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【混迷からの】Another-CU_3【脱出】
[869]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/05(木) 22:39:26 ID:??? 先程うたた寝から目覚めた時とは異なり爽快と言って良い目覚めであった。 夢なんか絶対に見ていなかったと断言できる程の深い眠りだったと確信している。 そして彼女はこの場所が何処であるかを匂いで察し、自分の身に何が起こったかを逆算しようとしたが… アルシオン「うん……目を覚ましたか?」 蓮子「ふひょっ!? だ、誰!?(ネタ独り言聞かれた!?)」 アルシオン「オレだ、アルシオンだ。」 蓮子「あ、えっと…?」 瞬間に蓮子は経緯を思い出した。 アルシオンの蹴った凶弾がジャストミートし、衝撃で意識を喪失した事を。 蓮子「そっか…私。」 アルシオン「その…さっきは済まなかった。」 蓮子「うん、大丈夫だよ。 あまり痛くな……んんん? あれ、本当に全然痛くない?」
[870]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/05(木) 22:40:45 ID:??? 首、肩、肘、腰…あらゆる関節を動かしてみるも、何の負荷も感じない。 ペタペタと顔、胸、お腹など皮膚を押さえてまわるも、やはり痛みはない。 記憶が確かであれば、相当…という表現とは一線を画すほどの弾丸を身に受けた筈であるが… アルシオン「既に医者が診察して、結果も出ている。 痣ひとつ、擦り傷ひとつ無かったらしい。 ついでに言えば、骨や脳波にも当然異常は全く無いそうだ。」 蓮子「……んじゃ、なんで私は気を失ったんかな?」 アルシオン「寝不足だそうだ。」 蓮子「そか………。(道理で目が覚めて爽快だった筈だわ…) …って、あれ? 私の記憶だと、アルシオンくんは結構凄まじいボールをぶつけてきたと思うんだけど…。」 アルシオン「わざとじゃない。」 蓮子「うん、それは良いんだけど……そんなに強い球を蹴ったわけじゃなかった?」 アルシオン「いや、全力だった。 故にこそコントロールも乱れたのだと思うが…。 正直言ってお前が無傷だったのが信じられないくらいの気持ちだ。」 蓮子「……………」
[871]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/05(木) 22:45:12 ID:??? 今の会話の中だけでも幾分か疑問を覚える所があった。 その疑問についてはきっと自分は後から考えるだろうと想像される。 蓮子(でも今は、そんな事はどうでも良い、重要な事じゃあない。) では何が重要か…? 今、蓮子の頭にあったのは衝動的な怒り…決して大きい物ではない。 年上のお姉さんである自分に対してお前′トばわりされた事に蓮子はカチンと来た。 ついでに言えば、ぬけぬけと『全力だった、無傷が信じられない』とのたまう神経にも腹が立った。 そんな程度の物である。 蓮子「うっ、ぐふっ…!」 アルシオン「どうした!? やはりどこか怪我を!? すぐに医者を呼ぶから……!」 蓮子「いや、今はそんな事よりも………」 アルシオン「なんだっ!? オレに出来る事ならなんだって…」 蓮子「蒸し暑いからアイスを御馳走しておくれ?」 ニコ アルシオン「はぁっ!?」 演技を解いて、満面のいやらしい笑みを見せつける蓮子。 対して、目をまん丸くかっ開いて呆けた顔をするアルシオン。 その顔を満足げに堪能しつつ、『これくらいの冗談でチャラにする自分は優しい方だ』と、 蓮子は勝手な事を思っているのであった。
[872]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/05(木) 22:46:43 ID:??? 先着で ★今回のラストシーン→!card と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。 《ダイヤ3》 アナカン史上2度目! アルシオンの心理描写あり 《JOKER》 蓮子の心理描写あり 《その他》 客観的な状況と会話の描写のみ
[873]森崎名無しさん:2012/07/05(木) 22:47:09 ID:??? ★今回のラストシーン→ クラブJ
[874]森崎名無しさん:2012/07/05(木) 22:47:13 ID:??? ★今回のラストシーン→ ハート4
[875]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/06(金) 01:38:05 ID:??? > 今回のラストシーン→ クラブJ > 《その他》 状況と会話のみ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― アルシオン「なあ………本当にこんなので良かったのか?」 蓮子「うん。 日本人の夏はこれなんだよ、ワトソンくん。」 アルシオンと蓮子は自由に使えるテラスの一席でアイスを食べていた。 もちろんこのアイスは蓮子の策略にはまったアルシオンの奢りである。 既に夕暮れで暑さのピークは過ぎているが、それでも十分にジンメリと蒸す中…。 二人が食べていたのは『ガリガリくん』であった。 アルシオン「いや、でも……リッチって書いてあるのもあったぞ? せめてそっちの方が良かったんじゃないか?」 蓮子「あれは邪道、『ガリガリくん』は氷菓であってこその『ガリガリくん』なの。」 シャクシャク アルシオン「ああ、そうですか。」 シャク 暫しの間、二人は無言で冷たいキャンデーを貪っていた。 (オアシスが間近とは言え)中東の夏である。 荒れ狂う太陽によって空気は焼かれ、結果として身体にも熱はこもる。 その火照った体に対してアイスがもたらす冷気は実に優しかった。
[876]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/06(金) 01:39:36 ID:??? 蓮子「アルシオン、ソーダ味おいしい?」 シャク アルシオン「えっ? ああ、思ったよりもかなり美味くて驚いてる。」 シャクシャク 蓮子「そっか…梨はイマイチだ。」 シャク アルシオン「………」シャク そうして再び沈黙となり、やがてアイスの棒だった物は只の棒と成り果てた。 …夕暮れが過ぎ、日もどうやら没っしたようである。 間もなく長い夜がやってくるであろう。 アルシオン「満足したか?」 蓮子「うん、ご馳走さま。 ………………。」 アルシオン「どうした、遠くを見て?」 蓮子「うん。 ほら、マジックアワーだ。 久し振りに見た。」 アルシオン「マジックアワー?」
[877]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/06(金) 01:40:43 ID:??? アルシオンは蓮子の言葉を聞き返しつつ、彼女の指差している方向を見た。 西の空には何とも言えぬ不思議な色が広がっていた。 蓮子「空が紫色をしているでしょう? 日没の直後と夜明けの直前、ほんの少しの時間だけ見れる事がある空の色。」 アルシオン「…それをマジックアワーと言うのか。」 蓮子「うん。 空は紫にはならないんだよ、本当はね。 オゾンとか、波長とか色々あって… でも限られた条件が揃うと、こんなに普通じゃない…魔法みたいな風景を見せてくれるんだ。」 アルシオン「そうか…」 蓮子「不思議船地球号だよ、全く。」 そう呟く蓮子はどこか遠い目をしていた。 アルシオンはただ相槌を打つだけだった。
[878]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/06(金) 01:41:43 ID:??? 蓮子「アルシオン、空はなんで青いんだと思う?」 アルシオン「えっ…? ああ…生憎オレはまともに学校へ行った事がない、自然の原理など知らない。」 蓮子「ふふ、そんな原理とか小難しく考えなくてもいいんだけどな。」 アルシオン「…何が言いたい?」 蓮子「前にさ、出会って間もない親友に同じ事を聞いてみたんだよね。 私的にはちょっと天文学について話したいと思っただけだったんだけど…。」 アルシオン「…………。」 蓮子「でもね、そしたらその子は結構凄い事を抜かすわけよ。 『空が青い理由? そんなの海が青いからに決まってるじゃない』って。」 アルシオン「海が青いから…か。」 蓮子「めちゃくちゃなんだけど、でも凄く納得して頷いちゃったんだよね。 この子は私が見たいと思っている物を見ているんだって、すぐに思った。」 アルシオン「マ…………」 何かを呟きかけてアルシオンはとどまった。 無意味な詮索であり、しかも野暮極まりないと察したのだろう。 アルシオンはそのまま黙りこんで、西の空を見詰めている蓮子の横顔へ目を向けた。 やがてその視線が少しずつ上の方へとズレていった事に彼の意志があったかは分からない。
[879]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/07/06(金) 01:42:56 ID:??? 蓮子「マジックアワーも終わっちゃったか…。 って、あれ? 何? 私の髪に何か付いてる?」 アルシオン「えっ……あ、いや…そうじゃない。」 蓮子「へー、じゃあなに? 私の横顔に見惚れてたとか?」 アルシオン「ふぅ……」 蓮子「アハハ、溜め息吐くなし。」 アルシオン「それは済まない…ちなみにレンコは何歳だ?」 蓮子「あら、女性に年齢を聞くとはイイ心臓してるじゃない? まあ別に隠す程の物じゃないからいいけどね…20歳よ。」 アルシオン「…一応、年上なわけか。」 蓮子「一応って………随分ね? そりゃ欧米人から見たら日本人はベビーフェイスだけど…」 アルシオン「いや、そうじゃなくて……つまりオレの女性の趣味が年上限定だからさ。」 蓮子「あら、じゃあお姉さんのこと好きになっちゃった?」 アルシオン「…なるものか…。 …そうさ、女性はもっとウンと年上が好い。」 蓮子「ヘイヘイ、そうですか。」
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0ch BBS 2007-01-24