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キャプテン森崎外伝スレ10
[558]もう1つの野望:2013/01/10(木) 06:16:28 ID:YeiIWiWw 賀茂港は破天荒な人物ではあるが、一般的な常識も持ち合わせていた。 要人と会うときはスーツだって着てみせる。 ただ、この日、彼は日本有数の財界人と会うというのに、ラフなTシャツ姿であった。 東京都中心部の某地に建てられた高層ビルの42階、 瀟洒なドアの向こうは広々とした会議室である。 360度張り巡らされたガラスの向こうには都心を見渡せる景色が広がっているが、 賀茂が訪ねてきた時は分厚いカーテンで覆われている。 たいがい密談が行われるためだ。 円卓の向こうにはサングラスをかけた長髪の人物が座っている。片桐である。 日本代表強化に影ながら努めてきた彼は、この年、父親から片桐財閥のすべてを引き継ぎ、 日本でも、いや、世界でも有数の財界人となっていた。 賀茂「よう、久しぶりだな」 賀茂が向かいに座る。 賀茂「今度は何を悪だくみしている。……そういえば、見上はどうした? 遅刻しているのか?」 彼らがこうして集まるときは、日本代表の強化への相談である。 その際は、見上も含めた3人で話し合うのが常であった。 片桐「……見上さんは来ません」 賀茂「それはどうした了見だ」 片桐「ふっ。悪だくみですよ。……見上さんは反対するでしょうから、呼びませんでした」 そして、片桐はこんなことを云いだすのだった。 片桐「私には、もう一つの野望がある。あなたなら手伝ってくれると信じ、ここに呼んだんですよ、賀茂さん」
[559]もう1つの野望:2013/01/10(木) 06:19:01 ID:YeiIWiWw 賀茂「もう1つの野望だぁ!?」 サングラスに隠れ、片桐の表情は見えない。 片桐「一つの野望は言わずもがな。日本代表の活躍です。……私たちの時代はアジア予選すら、勝ち抜けなかった。 それが彼ら『ゴールデン・エイジ』はどうです。アジア予選を勝ち抜くどころか、ワールドユースで優勝し、 挙げ句にはワールドカップでも優勝してしまった」 賀茂「嬉しいことじゃねえか」 片桐「もちろんですよ。当然、選手たちが讃えられるべきではあるが、 そこに私たちの助力もいくばくあったかと思うと、誇らしい気持ちになれる。 ですがね、いささか唐突過ぎた。あまりに一足飛びすぎて、拍子抜けな気分に陥ってしまったのはたしかです」 賀茂「だが、これで終わりじゃないだろう。2年後にはまたワールドカップがやってくる。その4年後には、初の自国開催だ。 そこで優勝できるよう、バックアップしていくのが俺たちの仕事じゃないのか」 片桐「その通りです。この快挙を、大空翼や森崎有三らの突然変異だけで終わらせることなく、 次世代につなげていくことがこれからの私たちの仕事となるべきことなのでしょう」 賀茂「が、おまえはその気が起きないんだな。つまりは、飽きてしまった、と」 片桐「ありていに云えば、ね」 なんのことはない。要するに親から会社を引き継ぎ、金持ちになったということなのだろう、と賀茂は理解した。 誰だって楽はしていたい。いくら好きなこととはいえ、目標が一段落した時にふっと立ち止まり周りを見渡せば、金が溢れている。 そちらの道に歩みを変えたいと思うのも無理らしからぬことなのだろう。 もう一つの野望というのも、片桐財閥を世界一の企業に成長させたいなどという類のものなのだろう。
[560]もう1つの野望:2013/01/10(木) 06:21:35 ID:YeiIWiWw しかし、賀茂の予想は裏切られる。 片桐「私は、サッカーへの情熱を失っていない」 賀茂「……!!」 片桐「賀茂さん、ボスマン判決はご存じですか?」 賀茂「ボスマン? ……いや」 片桐「ふっ、あなたもサッカーに携わる人間なのだから、 今後のサッカー界を揺るがす大きな出来事ぐらい知っておいた方がいい」 そして、片桐はボスマン判決について語りだした。 もともとはボスマンという選手が移籍について所属元のクラブを訴え……などという細細とした話はどうでもいい。 ここで大事なのは、、EU域内のいずれかの国籍を有していれば、 規定により、EU域内のどの国のクラブでも外国人とはみなされなくなった、ということだ。 そして、もともとEU域内の国籍選手はもとより、南米人やアフリカ人が二重国籍としてヨーロッパの国籍を取得するのは難しくなく、 つまり、外国人枠がほとんど機能しなくなったことを意味する。 片桐「アヤックスのようにほぼオランダ代表のようなチームもありましたが、 基本的には代表はその国のリーグのオールスター。クラブより代表の質のほうが高かったわけです。 だが、これからは違ってくる。 イタリアやスペイン、ドイツ、イングランドの金満クラブが、国籍問わず選手を買い漁ることになる。 理論上、世界のベストイレブンが1つのクラブでプレーすることが可能になる」 賀茂「…………」 片桐「それに、代表と異なり、クラブでは長い期間、戦術を構築していくことができる。 選手の質も高く、組織も上。もうワールドカップが世界最高峰の大会ではなくなるのですよ。 これからはクラブの時代です」
[561]もう1つの野望:2013/01/10(木) 06:22:52 ID:YeiIWiWw 賀茂「で、なんだ。お前さんは、代表はもう優勝したから、クラブでも世界一になりたいってわけか?」 片桐「そうです。今後はヨーロッパのクラブが世界のサッカーシーンを引っ張る。 クラブでヨーロッパ・チャンピオンズリーグを優勝する。これが目標になります。 幸いなことに、というか、代表は買えないが、クラブは金で買える。 赤字のクラブに出資をしてオーナーになれば、もうそれは自分のものです。そして、その金を私は持っている」 賀茂「ふん。まぁ、好きにやってくれればいい。自分好みの選手を連れてこればいいさ。 その中に、外国人枠を使って翼も入れたいとでも云うんだろ?」 片桐「いえ、違いますよ、賀茂さん。私はもっと壮大な計画を抱いています」 片桐は、そこで一息つき、その後、こう云った。 片桐「日本人だけのチームでチャンピオンズリーグを優勝するんですよ」
[562]もう1つの野望:2013/01/10(木) 06:26:35 ID:??? 賀茂「なにぃ!!」 賀茂は思わず目を剥いた。 賀茂「だ、だが、それは無理だろう。外国籍が撤廃されたわけではないんだ。あくまでEU国籍を取得している者という但し書きが――」 片桐「だから、取得してもらえばいいんですよ。うちのチームに入る選手は皆。イタリアでもスペインでも国籍を」 賀茂「ば、馬鹿な。簡単に云うが、判っているのか。それはつまり――」 片桐「ええ、判っていますよ。日本は多重国籍は認めていない。 実情はともかくとして、制度的には他国の国籍を取得した時点で日本国籍を失う。 少なくとも、『もう日本代表として選出されることはなくなる』わけです」 原理的には可能である。日本人だけを集めたヨーロッパのクラブチーム。 ただし、そのチームに入団した日本人は日本代表を諦めなければならない。 賀茂「そ、そんなのはあり得ない。日本代表を断念して、チャンピオンズリーグ優勝を目指すなんて。 それに、残された日本代表はどうなるというんだ……」 片桐「全員が全員、入団してくれるとは思っていません。中心選手は、日本代表を優先するでしょう。 しかし、レギュラーになり切れていないもの、当落線上にいる選手なんかは。割となびいてくれると踏んでいますがね。 成功するかどうか判らない代表にとどまるより、新たな野心を抱いた方がいいという者は絶対にいるはずだ。 残された日本代表は、いくばくかのダメージは食うでしょうが。 なに、『ネクスト・ジェネレーション』も育ってきている。そう心配することもない。 ……そうでしょ、賀茂さん。私たちは日本代表にとって裏切り者になるんだ。 そんな古巣の心配をするより、私たちは新しい仕事に精力を傾けようじゃないですか」 ----------------------------------------------------- この物語は、とある日本人のみのヨーロッパクラブでチャンピオンズリーグ優勝を目指す物語です。 このあと、クラブの選択。そして、選手のスカウトと続いていきます。
[563]もう1つの野望:2013/01/10(木) 06:27:56 ID:??? さて、まずはクラブの選択になります。 片桐「もうクラブの淘汰は始まっています。 移籍金は上がり新たな選手を獲得するのが難しくなってきている。選手の年俸も上がり始めている。 既に幾つかのクラブが、片桐財閥に買い取りの打診をしています」 まだ衝撃から立ち直れないでいる賀茂を横目に、片桐は話を続ける。 そして、おもむろに背広の内ポケットから4枚のカードを取り出した。 片桐「このカードの裏面に、クラブの名前が書いてあります。 負債が増し選手を売らなければならなくなったクラブ、降格寸前のクラブ、昇格したはいいが強化費を捻出できないクラブ」 賀茂の前に並べられる。 片桐「さぁ、賀茂さん、私たちが買うクラブを決めましょう。カードを引いてください」 賀茂「俺が引くのか!? いやいや、それよりもそんな重要なことをこんな決め方していいのか!?」 片桐「どのクラブで戦うかなんて、大して重要じゃないんですよ。どうせ選手は全員入れ替わるんだ。 一応、すべて4大リーグのクラブから抽出しています。 競争が激しい方が選手の成長も望めるし、チャンピオンズリーグ出場枠も多いですからね」 先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。 ★クラブ選択→ !card=★ カードの絵柄で結果が変化します ダイヤ → リーガエスパニョーラのビジャレアルだ ハート → プレミアリーグのリーズ・ユナイテッドだ スペード → セリエAのナポリだ クラブ → ブンデスリーガのマインツだ JOKER → え? リーガのアトレティコ・マドリー? 初年度からチャンピオンズリーグ出れるんですか?
[564]森崎名無しさん:2013/01/10(木) 07:03:01 ID:??? ★クラブ選択→ ダイヤ7 =★
[565]森崎名無しさん:2013/01/10(木) 10:56:07 ID:??? 相次ぐケガ人、機能しない新戦力、裏目に出た監督人事 の典型例チームじゃないですかー
[566]森崎名無しさん:2013/01/10(木) 21:58:38 ID:??? あ、本人じゃないのか。主役は片桐?
[567]もう1つの野望:2013/01/10(木) 22:55:35 ID:??? ★クラブ選択→ ダイヤ7 =★ ダイヤ → リーガエスパニョーラのビジャレアルだ 片桐「スペインのビジャレアルですね」 賀茂「ビジャレアル? 聞かない名前だな」 片桐「来シーズン、創設以来、初めて1部に上がるチームですからね。 2年前まで、2部と3部を行ったり来たりするチームでしたが、現会長が就任してから強化路線に舵を切りました。 『将来はチャンピオンズリーグ参戦を』がスローガンだったようです。ふふふ、同じようなことを考える人はいるものです。 実際、現会長の積極的な補強は功を奏し、わずか2年で1部に上がってくることが叶った。 しかし、ここで現れたのが件のボスマン判決です。 ホームの都市は、わずか5万人弱の人口しかいない。本拠地エル・マドリガルの収容人数も25,000足らず。 強化費を捻出できるような、財政状態ではない。 しかし、チャンピオンズリーグ出場という夢は諦めきれない。 そこで、身売りという選択が表に現れ、片桐財閥に白羽の矢が立ったということです」 数日後、片桐財閥がスペインのクラブチーム・ビジャレアルを買い取ったという話題が新聞を賑わすこととなる。 -------------------------- 今日はここまで。 明日からはスカウトできる選手の紹介になります。
[568]もう1つの野望:2013/01/10(木) 22:58:02 ID:??? 片桐については導入部のみの登場で、実際にクラブとしての活動が始まってからはほとんど登場しない予定です。 主役は……誰になるんでしょうね。 入団した選手のうち、キャプテンを任された者の視点で話を進めていくつもりではいますが。
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0ch BBS 2007-01-24