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異邦人モリサキ
[229]森崎名無しさん:2012/06/07(木) 01:01:30 ID:??? 「いつもの」って何だっけ? → トリュフ
[230]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/07(木) 01:03:40 ID:??? 「いつもの」って何だっけ? → 京風懐石
[231]森崎名無しさん:2012/06/07(木) 01:15:49 ID:??? 特に何も書かれていない判定でもコテ必要だから 230の料理が選ばれるんだよな? かなり良いのが出たなあ
[232]森崎名無しさん:2012/06/07(木) 01:17:37 ID:??? 庶民的な店が出す料理じゃないな。
[233]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:20:39 ID:??? >>230 お見事です。 通常のEPに加え、CP1を進呈いたします。 *** 「へいお待ち!」 しばらくの後、店主が大きな盆に幾つもの小皿を乗せて運んでくる。 ことりと静かな音を立てて木製のテーブルに置かれたのは、 ドルファン近辺ではまず見かけない朱塗りの漆器である。 小さな皿の一つ一つには、一口大の野菜や魚が色鮮やかに盛りつけられていた。 「うひょー、これこれ! こいつを食わなきゃ始まらねえ!」 森崎が嬉々として言う。 それもそのはず、森崎の目の前に並んでいたのは他でもない、 彼の遠い故郷の料理だったのである。 手にしている食器もフォークやナイフではない、一膳の塗り箸であった。 「まさか海の向こうで、これほど繊細な都の味わいに会えるとは夢にも思わなかったぜ。 これを食えただけでも、この国に来た甲斐があったってもんだ。 給料全部はたいたって惜しくねえ味だぜ、こりゃあ」 「嬉しいことを言ってくれるねえ。ゆっくりしてってくんな」 「いっただっきまーす!」 『……ねえ、キミ』 早速先附の蒸し海老にかぶりつこうとした森崎の鼻先に、 ピコがふわりと舞い降りる。
[234]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:22:53 ID:??? 「んあ? 何だよ」 『買い物のこと、このおじさんに聞いてみたら?』 「あ、ああ……そうだったな」 『キミ、自分が何しに出てきたか完全に忘れてたでしょ』 「んなことねえよ……なあ、オヤジ」 いかにも残念そうに口に運びかけた箸を置くと、森崎が 既に踵を返していた店主を呼び止める。 「ん? どうした、モリサキ。本場の車海老と違うのは勘弁してくれよ」 「いや、そうじゃなくてよ。あんた、この店は長いんだよな」 「おう、ヤマシロでの修行から戻って、もう十年近くになるぜ」 胸を張って答える店主。 「そいつぁ頼もしい。俺ぁこの街、慣れてねえからさ。ちっと買い出しのことで聞きてえんだが」 「へへっ、この界隈のことなら酒屋のジャンの不倫相手だって知ってるぜ」 「……いやそれはいいけどよ、この辺で安くて質のいい下着と、……」 と、森崎が言いかけた、瞬間である。 店主の顔色が、変わった。 いかにも人のいい、豪快な笑顔は何かの間違いであったかのように掻き消えていた。 代わりにそこに浮かんでいたのは、憤怒と侮蔑に満ちた形相である。 それは嫌悪よりも妥協なく、憎悪よりも湿度の高い、どろりと濁り異臭を放つ感情を、形にしたものであった。 「……!?」 一瞬ぎょっとした森崎だったが、すぐにその視線が自分に向けられたものではないことに気づく。 その黒く粘つく表情が向けられているのは、その後ろ。店の入口である。 そこに一つの、小さな影があった。
[235]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:24:16 ID:??? 「テメェ……!! 二度と近寄んなって身体に教えてやっただろうが! まだ足りねえか!?」 つい今しがたまで愛想のいい言葉を紡いでいた口から吐き出されるのは、怒号である。 店中の客が何事かと店主の方に目をやり、それからその怒号の行き先に目をやって、 納得したように視線を戻す。 中には店主と同じ種類の表情を浮かべて店の入口に立つ影を睨みつける者もいた。 そこに立っていたのは、子供である。 薄汚れた襤褸を纏う、物乞いのような姿。 物乞いと違うのは、片手に銅貨らしきものを掴んで差し出しているところであった。 何かを訴えかけようとするその子供の、襤褸の隙間から溢れるくすんだ赤髪と浅黒い肌を見て 森崎が小さく呟く。 「ジタン……か」 『ジタン、って……あの、決まったところに住まずに旅を続けるっていう?』 「……ま、そういう意味じゃ俺らと似たようなもんだがよ」 ぼそりと言った森崎の言葉は、幸いにして店内の誰にも届かない。 絶え間なく響く店主の怒号と罵声に掻き消されていた。 と、ジタンの子供が小銭を片手に店内へと一歩を踏み入れる。 「……ッ!!」 「おかね、あります……。たべもの、売っ……」 子供が、その願いを言い切ることはできなかった。 店主の躊躇ない蹴りが、その腹の辺りへとめり込んでいた。 小さな影が、ひとたまりもなく店外へと飛んだ。
[236]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:25:17 ID:??? 「ふざけんな! 俺の店に病気でもばら撒く気か、この虫喰い野郎!」 怒鳴った店主が、手近なテーブルで片付けられないまま置き去りにされていた陶器のカップを掴み、投げる。 ごす、と。 店の中にいてもわかるほど、鈍い音がした。 何に当たったのかは、考えるまでもなかった。 「消えやがれ! 汚らしい垢まみれが!」 最後にそう言い捨てると、店主が乱暴に扉を閉める。 ふう、とため息をついて振り返った店主の顔には、既に怒りの色はない。 いつもの愛想のいい笑顔が戻っていた。 「……いやあ〜、お騒がせしてすみませんね皆さん。しっかり叩き出してやりましたんで、 もうここには近寄らないでしょう。さ、安心して続きを召し上がって下さい」 そう言ってから、それぞれのテーブルの客に律儀に頭を下げて回っていた店主が 最後に森崎の方へと近づいてくる。 「ああ、モリサキにも済まんことしたな。話の途中だったのに」 「いや……いいけどよ」 複雑な表情で手を振る森崎。 「やっぱここでもジタンは嫌われてるんだな」 「当たり前だろ?」 怪訝そうな顔をする店主。 まるで太陽は東から登るのかと聞かれたような、何の疑問を差し挟む余地もない即答だった。
[237]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:27:00 ID:??? 「スィーズランドだってどこだって、同じじゃねえのかい?」 「……ま、オヤジの言う通りだよ。少なくとも俺の行った国では全部似たようなもんだった」 「そうだろ」 頷いて腕を組む店主。 「まったく、いつ涌いたのかもわからねえ不吉な余所者だ。 どっから潜り込んだのか知らんが、ああいうのはお上もしっかり潰してくれねえと困るぜ」 憤懣やるかたないといった様子で渋面を作る店主に、森崎がぼそりと言う。 「ところで、俺も余所者の外国人だぜ」 「なに言ってやがる、あんた、ヒノモトはナンカツの生まれだろうが!」 何かの冗談と思ったか、店主が相好を崩して、バン、と森崎の背中を叩いた。 「あっちの旦那はアラブ人で、あそこの若いのはハンガリア人だ。 かく言う俺だって、爺さんの爺さんは北欧の出よ!」 他のテーブルの客を見やりながら快活に笑う店主。 その言葉や表情には、一片の邪気もない。 「で、モリサキ。俺に何か聞きたいことがあったんじゃなかったか?」 「ああ、いや……また今度にするよ、忙しそうだしな」 「そうかい? ……へいらっしゃい!」 軽く手を振って席を立つ森崎。 その様子に何かを言いかけた店主が、しかし扉の開く音に振り返って駆け寄っていく。 店主の背を見送った森崎は、しばし無言のまま箸を動かすのであった。 ※ガッツが50回復しました。
[238]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:29:43 ID:5V+ljkxY *** 「……ごっそさん。お代はここに置いとくぜ」 「お、すまねえなモリサキ。今後ともよろしく、またどうぞ!」 店主の威勢のいい挨拶を背に店を出る森崎の眼前を、ふわふわとピコが飛ぶ。 『この辺のお店のこと、聞きそびれちゃったね』 「ま、そんな空気でもなくなったしな。……さて、気を取り直して、どうすっかな」 *選択 A せっかくなので高級商店街へ足を伸ばしてみる。 B とりあえず他の地区へ行ってみようか。 ※選択によりイベントが発生します。 またこの後の行動回数に影響が出ます。 寄り道ができるのは全部で三箇所までです。 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【その選択肢を選んだ理由】を【森崎の視点から】 必ず付記していただくようお願い致します。 期限は『6/7 21:00』です。 *** 地球の裏側にも懐石本舗は存在した、といったところで 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
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0ch BBS 2007-01-24