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【本当の】ファイアーモリブレム38【偽物】
[571]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:37:50 ID:??? >>565-566 乙どもですー。ラムカーネ戦はこの後も何度か行われるので、次の試合に期待しましょう。 >>567 彼女とはしばらくの間お別れですからね。Jローローの復帰は難しくなりましたね。 >>568 アリティア選抜は一本もシュートが撃てませんでしたね。Kローローの出番が…… >>569 ガッツが枯渇するまで止め続けてくれましたからね。JOKER覚醒もしましたし、個人としては言うことなしだと思います。 >>570 あれも半分イベントでの得点でしたからねぇ…。確かに消化不良な展開でした。 =========== シェスター「(くっ…しつっこいなぁ。最後くらいかっこよく決めたかったのに)」 シェスターのドリブルは試合終了間際での疲れもあるのか普段のキレは失われていた。 ラムカーネとJローローの執拗なマークを振り払えずに動きが止まってしまう。 中里「(シェスター殿、無理は禁物でござる。一旦後ろに下げてやり過ごすでござるよ)」 シュタタタッ… Fローロー「(後ろの選手が上がってきている。よ〜し、ここは…)」 相手の行動を完璧に読み切り、先回りでのボールカットを狙うFローロー。 後は相手が勝手にこちらにボールを渡してくれるのを待つだけだった。だが。 ラムカーネ「今ならボールを楽に奪えるぜ。おらっ、よこしやがれェ!!」 シェスター「うわっ!」 ドガァッ!!
[572]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:39:25 ID:??? ラムカーネ「ギャハハっ!!ざまあみろ!見たか!これが本物の森崎様の実力だァ〜ハッハッハ!!」 反則ギリギリのラフプレイでシェスターのボールを奪いにかかるラムカーネ。 だが、この無理なボール奪取は残り僅かのロスタイムを大幅に消費する悪手だった。 試合の展開よりも自らの活躍を重視してしまったツケはすぐに支払われることになる。 ピッピッピ〜〜〜〜〜〜ッ!! ラムカーネ「ハッハッハッハッハ……ハァ!?」 シェスター「くくっ……助かったよ。わざわざ貴重な時間を浪費してくれたことに感謝しなくちゃね」 森崎「お、終わった……勝った!勝った……ぐうっ……」 体全体を襲う痛みに顔を歪めつつも、チームの勝利に喜び、拳を天に突き上げる森崎。 妖しい赤い月の光も、今ならば素敵な祝福の演出にさえ思える晴れやかな気分だった。 ラムカーネ「う…うそだ。こんなの何かの間違いだ。俺が負けるわけねぇ。負けるわけねぇのに……」 ラムカーネは敗北という現実に打ちのめされて崩れ落ちる。 それと同時に仮面の男たちも電池が切れたかのように動かなくなる。 負けた。偽物から力を奪い、不完全な肉体を完全なものにするという野望はここに潰える。 それはラムカーネだけではない。不幸にも前大戦で命を失ったアカネイア同盟軍の勇士たちにも言えることだった。 Cローロー「そんなァ……俺たちが……森崎が……負けた……?」 Aローロー「わ、我々の復活の望みは……絶たれてしまったのか……む、無念……」 Jローロー「ミディア……ごめん……俺は結局君の元へは……帰れそうに……な……」
[573]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:40:26 ID:??? 絶望に絶望を重ねた重苦しい雰囲気が闇の軍団を包み込む。 だがその陰惨な光景を見つめるガーネフは何故か嬉しそうな笑みを浮かべていた。 この惨めな敗北すらも、自分たちの野望の一端になるとでも言わんばかりに。 ガーネフ「(あの裏切り者の小僧の存在が全てじゃったな。奴が心変わりさえしなければこんな無様な結果にならずに済んだものの。 じゃが……ふぇっふぇっふぇ。お主にとっても儂にとっても 『裏切り』とは切っても切れぬ関係よ。これも運命と言えるかもしれぬのう)」 試合の結果など些細な問題でしかない。あの力さえ用いれば、なんということはない。 何度でもやり直せばいいのだから。勝つまで。都合の良い世界が巡り巡ってくるその日まで。何度でも。 森崎「(へへ……なんだか一気に疲れがのしかかってきやがったぜ。だが、まだ俺にはやるべきことがあるよな)」 ラムカーネに打ち勝ち、自分の存在という証明をしてくれた仲間たちにねぎらいの言葉をかけなければ。 暗闇に一人取り残され、どうしようもなかったはずの森崎を助けに来てくれた彼らがいなければ、この結果は無かったから。 森崎「みんな、ありがとう。俺たちの勝利だ!」 早田「へへっ、なぁに。気にすることねぇよ。兄弟のピンチに駆けつけるのは当然だろ?」 シェスター「大事なチームメイトにリーグ開幕前に潰れてもらっちゃ困るんだよねぇ」 マーガス「それで、気になっていたんだが……あのお前そっくりの謎の男は一体何者なんだ?」 森崎「ああ。ちょっと信じられない話かもしれないんだが、実はあいつは……」 森崎は曖昧ながらも自分の知る限りのラムカーネの情報を仲間たちに話した。 昔の自分の性格や心を色濃く受け継ぐもう一人の自分自身。言わば森崎の『影』であると。
[574]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:41:43 ID:??? イスラス「……なるほど。奴が執拗にお前のことを狙う理由がようやく分かった。 お前に存在を認められなかったもう一つの人格が、何らかの力を得て実態を得た。 そしてこの『仮面』で手駒を集めてお前に成り代わろうとしてやがったってわけか」 そう言うとイスラスはポケットから何かを取り出す。青白く輝くそれは、森崎は何処かで見覚えがあった。 森崎「それは……星のオーブ?にしては随分小さいが……」 前対戦にて、魔王ガーネフを倒すために用いられたスターライトの魔導書。 この魔導書を錬成するための力の源として使われたのが、 今はアカネイアの王宮で厳重に保管されている光のオーブと、この星のオーブである。 イスラス「これは奴から与えられた『仮面』を踏み割った時に出てきたものだ。 値打ちものの宝石か何かかと思ってお守りがわりに持っていたんだが…… お前の話を聞いてはっきりした。こんな不気味なものを持ち続ける趣味は俺にはない」 そう言うと森崎の方へとその青い炎が宿るように燃え、輝くかけらを放り投げてくる。 咄嗟にキャッチしたが、確かに彼からしてみれば都合の良い『駒』として扱われそうになった曰くつきのモノに違いない。 森崎「(一応引き取っておくか。マルスやマリクなら何か知ってるかもしれないしな)」 ※イスラスから謎のかけらを受け取りました。
[575]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:42:55 ID:??? 赤い月の光が徐々に消え、東の方から徐々に明るさが戻ってくる。 そんな夜明け前の見事なグラデーションの空の下、この試合を一人見守る男がいた。 その男も『仮面』をしていた。だが、森崎たちと戦った男の仮面とは随分と趣が違う。 相手に威圧を与える鬼のような仮面ではなく、純粋に顔を覆い隠すようなシンプルなデザインである。 ????「良かった。どうやら『彼』は負けなかったようだ。いざとなれば俺が出ていくつもりだったが……」 その男の表情は仮面で隠れているため分からない。だが、少なくともこの試合へ強い意識があったのは確実だった。 疼いていたからだ。自分も彼らと同じフィールドに立ち、ボールを蹴り駆けまわりたい。 そう願わずにはいられない質なのは『こんな姿』になっても変わらないことに妙におかしくなってしまう。 ????「君にはこれからも勝ち続けてもらわなければいけない。そう、それが『あの人』の願いであり、そして――」 何よりも自分のために。この因果から逃れるための唯一無二の存在。森崎有三。いや…… ????「―――。」 もうすぐ夜が明ける。そしてそれからが始まりだ。この広大な大空をいつか再び駆け巡れる日が来ることを祈って。
[576]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:43:56 ID:??? 森崎「……さて。後はアイツだけだな」 仲間と勝利の喜びをわかちあった森崎は、やり残した仕事を終えるためにゆっくりと歩き出す。 未だ自分の敗北を受けいられずに呆然と立ち尽くす男の前に。 髪の一房が心奪われるほどに黄金に輝いている以外、自分と瓜二つの存在の前へと立つ。 ラムカーネ「うそだ…こんなの間違いだ…俺は負けない…負けるわけないのに…」 森崎「……ラムカーネ。いや、もう一人の森崎有三。俺が生み出してしまった……『影』」 ラムカーネ「こんなのありえない…信じられない…認められない…」 森崎「おい、聞こえてるのか。返事くらいしろ!」 ラムカーネ「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……そう、嘘さ。夢さ。幻さ。 そうさ、これは全て空想、妄想。作り物のまがい物。ひひ…うひひひひ…」 森崎「…駄目だ。完全に我を失ってやがる。だが、いったいどうすれば」 身から出た錆というわけではないが、彼という存在を宿さなければ 自分は一生『キャプテン』という立場を目指すことも、そして翼や若林に立ち向かおうとさえ思わなかっただろう。 そのことだけに関しては、正直感謝してもしきれないところがある。 ドイツブンデスリーガでプロとして戦っていけるようになったのも、 彼と、そして自分の体に宿る『リセット』と『星のオーブ』の力があればこそだと森崎は思っていた。 彼をこのまま放っておく訳にはいかない。森崎はなんとか彼とコンタクトを取るべく色んな行動をとってみる。 森崎「なぁ、何か返事しろよ。おい、ラムカーネ!」 顔の前にひらひらと手を翻してみたり、耳や鼻を引っ張ってみたが、相変わらずうわ言をブツブツと呟くだけのもうひとりの自分。 それどころかその表情は次第に狂気じみてきており、語気も荒々しくなっていく。
[577]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:45:12 ID:??? ラムカーネ「ひひ…うひひ……さぁて、そろそろこんな間違った世界にはおさらばしねぇとな。 俺が目立ち、輝ける世界。『森崎有三』という存在が主役として生きられる世界…… ひゃっはっはっはっは、そうとも!『キャプテン森崎』という素晴らしき世界に行けば俺は…俺はァ!!」 ギシィッ!! 森崎「!?」 森崎が見たのは、一生で一度も見たくないし想像もしたくない悲惨な光景だった。 自分と同じ顔、同じ姿の人間が自ら首を絞めながらも笑っている。 ラムカーネ「俺は…何度だってやり直す。絶対に諦めるものか…諦めてたまるものかヨォ……グギギ……」 森崎「て、テメェ……ま、まさか……!」 それは森崎にも無自覚にだが見知った光景だった。再起不能に陥り、志半ばで倒れた無数の自分自身の影たち。 彼らは以前、森崎をラムカーネの魔の手から助けてくれた。だが、もしもこのラムカーネが自分と同じ存在なのだとしたら。 ラムカーネ「テメェにできて俺にできないことは何もない。覚えておけ。俺は絶対に諦めねぇ。 森崎有三が。大空翼や若林源三を足蹴にし、日本サッカーの救世主と崇められる夢のような世界だ…… お前にも見せてやらァ。ひひっ…うぎひっ……げっ……かかっ……」 ミシミシと嫌な音が漏れるほどに、ラムカーネの両手には凄まじい力が込められている。 既に顔も青ざめ、泡を吹き出した自分と同じ顔の男の最期の瞬間が、森崎の神経を飲み込む。 森崎「や、やめろ!それ以上続けたらお前、本当に……!!」 ラムカーネ「ひゃひゃ……ひゃ……あ…ばよ…また……会おう……ぜ」
[578]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:46:32 ID:??? グ キ ン 。 森崎「わあああああああああああああああああっ!!!!!」 ガバッ!! 森崎「な、何だ今のは…!?お、俺が自分の首を絞めて……自分で自分を、ころ……」 悪夢に耐え切れず、目覚めて跳び起きた森崎は辺りを見回す。 そこはアリティア王宮のバルコニーへと続く渡り廊下だった。 アリティアカップが終わり、後夜祭で盛り上がり、 酔いを覚ますためにと屋上へと上がった記憶がぼんやりと浮かび上がってくる。 そこで小豆沢からドイツへと旅立つ際の餞別の言葉をもらい、そしてここでカタリナと出会い…… 森崎「あ、れ…?じゃあ……今のは……夢……だったのか……?」 頭に鉛を詰め込まれたかのように重い。体全体が悲鳴を上げているかのようだ。 早田やシェスターたちと共に、ラムカーネたちとサッカーで勝負をしたあの光景は全て夢だったのだろうか。 ふと周囲を見渡すと城の兵士たちもいたるところで酔いつぶれて寝てしまっているではないか。 森崎「くそっ…なんという寝覚めの悪い夢だ。ううっ、寝冷えしちまったのか寒気までしやがるぜ。 まだまだ夜は冷える時期だしな。何か暖が欲しいところだぜ。そうそう、こんな風に。うーあったけー」 都合よくパチパチと音を立てる炎に手を当てる森崎。だが、その炎が明らかにおかしいことに気がつく。 ここは城の中。焚き火などして良い場所ではないことは馬鹿でもわかる。そして次の瞬間―― 「「「「「うわあああああああああああああ」」」」」 森崎「ななな、なんだぁ!?」
[579]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:47:46 ID:??? ただごとではないことはすぐに理解できた。あちらこちらから火の手が周り、助けを呼ぶ悲鳴が聞こえてくるのだから。 森崎「一体全体どういうことなんだよ……マルス、アベル、カインは……みんなは何処だ!」 酔いや気だるさは一瞬で吹き飛んだ。頭を覚醒させつつ、森崎は急いで階段を駆け下り、玉座の間へと急ぐ。 明日の近衛騎士受勲式の準備のため、クリスを始めとする第七小隊の面々はジェイガンに玉座の間へ集められていた。 ルーク「なぁクリス。明日は待ちに待った騎士受勲の日だぜ!ここまで来たのはクリスのおかげだな。 俺が隊長譲ってエースポジションを全うしたおかげだな!はっはっは!」 セシル「ったく、口だけは既に一人前の騎士よねぇ。でも、確かにルークの言うとおりかもね。 クリス。あなたが隊長として私達を纏めてくれなければ今の私たちはなかったわ」 クリス「そんなことないわ。私達全員の力で掴みとった栄光よ。 ……そして、多くの他の従騎士の夢の犠牲の上に立っていることも忘れてはいけないわ」 ロディ「森崎殿の言葉は厳しかったな。だが、現実は確かにその通りだろう。 私たちはライバルを蹴落とすことで、今まさに正騎士の資格を得ようとしているのだから」 カタリナ「でも、そうしなければ誰も夢を叶えることはできません。 誰かが幸せになれば、必ず他の誰かが不幸になる。それは今回の騎士試験だけじゃなく 生きている上で、絶対に避けては通れない現実なんです。……仕方ないんですよ」 クリス「……本当にそうなのかしら」 カタリナ「えっ…?」
[580]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/06/16(土) 12:49:17 ID:??? クリス「森崎さんが言っていた『他人の夢を壊すことは悪いことじゃない』って言葉はそういうことじゃないと思うの。 確かに私達が正騎士になることで、夢を遠回りにされた人は絶対にいるわ。 その人達から酷い恨みを買うことも覚悟しなくちゃいけないと思う。でも!」 ライアン「クリスさん……」 ライアンの心配そうな声を聞いて、不安にさせまいとクリスはにこりと微笑む。 クリス「でもね。そんな張り詰めた気持ちだけ抱えてて、私達が本当に近衛騎士に選ばれたと思う? ……私は違うと思うんだ。騎士は、主君を、民を、皆を守るための存在よ。 その身を犠牲にしてまで、守るべきもののために戦い続けることが出来る覚悟。 どんなに苦しくても前を向き続けることが出来る強さも……あの人から学んだから。だから!」 ジェイガン「その言葉を聞けただけで、近衛騎士に任命したかいがありましたな、王子」 マルス「うん。僕もそう思うよ」 クリス「えっ…?」 ルーク「マ、マルス王子!」 ジェイガンを伴って現れたのはマルスだった。近衛騎士たちの様子を自ら見てみたいとジェイガンについてきたのである。 マルス「人の上に立つ者がいる場所というのは、自らがのし上がって出来上がるものじゃない。 多くの人に支えられることで、ようやく立つことが出来る、脆い場所でもあるんだ。 それを分からない者に、人の上に立つ資格はないと僕は思っている」 立場や権力に溺れること無く、自分を支え、共に戦ってきてくれた仲間を自分の身以上に大切に思うことが大事なのだ。 だが、クリスは一つ腑に落ちないところがある。マルスは前大戦中に同盟国の裏切りを受け、父を失い、亡国の王子にならざるを得なかった。 そんな境遇を経験したにも関わらず、どうしてこうも人を信ずるという意思を強く持ち続けることが出来るのだろう。
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0ch BBS 2007-01-24