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【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】
[746]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:38:55 ID:??? 実況「この試合の話題のひとつに両校の決勝進出の原動力となった両チームの選手、 南葛の守備の要・森崎くん、大友中の攻撃の要・新田くんが共に同じサッカー少年団・南葛SC出身という事が挙げられています。 御存知の通り、森崎くんは第6回全日本少年サッカー大会優勝時の正GK。また、新田くんも第7回優勝時のキャプテンでもあるのです」 水守(TV観戦中)「あれ? 珍しく大空さんの名前を挙げてませんね」 浅村(TV観戦中)「そこはほら、アレっスよ。去年の全国MVPは森崎さんっスし、今年はキャプテンにもなったそうっスから」 実況「その上、第6回の優勝時のチームメイト、レギュラーのほとんどが南葛中・大友中の三年生に所属し、 ここに敵同士戦う事になったのです! いわば因縁の対決でもある、この試合!」 大前(TV観戦中)「中山たちのこと、か。俺たちとの練習試合で、対南葛用の戦法を何度か試していたようだけど」 達也(TV観戦中)「試合じゃ俺らが圧倒したけどな」 宇津木(TV観戦中)「おいィ? そういうお前は浦辺に遊ばれていた時間が大半だったのではないか?」 菱野(TV観戦中)「さて、どうでしょうか。中山選手や新田選手も潜在能力は高いと思いますし、あの試合から更に上積みを得た、 ということも考えられます。もしも南葛が王者の座に驕って注意を疎かにすれば――」 やす子(TV観戦中)「――案外、大友中も食い下がっていく事態になるかもしれないわね」 と評する飯地。 大前(TV観戦中)(中山のことを買っている監督も、番狂わせがあるとは言えないのか……) 一昨年、そして鳴紋を破った昨年と、南葛は勝つごとにその強さを確実に増している。 片桐の入れ知恵によって、翼と森崎を中心に実力を向上させた三年生世代。それが中核となった今年は、 スタメンに限れば全国一の層の厚さを誇る。 中学に入ってから全国区の戦いをほとんど経験していない大友中は、この点が苦しい。 それをどう補ってくるかが、この試合の分かれ目であろう。
[747]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:40:02 ID:??? 大前(TV観戦中)「何にせよ、一瞬たりとも見逃せないカードだな……」 丁度そこで、カメラはゴールマウスに着く森崎の姿を映す。 森崎(へへ……楽しみだぜ、中山。あえて俺たちと袂を分かったお前が、どうやって俺を倒す気か? どんな手でも使って、掛かって来やがれ! 今の俺の力、存分に見せつけてやるよ!) 中山(練習試合での大敗で俺たちは全国トップクラスとの差を知り、また一から鍛え直してきた……。 軽々にお前たちを挑発したりせず、大会でも手札は見せずに勝ち進んできたんだ! その全てをぶつけて、森崎……お前に勝つ!) 翼(くっ、この試合ディフェンシブハーフとして中山のマーク、だって? 森崎め、俺に出番を回さないように姑息な手を!) 新田(あの野郎にやられた傷も癒え、未完成だったノートラップでのボレーも間に合わせた! 今日は完璧に森崎のヤツをぶち抜いて、俺こそが日本一のストライカーだって証明してやる!) 両チーム選手、そして試合を見守る無数に人間の、様々な思惑がからむ中、 実況「さァ、先攻の大友中! 浦辺くんから、中山くんへ軽くパスを出し試合開始です!!」 試合が、始まった。
[748]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:41:06 ID:??? 実況「まずはMF出場の中山くんが、足元にボールを収めます。この大会、彼がチームの司令塔として試合を動かしてきました! だが、中山くんの好きにはさせじと南葛も早速動いたーっ!」 翼「行くぞ、中山っ!(まずは作戦に従っておく! 見せ場を得るのは、その後だ!)」 実況「南葛の司令塔である翼くん、自らが中山くんのマークに行った! 最大の戦力で完全に大友の攻守の紐帯を断ちに行く! 第二のゲームメイカーである井沢くんを擁するなど、選手層の厚い南葛ならではの贅沢な戦術だーっ!」 井沢「誰が第二だ、誰が!」 中山「翼、か(試合をしていればいずれぶつかる。だが、今はその時ではない!)」 向かってくる翼が自身を射程に捉える前、中山は冷静にサイドにパスを出す。 翼「……っ!?」 実況「おっと、ここは中山くん、無理をせずにサイドにボールをはたいた! ここを上がって来たのは新田……いや、浦辺くん!」 浦辺「エースの新田とゲームメイカー中山に注意を払っていたのだろうが……油断めさるな南葛さん! 大友のキャプテンは、この浦辺よ!」 大前(TV観戦中)「流石は中山、地味だが堅実で隙の無いゲームメイクだ」 翼は中山、井沢と岩見は新田を警戒し、浦辺はほとんどフリーの状態でパスを受けた。 行けるのは、DFたちだけである。 古尾谷監督「うっ……浦辺は、ここまでの試合、一度も積極的に攻め込んだりはしなかったのに……? やはり大友は決勝に備えて、戦力を温存していたのかっ!?」
[749]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:42:12 ID:??? 井沢「しまった! 新田へのコースを警戒していたのが、裏目った!」 岩見「落ち付け、井沢! DFのみんななら、止められる!」 浦辺「頼むぜ、デコー。この前の試合みたいに、途中で睡眠状態に入るとかは勘弁だぜ?」 デコー「だからそれは君のエネルギーの問題だと……まあ、その前に勝負を決めれる様に心がけたまえ」 何やらブツブツと呟きつつも、ボールはしっかりとキープして南葛陣内を攻め上がる浦辺。 それに対し、森崎の対応は迅速だった。 森崎「うろたえるな、こんな事は想定範囲の事態だ! 中里は新田をマーク! それ以外は全員、浦辺を潰しにかかれ!!」 石崎・高杉・小田「「お……おうっ!」」 実況「キャプテン森崎くんの号令一下、南葛のディフェンス陣が浦辺くんに襲い掛かるぅ! 流石は全国に名を馳せたDFたち、攻める様に守っていくぞ!」 雪村(TV観戦中)「でも、南葛のディフェンス陣って――」 比良山(TV観戦中)「――ああ、対人よりもゴール前の守備の方が得手だったはず」 達也(TV観戦中)「となると、浦辺のアレが出るか……?」 カメラは、押し寄せる南葛守備陣を前に、浦辺がニヤリと笑った瞬間を捉えた。 スピードをそのままに姿勢を落とし、まるで四足獣の体当たりの様に浦辺が走る。 浦辺「甘いなァ! コイツを喰らえ! アルマジロドリブルだーっ!」
[750]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:43:46 ID:??? 石崎「なにィ!? ……ぎゃあ!?」 高杉「ぐへぇ!?」 小田「うわぁああああああぁぁぁっっ!!」 ボーリングのピンの様に弾かれ、宙を舞う南葛守備陣。 実況「石崎くんたちが吹っ飛んだァ!? 浦辺くん、凄まじい突破力だ! この決勝まで見せなかったド派手なプレイ! これは強烈な奇襲攻撃です! 大友中、ストライカーに全てを託した堅守のチームかと思いきや、意外な攻めを見せます!」 やす子(TV観戦中)「突破力が更に上がってる!? 大前くんに怪我させられたあとなのに、よくもまあ鍛えたものねー(ウズウズ)」 森崎「なにィ!? 中山だけでなく、浦辺までここまでの実力を身につけていただとォ!?」 浦辺「驚いて頂けたようで、嬉しいね! ついでに先取点も貰って行くぜェ!」 そしてシュートレンジに入るや否や、浦辺のミドルシュートが火を噴った。 強烈なスピンが掛かったボールは低空を進みながらゴールへと向かう。 誰かがこの模様を観戦していたら「俺の技だ!」と叫びそうであるが、生憎彼は試合中の模様。 渡会(TV観戦中)「お? あのシュートをいきなり使うか!」 輝林(TV観戦中)「……これにどう対応するかで、森崎の真価が垣間見えますね」 中里「いかん! フリーで撃たせてしまったでゴザルよ! 森崎ィ!」 森崎「へっ! 案ずるなよ中里! この程度のシュート、パンチングで軽〜く――なにィ?!」 余裕の構えの森崎の眼前、ボールは僅かにホップし跳ね上がる。 強いバックスピンが掛かっていた影響である。並のキーパーなら、これに惑わされてあらぬところに手を伸ばす場面だが、
[751]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:44:52 ID:??? 森崎「――って、一応驚いて見せたが、これで満足かァ!?」 浦辺「なにィ!?」 森崎は、すぐさま動揺を収めると鋭いパンチングを見舞、ボールを完全に弾き返した。 実況「防いだァ! 森崎くん、独特のホップ軌道で目を眩ます浦辺くんのシュートを、パンチングで呆気なくセービングぅ! やはり彼の守るゴールは堅いぞ! 流石は全国V2チームのキャプテンにして正GKだァ!」 南葛応援団「うおおおおおおおっ!」「流石は森崎だ! なんともないぜ!」「もっりさきっ! もっりさきっ!」 森崎「必殺技っぽかったから一応パンチしたが、キャッチでも良かったかもなァ?」 中山(……やはり簡単にはいかんな) 浦辺「グギギ、俺のブラックカイトをいとも簡単にだと!? だがっ! これで終わりじゃないぜ! ――中尾!」 中尾「おうっ!」 森崎が弾いたボールは、南葛陣内を転がっていたところを大友のFWがフォローする。 先んじて浦辺が南葛守備陣を引き付け、ドリブルで吹き飛ばしていた為、拾いに行けなかったのだ。 実況「しかし! ここは大友中が攻撃を続行! エース新田くんと要の中山くんを押さえた南葛ですが、その為か他は手薄! フリーになった他の選手が波状攻撃を続けます!」 中里(とはいえ、中山と新田の二枚看板を封じられた状態で、どう森崎を攻略するつもりでゴザルか? 拙者がこうしてマークしている以上、新田にボールは渡さんでゴザルよ) 新田「コイツ、足が速い!? 俺がマークを振り切れないなんて!(早過ぎるが、使うしかないか……)」 なかなか中里を振り切れないことに業を煮やした新田が、中尾にサインを送る。
[752]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:46:13 ID:??? 中尾「(『いつもより前に出せ』、か。少し早いが、そうだな……この分だと岸田さんのヘッドじゃ頼りないし)……オーケーっ!」 実況「大友中、ゴール前のスペースに入れて来たっ! これは新田くんにノートラップでダイレクトに決めさせる気か!? しかし、そのプレイは二年生にとって難易度が高過ぎるぞーっ!」 新田「パスを受けていたら、間に合わないんだ! でりゃ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」 中里「おおうっ!?(重りがあるとはいえ、拙者を振り切りに来た!? しかし――)」 切り返しで僅かに中里を突き放し、ボールを捉えに行く新田。だが、中里も然したるもの。すかさず追走してクリアーに行く。 森崎「おいおい、続けざまに攻め込まれ過ぎだろうが。しょうがねえ、ここは一旦キャッチしてこっちボールにするか!」 新田「(その余裕の面、すぐに凍りつかせてやるぜ!)ノートラップ・ランニングボレェエエエエ――ッ」 中里「く、クリアーっ!」 新田「――隼シュートだァ!!」 比良山(TV観戦中)「ほうっ! あの必殺シュートをボレーでか!」 猛烈な勢いで走り込み、それを殺さないまま全身のバネを活かしてボレーシュート。 追いすがった中里が僅かに触れたものの、ボールは猛スピードで南葛ゴールに飛来する。 だが、 大前(TV観戦中)「……けど、駄目だ」 森崎「(うおっ!? キャッチはキツイか!?)へっ! ちょっとはやるなァ!」 鋭く反応した森崎が、真正面でボールを掴みに行く。全力のセービングではない為、流石に球威を殺しきることは出来なかったが、 掌と手首を柔らかく使って軌道をそらし、ゴールポストに逃れる。
[753]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:47:16 ID:??? 実況「――が、駄目っ! 森崎くん、キャッチこそ敵いませんでしたが巧みに捌いてゴールを守る! 大友中、立て続けに大技を放ちますが先取点はならずっ!」 新田「くっ、惜しい! ポストだったか……」 初めて実戦でお披露目した新技が決まらなかったことに、苛立たしげに芝を叩く新田。 その様子を、憐憫の色を込めて中里がちらりと見る。 中里(ポスト『だった』のではなく『された』のでゴザルよ……認めるには、まだ若過ぎるか) 中山(本気を出すまでも無く、浦辺と新田の必殺技を立て続けに、か! 腕を上げたな! ……不謹慎だが、嬉しいぞ!) 翼(中山、早く動いて! お前からボール取ったら、ゴールまでそのまま行くから!) センター付近でその様子を眺めていた中山が、ゴクリと生唾を飲む。 テレビ画面の前の鳴紋中選手たちも、今の好セーブ劇には度肝を抜かれた。 輝林(TV観戦中)「新田くんの新技に、辛うじてとはいえ通常のキャッチのみで対応、ですか……」 渡会(TV観戦中)「憎々しいくらいに堅ェ……(俺だったら、早々にアサルトキャッチを出す羽目になってたぞ)」 末松(TV観戦中)「折角、ブロックに強いCBをひっぺがえしたチャンスだったのにな〜」 菱野(TV観戦中)「今の反応から必殺のセーブを出した際のセーブ力を算出しますと――(これは、イケますか?)」 比良山(TV観戦中)「これは大友中も、運良く取れても1点ということか。だが――」 大前(TV観戦中)「――ああ(森崎も強くなっているが、去年ほどの絶対的な差は感じない。お前もそう感じたか、比良山?)」 一方、試合の模様は――、
[754]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:48:23 ID:??? 小田「ナイッセーっ! 森崎! ……それっ!」 実況「こぼれ球は先程の接触から立ち直った小田くんがクリアーします。さあ、ここから南葛中の反撃です!」 小田が大きく前線に蹴り出したボールを、井沢がフォローする。 井沢「ナイスパス、小田!(翼は中山のマーク、翼は中山のマーク、翼は中山のマーク! つまり! この試合のゲームメイクは俺だァ!)」 実況「ボールを持ったのはもう一人の司令塔、井沢くん! 翼くんを守備に割いた今、彼が南葛の攻撃を組み立てます!」 井沢「試合が終わるころには……『もう一人の』なんて余計な肩書、降ろしてやるよ!」 岸田「させるか、井沢ァ! お前のやり口は小学校時代に、敵味方両方の視点でしっかりと――」 すかさず井沢から奪いにチェックに行った岸田。だが、井沢はそれを一顧だにせず、 井沢「……ん? 何か言ったか?」 ターン一つで、呆気なく置き去りにした。 岸田「――なにィ!?(しっかりと、把握したはずなのに!)」 実況「井沢くん、軽やかなステップで岸田くんを突き放したァ! 流石は小学生時代からの全国区プレイヤー! 『風のジャンパー』の異名を持つに相応しい、スピーディな突破です!」
[755]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:49:26 ID:??? 雪村(TV観戦中)「やるねえ、彼も。去年は長池さんに完全に押さえられていたけど……」 宇津木(TV観戦中)「だが、その経験が試合賢者の第一ぴを踏み出すリアルの苦しみの味。それを理解している雪村さんは格が違った」 達也(TV観戦中)「確かにかなり凄い突破力だけど……『風のジャンパー』?」 女性観客「きゃー♪ 井沢くん、かっこいー♪」「がんばってーっ♪」「いっざわくんっ♪ いっざわくんっ♪」 ボールを持って軽快に突き進む井沢の姿に、観客席からも黄色い声が飛ぶ。 だが、当の本人はそれを雑音と切って捨て、厳しい眼差しで相手ゴールを見据える。 井沢「……静かにしてくれっ、集中が乱れる! 俺は、この(翼がいない)隙に決めなきゃならないんだァ!」 ……女の色香には惑わされなくても、それ以上の雑念には支配はされていたが。 実況「井沢くん、エリアギリギリのところでシュートの構え! 今度は南葛が先程のお返しにゴールを狙うっ!」 西尾「井沢のミドルシュート!? なら、多分――」 一条「――分かってます! バナナシュートですね!」 井沢「読まれてる!? ……だがっ!」 相手の備えを承知で、ミドルレンジからのバナナシュートに行く。 翼への対抗心が、井沢にミドルシュートでの得点という拘りを植えつけていたのだ。 並のゴールキーパーならば、それでも問題無くゴールを上げられただろうが、 一条「……甘く見るなァ!」 井沢「なにィ!?」 大友中キーパー・一条は、鋭く反応してこれをパンチングする。
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0ch BBS 2007-01-24