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【甦れ】ファイアーモリブレム26【勇士たち】
[764]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/02/23(水) 01:59:09 ID:??? 森崎の表情は再びこわばる。その様子を玉座からメディウスは小さな水晶玉越しから喉を鳴らしつつ眺めていた。 メディウス「(自分が憎しみを抱く相手…その相手と手を繋ぐ意思… ここまでたどり着いたものならばそれくらいの心の強さはあって当たり前だろう。 だが。人というものは己が憎しみを抱く存在よりも恐れを抱くものがある。それは……)」 森崎「な…中山…!」 いつのまに森崎の右手を、南葛SC時代の盟友こと中山政男が握り締めていた。 だが、その評定は親しい友へと向ける穏やかなものではない。 そこにあるのはただ一つ単純な……強い情炎。嫉妬である。 中山「森崎…お前はいいよな。多くの仲間がお前の力を信用している。 多くの仲間がお前の言葉に心を動かされ、お前に力を貸してくれる。 だけど俺は……お前の『所為』で……」 森崎「な…何言ってるんだよ中山…?」 中山「俺は!お前の遊び半分のツボ押しで!完全に人生を狂わされたんだ! 常人ではとても乗り越えられないような苦労を背負うハメになったんだ! 数年にも及ぶ苦しいリハビリ…それが終わっても過去の自分が出来たことが まったくできなくなっているショックが俺を待っていたんだ…!」 森崎「……!」 中山「南葛高校の他のメンバーは次々と力を伸ばしている。 そんな様子をキャプテンという立場から間近で眺め続ける苦しさを…お前は知らないだろうな! 自分だけ周りから取り残され、けれども皆を導いていかなければならないプレッシャーを! お前は知らないだろうな。お前の些細な行動が周りにどれだけ迷惑をかけてきたのかを!」
[765]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/02/23(水) 02:00:47 ID:??? 中山の今まで聞いたことのないような怒号が。呪詛のような言葉が森崎の心を絞めつけていく。 中山「悪いと思っているのか?思っているのなら、お前は俺に何をしてくれるんだ? もう俺は…今の俺の実力ではとてもじゃないが全日本の代表なんて夢のまた夢だろう。 お前はそんな俺を……見捨てるだろうな。あっさりと。 お前が目指す全日本のキャプテンという座に全く影響を与えられなくなった俺のことなんて… お前に取ってはもうどうでもいい存在になってしまったんだろうな!」 森崎「あ……うあぁ……」 超モリサキがいなくなったことで、確かに森崎は成長することを思い出した。 だがそれは決して全てが好転、前進したというわけではない。 超モリサキ…すべてを蹴落してでも自分が頂点に立とうとする孤高の誇り高き心の強さを失った森崎。 仲間を尊び、意見を尊重し、自分を犠牲にしてでも誰かを表に立たせてあげようとする優しさ。 それは本来の森崎が持っていた心優しい少年の純粋さであり、 超モリサキとして生きて行くことを決意する前の心の感情でもあったのだ。 自分が信頼している者からの罵倒。森崎は先程の翼との手を繋ぐという屈辱などすっかり忘れ、 自分が今までしでかしてきた数々の悪行を思い出し、良心の叱責に苦しむ。 メディウス「(耐えられまい。逃げ出さずにはいられまい。さぁ、自ら手を切り離すが良い。 自分が拒絶する相手からはその反抗心から幻覚の誘惑を跳ね除けられても… 自分が心を許した相手から裏切られるその苦しみは――)」 森崎「ぐ……うあぁ……」 メディウス「(どれだけ鋭い剣で突かれるより、どれだけ熱い炎で焦がされるよりも――)」 森崎「う……うう……」 中山「なぁ森崎…お前は、俺になにをしてくれるんだ?俺たち…トモダチ、だろ?」
[766]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/02/23(水) 02:02:15 ID:??? 中山の卑屈に歪んだ笑顔が、狼狽する森崎へと向けられた。 メディウス「辛く、苦しいものだろう……心弱き人間よ……」 森崎「(これは幻…これはマルスの手…だけど……今俺の眼の前にいる中山の言葉は――!)」 森崎も自覚していた。この中山はメディウスたちが見せてきた幻。罠だ。 本物の中山は絶対にこんな相手の心を傷つけるようなことは言わないだろう。 彼は強い人間だ。自分の多大な不幸を試練なのだと解釈し、人知れず努力を重ねていくだろう。 だが、この幻の中山は間違いなく自分が産み出した存在だ。自分の行動、そして自分の選択によって 本来の彼とは大幅にカテゴリーが違ってしまった、運命を大きく狂わされた存在。 超モリサキという自分中心に考えることで良心の叱咤を無視する、ある意味都合の良い性格を失った今だからこそ。 これまでの反動が一気に帰ってくるかのように、森崎の心は謝罪の念に押しつぶされていく。 森崎「(今までの俺がしてきたことは…無かった事になんて出来ない。 そんな俺が今更仲間を大事にする生き方を選んだとしても…… もう後には引けない状況になっているんだ……もう……俺は……)」 もう自分は今更仲間思いの優しい選手には戻ることは許されない。 リセットの力があったとしても……既に『キャプテン森崎』という 自分の確固たる存在からは逃れることが出来ないのだから。 森崎「(…………)」
[767]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/02/23(水) 02:03:51 ID:??? ☆どうしますか? A幻の恐怖に屈して手を振りほどく B自分の過ちを後悔し手を振りほどく C中山へ顔を向けられず手を振りほどく Dそれでもマルスの言葉を思い出し手を握り続ける Eその他(好きな言葉、台詞をお書きください) 2票集まった時点で確定です。メール欄を空白にしてIDを表示して投票してください。
[768]森崎名無しさん:2011/02/23(水) 02:05:34 ID:PCDQTQBo D 過去から逃げることだ…
[769]森崎名無しさん:2011/02/23(水) 02:06:57 ID:??? 768、「ここで手を離すのは」が抜けてて訳のわからんことに…すまんw
[770]森崎名無しさん:2011/02/23(水) 02:08:35 ID:8d2cPKU6 D 俺は森崎を、マルスを、中山さんを信じている…!
[771]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/02/23(水) 03:20:46 ID:??? >Dそれでもマルスの言葉を思い出し手を握り続ける 森崎「(今更善人面であいつらのもとへと帰れるなんて都合のよいことなんてあるわけない。 きっと周りの連中は俺のことを奇異の目で見るだろう。 頭でも打ったんじゃないか?病院に連れていったほうがいいんじゃないか? そんなことを当たり前のようにしてくるだろう。そりゃそうだ。 俺は……俺が今までしてきたことは確かに『正しいこと』ではなかったから)」 だが、周囲に流されるように、自分のできることだけをするだけでは。 若林を、そして翼を出しぬき、自分がチームの中心に立つことなど絶対に無理だったのだ。 森崎には悪行を重ねる必要があったのだ。誰かを扱き下ろし、自分がのし上がるためには… 森崎「(だけど……俺だって自分が間違ったことをしてるんだってわかっていたんだ。 頭の中では……翼に任せよう、若林に従っておこう。そんな普通の案だって浮かんではいたんだ。 中山だけじゃない。俺を恨んでいる人間はきっと、もっと大勢いるだろう。 彼らに許してもらおうだなんて思ってはいない。俺のやってきたことを無かった事になんて出来ないから。 過去に遡ることなんて……やり直すことなんて……できっこないんだから……)」 徐々に右手の握力が抜けていく。日向曰く、心が弱くなった今の森崎では 親友からの恨みつらみ篭った言葉の攻撃には、とても耐えることなど出来なかったのだ。 だが、かろうじて自分の意志を保っていた森崎はマルスの言葉を思い出し右手に力を再び込める。 森崎「(あいつは俺の心の弱さが産み出した中山の幻… だから、俺が、俺自身が心を折らない限り……負けたりはしない!)」 森崎は激しく顔を歪め、必死に目の前の存在から顔を背け続ける。 この幻の障害が早く霧散してくれることを願いながら。 中山「だけど森崎。俺は一つだけお前に感謝したいことがある」
[772]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/02/23(水) 03:21:51 ID:??? 森崎「…え?」 一点変わって穏やかな口調になった中山に驚き、森崎は顔を上げた。 中山「お前の様々な行動で、俺の人生は大きく狂った。 だけど……そのおかげで、俺は普通では絶対に見ることのできない風景を見ることができたんだ。 俺はもう一度あの頃の栄光を取り戻したい。一流の選手しか見ることの出来ない風景を見たいんだよ。 どうせ平凡な選手に終わるって言うのなら…例えリスクが大きくたって 何か大きなことを成し遂げたくなってくる。お前は、そう考えていたんだろう?」 森崎「…………」 中山「だから俺も……やってみるさ。お前のように。なりふり構わず。 すべてを蹴落としてでも……誰かを犠牲にしても……力を取り戻してみせるさ」 中山の口調は穏やかな風のようだった。だが、その表情は氷のように冷たいようだった。 森崎「俺のように…だと?」 中山「いつか……いつか、俺が以前のような力を取り戻したとき…… 俺と戦ってくれないか?森崎。平凡なレールから逸した凡人同士、さ。 いいか、忘れるなよ?約束だからな森崎。俺の……一番の……」 ト・モ・ダ・チ
[773]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/02/23(水) 03:23:10 ID:??? メディウス「(…なるほど。これだけ精神に揺さぶりをかけても耐えてみせるか。 しかし、お前が耐えられたのはこれが幻という先入観があったからこそ。 もしも実際に同じ状況に立たされたとき……はたして今のように 確固たる自分の意志を貫き通すことができようか…? 人間よ。誰かを裏切り、奪い、のし上がることでしか生きることの出来ない愚かなる存在よ。 お前の今の選択を……よく覚えておくがよい。ククク……フハハハハハッ…!)」 バシュンッ!! 森崎「……はっ!?」 何かが弾けるような音が鳴り響く。どうやら自分はあの幻惑を耐え切ったようだ。 ほっと胸を撫で下ろし辺りを見渡す。だがそこに残っていたのは 右手を握っていたマルスと、マルスの右手を握っていたシーダだけであった。 森崎「なにィ!み、みんながいないぞ!?」 シーダ「そんな……一体どうして?」 マルス「僕たちはメディウスに幻を見せられていたんだ。 ミネルバ王女やミディア将軍、そしてアベルたちは 逃げるように僕達から離れていった……くそっ!メディウスめ!」 まんまとドルーア軍の思惑通りになってしまった。 戦力を分散されたアカネイア同盟軍は、他の部隊との連絡手段も断たれてしまい それぞれが孤立するという苦しい状況から戦闘を開始しなければならなくなってしまったのだ。 マルス「これが……メディウスの力だというのか? 人の心を…我が物のように操り、蝕んでいく力…!」
[774]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/02/23(水) 03:24:19 ID:??? シーダ「玉座までの道のりはそれほど遠くは無いはずだけれど… 私たち3人では、きっといつもの力を発揮できないわ……」 森崎「(くそう……嫌なものを見させてくれやがって。メディウスめ…)」 ???「ふむ…なかなか苦戦しておるようじゃな、森崎よ」 森崎「な!?」 いきなり背後から話しかけられ、慌てて後ろを振り向く森崎。 そこに立っていたのはマケドニアにて世話になった大賢者ガトーであった。 マルス「あっ、ガトー様!どうしてここへ?」 ガトー「勇敢なる戦士たちよ。よくぞここまで頑張った。お前たちこそ真の勇者と言えよう。 安心せい。お前たちの仲間たちもメディウスの幻惑を完全に打ち破れなかったとは言え 本当に心から信頼している者同士の絆はしっかりと保てていた。 ミネルバ、パオラ、バーツ、マリアは西の門に、ミディア、オグマ、ジュリアン、レナは北の門に。 そしてアベル、カシム、カチュア、マリクは東の門からそれぞれ メディウスの待つ玉座へと向かっているはずじゃ」 シーダ「本当ですか!?それじゃあみんなは今のところは無事なんですね?」 ガトー「うむ。しかし中々驚いたぞ。あのメディウスの幻術に心を折られること無く しっかりと戦う意志を保つことができようとは…」 森崎「(はたして耐え切ったと言えるんだろうか…?少なくとも、俺は少しは同様しちまったな…)」 苦々しく翼や中山のことを思い出す森崎を見て、ガトーはどこか神妙な面持ちで語りだした。
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0ch BBS 2007-01-24