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【決勝の】Another-C_5【先にあるもの】
[170]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 12:20:00 ID:??? > フロントの回答→ ダイヤA > 《それ以外》 「できるわけがない!」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― フロント「できるわけがない!」 フロントの答えは端的で明確だった。 三杉の要求は否と棄却されたのだが・・・これは予想通りであった。 その証拠に彼は平気な顔で聞き返してみせた。 三杉「・・・・・・・・・今、言ったかい? 『できるわけがない』と。」 フロント「ハッ・・・!」 笑顔を返しながら三杉は1度目のカウントをする。 左手をフロントに見せる様に構え指を4本開いて見せた。 その内の小指を折り、残り3回だという事を示した。 困った顔を見せるフロントに対して三杉は話す。
[171]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 12:21:28 ID:??? 三杉「フフ、そうだね・・・・・・その思考、悪くは無い。 僕の部屋でない他者の部屋の鍵、これは僕に渡せない・・・当然だ。 無茶を言ってくる客に対して『言いなりになる』など、ホテルマンとして有り得ないからね。」 フロント「(ホッ・・・)お客様、お戯れが過ぎます。」 先程の無茶な要求と打って変わった正論を述べる三杉。 その言葉にフロントは安堵の様子を見せた。 だが・・・ 三杉「フフ・・・。 そう、悪くは無い・・・・・・・・だが、エレガントとは言い難いな。」 フロント「な、何を・・・?」 当然ながら話はここで終わっていなかった。 むしろここからが本番であると言う様に、三杉は腕を大仰に広げてフロントを話に引き込もうとする。 三杉「勘違いしないで欲しい・・・『Noと言わない』、これが心得であるのは嘘じゃあない。 だが、これは所詮ただの言葉・・・真意はもっと深い所にある。」 フロントが僅かに喉を鳴らした。 密かに唾を飲み込んだのが三杉には判った。
[172]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 12:22:58 ID:??? 三杉「日本は古来より“もてなし”という作法を重く捉えてきた歴史がある。 そして“もてなし”とは“ホスピタリティ”とも言う・・・分かるかい?」 フロント「ホスピタリティ・・・」 三杉「ホスピタリティとは“好意と誠意”。 “好意”とは、相手がこちらからの好意を感じるという意味・・・! そして“誠意”とは、相手がこちらからの誠意を感じるという意味さ・・・!」 フロント「な、何を言って・・・」 三杉「『申し訳ありませんが、それは出来ません』という言葉は好意に値する物ではない。 彼は言っていたよ、『出来ない』と応えたらそれはアルバイト店員でもできることだと。」 フロント「ガーーーーーーーーン!!!!」 今度は明らかな動揺だった。 愕然と言っても良い。 それほどにフロントのショックは目に見える明らかさだった。 だが三杉はここで手を緩めずに畳み掛ける。
[173]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 12:24:32 ID:??? 三杉「フフ、君はあと3回『できるわけがない』と言っていい。 3回言った時、僕は君にお願いをするのをやめる。」 フロント「なっ、なにぃっ!? それは最初から諦めるつもりだと言うのか!? そんなつもりなら最初から無茶な要求はしないでくれれば宜しいじゃないですか・・・! 通るわけがないと納得しているなら・・・」 三杉「だめだ。」 フロント「えっ!?」 三杉「『できない』とあと3度言った時と言ったろう? 僕の中にはまだ納得も好意も生まれていない。 それでは君はアルバイト店員と言われたまま終わる事になる。」 フロント「グッ・・・!」 無茶な論法に丸め込まれているような気にもなっていたが、 それでもフロントは三杉に無視を決め込む事が出来なかった。
[174]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 12:25:52 ID:??? 三杉の内なる気品に圧倒されたのもあるが、その言葉の奥にある真理を彼は感じ取ったのかも知れない。 そして何より、ホテルマンとしての矜持に挑戦しているような気分にさせられていたのだ。 だがその思いは彼をさらに苦しめる事になる。 三杉「ではもう一度・・・君にお願いがある、50X号室の鍵を貸してくれ。」 フロント「・・・・・・」 先着で ★フロントの回答2→!card と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。 《Joker》 「Yes, your highness.(御意でございます)」 《それ以外》 「できるわけがない!」
[175]森崎名無しさん:2011/05/23(月) 12:27:46 ID:??? ★フロントの回答2→ ダイヤ8
[176]森崎名無しさん:2011/05/23(月) 15:14:07 ID:??? 無駄に2連続ダイヤw
[177]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 15:58:38 ID:??? > フロントの回答2→ ダイヤ8 > 《それ以外》 「できるわけがない!」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― フロント「できるわけがない! そんな事! できるわけがないじゃないですか!」 三杉「・・・・・・」 この三杉の願いに対し、フロントは今度は言葉の奥にある物を探しつつ検討した。 しかし今の彼にはまだ判らなかった。 追い詰められ、焦った状態では気づく物も気付かない。 そして、その後に続くのは自暴自棄にも似た諦めしかない。 フロント「できるわけがない! さあ3度言いました、もうこれで諦めて下さい! 日本のもてなしの心がどうであったとして、鍵は貸し出すことはできません! 日本人の喜ばれる好意も誠意も、イタリア人の私に解る訳ないじゃありませんか! さあもう宜しいでしょう!」 三杉「いいや、今のは1回としか勘定しないよ。 あと2回だ、あと2回言ったら僕は依頼を引っ込める。」
[178]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 15:59:38 ID:??? フロント(あと2回・・・! なんのゲームだと言うんだ!? アルバイト店員と同様に、自分には出来ないと言うしかない悔しさを・・・ あと2度も味わえと言うのか!? そんなバカな事が・・・) 三杉「フフ、バカなものか。 最初に言ったろう? 『できるわけがない』というセリフを4回だけ言っていい・・・と。 落ち着くんだ、あと2回・・・・・・『出来ない』と言いたまえ。」 フロント「・・・・・・!」 フロントは口を真一文字に結んで三杉の目を見た。 そこにあったのは狂人の目ではなく、確かに貴公子の目。 およそ戯れをしている人間の目には見えなかった。 だが、それゆえにフロントのホテルマンは迷い苦しんだ。 自分のたち位置が何処にあるのか、何が正しい事なのか・・・と。 しかしそれも直ぐに限界が訪れる。
[179]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 16:00:42 ID:??? フロント「クッ・・・お客様! 今すぐ口から出た言葉を呑んでください!!」 三杉「ダメだ! 『できない』と4度言うまでは引っ込めない、絶対に! これはルールだ! ルールを破れば君は一生アルバイト上がり、そして僕も共に敗北する! 君にはもう全て説明している、“ホスピタリティ”は知識や技能じゃない!」 フロント「グフッ!!」 フロントは吐血した(ような気分になった)。 迷い、不安、避けられぬ選択・・・それはさながら人生の縮図。 いま彼は人生の岐路に立っていた(ような気分だった)。 彼は全てのリスク評価をシミュレーションし、判断の可否を自らに問う。 だが答えは・・・ フロント「(ダメだ、私ごときの“責任”じゃあ・・・)できるわけが・・・ない・・・・・・。」 三杉(・・・・・・) この答えに三杉は残念そうに目を伏せて見せた。 彼は何も判らなかったか・・・と言わんばかりに溜め息を吐きながら。 そしてそれはこのフロントにとって何物にも替え難いショックであった。 顧客の落胆する表情・・・それはホテルマンにとって絶対に見たく無いものであった。 ここに到り、ついにフロントは感情を爆発させるしか他にやりようがなかった。
[180]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/05/23(月) 16:02:00 ID:??? フロント「うわあああああ!! お客様がこんな無茶なお願いをしなければ良かったんだ! 別の部屋の鍵を渡せなんて、できるわけがない! できるわけが・・・」 『できるわけがない』と4回言ったら・・・ “伝説のホテルマンの心得、Noと言わないこと”・・・ フロントは言葉4回目の言葉を口にし、直後にその言葉を呑みこんだ。 フロント(『既に全部説明した』、『ホスピタリティは知識や技能じゃない』・・・ 待て、待つんだ。 伝説のホテルマンと・・・このお客様は何が言いたい? サービスが知識や技能じゃないとしたら、それは一体何処から学ぶんだ? そしてこのお客様は、引っ込めると言うならば何故私にお願いをした?) 疑問を膨らませながら、彼はホテルマンになったばかりの頃を思い出していた。 「ホテルマンは誰にでも出来る仕事じゃない」と最初にオーナーに言われた事を。 このホテルで提供されるサービスにもマニュアルは存在している。 だがマニュアルが存在するならば、一体何故「誰にでも出来る仕事じゃない」のだろうか? ・・・それはフロントがこの仕事に就いて最初に抱いた疑問だった。
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0ch BBS 2007-01-24