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【不遇キャラの】キャプテン三杉4【復讐劇】
[470]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 15:03:52 ID:??? >ハート→片桐「ふむ・・・仕方ないな、出直そう。」 三杉の言葉に片桐も賀茂も口を閉ざした。重い沈黙が周囲を支配する。 どれくらいの時間が流れたか分からない。数秒のようであり数分のようなその時間、 その場に居た5人は硬い表情を保持し続けた。 片桐「ふむ・・・仕方ないな、出直すとしよう。」 三杉「恐れ入ります。」 賀茂「おい、いいのか片桐!」 片桐「ええ、ワールドトーナメントは国際Aマッチに該当しません。つまり我々の召集には強制力が 働かない。強制力が発生しない以上、三杉の言葉は理に適っています。」 理屈で言えばその通り。だがそれで納得出来るものではないと三杉にも分かっていた。 今ほど行われたのは召集ではなく打診、正式な物ではないのは言葉にするまでもなく明らかだ。 片桐と賀茂は自分達の意志を確認したかった、ただそれだけなのである。 それを知って三杉がこのように答えたのは、単純ではない理由もあり、思いもあった。
[471]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 15:05:05 ID:??? 三杉「ブラジルで修行した森崎に翼くん・・・きっと世界屈指の実力者になっている事でしょう。 あとは僕達3人が加われば日本はパーフェクトですね・・・」 片桐「・・・・・・」 彼自身、混乱の入口に差し掛かっていた。少し寂しそうな、待望するような、心情を 読み取れない表情でこのような言葉を口にしたのは、ほとんど無意識であったかも知れない。 再び沈黙が流れ始めようとしたが、ここで片桐が席を立った。 片桐「それじゃあ今日の所は退散しよう。・・・俺達はまだイタリアに滞在する、 明々後日の準々決勝を楽しみにしているぞ。」 賀茂「邪魔したな。」 つられるように賀茂もホテルを後にした。ようやく清浄な空気がホテルに戻ってきたのだ。 中山も新田も思い切り深呼吸をして、空気の大切さを心から噛み締めている。
[472]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 15:06:31 ID:??? 新田「うぼえーー!!何だったんだよ、あの浮浪者!!」 中山「ああ全くだ!ガードマンに追い出されても文句言えない臭いだったな!」 三杉「気持ち悪いのを通り越して眩暈、動悸、息切れ、果ては心臓病が再発するかと思ったよ。」 中山「ハハ、それは言いすぎだろ!・・・・・・っと、そうだ三杉。」 新田「ああ、そうでした。全日本ユースの件・・・あれは?」 中山と新田は気を取り直すと、先ほどの遣り取り中における疑問を早速ぶつけてきた。 当然であろう、全日本ユースの一員として世界を相手に渡り合う・・・彼等にとっては望む所の筈だ。 それに気持ち良く承諾しなかった三杉に疑問を持つのは当然だった。 三杉「そうだな・・・ひょっとすると新田は違うかもしれないが、これは僕とジョアンコーチの契約に 関わっている問題だ。無論、中山は僕と同じ立場にある。」 三杉の言葉を聞いて中山はハッとした。 今の今まで彼は忘れていたのだ、自分が身売りに近い状態にある事実を。 ※一旦ここまでっす
[473]森崎名無しさん:2010/06/08(火) 15:28:00 ID:??? 乙でした
[474]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 19:46:33 ID:??? 中山「そうか・・・拘束期間か。」 新田「え・・・中山さん、三杉さん?どういう事ですか?」 三杉「かつて・・・僕は心臓病、中山は再起不能に近い大怪我を患っていたのは知っての通りだ。 それを完治させる為の手術費用の見積りは数千万、とても払えるものではないのは分かるな?」 コクリと頷く新田、その頭上にはまだ“?”マークが浮いている。 三杉「その費用を援助してくれたか、それとも何らかの交渉をしたか・・・方法は分からない。 だが、結果として僕達は無事に手術を受けられた・・・ジョアンコーチのお陰でね。」 新田「え・・・!そうだったんですか!?」 新田は驚きの声を挙げ、中山の方を向いて確認を得ようとする。 中山はそれに対し、頷いて肯定の意を示した。
[475]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 19:47:38 ID:??? >>473 乙感謝です! 三杉「ただしそれには条件があった・・・リハビリ後の3年間、コーチ元で指導を受ける事。 その指示には全て従う事が義務付けられている。例えば全日本ユースへの参加の拒否なんかも・・・。 新田「!」 三杉「そして、ワールドトーナメントが開催されるのは契約が満了するよりも前・・・だ。」 新田「そっか、それで・・・。俺は単にジョアンコーチから誘いを受けただけだったから、 てっきり二人も俺と同じだと思っていました・・・まさかそんな事情があったなんて・・・」 三杉「新田は僕や中山と違って何かの制約があるわけではないんだな?ならばそれを前提に聞こう・・・ 日本サッカー協会とジョアンコーチ、両方からワールドトーナメントのオファーがあったら、 お前はどちらを受ける?」 新田「えっ・・・ど、どういう事ですか?」 三杉「簡単に言えば、フィオレンティーナと全日本のどちらのチームで出場するか、という事だ。」
[476]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 19:48:39 ID:??? 新田「そ、そんな事・・・分かりませんよ・・・」 三杉「(分からない、か・・・)何故だ?全日本ユースの一員として世界を相手にするんだぞ? 一体何を迷う事があるんだ?」 新田「だって・・・ジョアンコーチは恩師です。ストライカーとしての自分が見えなくなっていた俺に、 世界で戦うだけの道を示してくれました・・・。」 三杉「・・・」 新田「三杉さん、中山さんも俺に多くを教えてくれました。ブンナークはタイプは違うけれど同じFW として切磋琢磨し合えるヤツです。他のみんなも信頼できるメンバーだ。そしてアンザーニ監督の指揮。 全日本Jrでは味わえなかったチームの一体感がここにはある、馴れ合いという意味じゃなく・・・」 中山「・・・」 三杉「それは・・・お前の物の見方が変わったと言うのもあるだろう。」 新田「え・・・。」
[477]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 19:50:40 ID:??? 三杉「以前のお前は自分がゴールを決める事しか頭に無かった。それは勝利への意志じゃなく、 自分の力を周囲に知らしめる為の物だった。」 新田「・・・その通りです。」 三杉「勿論、サッカー選手には自分が活躍したいという意志が不可欠だ。だが、それと同じくらい 必要な物がある。今のお前はそれを理解し、FWとしてバランスの取れた精神状態を持っているんだ。 ・・・成長したんだ、サッカー選手として。もしもずっと日本に居たならば、今のお前はなかった。」 中山「そして新田をそう導いたのは、このチームとジョアンコーチ、という事か・・・。」 新田は押し黙ってしまった。話の論点がいつのまにかズレてしまっていたが、自分が如何に このチームと仲間を大事に思っているのか、恩を感じているのかを改めて理解したのだ。 三杉「すまない、意地悪な質問だったな。だが僕も同じだ、同じ選択肢を与えられたら・・・ どちらを選ぶか分からない。(・・・同じ選択肢は有り得ない、とは思うけどね・・・)」 新田「三杉さんも・・・?」 中山「・・・」
[478]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 19:51:40 ID:??? 三杉「ジョアンコーチに対して思う所は多少ある。けど、それでも今の僕を導いてくれたのは間違いなく コーチであり、このフィオレンティーナだ。言いたくはないが、日本サッカー協会は僕の心臓病に 対して何もしてくれなかった。(そう、少なくともコーチは僕に対してそれだけ評価をしてくれた。) いま僕が世界の一流プレイヤーと互角に渡り合えるのは全日本のお陰ではない、フィオレンティーナ とジョアンコーチのお陰だ。僕はこのチームで世界を相手にするのも悪くない・・・」 クラリ・・・と、眩暈を感じた。心に溜めていた物を吐き出すかのように言葉を紡いだ三杉。 いつもの彼らしからぬ事だが、自身でもそれが抑えられなかった。無論いずれは日の丸を背負い、 日本代表としてワールドカップに出場し、世界を相手にして優勝を勝ち取りたいと夢見ている。 だが今この時点、彼の天秤における全日本ユースの椅子はあまりに軽く思えてならなかった。 それでも日本人だからという責任感もあり、いま三杉はパニックに近いような思考飽和に陥っていた。 三杉「はぁ・・・はぁ・・・」 新田「三杉さん・・・!」 中山「大丈夫か三杉、顔が青いぞ!?」 三杉「済まない・・・こんなつもりじゃなかった。どちらにせよ、今の時点じゃ僕に選択権があるか どうかも分からないんだ、今考えても意味がない事なんだ・・・すまない・・・・・・。」
[479]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 19:55:53 ID:??? 三杉は今まで見た事ないくらいに弱々しい姿になっていた。 中山も新田も心配そうな顔で三杉を見る。 中山「とにかく部屋に戻ろう・・・」 三杉「済まない心配かけて。大丈夫、部屋で少しユックリすれば落ち着くよ。心配要らない。」 三杉はそう言って立ち上がった。新田が心配そうに肩を貸そうとする。まだ多少立ち眩むが、 自分の足で十分歩けるからと気持ちだけ受け取り、3人はロビーを後にした。 エレベーターの中で、中山は一人思うところがあった。 中山「三杉・・・。」 三杉「なんだい・・・中山?」 中山「俺は・・・いや、何でもない。」 三杉「そうか・・・。」
[480]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/08(火) 19:57:01 ID:??? 中山は喉まで出掛かった言葉を飲み込んだ。エレベーターを降り、3人は自室に戻るべく別れた。 その時、中山は三杉の背中を少しの間見つめていたのだった。 中山「(俺は・・・俺はいつか森崎の力になる為に、森崎と共に闘う為にとやってきた・・・。 俺は・・・どうすればいい?)」 日本サッカー協会の訪問・・・それは一つのプロローグとなった。 彼等の頭に、これまで考える必要のなかった物が植えつけられたのだ。 少年達の道程には、目に映らない混迷の煙が立ち上っている・・・。 ※本日の更新はここまでです。なんか全然選択とかなくてすみません・・・。
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0ch BBS 2007-01-24