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【敗北と】小田Jr.の野望13【再生】
[599]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 18:44:11 ID:KsMBlP0M こっちの世界でもはづきからもらった懐中時計はきちんと機能するようで時間を正確に刻んでいる。 馬車に揺られる事約1時間。街道沿いを目的地に向かっていく一行は特に何事もなく人通りの多い 街にたどり着く。そこは所謂中世風の家構え。金属やコンクリの家などどこにもなくほとんどが石または レンガ、木に何かの薬品を染み込ませ色を変色させた家に住んでいた。 ???「ようこそ、西の交易都市シャハーンへ!ここならキミと妖精さんが暮らすだけなら困る事は ないと思うよ。…って、これだけ一緒にいたのに私の名前一度も聞かなかった…というより私、 貴方達の名前も知らないね…てへっ!で、貴方達の名前は?」 そういってくるのはジュニアに纏わりつく小さいおっさん。もしかしたら本当に女なのかもしれない。 小「ああ、俺の名前は小田猛。猛とよんでくれ。で、こっちはティル。」 ???「へえ、タケシなんて珍しい名前ね。で、ティル…うん。いい名前。私はリャハーン。 ま、本名じゃないけどね」
[600]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 18:45:14 ID:KsMBlP0M 小「へぇ。で、ここまでつれてきてもらったのはいいけど…」 リャハーン「なにいってるのよ。貴方達の目的は知らないけど、今は宿さがしでしょ?それとも このまま物乞いにでもなるつもり?」 小「いや、それより帰らないと…」 グリーニ「なんだ。やっぱり自分の意志で来たんじゃなくてどっからか迷い込んだのか。 それなら…そうだな…ここから更に東に数日行ったところに星見の塔といった場所がある。そこの マレーネ・ウォルフは偏屈だがこの世界の全ての事象を認識できるって話だ。そこにいけば恐らく 帰る方法も教えてくれるだろうよ。あとこれは選別だ。いつまでも血なまぐさい服でウロウロ してると憲兵に捕まえるぜ?」 そういいながら馬車の奥においていた外套を一枚投げ渡してくれる。もともとグリーニのものだったの だろう、背丈は何とか格好がつくのだが幅はものすごく余っており、外套というよりポンチョ 状態である。
[601]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 18:46:26 ID:KsMBlP0M 小「なにからなにまでありがとう。」 グリーニ「ああ、それともし俺に用があるなら職人街でグリーニはどこだと聞けば大抵の奴は 教えてくれるはずだ。しばらくはこっちで弟子の修行に付き合ってやらないといかんのでな。 少しくらいは手助けしてやるよ」 そういうと、1人で馬車から降りるとどんどんと離れていく。 ???「それじゃ…俺も…帰る…」 今まで御者をしていたせいで話す機会のなかった大男もグリーニと同じ方向へ向かい、残ったのは 小さいおっさん事リャハーンとジュニアとティルだけになる。 リャハーン「それで、何か希望ある?食事つきなのは確定としても、兄弟でもないなら別の部屋がいい? それとも一緒の部屋でいい?少しくらい汚かったり、1階がごろつきの溜まり場でも…ああ、これは お姉さんがいるからやめた方がいいよね。でも安い宿で短期の宿泊だと結構絞られちゃうんだよね。 逆にお金を使ってもいいならいくらでもあるよ?沐浴したいならものすごく気持ちいい水の流れる 場所もあるし、美味しいワインがあるところも…って、こっちは少年がいるか…他にも ああ、そういえば皿洗いを募集してるところなら宿代を負けてくれるかも!?」
[602]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 18:47:57 ID:KsMBlP0M 更に言葉を続けようとするリャハーンを何とか制しジュニアは口を挟む。 小「いや。そんなことより本当に帰りたいんだ。マレーネ・ウォルフにいくなら…」 リャハーン「さっきグリちゃんがいってたでしょ。あそこにいくなら数日はかかるし、そのためには 今あるお金でどんな旅支度をしなきゃいけないか考えなくちゃいけない。もし腕に自信がないなら 信用が置けそうな冒険者を雇った方がいいし、どうせならここで自身の鍛錬をするのもいいかもしれない。 異邦人なら知ってると思うけどここと他の場所は時間の流れが違うからあんまり慌ててもムダよ。 世界の流れが違うという事は、早くする事も出来るけど逆もまた真なり。ってね」 小「…つまり、こっちで1週間かけても向こうじゃ一日ってこともありえるのか?」 リャハーン「ほんとうに何も知らずに来たのね。半分正解。ま、その辺はマレーネが詳しいから そこで聞いちゃってよ」 小(……つまりものは考えようって事か。どうやらウラシマ効果とかそういったものとは 別次元で時間の流れが異なるらしい。という事はここで訓練しまくって元の世界に戻るって方法もあるな) 無理やりポジティブシンキングに切り替えるジュニア。手元にある金で普通に生活するだけなら 一ヶ月近くは可能らしい。アルバイトや、今もっているこちらの世界では珍しそうなものを売り払えば もう少しいつづけることも出来るだろう。もし時間の流れを遅くする事が出来なくても学校が 開始されるまでにはまだ1ヶ月近くある。もう少しだけここで観光がてら冒険するのもいいかもしれない。
[603]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 18:49:39 ID:KsMBlP0M 小(となると重要なのは宿からだな。念のためにすぐに帰りたいなら状態を万全にしたいから高めの宿で じっくりと体を休めたい。逆にしばらくい続けるなら安い宿で節約するに越した事はない。 因みに子供1人だと危険だからにティルは戻るつもりは全くないようだ) どうしますか? A.体をじっくり休める宿に泊まる。銀貨2枚消費(完全回復します。お昼のお弁当つき) B.普通の宿に泊まる。銀貨1枚消費(体力50%、精神力80%回復します) C.安い宿に泊まる。銅貨5枚消費(体力30%、精神力50%回復します) D.安い宿&皿洗いのバイト。銅貨2枚消費(体力15%、精神力35%回復)※ティルはウェイトレスです E.野宿。(体力30%、精神力50%回復します) ※冒険7つ道具から食料を1つ消費します。(のこり3つ) ※ティルは回復しません。 ※かなり危険です。 F.その他 先に1票入ったものをせんたくします。
[604]森崎名無しさん:2010/05/27(木) 19:15:02 ID:C2zloIrw B
[605]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 20:22:37 ID:KsMBlP0M B.普通の宿に泊まる。銀貨1枚消費(体力50%、精神力80%回復します) 小「早くに元の世界に帰るにしてもじっくり腰をすえるにしても今日の疲れは半端じゃないし… せめてベッドはきちんとセッティングしているところがいい」 自分の体に正直に答えるジュニア。いくら薬草と包帯のお陰である程度の行動はできるとはいえ つい数時間前まで死を覚悟していたのである。いまだ体が癒されてはおらず、油断すると 全身に痛みという襲撃が襲い掛かる。 リャハーン「りょうかい。それじゃ、薬湯と美味しいワインで有名なところが丁度いいね。あそこなら ベッドもきちんと毎回シーツ交換してくれてるし。傷ついた冒険者がちょっと回復させたい時や いいことがあった時によく使われているところね」 そういいながらまるでハトバスの添乗員さんのように、こっちの店は安い薬草がうっているとか、 こっちの店の剣はすぐに刃こぼれするとか聞いてもいない説明をしながら一軒の宿に到着する。
[606]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 20:23:40 ID:KsMBlP0M 小「へぇ。悪くない。というより風情があっていい。」 そこはこの街の宿屋としてはやや上級。一階の酒場で酒盛りしている冒険者達もごろつきのような 格好ではなく、比較的マンガやアニメで見るようなまともな格好をしている。(流石にプレートメイルや バイキングメットのような重装をしている人物はいなかったが…) リャハーン「あ、一階の酒場でご飯は出るんだけど…少年君はちょっと危険だから特別に部屋まで持って 来てもらえるように私から口ぞえしとくね」 もし、おっさんでなければきっとチャーミングであっただろう、ぱちりとウインクでリャハーンは ジュニアに話しかける。 小「あ、ああ。ありがとう」 そして、リャハーンとこの店のマスターと思われる初老の品のよい人物が数分間話し込み…リャハーン は満面の笑みと共に両腕で大きなまるを作ってこたえる。 〜〜〜〜
[607]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 20:25:16 ID:KsMBlP0M 小「ふぅ…よくはわからんが助かった…。今日はもう…疲れたな。時間も夕暮れだし…、 今日は薬湯に浸かって寝るか…。ティルはどうする?元の世界に戻るか?」 ジュニアは前々から思っていたことを口にする。彼女は自分の水晶玉だけでなく、不思議な木とも つながっている。そして不思議な木はジュニアの部屋に置きっぱなしなのだ。更にいえば、家には えりるがいる。つまり、彼女がその気になればいつでもジュニアの本来の世界に戻り、そして えりるに助けを呼ぶことが出来るのだ。 ティル「いいえ。私も同じことを考えましたが、マレーネ・ウォルフの存在を聞いたので それをすることのデメリットが多いと判断します。私だけが元の世界に戻れば私がその時間を 固定する存在になってしまいます。そうなると時間をさかのぼり元の時間にたどり着くための ファクターを自らの手で潰す事になると思います。」 小「全くわからん」 いつものように即答するジュニア。 ティル「つまりはこうです。今、マスターはここにいます。そして私も。」 小「ああ。そうだな。」
[608]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 20:26:20 ID:KsMBlP0M ティル「つまり私の存在確率とマスターの存在確率はここに集約しています。」 小「存在確率?」 ティル「はい。この辺は量子の確率展開につながるのでえりる様の方が詳しいのですが、私という存在が 2箇所に生まれれば存在確率は2箇所に分布される事になり、本来関係ないはずのマスターも 私という近い存在のためにその場所に集約されやすくなってしまいます」 小「でも…それならここからの出口が今の俺の部屋になる可能性が高くなるということじゃないのか?」 ティル「その通りです。そして、時間のスピードというのは一様ではありません。恐らく現在の 時間軸のままマスターの部屋に行けば…恐らく数年後のマスターの部屋にたどり着く可能性が 非常に高いです」 小「………」 ティル「つまり、私が『今』向こうの世界に行ってしまうとマスターの出口はほぼ数年後のマスターの お部屋という事になります」
[609]小田ジュニアの野望:2010/05/27(木) 20:27:41 ID:KsMBlP0M 小「よくはわからないが、要は普通にこの世界から出るだけでは『詰み』なんだな?」 ティル「はい。常若の国ティル・ナ・ノーグとマスターの世界の時間の流れが異なるという事は そういう意味です」 小「………つまり単に脱出する方法だけでなく、浦島太郎にならないように脱出しなきゃいけないのか… とてもめんどくさいな」 ティル「すみません。妖精の穴に飛び込むより早くもっと詳しく説明するべきでした」 小「かまわんさ。第一危険だといわれて、尚且つティルの話を聞かずに飛び込んだのは俺だしな」 ティル「……ありがとうございます」 小「辛気臭い話はここまで。逆に言えばどんなに早く向こう側に行っても意味がないことが判ったんだ。 それだけでもティルの言葉を聴けてよかったよ。さあ。お風呂に入って寝よ。ティルもお風呂に入るか?」 ティル「はい。それではマスターの後に入らせてもらいます」 小「そっか。でも内風呂が薬湯なんて贅沢だよな。大きい姿のティルとこんなに長くいるのも 初めてだし、悪い事ばかりじゃないさ」 まるで自分にそう言い聞かせるようにジュニアはティル・ナ・ノーグでの初日を終わらせるのだった。
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0ch BBS 2007-01-24