※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
キャプテン森崎外伝スレ10
[264]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/04(月) 12:59:09 ID:??? 乙月丙日。翼は母親との面会を果たした。母は子を愛し子は母になつき、 2人とも実の人間の親子のように過ごしている。このようすなら今外に 出されても、親子としては何の問題も無いだろう。 …私の方はきわめて危ない状況だ。咳に混じる血の割合が増え、衰弱が 甚だしい。はたして翼達が無事外に出れるようになるまで生きていられるだろうか。 乙月丁日。翼の様子から様々な事が分かってきた。運動能力やその才能に ついては、半分以上保持しているようであるが、それ以外の才能、勉強や 気配りなどの人間関係の能力・才能は8割がた、逃げた太郎の方が持っていったらしい。 特に対人関係については、天衣無縫というか良い意味で傍若無人というか、 言動に人の目、他人がどう思うかといった配慮をしていない形跡が多々見られた。 少々心配ではあるが、致命的な問題にはならなさそうだ。
[265]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/04(月) 13:00:31 ID:??? 今日はここまで。こちらの都合上これからも12時台に書き込みます。 是非この駄文の感想をいただければ幸いです。
[266]森崎名無しさん:2012/06/04(月) 20:03:04 ID:??? どういう方向に転ぶかさっぱり予想できませんが、続きが楽しみです。
[267]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/05(火) 12:55:25 ID:??? 乙月某日。翼の優れた運動能力を測定する過程で、サッカーおよびサッカーボールに 一番強い関心を示した。話し合いの結果、今後の運動面強化はサッカーに特化する ことにした。翼の才能ならば将来はプロ選手、それも世界一流のトップ選手になる可能性が あるとのことだ。 丙月甲日。私は翼に連絡を行うため、彼のいるカプセルへ出向いた。就寝時間が近いため、 翼は既にカプセルの中で横になっている。 「博士、どうしたの?もうすっかり遅い時間だよ」 「ごめんなさい、あなたのことで伝えなくてはいけないことがあったから」 「何のこと?」 「あなたの苗字についてのこと。苗字っていうのは名前とは別に自分と他人を区別する ための呼び名で、名前より先につけるのよ。…翼くんの苗字が決まったから、伝えに来たの」 「ぼくの苗字…何でいうの?」 私はここで一旦姿勢を直し、視線を翼と同じ高さにして話を再開した。 「少し難しくなるけど、話を聞いてくれる?」 「うん、博士と話すとなんだか嬉しいから、いいよ」 「ありがとう。…仏教では全ての現象、出来事を空(くう)と呼び表わすの。 空は空気のように全ての世界に満ちた無限の象徴ともされている。その空のような、 無限の可能性、無限の能力を大いに発揮してほしいという願いをこめて、大空(だいくう)、 訓読みで大空(おおぞら)としたの。あなたの苗字は大空、あなたは大空翼よ」 「おおぞら、つばさ…僕は大空翼……」 「そうよ。…もうすっかり就寝時間を過ぎちゃったから、私はこれで失礼するわ」 「そっか。…あの」 「ん、何?」 「あ、いや何でもないんだ。それじゃあ博士おやすみ」 「おやすみ」 翼に手を振って別れ、しばらく廊下を歩いていると、急に猛烈な吐き気と頭痛が襲ってきた。 そしてゲッと多くの血を吐いてガタンと廊下で倒れてしまった。
[268]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/05(火) 12:59:00 ID:??? 今日はここまで。書いていると何だか翼くんが愛おしく思えてくる…… >>266 私としては藤子F先生のSF(すこしふしぎな話) みたいな話にしていきたいです。
[269]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/06(水) 12:10:51 ID:??? 丙月乙日。私が意識を取り戻した時、私の体は研究所内の病室ベッド内で横になっていた。 医者の話によると、何日もの間意識が途絶えていて一度は匙を投げかけたほどの重体に なっており、現在も衰弱甚だしく、絶対安静が必要であると告げられた。 …しかしながら、私が取り組んでいるプロジェクトは私が主体となって行っていることであり、 私抜きでは要領を得ない部分が多々存在しており、ただ一人休んでいることは許されていない。 結局、人事不省中にとどこおった実験の指示や分析結果の解釈等について、ベッドにて研究員への 指図に忙殺されることになってしまった。 丙月丙日。脱走していた太郎が遂に発見される。この研究所から何百キロも離れたところで 発見されたという。発見場所がここから離れ過ぎており、また、ここにいる翼に万が一悪影響を与えることを 考慮して、太郎は私達が管轄する別の研究所に預けられることになった。
[270]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/06(水) 12:36:22 ID:??? 丙月丁日。いつものように研究員が私のところに幾つか助言を得にやってきた。 それに応じてアドバイスをした後、その研究員が「これは私の管轄外ですが」と前置きして、私に尋ねた。 「翼くんのことで気になることがありまして」 「翼くん?何か問題でも起こしたの」 「いえそういう訳では…ただ最近、私達研究員や職員に、あなたはどこにいるかと尋ねられているんです。 なんでもあなたに聞きたいことがあると言っています。何を聞きたいか、私達が聞こうかと言っても 耳を貸さず、あなたへの場所が教えられないと知るやそのまま去ってしまうのです。」 「そう……近いうちに私が翼くんの所へ出掛けて、何が知りたいのか尋ねてみるわ」 研究員が去った後、私は病室の電気を落として横になった。ふっと息をついて瞼を閉じた瞬間、 涙が両眼からあふれ出た。 研究員が訪れる前、医師から「どれほど長く見積もっても、余命はあと数カ月」と告げられていた。 何年も前から病弱ゆえに何度も死に瀕してきたから、死ぬこと自体は怖くない。 人生最後の研究成果となるこの人造人間開発も、全てのノウハウや注意点は既に明記していて、私が 死んだとしても大過なく進めることが出来るようになった。 なのに何故か、翼くんの顔が瞼に浮かぶたびに、目頭が熱くなるのをどうすることもできない。 …生きているうちに必ずもう一度、翼くんの所に行って思うところ考えていることを告げなくては。
[271]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/06(水) 12:59:01 ID:??? 今日はここまで。この時点で物語の半ばを迎えたといったところでしょうか。 いつ書けるようになるかは分かりませんが、この物語が終わった後で別の物語を 色々と妄想しています。(この物語とのつながりはありません) 翼が1歳の時の交通事故で死んでしまい、奈津子夫人が悲しみのあまりボールを 翼だと思い込むようになった話とか、この話の岬太郎視点での話とか、 キャプ森の岬くんが小中学生時代にどういった活躍をするかについての話です。 キャプ森ファン、そしてここの岬くんファンとして、今後も精進していきたいです。
[272]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/07(木) 12:28:08 ID:??? 丙月某日。体調が一時的に良くなってきたため、とりあえず通常の勤務体制に戻り、 翼くんの所へ出向いた。 「あっ、博士!」私の姿を見つけると翼は目を輝かせて駆け寄ってきた。 「どこに行ってたの?他の人に聞いても答えてくれなくて」 「私はちょっと具合が悪くて休んでいたのよ、翼くんを心配させるといけないから 黙っていたけど、ごめんなさい」 急な不在を詫びた後、私は話の接穂を断って翼が尋ねたかったことを聞き出そうとした。 しかし翼はもじもじとしたまま、なかなか話しだそうとはしない。 「何か私に聞きたいことがあるみたいだけど」思い切って私の方から問いかけてみると、 翼はなおももじもじしていたが、やがてぼそりとつぶやき始めた。 「博士ならきっと答えてくれると思ったんだ。他の人はなんとなく不気味だし、お母さんは 一緒にいると楽しいし落ち着くけど、僕の知りたいことには答えられそうに ないから。…でもまだ口にする勇気がないから、先に博士の方から何か話して」 「へえ……じゃあこっちから翼くんの将来についての見通しについて、決まったことを 先に話すわ。君は人間でいう12歳ぐらいの体つきになっていて、外に出る時は小学校6年生から はじまるの。1か月ぐらいたった後で外に出るけど、その時はここにいた記憶は消去されて、 その後で『11歳までの記憶』を新しく植え付ける。予定では11歳までは引越しを繰り返していた ということにして、受け入れ先の人達に疑念を起こさせないようにするつもりよ」 「博士や母さんのことも忘れちゃうの?そんなの、いやだ」 「大丈夫、母さんの方は、あなたに対する愛情は消えはしないから」 「でも……」 「はい、これで話は終わり。私ばかりに話をさせないで、そろそろ翼くんも答えなさい」 翼はわずかに顔をうつむいたが、少しして顔を私に向け、問うた。 「なんのために、僕はこうして生まれてきたの?」
[273]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/07(木) 12:52:10 ID:??? 今日はここまで。私の都合により土日は書き込みができませんので、この物語の完結は 来週へずれこむことになりそうです。 それにしても小説を書くのは難しい。早く精進して2さんやアナカンさんみたいな 本格的なサッカー物語が書けるようになりたいです。
[274]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/08(金) 12:12:52 ID:??? 翼自身の存在意義という根源的な難題を尋ねられて、私は一瞬たじろいだが、 すぐに冷静を取り戻した。翼が異常な生い立ちを意識せざるを得ない生活を 送らされている以上、いくら子供とはいえいつかはこうした問いかけをされる ことは予想できていたし、問いかけられた時の答えも、研究所及びその上位の指令機関の共通認識として、 既に用意されていた。 「翼くんの名前の意義、まだ覚えてる?『どんな障壁も乗り越えられる強い子になってほしい』 って名づけたけど、そうして活躍していく様子が他の人にとって希望や理想、目標に なってほしいと思って、あなたが生まれたのよ。…今の社会は生まれた時の環境や経済・人間的環境、 本人の遺伝子や運といったさまざまな影響が深く絡み合って、何かに向かって努力することが できなくなってしまったり、そういうことを夢にも考えられなくなってしまった人が大勢生まれてしまった。 でもそういう人達でも、優れた人のそばにいる、一緒に生きていく、あるいはその人の活躍を見聞きしていくことで 自らを諦めずにもう一度頑張ろうとするきっかけになるの。翼くんのお陰で立ち上がれた、立ち直れたという人達の ために、あなたがひつようとされているのよ」 「……ううん、何だかとっても難しそうだなあ」 「そんなことはないわよ、翼くんは自分の目指すことについて一生懸命頑張っていればいいの。 それだけで大丈夫よ」 「そっか、僕が頑張るとみんなが幸せになるんだ……ありがとう、ホッとできたよ」 「そう。それじゃあ私はそろそろ失礼するわ」 「うん。じゃあね」
前
次
写
0ch BBS 2007-01-24