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【RoadTo】キャプテン森崎39【Brazil】
[250]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:52:26 ID:hVGvVKus ゲルティスに対する注目も静まった頃、とうとう監督のロベルトがユニフォームの束を持ってやってきた。 ロベルト・本郷。一昔前にサンパウロFCとブラジル代表でCFWとして鳴らした先年の名選手である。 眼の負傷で若く引退を余儀なくされた後指導者に転向し、最初は失敗したものの数年かけて 独自の指導術を編み出し成功を収め、今ではブラジルユースの監督を任される程の名将とされている。 これほどの英雄を前にしては曲者揃いの選手たちでも自ら一定の敬意を払い、 自主的に整列してからピタッと黙り込む。ロベルトはそれを満足そうに見てから口を開いた。 ロベルト「楽にしていいぞ。全員揃っているか?」 カルロス「今数えましたが、まだ22人しか居ません。1人欠けています」 ネイ「えっ、誰だ?リオカップの主だった面々は皆居るじゃん?」 マウリシオ「でも確かに22人しか居ないッスね」 サンタマリア「…コインブラと言うMFがまだ来ていません」
[251]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:52:52 ID:hVGvVKus ディウセウ「コインブラ?誰だそいつ?」 アマラウ「ドトール、知っているか?」 ドトール「いや初耳だ」 一部を除いて全く聞いた事の無い名前の選手の存在が明るみになり、大勢が首を傾げる。 ロベルトもひとつため息をつき、腕時計を確認した所で彼は練習場のフェンスのドアを開けた。 ギィ…バタン。 コインブラ「すいません、道に迷いました」 ロベルト「まあいい。まだ集合時間の5分前だ」 これがアルツール・アンチネス・コインブラが歴史の表舞台に初めて出た瞬間だった。
[252]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:08 ID:hVGvVKus ディウセウ「おめえがコインブラか?オラサントスのディウセウ。よろしくな!」 コインブラ「ああ」 トニーニョ「不勉強ですまないが、お前の所属クラブを教えてくれないか?」 コインブラ「俺は無所属だ」 ブラジルメンバー「ハァ!?」「な、なんだって!」「無所属!?」「ほ、本気かよ!」 この時コインブラは何処のクラブチームにも所属していない良く言えばフリーエージェント、悪く言えばアマチュアだった。 ブラジル程プロサッカーリーグが発達した国で何処のクラブでもプレイしていない無名選手が 代表選手になるなど考えられない事である。現にコインブラ以外の選手たちはその多くが既に 名門クラブの1軍で戦力として数えられている身分であり、彼らが驚き戸惑うのは至極当然の事だった。 しかし驚き以外の反応を示した者達も4人居た。
[253]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:21 ID:hVGvVKus ジェトーリオ「(堂々と無所属だって言い切っちゃったよこいつ…何考えてんの?)」 サンタマリア「(只者ではないと思っていたが、無名クラブですらプレイしていないのか?)」 カルロス「(やはり…俺はずっと昔、こいつと何処かで会った事がある気がしてならない)」 例外の内3人はリオカップ時にコインブラと2度会話した事があるフラメンゴ組の3人。 ゲルティス「(…なんだこの男は。ミランのトップで今すぐプレイできそうなオーラを感じる…!)」 そしてもう一人は面識は無かったが一目でコインブラの脅威を悟ったゲルティスだった。 彼の脳裏には自分が所属する超名門クラブ、ACミランの一軍でプレイしている世界屈指の 名選手たちの姿と力が浮かんでおり、コインブラはそれと同じ物を感じさせたのだ。 過度とも言われる程冷静沈着が売りの筈の彼は今誰にも気づかれずに目を大きく見開いていた。 さして時間がかからずにコインブラからロベルトに注目が移り、暗黙の疑問が投げかけられる。 何故こんな場違いな奴を呼んだ?と。しかしロベルトはそれに答えずに咳払いをした。
[254]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:34 ID:hVGvVKus ロベルト「これで全員揃ったな。ではただ今より合宿のスタートを宣言する。 改めて言うまでもない事だが、諸君にはブラジルを代表するに相応しい規律、 パフォーマンス、そして結果を見せて欲しい。この場合の結果とは勿論…世界一だ」 ブラジルメンバー『………』 ロベルト「ブラジルとて敗れる事はある。それでもブラジルは最強かつ世界一でなくてはならない。 何故か?ブラジルだからだ。まるで謎かけの様な物言いだが、これが伝統的にセレソンに求められる覚悟なのだ。 かつて私もセレソンとしてこれを意識しながら戦い、志半ばに倒れ、今度は指導者として 世界一を狙っている。諸君もこの覚悟を胸に今から配るカナリアのユニフォームを着てもらう」 そう言いながらロベルトはユニフォームの束を解き、近くのベンチに並べ始めた。 たちまち選手達に緊張感が走る。誰がエースを象徴する10番を貰えるのか?と。 ロベルト「FWから始める。まずはザガロ、お前は11番だ」 ザガロ「…はい(やっぱりカルロスの野郎かよ…)」 最初に呼ばれたザガロは与えられた11番を不満そうに受け取った。11番はFWとして 主力選手の一人に数えられていると言う証ではあるが、10番の様な特別の背番号ではないのだ。
[255]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:46 ID:hVGvVKus ところが次に呼ばれたカルロスに与えられた番号を知った時、ザガロの機嫌は急回復した。 ロベルト「次はカルロス。お前は9番だ」 カルロス「…はい」 ザガロ「(マジか!へっ、ざまあみろ!)」 ブラジルメンバー「(えっ、カルロスじゃないのか?)」「(となると、司令塔になるサンタマリアか?)」 「(監督の構想ではネイが攻撃の軸なのかも…)」「(中盤の要のトニーニョも有り得るな)」 「(大穴で将来性を見込んでマウリシオとか?)」「(流石にDFのディウセウは無いよな…)」 カルロスに渡された背番号は主にエースストライカーを意味する9番だった。 やや驚いた顔でそれを受け取るカルロスの背後で他の10番候補に向かって視線がさ迷う。 続いてオルヘスが12番、プラトンが14番をそれぞれ与えられた後MFの番になった。
[256]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:59 ID:hVGvVKus ロベルト「続いてMFだ。サンタマリア、お前は5番だ」 サンタマリア「はい(5番か。まあ悪くはない)」 ロベルト「トニーニョ、お前は8番だ」 トニーニョ「はい(これは本当にネイが…?)」 ロベルト「ネイ、お前は7番だ」 ネイ「えっ?はい…(えーっ!俺でもないのか!?)」 ロベルト「マウリシオ、お前は17番だ」 マウリシオ「はい(ま、俺じゃないよなー…ってじゃあ誰だ?)」
[257]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:54:19 ID:hVGvVKus ディウセウ「(え…?まさかオラ?オラなのか?)」 ところがMFの番になってもカルロス以外に10番候補と思われていた選手達は悉く別の背番号を与えられ、 もしかして守備的な選手には滅多に与えられない筈の10番がディウセウに行くのかと選手達の顔に驚きが走る。 ロベルト「コインブラ、お前は10番だ」 コインブラ「はい」 ブラジルメンバー『な…なにィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!?』 しかし実績が皆無のコインブラが10番を受け取った時に走ったショックはその比ではなかった。
[258]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:54:30 ID:hVGvVKus ロベルト「静かにしろ!次にDF…」 ザガロ「これが静かにしていられるかァ!何考えてやがるんだ!」 ジェトーリオ「そーだよそーだよ!いくらなんでも納得できないよ!」 ドトール「か、監督、これはあまりにも…」 アマラウ「流石に何の弁護も出来ねーぞこりゃ…」 トニーニョ「説明を求めます、監督!」 ネイ「10番を何だと心得ているんですか!」 そして当然選手達は大爆発した。何処の馬の骨かも分からない男を招集した挙句、 よりにもよって10番を与えるとは何事だ!と異口同音の抗議が雨の様に降り注ぐ。 それに対しロベルトは舌打ちをしてからコインブラに目配せをし、彼はそれに頷いてからチームメイト達に振り返った。 コインブラ「かかってこい」 そのシンプルな一言で批判の視線はロベルトからコインブラに移った。
[259]2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:54:42 ID:hVGvVKus ザガロ「言ったな?てめえからその10番を剥ぎ取ってやるぜ」 コインブラ「俺に勝てれば文句はない」 ネイ「よーし、やってやろうじゃないか!」 ディウセウ「ヘヘッ、オラワクワクしてきたぞ!」 サンタマリア「(とうとう奴の実力を確認するチャンスが来た!)」 カルロス「(ここで勝負しない手は無いな)」 コインブラ「……………」 10番を欲していた者達もそうでない者達も、10番を受け取って当然だと言う態度のコインブラに詰め寄る。 だが一人だけコインブラに挑もうとしない者も居た。
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0ch BBS 2007-01-24