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銀河シュナイダー伝説8 〜集結篇〜
[989]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:48:50 ID:bOTUfrhE 新任のモリサキは最初のうちこそ皆に嘗められていたのだが、フライング・サッカーで小隊全員の シュートを止めるという実力を持って打ち解ける事に成功し、今の時点では指揮能力こそ不明だが 小隊長としての威厳と羨望を得ることには成功しており、目に見える問題点は既に解消させていた。 モリサキ「っと、全員いるな?」 小隊員「サー!!」 洗練された…とはいいがたいが、実用的な面では合格点のスーツを着たモリサキはここでようやく 小隊員全員の顔を見る。 モリサキ「我が小隊の目的はエル・ファシル宇宙防衛管制司令部の1階部の制圧及びその維持だ。 先行する高機動部隊が敵の航空戦力が離陸する前に空港ターミナルを占拠するだろうから上を 注意する必要はほぼ無い。しかし、1Fは他の地域から占領妨害のために敵軍の兵士がワラワラ湧いてくる 可能性もある。端末に入力された建物の見取り図は全員頭に入れているな?」 小隊員「サー!!!」
[990]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:49:50 ID:bOTUfrhE モリサキ「よし!では作戦の再確認だ。エル・ファシルの宇宙防衛管制司令部前に強制着陸のちに 第6.15.16.17.18.19.30の7個小隊が突入、我々第58小隊が殿だ。前衛は既に他の 小隊が排除しているだろうから玄関から階段まではピクニック気分で構わない。だが、7個小隊 が階段伝いに2F以降に進攻してからが我々の本番だ。至急正面入り口を封鎖。後に1Fに残った 帝国どもを粉砕する。予想しうる数は少ないだろうが、トチ狂った兵がゼッフル粒子で建物ごと 爆破してくる可能性がある。故に我々は白兵戦を持って速やかに敵軍を排除する事。質問は?」 小隊員「ありません!」 モリサキ「結構。では、全員時計をあわせろ。電波妨害してくる可能性を考慮してな。大気圏突入まで 残り30秒。街の被害を最小限に減らすためには時間が最も重要となる。1Fを押さえるという 重要性を誇りとして死を恐れず戦え!」 小隊員「サーーーーー!!!!!」 こうしてモリサキの初陣は始まるのだった。 〜〜〜
[991]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:51:01 ID:bOTUfrhE 〜〜〜 モリサキ(ちぃ!!予定通りに行かないとこうも劣勢を強いられるのか!?) 上層部の立てた作戦は悪いものではなかった。…が、あくまで悪いものではないだけであり、 決して最良のものではなかったようだ。 大気圏突入から僅か6分後には宇宙防衛管制司令部に入り込むことに成功した各小隊だが、司令部を 守る敵軍が予想の2倍近い数で待ち受けており、しかも、モリサキが僅かに懸念した『1Fさえ爆破 してしまえば労する事無く全ての敵兵を潰せる』という作戦を帝国側が実行しようとしている事にあった。 つまり、2階以降は全てダミー。おとりとしていつでも逃げ出せる僅かな部隊が配されているだけで あり、1Fに敵の主力は集中させられていたのだ。 ???「お前らは包囲されているぜよ。ええ加減に投降せえ。命だけは助けちゃるけん」 ものすごい訛りの強い声が拡声器に乗ってモリサキの耳元まで届く。どうやら敵の指揮官は 田舎ものらしい。 モリサキ「嘗めるなよ!時間さえかせげれば2階以降に向った虎の子兵団が戻ってくるんだ! それまで持ちこたえれば一気に形勢逆転だろうが!」 わざと同盟の言葉で叫ぶモリサキ。基本的に銀河惑星同盟は、銀河帝国成立前に一般的に使われていた 銀河連邦(USG)の言語を標準語としており、銀河帝国は古ゲルマン風の言語を日常的に 用いられている。言語形態としてはそこまで極端に変わるというわけではないため一般的な 士官は両方の言葉を使えるのだが、降伏勧告が同盟の言葉で話されたことによる痛烈な皮肉として モリサキは使用したのだ。 〜〜〜
[992]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:52:02 ID:bOTUfrhE 〜〜〜 中央通路の大階段に位置するモリサキ小隊の僅か十数メートル先。銀河帝国の防衛小隊が そこに位置していた。 ミレウス「カルツどうする?敵さん降伏はOKしないようだよ?」 そこにいたのはボド・ミレウス。つい数年前までシュナイダーの率いるチーム『ハンブルク』の レギュラーMFとして、サッカー王の名を得ている人物の1人である。 カルツ「コイツは参ったねぇ。」 ミレウスの言葉に返事をするのはヘルマン・カルツ。平民である彼が幼馴染に追いつくためには 通常のルートでは不可能に等しく、その差を埋めるために最も危険な最前線勤務を志願した 奇特な人物である。 ミレウス「本来の作戦ならゼッフル粒子であの大階段に繋がっている大黒柱も破壊するはずだったんでしょ。 でないとこの強固な施設全体を崩壊させるには至らない。…強行突破するしかないかな?」 既に何度かの突撃により装甲服の一部は壊れ、彼の内臓パワーアシストの一部は上手く働かなくなっている。
[993]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:53:13 ID:bOTUfrhE カルツ「…そうじゃな。ゼッフル粒子に指向性があれば一番いいんじゃが、ほかに手は無いか…」 髑髏のような印象を持たせる仮面の下に隠れたオヤジ顔はそれでも爪楊枝を咥えており、ほかに作戦は ないかと考える。が、中心地を押さえられているという不利は確かに存在し、尚且つ時間を かけすぎてしまえば上に上っていた小隊がダミーに気づいて戻ってくるだろう。 ミレウス「じゃあ、僕が西側から陽動をかけるからカルツは正面からお願いね。数はこちらが上なんだ。 負けないよ、きっと」 そういうと厚手のグローブごしにカルツの拳を叩き、自身の小隊を率い敵の死角から西方向へ向う。 〜〜〜 モリサキ(…反応が無いな。罠か?) 通信手に上の階の小隊と連絡がつかないか何度か試させた後にそんな事を思うモリサキ。 本来ならば何人かを上の階に向わせ連れ戻せば良いのであるのだが、こうも通信網がガタガタになって しまっていては最悪同士討ちの可能性もあり、下手に動けない。
[994]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:55:59 ID:bOTUfrhE ビルト「隊長。この場を放棄して上の階に向われてはいかがですか?」 見通しが良い…逆に言うと力押しに弱いこの大階段正面は守るに適しておらず、また敵がいきなり 爆破という暴挙に出ないことから敵としてもこの施設は出来るだけ少ない傷で確保したいのであろうと 判断した配下のビルト伍長はそう進言する。 モリサキ「違うな。敵の待ちはまさしくそれだ。我々がこの位置にいるのは何も作戦尊守の為ではない。 この階段沿いに出来た柱…この施設の見取り図を見るに、ここさえ残れば宇宙防衛管制司令部が崩壊 する事は無い。つまり、我々がこの場にいるからこそ敵は動けないでいる。我々が上の階の精鋭たちの 命を握っているんだ」 肌の色が黒いビルトの言葉にそう解説をしていると… ゴト… モリサキ「来るぞ!西側だ!!ビルト伍長!半数を纏めてその任に当たれ!」 僅かな音を聞き逃さず的確に命令すると、伍長の返事を待たずに再び激戦の最中へ身を投じる。 〜〜〜
[995]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:57:04 ID:bOTUfrhE 〜〜〜 ガン!!!ガキン!!!! それはその会話の僅か数分後のことだった。 ???「ちい!!おんしやるの!」 装甲服の上からなので体格はわからないが相手は歴戦の勇者…というには僅かに若い声がしていた。 モリサキ「粉クソ!!」 ドオン!!! 幾人かの死体を作り出したモリサキに襲い掛かってきたのは恐らく敵の士官。もしかしたらモリサキ の予想する作戦を実際に実行しようとしている責任者なのかもしれない。 ???「ハッ!!」 その軌跡は確実に人間の弱点を通っており、一撃でもいなし損なうと致死に至る斬撃だった。 モリサキ「ちぃ!西側は囮か!!」 守りきれば勝ちであるモリサキは相手を倒す事を諦め、守りに転じる事で何とか凌ぎきってはいたが、 その才覚はモリサキ以上。彼自身白兵戦にはかなりの自信を持っていただけに恐ろしい事だった。 〜〜〜
[996]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:58:06 ID:bOTUfrhE 〜〜〜 カルツ(強か!!) カルツにとって対面する敵の強さは想定外だった。 射撃はお世辞にも上手いとは言いがたい彼は、その代わり同年代の白兵戦において敵はほとんどいなかった。 醸し出す雰囲気と立ち居振る舞いによって同年代と判断したカルツはゼッフル粒子を散布させながら 突っ込むという二段構えの作戦で相手を殲滅させようとしたのだが、敵はどうやらその考えを 読みきったらしい。射撃による反撃ではなく、炭素クリスタル製の戦斧をもって反撃を試み、 尚且つこちらの技量に抗しえるほどの実力を持っていたのだ。 ???「ちぃ!西側は囮か!!」 そして作戦の残り半分もばれてしまう。 カルツ(まずか!これ以上の長期戦は無意味じゃ。) 血を浴びてどす赤くなった斧を横薙ぎに掃い、距離をとるカルツ。
[997]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/29(木) 23:59:07 ID:bOTUfrhE カルツ「おんし、名前は?」 自身の策を完全に読まれた人間に対し、尚且つ自身の武力に匹敵する青年に対し、僅かな興味を もちそんな質問をしてしまう。 ???「モリサキ。モリサキ・ユウゾウ少尉」 時間稼ぎとしては敵としても願っても無い事なのだろう。素直にそう答える敵少尉。 カルツ「モリサキか。ワシの名はヘルマン・カルツ。この場はきさんの勝利じゃ。じゃが、次に まみえるときはワシが勝つ。」 そう答えると、発熱しない照明弾によって退却命令を出すのだった。 〜〜〜
[998]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/30(金) 00:00:21 ID:k4paI1nw 〜〜〜 同盟軍上司「お手柄だな、モリサキ少尉」 カルツたちの小隊が引き波のように去っていった僅か数分後、まるでタイミングを計っていたかのように 戻ってきた第6小隊に身を寄せていた中隊長。前線指揮を得意とする彼は6個小隊を預かる身でありながら 常に前線へと顔を出していた。 モリサキ「いえ。命令ですから」 本当なら上層部の作戦の杜撰さを毒づきたいところだが、折角の昇進チャンスである。 自身を高く売りつけるには、自身の選択の正しさを雄弁する必要があり、そのためには直属の 上司に臍を曲げられないようにする必要がある。 同盟軍上司「そうかそうか。なんにせよ施設の被害はごく軽微で済んだのは僥倖だ。私の顔も立つしな」 空調システムと携帯型の強力ファン、通気ダクトをフル稼働させ、ゼッフル粒子の発火濃度以下まで 霧散させている一般兵をよそに、満足げな表情で死傷兵については言明せず、退却しようとする 帝国兵への掃討戦を立案するため揚陸艦に設置された急場造りの本営へと消え去るのだった。 モリサキ(………どいつもこいつも……) というモリサキの心の声は誰に聞こえることも無く霧散されながら… 〜〜〜
[999]外伝〜銀河森崎伝説〜:2011/09/30(金) 00:01:29 ID:k4paI1nw 〜〜〜 地上におけるエル・ファシル奪還作戦が満足のいく結果をむかえる頃、そのはるか上空でも決着は つこうとしていた。 アル・サレム「ファイヤー!!」 新任の第9艦隊指令は後方に位置していた同じく新任の第4艦隊指令のパストーレの出番を待つまでも なく帝国軍の駐留艦隊を蹂躙していた。 モートン「どうやら勝ちましたね」 アル・サレム「奴さんの士気が初めから低かったからな、当然だろう」 副指令の座を与えられていたライオネル・モートンの言葉に満足げに返答する司令官。 元々帝国にとっては辺境の星のひとつに過ぎなく、有人惑星といえど市民もいない、しかも兵站も 不十分というそもそも『タダで返すのは勿体無いから』という、戦略上無意味な占領を続けているという 屈折した理由をもつ星での戦いである。 結果は戦う前に決まっており、完勝という形であったとしても彼がこれをもって昇進できる…というには 武勲は足りないであろう。 もちろん彼自身それは知っているのだが、だがそれでもあの英雄を生んだ星である『エル・ファシル』の 奪還である。自然と顔は綻びこれから数ヶ月は良い夢を見れそうではあった。 〜〜〜
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0ch BBS 2007-01-24