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【不遇キャラの】キャプテン三杉4【復讐劇】
[641]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/24(木) 19:49:40 ID:??? ミハエルの笑顔は天使のようだと、周囲の人間はミハエルの美しさを褒め称え、 またその輝くような笑顔に元気付けられていた。 それ故ミハエル自身がその容姿を誇らしく思うようになるのは自然であったと言える。 またミハエルは貧民街という満ち足りぬ世界の中で、その貧しさ、 不完全さの中でそれでも懸命に生きている人々を慈しみ、尊敬した。 幼いミハエル少年の数少ない娯楽はスラムの友人とやるストリートサッカーだった。 身体の大きくないミハエル少年は決して強い部類でも上手い部類でもなかった。 だが、それでも彼は“好き”である故に懸命に打ち込み、それなりに上達していった。 ミハエルが8歳の頃である・・・ 天使のような明るさと美しさを持ったまま成長した彼の身に大きな災厄が訪れた。 利き足である左足が痛み出し、動作が不自由になり始めたのだ。
[642]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/24(木) 19:51:26 ID:??? だがミハエル少年はそれでもストリートサッカーを続けた。 左足が不自由になり始めた頃から右足を鍛え、まるで利き脚のように使えるようにと頑張った。 もしかしたら彼はサッカーに熱中する事で恐怖を緩和させようとしていたのかも知れない。 だがその間の努力は実り、利き脚ではないミハエルの右脚はいつしか至高の物になっていた。 さらに彼は不自由故に緩慢になった動作を補う為、視野を大きく広げるよう努めた。 その結果ミハエルは目の前の相手を見るのではなく、ゲームの流れを読んで、 常に次に自分がプレイするスペースの方を見ようとする癖がついたのだ。 周囲の人間は心の底から惜しんだ。 もしもミハエルの身体が完全であれば、どれほどの選手になったのだろう、と。 皮肉な事に、ミハエルの肉体が不完全になればなるほど、その技術は磨かれたのだ。 ミハエルは身を以って学んだのだった・・・不完全であるからこそ人は進歩するのだと。 歩みを止めさえしなければ、必ずや人の身体は、感覚は応えてくれるのだと。 Heaven helps those who help themselves
[643]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/24(木) 20:01:28 ID:??? だがその後も悲劇は止まらなかった・・・ミハエルが左足に不自由を覚えてから1年後、 もはや彼の左足の関節はほとんど動かないようになってしまっていた。 なけなしの金で医者に見せた所、左足の筋繊維が石のように骨のように硬変していると言う。 だが分かったのはそれだけで、原因も治療法も全く分からなかった。 症状は緩やかに進行しており、いずれ左半身全てを侵し、心臓に達して命を落とすと言われた。 その言葉通り、ミハエルの左足は徐々に表面まで硬くなり、まるで石のようになっていった。 信心深かった彼の両親はひたすら神に祈るだけだった。 ミハエル少年は、そんな両親を慰めるように言うのだった。 「もし僕がすっかり石になったら像みたいにどこかに飾ってね。 公園がいいな。美しいバラも咲いているし、サッカー友達も来るもの。」 両親はミハエルの気丈さに涙する他なかった。 何もしてやれない自分達の無力さを呪いながら・・・ だがその消え逝く命の運命は、ある時を以って大きな転換を迎える事になる。 そのスラムに“顔面がつぎはぎだらけの男”が訪れた時に、である。
[644]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/24(木) 20:03:03 ID:??? 本日の更新は以上です、どうもありがとうございました。 ぷはー、いつになったらユヴェントス戦が始まるんでしょうか? 先が見えないっすw
[645]森崎名無しさん:2010/06/24(木) 20:08:58 ID:??? 乙でした これ元ネタ通りだとミハエルはおとうt…ゲフンゲフン
[646]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/24(木) 20:11:02 ID:??? >>645 そこは見逃してください! 治る・・・どうにか治るって・・・
[647]森崎名無しさん:2010/06/24(木) 20:21:50 ID:??? BJ先生!
[648]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/25(金) 20:42:04 ID:??? 遅ればせながら日本おめでとう!勝って予選突破最高でした! 遠藤のFKは本当に惚れ惚れっすよぉー。 あと川島さんのPKの強さパネェっす、あとカタギの顔じゃないw セルビアが予選落ちしちゃったんで、あとは日本とアメリカのドノバン選手を全力で応援しますw
[649]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/28(月) 13:42:20 ID:??? >>645 乙感謝でしたー その男“BJ”は有名な医者であった。有名とは決して高名を意味しない。 悪名高い・・・という修飾が正しいとの専らの評判だった。 詳細を述べると、彼は世界最高峰の技術を持っておりながら医師としての免許を取らず、 他の誰にも出来ない難しい手術をこなし、報酬として莫大な金額を請求する・・・というのである。 そんな男がミハエルの奇病を聞きつけてやってきたのだ。 しかし奇病を患っているミハエルはスラムの少年である。 高額な手術費用を払える金などあるわけがない。 それでも両親はBJに頼んだ。命に代えても、一生懸かっても金を用意すると。 BJは両親の言葉を一笑に付した。 彼が求めている物は実は金ではないのだ。 それは・・・“覚悟”なのである。 そして彼が支払わせたかったのは両親にではなかった。 当のミハエル自身なのだった。
[650]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/28(月) 13:46:07 ID:??? BJがミハエルに投げ求めたのはある2つの選択肢の答えであった。 @脚の外観は完璧に治す。日常生活に支障はない。ただしサッカーは二度と出来ない。 A脚の外観は現在のまま残す。機能は病に侵される以前に全快し、 いつかはサッカーも90分間出来るようになる。 この選択肢に対するミハエルの回答はAであった。 もしも不完全な身体、ハンデを負っていた自分がサッカー選手として大成したら、 自分と同じようにハンデを負った人間の希望に成り得ると、ミハエルは言ったのである。 それはもはや聖人の考え方であった。 BJはこの回答に皮肉を込めた笑みを浮かべ、手術を行なう事に決めた。
[651]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/06/28(月) 13:48:54 ID:??? 手術は成功し、ミハエルの左脚は動くようになった。 灰色に変色した生気ない外観はその儘に、かつての利き足の機能を取り戻させたのだ。 この結果にミハエル少年は狂喜したと言っていい。 かつて諦めた命を、サッカーを、また思い切り楽しめるようになったのだ。 しかもそのサッカー技術(足技)は、奇病を患う以前と比べ物にならないキレを持っていた。 利き脚を超える至高の右脚と、少し感覚が鈍った左脚・・・このアンバランスさは ミハエルのドリブルに独特のリズムを形成させた。 もしも熟年のサッカーファンが当時のミハエルのドリブルを見たらこう形容したであろう。 「まるでガリンシャのドリブルだ。」と・・・。 他にも利き脚が不自由な間にこらした数々の工夫は、その全てが彼だけの武器となった。 相手ではなくその先のスペースを見る癖は、相手に仕掛けるタイミングを取り辛くさせた。 またそのリズムと視野が組み合わさり、フリーになる技術が卓越していた。 あとは長い時間をかけてリハビリし、試合に耐えうる持久力を取り戻すだけだった。 BJはリハビリについて一人のコーチを紹介した。かつてサッカー界で世界的に名を馳せた 名コーチであり、今はスポーツ医療についても精通していると言う・・・ 裏社会ではその存在が知られていたジョアンという名の男である。
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0ch BBS 2007-01-24