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【これで安心】森崎が幻想入り 11話目【ポスト神】
[982]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/18(火) 00:42:15 ID:HzutRiT6 ……… …… … 図書室でパチュリーと別れた後。 森崎は保体科の研究室で昼食を採ってからグラウンドを横切って校門へと向かっていた。 どうやら、この幻想入り女学院に編入を希望している生徒が今日下見に来るらしいのだ。 森崎がそれを知らされたのはつい10分前。昼食を採っていた森崎の前に現れた校長が一方的に告げていったのだ。 森崎「(全く……人使い荒いんだよなぁ、あのババァは)」 愚痴りつつ、森崎は歩く。 何故彼が出迎え役に抜擢されたのかは、彼自身よく判っていない。校長曰く「先方の希望だから」との事らしいが…… 森崎「(心当たりが全く無いんだよな。というか、そもそも三年のこの時期に編入ってどういう事だよ……ん?)」 段々と校門が大きくなっていくにつれ、森崎は門の下に一人の少女が立っているのに気がついた。 髪こそ彼の妹と同じ空色だが、その少女から受ける印象は妹からのものとは180度違った。 鋭利な……まるで刃物のような赤い瞳に、不敵に釣り上がった唇。容貌にはやや幼さを残すものの、目鼻立ちは恐ろしい程に整っている。 そして、彼女の容姿と同じくらいに目を惹くのはその服装だった。 ゴシック調の薄紅色のドレスに、それと全く同じ色の日傘。 帽子から爪先まで赤一色に染め上げられたその服装は、常人が着れば失笑ものであろうが、 彼女が着ると、まるで中世の王女を彷彿とさせるような不思議な気品すら感じさせられた。
[983]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/18(火) 00:43:57 ID:HzutRiT6 森崎「すまん、待ったか? ……レミリア・スカーレットだよな。俺が案内を任された森崎有三だ。宜しくな」 レミリア「いいえ、私も今来たところよ。……ふぅん、大人になった森崎っていうのも悪くないわね」 森崎が駆け寄って声を掛けると、紅い少女……レミリアは、ゆっくりと顔を上げてそう微笑んだ。 森崎「(……ん? わざわざ俺を指名してきたことといい、どこかで会ったことがあるのか? マズいぞ、全然覚えてねぇ……)」 内心で焦っていると、レミリアは見透かしたように再び口を開いた。 レミリア「気にしなくていいのよ。それより、エスコートしてくれるんでしょう? よろしくお願いするわ」 森崎「あ、ああ……」 言いながら右手を差し出すレミリア。 森崎は彼女の仕草一つ一つに心を掻き乱されるのを感じながら、その手を取ろうとして…… ザッ……! 幽香「……へぇ。中々面白いことやってるじゃない?」 レミリア「……ッ?!」
[984]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/18(火) 00:45:07 ID:HzutRiT6 ……………… レミリア「ちょっ、ちょっと! なんであの女が出てくるのよ? ここは私の美しさに森崎が一目惚れするシーンのはずでしょ?!」 パチュリー「そこまでは脚本にも書いてないけど……確かにおかしいわね。 脚本では、風見幽香は最後まで名前しか登場しないはずなのに……ゲホッ。まさか、私の魔法が妨害されてる?」 レミリア「妨害って、ここにパチェ以上の魔法の腕を持ってる奴なんて……ッ?!」 何かに気付き、愕然とした表情を浮かべるレミリア。だが、その時にはもう全てが遅かった。 幽香「(くっくっく……乗っ取り成功。隠蔽にばっかり気を取られてたのが災いしたわね、動かない大図書館さん?)」 レミリアとパチュリーが屋根の上で騒いでいる時。幽香は一人、自分の部屋で満足気な笑みを浮かべていた。 彼女の部屋は森崎の部屋の真横である。鋭敏な彼女がそんな至近で使われた魔法の気配を見逃すはずはない。 幽香「(まぁ、それでも魔法自体は大した隠蔽だったけど。屋根の上にあんなに大きな気配が二つもあったら流石に……ねぇ?)」 常日頃は積極的に使おうとはしないが、彼女はとある切っ掛けから魔法を学び始め、 結果的に「究極の魔法」を扱えるまでになった魔法の達人でもある。 無論、正面からやり合えば結果は分からないが…… 少なくとも、無警戒のパチュリーから不意打ちで魔法の制御を奪う程度の芸当は造作も無い事だった。 幽香「(さぁて、折角だし……少しからかってやろうかしら)」 ………………
[985]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/18(火) 01:39:05 ID:HzutRiT6 物陰から突如姿を表した生徒。それは、朝からずっと授業を休んでいた不良生徒……風見幽香だった。 森崎「……幽香?」 幽香「ふぅん、そいつが編入生ね。……へぇ」 レミリア「……失礼ね、初対面でいきなりそいつ呼ばわりなんて。あなた、一体どちら様?」 初対面だというのに、いきなり火花を散らす二人。しかも間に立つ森崎を挟んでである。 幽香「さて、どちら様でしょう?」 つい、と幽香が森崎の横に歩み寄る。……いや、歩み寄っただけではない。 幽香はレミリアに向かって差し出されていた森崎の腕を握ると、そのまま自分の腕を絡ませ…… 森崎「お、おい……?!」 レミリア「……い、いきなり何やってるのよ?!」 むにゅ、と森崎の腕を柔らかい感触が包み込む。間違えようがなかった。今、彼の腕に当たっているものは…… 幽香「何って、見たままよ。まぁ、夢の中ですら間怠っこしい事してるお嬢様にはこんな事出来ないでしょうけどね。 ……ああ、物理的に無理だったっけ? もしかして悪いこと言っちゃったかしら」 レミリア……主にその胸部に哀れみの視線を投げかける幽香。 その直後に聞こえたブチン、という音は、恐らく森崎の幻聴では無かっただろう。
[986]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/18(火) 01:40:24 ID:HzutRiT6 森崎「(夢って何だ?! いや、それよりもこの状況は明らかに『マズイ』ッ)」 レミリア「……雑草の妖怪風情が言ってくれるじゃない。 良いわ、元々お前みたいな奴が森崎の近くに居る事自体気に入らなかったのよ。ここで綺麗さっぱり消してやるわ……!」 幽香「あら、吸血鬼がそんなに偉いのかしら? その辺を飛んでる蚊だって血くらい吸うわよ?」 言葉を交わしながらも、だんだんとその険悪さを増して行く二人。 紅い少女……レミリアの背中からはいつの間にか一対の黒い羽が生え、幽香の日傘にはバチリ、と目を灼かんばかりの光が集まりだす。 明らかに臨戦態勢。……勿論、森崎を挟んでである。 森崎「(よ、妖怪? 吸血鬼? こいつらは何を言ってるんだ……?)」 あまりの出来事に混乱しながら、森崎は昼休みのパチュリーとの会話を思い出していた。 あの時の彼女の発言はこれを予言しての事だったのだろうか。もしそうならば、ついでに命の危機も予言しておいて欲しかった。 レミリア「小便は済ませたかしら? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えながらリフティングする心の準備はOK?」 幽香「全て必要ないわ。……そして、知覚する間も無く死ぬあなたにも無用の物ね」 森崎「おい、お前ら落ち着けッ! せめて俺を巻き込まない場所で……!」 間に立った森崎も必死に現状の打開を試みるが、こうなってしまってはすべてが遅い。 次の瞬間。爆音とともに紅と白の閃光が炸裂し、間にいた森崎の体は襤褸切れのように宙へと舞い……
[987]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/18(火) 01:41:25 ID:HzutRiT6 ……… …… … ガバッ!! 森崎「はっ……! なんだ、夢か……」 森崎が跳ね起きると、そこはいつものメリーの家の自室だった。 窓から見える景色は未だ暗い。どうやら、柄にも無く深夜に起きてしまったようだ。 森崎「酷い夢だったぜ……。いや、既にどんな夢かも覚えてないが……」 半身を起こした跡を見てみると、シーツが自分の汗でびっしょりと濡れていた。もう今夜はこのベッドでは寝られそうにない。 森崎「(どうしたもんかなぁ、替えの布団なんてあるハズも無いし……。しょうがねぇ、明るくなるまで外でボールでも蹴ってくるか)」 そうと決まれば善は急げ。 森崎は早速普段着に着替え、ボールの入った鞄を担いで部屋の外へと出る。 もちろん、屋根の上に居るレミリアや、隣の部屋で聞き耳を立てている幽香に気付くことも無く。 ……そして、今日もいつも通りのメリー家の一日が始まるのだった。 『3年G(がんばり)組森崎先生』 〜完?〜
[988]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/18(火) 01:47:43 ID:??? というわけで、埋めネタ終了です。 まずは、この間本編を疎かにして申し訳ありませんでした! 明日からガンガン進めていきますので……。 レミリアをメインに書くつもりが、結局微妙なことに。どうしてこうなった。ラブコメを書こうとすると指が逸れていくんだ! 新スレは明日立てます。以下は適当に使って頂いて構いません。 意見や要望、あとスレタイ案など頂けると嬉しいです。埋まらなければ後日適当に埋めますので。 ここが悪い! とか改善しろ! とかがありましたら是非どうぞ。 それではまた明日お会いしましょう。次回「魔界vsフォーレスツ・ストライカー伝説リグル!」をお楽しみに!
[989]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/18(火) 20:00:16 ID:??? 新スレ立ちました、URLはこちらです。 http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1274178496/l50 これからも森崎が幻想入りをよろしくお願いします。
[990]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/29(土) 19:39:08 ID:??? 六花と七花の馴れ初めが気になる方がいらっしゃるようなので、とりあえず妄想を書き殴ってみました。 本当にこんな事があったのかどうかは私にも判りませんが。 時間軸は一応明記していますが、八日目・幽霊チーム戦の夜です。
[991]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/29(土) 19:40:25 ID:??? ガラガラ…… 七花「はふ〜、ようやくお風呂に入れる……」 お風呂道具の入った洗面器を右手に抱え、メリー家一階の浴室に続く扉を開ける七花。 今日は幽霊チームとの試合があったこともあり、体全体が汚れ、また疲れきっている。 平均以上に入浴を愛する彼女としては、一刻も早く汚れを落としてゆっくりと肩まで湯船に浸かりたかった。 七花「(うーん、もうクタクタ……。そうだ、もうお風呂は私で最後っぽいし折角だから泡風呂でも……)」 六花「……誰でございますか?」 七花「へ? ……あ、六花ちゃん?」 湯船の方に視線を移す七花。すると、そこには既に湯船に浸かっている先客がいた。 立っている訳ではないので判りづらかったが、 妖精として平均的な身長である七花より一回り小柄で華奢なその少女は、 丁度今日の試合で七花と共に抜群のコンビネーションでフィールド上を駆け回った、新たな相方であった。 六花「七花さんでございますか。失礼しました、すぐに上がるでございま……」 七花「ううん、いいの。私が気づかずに入っちゃったんだし。それより、出来れば呼び捨てにして欲しいんだけど。 お昼にそう言ったら努力するって言ってくれたじゃない?」
[992]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/05/29(土) 19:42:06 ID:??? サァァァァァァァァ、と頭からシャワーを浴びながら、七花が笑って言う。 熱い湯が彼女のしなやかな長髪を濡らし、そのまま緩やかな体のラインに沿ってさらさらと流れてゆく。 六花「む、たしかに言ったでございますが……しかし」 背中越しに、六花の逡巡する気配を感じ取る七花。 どうやら呼び捨てにするのが嫌というのではなく、どこか遠慮しているような様子である。 七花「(そういえば……六花ちゃんと私って、森崎様の所に来るまでは殆ど話したことも無かったんだっけ)」 体を洗いながら、ふとそんな事を思う。 決して二人の間に接点がなかったわけでは無い。 レミリアに仕えるようになったのもほぼ同時期であるし、紅魔館では寝起きする部屋も同じである。 だというのに、二人はこれまで殆ど会話という会話をしたことさえなかった。 いや、「二人は」という表現は誤りだったかも知れない。七花に限らず、六花と親しいといえるメイドは紅魔館には一人も居ない。 もちろん六花が他のメイドとの関わりを拒絶しているのでもなければ、特に孤独を好んでいるわけでもない。 ただ、なんとなく。他の妖精たちと比べて落ち着いている六花は、ひっそりと紅魔館の薄闇の中に埋没していたのだ。 七花「(うーん……いつも不機嫌そうな顔してるけど、華奢だしお人形さんみたいだし……可愛いよね)」 湯船が熱いのか頬を赤く染めている六花の顔を見ながら、七花も僅かに顔を赤くする。
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0ch BBS 2007-01-24