠くまで失せていた感情が、一気に戻ってくる。御蔭で叫ぶような調子の答えになってしまった。 菱野は突然の大声に驚いて目を丸くしていたが、軽く首を振って気を取り直すと、 菱野「……それでこそ、大前良さんですわ」 誇らしそうに、切なそうに、言った。 大前「う……ぐ……」 途端に、目から涙が出てくる。 感情を取り戻したせいか、自分を取り戻したせいか、それは大前自身にも分からない。 だが、今日起きた色んな事が、いま悲しかった。 自分の勝手さや不甲斐なさ。 チームメイトの信頼を裏切り失ったこと。 雪村と友達ではなくなってしまったこと。 色んな出来事が、今、悲しくて、涙が後から後から沸いてくる。 菱野「大前さん……」 菱野が優しく背中をさすってくれた。 ――泣き止んだら、またやり直そう。 ――どんな小さなことでもいいから、一歩ずつ。 ――失くしたものは大きくて、取り返しがつかないかもしれないけど。 ――それでも、サッカーを続けよう。 涙に暮れながら、そんなことを思ったりした。
[736]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:12:17 ID:Kzd2pHXI ※ チームメイトの中で比良山と早瀬、柿原と小豆沢以外の好感度が暴落しました ※ ※ 雪村との関係が変化します。『大前→(絶交)←雪村』となりました ※ ※ 長池は何故か好感度が上がるみたいです ※ ※ 夏の県予選はスタメン落ちが確定しました ※ ※ ……それでも大前はサッカーを続けます ※
[737]森崎名無しさん:2010/02/28(日) 01:14:15 ID:??? さすがクラブAさんと言わざるを得ない
[738]森崎名無しさん:2010/02/28(日) 01:14:20 ID:??? 長池とのコンビプレイじゃ……
[739]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/28(日) 01:17:04 ID:Kzd2pHXI 大前がどん底に落ちたところで、今日はここまで 状況は最悪に近いですが、監督やキャプテン、次期キャプテン候補と同級生トップクラスのキャラがまだ味方です 雪村との関係は断絶状況に陥りましたが、(参加者の愛想が尽きて無ければ)時間をかけての回復は不可能ではありません 1スレ目にして酷いことになっていますが、作者は書き続けるつもりなので、今後も読者の皆さまにお付き合いいただければ、 これに過ぎたることはありません 次回は恒例の月替わりイベントから始めます 長い時間のお付き合い、ありがとうございました
[740]森崎名無しさん:2010/02/28(日) 01:20:05 ID:??? 雪村側はどうせドライなもんだろうから、 大前が「役立つ」ことを証明できればそう大して問題にはならんだろう。 問題は「大前が雪村を許せるか」のほうだろうなー。 あれを許せるってのはよほどの器だよ、「おまえは役に立たないから切る」って明言したんだし。
[741]森崎名無しさん:2010/02/28(日) 01:21:26 ID:??? クラブA〜5っていうか、クラブAとクラブ2〜5の分岐だった気がするな。この書き方だと。
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0ch BBS 2007-01-24