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【さらば】森崎in異世界完結編【遠き日】
[36]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:35:48 ID:??? F 光太郎とジャンクマンに話しかける。 誰に話しかけようと考えながら森崎はぐるりとメンバーを見渡す。そして自然とある位置で視線が止まった。 その視線の先にはジャンクマンと…魂の師匠南光太郎の姿がある。メンバーの中でも光太郎とは 準々決勝からの短い付き合いである。しかしそれでも森崎にとっては仲間であり同志というのは勿論の事、 自分の新たな一面を引き出してくれた恩人でもあり、師匠でもあり、兄弟のいなかった森崎にとっては 兄とも言える存在でもあった。それだけに彼との別れというのは森崎にとって決して小さな事ではなかった。 森崎「光太郎さん!」 光太郎「おお。森崎か」 森崎の呼ぶ声に光太郎は爽やかな笑顔を見せる。その笑顔につられ森崎も笑顔を返す。思えばここに 来る前の自分ならば光太郎みたいに正に善人の鑑のような人物などとは全く馬が合わずに打算めいた 付き合いしかしなかったはずであり、こうして笑いかけられても愛想笑いを返すのが関の山であったはずだった。 それがこうして本心から笑顔を見せ、本気で別れを惜しむようになるなどと誰が想像出来ただろうか。 光太郎「お前にも色々世話になったなぁ…短い間だったが楽しかったぜ」 森崎「光太郎さん…」 何か言わなければ…そうは思うのだが、光太郎の言葉で思わず胸が詰まり、言葉が上手く出てこない。 光太郎の言葉に否が応でも別れというのを認識させられたからである。しかしそんな森崎の心情を 知ってか知らずか、光太郎は森崎に言葉を掛けてくる。 光太郎「森崎…これは別れじゃない。旅立ちなんだ」 森崎「旅立ち…」 光太郎「そうだ旅立ちだ。俺にとっても…お前にとってもな.。そして旅立ちってのは笑顔で見送るものなんだぞ?」
[37]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:37:19 ID:??? そして右手を差し出す光太郎。その表情はいつも変わらぬ全てを明るく照らしあげる太陽のような笑顔だった。 それを見て森崎はふと思った。自分は光太郎のこの笑顔にこそ強く惹かれたのかもしれないと。 陰惨な過去を抱えて尚、こうして笑顔でいられる光太郎の強さと大きさに。 そして森崎も笑顔で光太郎の右手をがっちりと握り返す。 光太郎「そしてこの握手は再会の約束だ」 森崎「え?」 思いがけない光太郎の言葉に思わず素っ頓狂な声を上げる森崎。しかし光太郎の表情は至って真面目であり、 冗談を言っているようには見えない。困惑する森崎に光太郎は言葉を続ける。 光太郎「確かに再会は難しいかもしれない…だが諦めない限り可能性は残されている… って格好つけて言ってはみたもののこれはお前から学んだ事なんだけどな」 森崎「光太郎さん…へ…へへ…そうか…そうですよね!その通り!!諦めちゃ駄目ですよ!」 光太郎「そう言う事だ!仮面ライダーに不可能は無いってな」 そしてお互い再び笑いあう。無論今言った事は現実的に実現はほぼ不可能と言う事は互いに分かっていたが、 それでも二人は約束する。希望と言う文字を胸に抱きながら。 森崎「そういやジョ…ジャンクマンはどうするんだ?」 光太郎とひとしきり会話した後、今度はそれまで二人のやりとりをじっと見ていたジャンクマンに話を振る。 こちらも光太郎に心酔していたので、ある意味自分以上に落ち込んでいるのではと思っていたのだが、 返ってきた返答は想定外の答えだった。
[38]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:38:38 ID:??? ジャンクマン「どうする?どうするって何がだ?」 森崎「え?…いやほら…元の世界に戻るんだし…光太郎さんとだって…」 ジャンクマン「ああ…そんな事か…それなら心配に及ばねぇよ。だって俺もアニキの世界に行くんだからな」 森崎「……なにィ!?」 ジャンクマンがあまりにもさらっと言うので一瞬遅れて反応を返す森崎。そして光太郎の方は特に驚いた様子は無く、 さも当然と言った表情をしていた。 ジャンクマン「おいおいそんなに驚く事かよ?俺はアニキにどこまでも付いていくって決めたんだ。 それに元の世界にそれほど未練があるってわけでもねぇからなぁ…」 森崎「そ、そうなのか…」 森崎としてはそんなにあっさり故郷を捨て去るジャンクマンに驚きを見せるが、実はジャンクマンは元の世界では すでに死人となっているというのも執着しない理由に拍車を掛けている。だが最も死人でないとしても ジャンクマンは光太郎と共に行くという選択をしていた事だろう。 森崎「で、でも…ほら…何というか…その姿は…」 ジャンクマン「ああ…それも心配には及ばなねぇよ。俺の世界にはオーバーボディってのがあってな それを着込めばまぁ一般人に紛れるなんざ造作もねぇよ」 森崎「は?オーバーボディ?」 聞き慣れぬ単語に思わず眉を顰める森崎。それも無理も無いだろう。オーバーボディがどんなものかは知らないが、 それを着込んだところでジャンクマンの両手のジャンククラッシュを隠す事など不可能としか思えなかったからだ。
[39]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:40:17 ID:??? 光太郎「ああ…それなら俺も前に見せてもらった事があるな。すごいぞ〜本当に一般人に化けたからな」 森崎「そ、そうなんですか…(あの両手も隠れるってのか?ジャンクマンの世界の物理法則は一体どうなってんだよ?)」 光太郎がそう言うのならばオーバーボディとやらのは確かに存在はするのだろうし、一般人にも化けられるのだろうが、 余りにも物理法則を逸脱しているため森崎の頭の中は疑問符が浮かび上がるばかりであった。最もジャンクマンの世界で 物理法則というものを真面目に語ろうとする事自体がナンセンス(※注釈)というのは森崎も知るはずが無かった。 (※注釈 ゆで物理学とも言われ、重い方が早く落ちる、地球を逆回転すると時間が巻き戻る、ウォーズマン理論等が有名) その後は光太郎達だけではなく他の仲間とも一通り話し終えた頃、森崎はふと周りを見渡す。先程よりも明らかに 空間の歪みが見て取れ、素人目に見てもそれほど時間が残されていないというのは明らかであり、 流石に少し焦りを覚えたその時… レナス「待たせたな…別れの方は大体済んだようだな…」 レナスからの声が届く。その声に全員が緊張からか思わず背筋を正す。 森崎(遂にこの時が来たか…これでオールスターズは解散…か…もうこのチームで戦う事は無いんだな…) レナス「さて…まずはお前達だ…」 レナスが指し示すのはリンダ、ドーガ、チキの三人。そして突如三人の体が光に包まれたと思いきや、 そのまま徐々に宙へと昇っていく。
[40]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:41:41 ID:??? 真理「リンダちゃ〜ん!!」 リンダ「お姉さま〜!みんな〜!!色々ありがとう…私…皆の事は絶対に忘れないから!!」 ドーガ「皆〜!達者でな〜!!」 チキ「アルスおにいちゃ〜ん!!みんな〜元気でね〜!!」 森崎「三人とも元気でな〜!!」 アルス「チキ〜!おじいさんと仲良くな〜!!」 ピエール「リンダッ!ドーガッ!チキッ!!ありがとう…!俺も君達の事は絶対に忘れないぞ!!」 そして三つの光は天高く伸びた後、闇の中に溶けた。 レナス「さて次はお前だ…」 ティーダ「お、俺ッス…か?でも俺は…その…何つうか…俺戻れんのかなって思うッスけど…」 レナス「…ん?…ああ…そういう事か…」 次にレナスが指し示すのはティーダだったが、当のティーダは何故か困惑した表情をして、ブツブツ何かを言っている。 単純に帰りたくない…というのとはまた違い、先のジャンクマンと同様ティーダもまた元の世界ではすでに死人(正確には違うが) とされてる為、戻ったところでというのが彼の思いだったが、その言葉を聞きとがめたレナスはティーダの悩みに 合点がいったようで、ティーダを安心させるように柔らかな笑みを浮かべる。
[41]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:42:49 ID:??? レナス「…それに関しては自分の目で確かめるといい」 ティーダ「確かめるって……うぇ!?」 そしてティーダがレナスに何か言う前に、先の三人と同様にティーダの体が光に包まれ宙に昇っていく。 ティーダ「…まぁいいかぁ戻れなかったらその時はその時で…それよりも…皆世話になったッス!!元気でやるッスよ!」 ピエール「ティーダも元気でやれよ!!」 そうしてティーダは闇に消えるまで手を振り続けていた。 シュナイダー「フッ…奴ならどこでも元気でやるだろうな…」 森崎「全くだな…」 レナス「さて…次はお前達だな…後そこの小動物も…」 次に指し示すのは透と真理、後はコッパも一緒だった。そして二人と一匹は光に包まれ宙に昇り行く。 透「僕はあんまり役には立てなかったけど…皆…色々ありがとう!」 ヤン「そんな事無いぞ透君!!もし私達の誰か一人でも欠けていたらオールスターズというチームが ここまで来る事は無かったんだ!君はもっと胸を張っていいんだ!!」 透の言葉にヤンが珍しく大声を張り上げて諭す。その言葉を受け、透は感極まって目には光るものを浮かべていた。
[42]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:43:52 ID:??? 森崎「真理さ〜ん!!真理さんの食事…お袋のよりも全然上手かったです〜!!」 真理「ありがとう!森崎君も無茶ばっかりしないで少しは落ち着きなさいよね〜!それじゃあ皆元気で〜! あ、後コッパも元気でね」 コッパ「チェ…オイラはついでかよ…せっかく助けてやったのによぉ…まぁいいや。んじゃ達者でな〜」 そして二人と一匹は姿を消した。 ピエール「行ってしまったか…二人の結婚式が見られないのが残念だな…」 森崎「あ、ああ…そうだな…(結婚…ねぇ…あの調子じゃ…尻に敷かれるのは目に見えてるけどな…)」 シュナイダー(彼女もまたマリーの名を持つに相応しい女性だったな…) レナス「…次はお前だ…異世界の勇者よ」 そしてアルスの体が光に包まれ上昇してゆく。 アルス「皆…皆と出会えて幸せだったよ!ありがとう!そして森崎!シュナイダー!あんまり無茶するなよ!」 ピエール「こちらこそお前と出会えてよかった…ありがとう!」 森崎「チェ…何だよ名指しかよ!」 シュナイダー「全くだ…無茶などした覚えは無いがな…」 ヤン(まぁ二人が一番アルスの回復魔法にお世話になっていたからな…) 森崎達が見守る中、また一人仲間が去っていった。
[43]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:44:54 ID:??? レナス「さて…次は光太郎…それに…ジャンクマン…本当に良いのか?」 ジャンクマン「ああ…問題ねぇよ。やってくれ」 次に指し示すのは光太郎と…ジャンクマンだが、レナスは今一度念を押して確かめるのだが、 ジャンクマンはその問いに何を今更といった風にかぶりをふる。 レナス「ならば…」 その力強い言葉にレナスは微笑を浮かべると光太郎とジャンクマンが光に包まれる。 本来であれば肉体は元の世界にあるため、たとえジャンクマンの魂だけを光太郎の世界に送ったとしても依り代となる 肉体が無いため存在する事自体が不可能なのだが、ここでジャンクマンの世界の特異さが活きた。 とにかくその世界の物理法則によれば細かい理屈は抜きにして可能だと言う事らしい。更についでに言えば ジャンクマンが元の世界では死人だったという事も功を奏しているらしいのだが、詳しい事はレナスにすら分からなかった。 森崎(光太郎さん…) 光太郎(森崎…) そして昇り行く光太郎と森崎の視線が絡み合う。別れならすでに先ほど済ませてある。 だから再会の約束を胸に秘めながら、互いに軽くサムズアップをした後それを確かめるように頷きあうだけで良かった。 ジャンクマン「世話になったな…それじゃあばよ〜ッ!!」 光太郎「皆…元気でな〜!!」 ピエール「光太郎さん!!ジャンクマン!!ありがとう貴方達もお元気で!!」 そしてこの世界で出来た珍妙な組み合わせもこの世界から姿を消した。
[44]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:46:12 ID:??? レナス「さて…次はお前だなデスマスク」 デスマスク「ま、待て!俺はお前の…」 何か言いかけるデスマスクを遮るように彼の体が光に包まれ、徐々に昇ってゆく。 デスマスク「レナス〜ッ!!!」 それでもデスマスクはその流れに逆らうように懸命にもがきながら叫び声を上げる。その勢いたるやそのまま またこちらに舞い戻ってくるのではと思わせる程であった。それを見てレナスは呆れた様に小さくため息をつく。 レナス「分かった…分かったから…だから叫ぶのはよせ…まずは自分の世界でやるべき事があるのだろう? 全てはそれを終えてからだ…」 デスマスク「!?……クククク…ならばさっさとケリを付けてすぐお前の元に戻ってくるぞ! レナスよ待っていろ!!ワ〜ハハハハハ!!」 ヤン(彼女も大変な人物に目を付けられたな…根は悪い人物では無いとは…思うが…) レナスの何かを諦めたような口調の言葉を聞くや否や表情を輝かせ高笑いを見せるデスマスク。 ピエール「デスマスクさん!お元気で!!」 デスマスク「ん?ああ…お前達も精々気張れよ」 森崎(うわぁ…何このぞんざいな扱いは…) シュナイダー(まぁ…あの人らしいといえばらしい挨拶だな…) 一体先ほどの姿は何だったのかと問い質したくなるほどのピエールの言葉に対するそっけないデスマスクの言葉だったが、 短い付き合いながらもそれこそがデスマスクなりの別れの挨拶だという事は森崎たちも理解はしていた。 その証拠に彼のいつも吊り上げられている口元が緩んでいるのが見えたからである。 そして黄金の光もこの世界から去っていった。
[45]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:47:31 ID:??? レナス「さて次は…」 ヤン「ちょっと失礼…少し待ってくれないか?すぐに済む」 レナスが次はヤンの方へ視線を向けると、ヤンはそれを制するように手を上げ、そして森崎達の方へと 視線を移し、ゆっくりと語りだす。 ヤン「ジョアン氏のお陰で我々はこちらの世界の記憶を持ったまま元の世界に戻る事になる。私などはもう二度と サッカーをプレイするという事は無いだろうから、それは思い出でしかないが、サッカー選手である君達には 経験という点で大きなアドバンテージになるだろう。ただ気を付けて欲しいのは、あくまで持ち帰るのは記憶のみであって 能力では無い…という事だ」 シュナイダー「つまり…こちらの世界で身に付けた事は元の世界の肉体には反映されていない…という事ですよね?」 ヤン「そういう事だ」 森崎「う〜む…いくら時間が止まっているとはいえそれはそれで納得いかないな…」 無論ヤンの言うとおり記憶だけでも持ち帰れるという時点で大きなアドバンテージではあるが、こちらの世界で やってきた事はシュナイダーやピエールといったライバル達との切磋琢磨もそうだが、ヤンが立てたプランに基づいて 的確にアルスの回復魔法を駆使して通常行う数倍の練習を強引に、しかも短期間でこなしている為、元の世界で普通に 練習するのとは密度も意味合いも全く異なってくる。単純に言えばこちらの1ヵ月を取り戻すには元の世界では数倍… いや効率まで考えると下手をすれば1年以上掛かるかもしれなかった。 ヤン「まぁそこで…というほどの物でもないが、これまでの試合の君達のプレイを分析して私なりに纏めたものだ。 本当はもっと早く渡すつもりだったんだが…ジョアン氏の持論なども聞くことが出来たからそれも付け足しそうと思って ギリギリになってしまった…とは言っても所詮は素人の分析だからどこまで役に立てるかは分かりかねるがね… まぁ私が持っていても無用の長物になってしまうだろうからね。出来れば貰ってくれるとありがたい」 そしてヤンはそれぞれにメモ帳を渡してゆく。貰ったメモ帳に軽く目を通す森崎たちの表情が変化を見せるのには さほど時間は掛からなかった。
[46]キャプ森ロワ:2010/07/09(金) 11:48:46 ID:??? ピエール「そんな…無用だなんてとんでもないですよ…これは…」 シュナイダー(これは…凄いな…ここまで細かく分析されているとは…プロのスコアラーでもここまでは出来ないはずだ…) 森崎(オイオイ…この分析によると俺なんて弱点だらけじゃねぇか…) ざっと目を通しただけだが、自分というのを分析するのにこんなにも枚数を費やす必要があるのかというほどの情報量で、 しかも自分では絶対に気が付きようのないような癖、プレースタイル、更には注意点などまで網羅されていた。 確かにこのメモ帳があれば練習効率の面では大幅に改善されるというのは間違いなかった。 ピエール「わざわざ俺達の為に…ありがとうございます」 ヤン「まぁ役に立ちそうなら何よりだ…出来れば君達がせめぎ合う試合も見てみたかったが…まぁこればかりはね…」 シュナイダー「そうですね…」 森崎「……」 手渡されたメモ帳を見ながら、思えばヤンには最初から最後まで世話になりっぱなしでこちらから何かをするという事は ついぞ無かったような気がする。そしてそれに気が付いたとき自分がいかに周りが見えていない子どもだったという事を 否が応にも自覚させられた。そしてそれはシュナイダーやピエールも同じだったようで、三人とも何となく黙り込んでしまっていた。 そんなしんみりとした空気の中でレナスから声が掛かる。
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0ch BBS 2007-01-24