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【サッカー少年】キャプテンEDIT【奮闘記】
[823]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/02(火) 22:24:42 ID:UqPbtwhE 早瀬「後半が始まるやいなや、小豆沢さんはべったりとマークされた。四枚くらいくっつけられてたっけか。 そんな真似されちゃあ、いくらあの人だって碌に動けねえ。 しかしな、そんなにマークを付けちまったら、相手チームの方だって攻守の駒が不足する。 普通ならそのままウチの勝ち、なんだが」 大前「そこから負けた……んですか? 小豆沢さん一人を、封じられただけで?」 早瀬「そうだよ。そっから立て続けに五失点。こっちは追加点無し。しめて2−5。文句無しの大敗ってわけだ」 もう一度、麦茶を呷る早瀬。まるで大人が酒を飲むような飲み方だった。飲める年ならばそちらを飲みたい気分なのだろう。 早瀬「あの時の悔しさといったら、本当に胸を掻き毟りたくなるような気分だったぜ。 俺はここが地元だからよ、ガキの頃は鳴紋中のサッカー部がヒーローみたいに思えてたんだ。 強くて、格好良くてな。入部出来た時は、本当に嬉しかった。 雑用押し付けられても扱き倒されても、憧れのチームに居れるってだけで報われている気がしたんだ。 けどそれは、よりにもよって全国大会の大舞台で、みっともねえ馬脚を現しちまった。 地区大会でだけ強い内弁慶。全国クラスは一人しかいないワンマンチーム。それが、俺の子どもの頃からの憧れの正体だった。 そして、今もそのままだ。今年も多分全国じゃあ……一回戦負けだろうな」 大前「早瀬さん……」
[824]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/02(火) 22:27:27 ID:UqPbtwhE 早瀬「みなまで言うなよ大前。俺だって小豆沢さんは尊敬しているさ。あの人以外のキャプテンや10番なんて想像も出来んほどな。 監督――飯地じゃなくて春に辞めちまった前の監督の事だが――だって、チーム鍛え直すためにさんざっぱら骨を折ってたぜ。 だが、鳴紋中サッカー部はそれに応えられる器じゃないんだ。だから俺は、このチームを変えることにしたんだ。俺は――」 ――この手で作ることにしたんだよ、強くてカッコいい、本物の鳴紋中を。 早瀬「……馬鹿みてえな話だろ? だが、俺は本気だ。幸い、今年の1年はレベルが高い。 来年までの間みっちりと鍛えれば、全国でも勝ち負けできるチームが出来上がると思う」 照れ臭そうに、笑う早瀬。 だが、まだ大前の疑問は半分ほども解消されていない。 大前「……先輩の目標は、大体飲み込めました。けど、それがどう俺に繋がるんです? さっきも言いましたけど、今年の1年を鍛えるっていうなら俺以外にもいるでしょう」 早瀬「もちろんそうだ。それに、お前一人を鍛えたって、もう一遍ワンマンチームを作り直すようなもんさ。それは勘弁願いてぇな。 俺がお前を使ってやりたいことはな、チームの意識を変えることなんだよ」 大前「チームの意識って……俺にそんな大それたことをやれって言うんですか?」 無茶苦茶な注文である。少なくとも、部内で孤立している1年生に頼むことではない。 早瀬「別に特別なことをしろって言ってるわけじゃねえさ。お前がやることは、だ。 まず、部員の信頼を取り戻すこと。信頼を取り戻すために動くってことは、だ。相手を説得したりして意思を伝えるわけだろ? その過程で、チーム全体にもっと上を目指す気持ちってのを伝えていってほしいんだ」
[825]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/02(火) 22:28:43 ID:UqPbtwhE 大前「……一石二鳥を狙うのもいいですけどね。それって下手すれば虻蜂取らずになりません?」 早瀬「まあ、こっちは出来ればの話だよ。んで、次。これはまあ、大したことじゃねえ。いつも通りに特訓して、強くなること」 大前「チームを強くするのに、そのチームの中にお荷物がいたら話になりませんもんね」 早瀬「それもある。だが、お前が特訓を重ねることにはもう一つ効果があるんだよ」 大前「? なんです?」 早瀬「分からねえか? 今、お前を敵視しているチームメイトはわんさかいる。 チームメイトとの関係を修復するにしても、後に尾を引く連中は何人かいるだろうさ。国岡みてえに何があっても敵でいるのもな。 そういう連中はよ、大前が強くなって活躍しだしたりしたら……どうすると思う?」 大前「よっぽど根性が腐ってなければ……自分も鍛えて対抗してくる、ということですか?」 早瀬「ようやく呑み込みが早くなってきたじゃねーか。ま、そーいうこった。んで、最後の一つ。 ……さっきまでの二つは、お前なら二つ返事で聞いてくれそうなモンばっかだったけど、こればっかは、な」 途端に顔を伏せて声をひそめる早瀬。 ただならぬ様子に、大前もやや慌てる。 大前「な、なんですか?」 早瀬「この夏の大会が終わると、3年の先輩方は部活を引退する。当然、キャプテンの小豆沢さんもな。 その後、何回かの練習試合や秋季地区大会を挟んで、春に新キャプテンの選挙がある」 大前「……」
[826]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/02(火) 22:30:46 ID:UqPbtwhE 早瀬「俺は、その時にキャプテンとして立候補するつもりだ。大前、お前にはそれに備えて今から動いて欲しい」 重々しくそう告げる。 チームを抜本的に作り変えようというのである。早瀬にとってはキャプテンになるという選択は、規定の事だったろう。 そして、その為に何人かの1年生を取りこむというのも。 早瀬「コイツはな、大前。お前にとってはメリットもあればデメリットもある。 メリットの方は、俺の派閥に入ったことによって何人かが態度を軟化させて、和解しやすく出来ることがあるな。 瀬川とかその辺か。長池もそうだが……そっちの方は、既に充分仲良くなってるみてェだな」 大前(長池先輩が一方的に近寄ってきたような気もするけどなあ……) 早瀬「デメリットの方は……俺の派閥の連中と関係を強化したり、派閥活動をしたりするのに時間を取られることか。 お前にとっちゃ先輩に当たる2年連中と付き合って、結構出費がかさんだりとかする場合もある。 今回の件で仲違いした連中の中で、優先的に仲直りしたいヤツと話しあうのにも、この頼みが邪魔になるかもしれねえ。 それに、こーいうゴチャゴチャしたのが嫌いなヤツとは、一層疎遠になる可能性もあるな」 大前「それは例えば、チームがごたつくのを嫌がる本多とか――」 ――サッカーを楽しむことが最優先の雪村とか。 そう続くはずの言葉は、途中でピタリと止まった。 大前の心のどこかで、あの日の決別が未だにジクジクと痛みを放っている。 それが、この場で雪村の名を上げさせることを躊躇わせていた。 早瀬「(……やっぱ、立ち直った後も、それは引きずっちまうか)もしかしたら、絶交より悪い関係になるって恐れもある」 大前「そうですね……そういうこともありえますか」 しばらく、二人の間に沈黙が流れる。 それを先に破ったのは早瀬だった。
[827]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/02(火) 22:33:31 ID:UqPbtwhE 早瀬「これまでの話をまとめるとだ、俺が大前に期待している理由は四つ。 一、優秀な選手に育つ可能性のある新人として 二、チームメイトに意識向上を促す声を届けるスピーカーとして 三、チーム内の競争力を高める起爆剤として 四、俺の派閥の構成員として こんな感じだな。このうち一と三は、俺が言うまでもなく黙っていても達成できると思うし、出来なきゃ自動的にお先真っ暗だ。 二は……まあ、優先度は一番低いな。無視できる範囲だ。問題は四だな……お前にとってデメリットも抱えている要素だ。 こんなもんで大体理解したか? 俺がお前に肩入れする理由はよ」 大前「ええ。大まかなところは」 早瀬「で、だ。ここまで俺の話を聞いてどう思った? 素直に言ってくれねえか。 別に、答え次第でお前の敵になる、ってわけじゃねえ。とりあえず率直な意見を聞きてえんだ」 先に『4票』入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。 A.「いいと思います。俺も強いチームを求めて、この鳴紋に入りましたから」 協力する意思を示す B.「チームを強くするのはいいことだと思いますが、俺は自分のことで手一杯です」 中立の意思を示す C.「個人の意思でチームを染め変えるのは、良くないと思います」 反対の意思を示す
[828]森崎名無しさん:2010/03/02(火) 22:36:39 ID:epaWM/SE A 早瀬△!
[829]森崎名無しさん:2010/03/02(火) 22:37:24 ID:5kCpxcHc B
[830]森崎名無しさん:2010/03/02(火) 22:38:31 ID:NrGWM4Kk A 大前以外で前線でボール捌こうっていう意識のある選手が1年に居ないのね
[831]森崎名無しさん:2010/03/02(火) 22:40:10 ID:GLgaj3GY A
[832]森崎名無しさん:2010/03/02(火) 22:47:10 ID:jf9Sv+Ls A
[833]森崎名無しさん:2010/03/02(火) 22:48:37 ID:zI0uPUFs A
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