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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[405]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:40:36 ID:??? *D26.8 「気のいい話題の人」森崎有三 訓練所イベント ****** 葬送の列は長く、足取りは重い。 幾十もの棺を担ぐ二百余の男たちが纏うのは例外なく黒衣である。 「……」 無言のまま歩む黒衣が担ぐ棺には、実のところ遺骸など入っていない。 撤退に撤退を重ねた負け戦に、戦死した者たちを後送する余裕などありはしなかった。 そしてまた、真夏のことである。 生き延びた者たちが再び戦場跡に赴いたとき、形を保っている骸などあるはずもない。 そもそもが鎧や剣など金目の物は敵兵や賊、付近の住民によって剥ぎ取られ、残った骸は 誰彼かまわず山積みにされている状況であった。 腐り融けた肉の山を掻き出して供養する習慣は、西欧にない。 代わりに棺に入っていたのは、死者たちが生前に使っていた形見の品々だった。 それはたとえば古びた銅貨であったり、僅かに中身の残った安酒の瓶であったり、 或いは馴染みの娼婦の肌着であったりと、形見といっても宿舎住まいの傭兵の身の上、 他愛もないものばかりである。 「……」 からり、からりと。 がらんどうの棺から、他愛もない中身の転がる、他愛もない音がする。 黒衣の男たちは、無言である。 ***
[406]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:41:37 ID:??? 「……終わった、な」 海を望む断崖の上、広い墓地の片隅にある古ぼけた石碑と、その脇の真新しい墓碑を見やって、 森崎が息をつく。 葬儀を終え、周囲には既に人の姿はない。 暮れなずむ夕陽に照らされた古い石碑は、戦死者の慰霊碑である。 個別の名を刻まれることもない、墓とすら呼べぬ古今合同の碑であった。 骸のない棺はようやく葬儀を終え、少し離れた場所に形だけ埋葬されている。 本来であれば土に還り骨だけとなるまでは静かに眠らせるものであったが、何しろ彼らは骸がない。 数日後には再び掘り起こされ、形見の品が納骨堂へと納められる手はずだった。 「……墓が作ってもらえるのはおっさんだけ、か」 慰霊碑の隣、新しい墓碑に刻まれる名はヤング・マジョラム。 正規軍大尉であった彼にのみ、遺族には恩給が支払われ、また隊葬としての経費も支給されている。 しかし、そのヤングとて骸が墓に眠るわけではなかった。 棺に入っているのは苛烈な追撃の中、辛うじて持ち帰れた彼の愛剣とマントのみである。 寡婦となったのであろう女性の、葬儀の間中そのマントを抱き締め震えていた背中を、森崎は思い起こす。 「……」 その悲しみを、推し量ることはできない。 共有することも、できない。 流れのいくさ働きを生業とする森崎が、轡を並べた男たちの死に抱くのは悲しみではなかった。 そうであってはならぬと、自らに任じてもいた。 故に、森崎はただ踵を返す。 その墓に勝利を捧げることも、復讐を誓うこともない。 「あばよ、おっさん」
[407]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:42:38 ID:??? それだけを告げ、歩き出した森崎の前。 歩を遮るように立つ、影があった。 「ユーゾー・モリサキさん、ですネ?」 「……?」 いきなり名を呼ばれ、森崎が眉根を寄せる。 立っていたのは壮年の男である。 「おっト、そう警戒しないでくださイ。怪しい者ではありませン」 「……」 そう告げた男の、しかし怪しさはこれ以上ない程である。 灰金色の頭髪を丁寧に油で撫でつけたオールバックに、几帳面に切り揃えられた顎髭と、 首から上はひとかどの伊達男といった風情。 しかし、その服装たるや惨憺たる有様である。 素肌の上に直接着ていると思しき、乱暴に二の腕までまくり上げられたシルクのシャツはまだ許せる。 ボタンを上からいくつ開けているのか、筋骨隆々たる胸元が大きくはだけているのも、 不快ではあったが男所帯の傭兵団ではまだ見慣れたものといえた。 が、そこに農夫の如き朽葉色の麻ズボンが合わされると、これは奇妙を通り越してひたすらに胡散臭い。 「……何者だ、あんた」 「オゥ、ひどい距離を感じマス……」 大袈裟に肩をすくめた男が、訛りの強い語尾でそう言うと、ため息をつく。 しかし森崎は警戒を解かない。 葬儀帰りのこと、帯剣こそしていなかったが、徒手空拳でまるきり戦えぬというわけではない。 黒衣の下、そっと固めた拳はいつでも繰り出せるように油断なく構えられていた。
[408]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:43:42 ID:??? そも、中継貿易の拠点として雑多な人種の入り混じるドルファン王都においては格別に 意識されることも少ないが、服装とはその人間の所属する組織や階級をも表すものである。 流行や文化を追う富裕層の若者であればともかく、人品卑しからぬ壮年の男性が、 どの層に身を置いているのかもわからぬような風体をしているのは、それ自体が 侮蔑と警戒の対象としてくれと大声で叫びながら歩いているようなものであった。 「……」 「マジョラム大尉のコト、残念でシタ。お悔やみ申し上げマス」 「……?」 唐突に頭を垂れ、そう言った男に森崎が戸惑ったような表情を浮かべる。 決して葬儀に参列しにきたわけではなかろう服装の男が、しかし弔辞を述べる。 その意図を量りかねていた。 そもそも内輪のこと、先の戦から日も経ったこの日に葬儀を行うことを知る者はそう多くはない。 傭兵大隊の関係者か、或いは、 「申し遅れまシタ。私、バウミール・ルーカスといいマス。陸軍外局編成部、階級はカーネル、デス」 「……陸軍? それもカーネル……相当のお偉いさんってことか? あんたが……?」 ルーカスと名乗った男の語る身分と、その風体の差異に森崎がじろじろと男を睨めつける。 「カーネルと言ってモ、傭兵の皆サンと同格でないとキチンとした話をしにくいという理由デス。 今回の皆サンはフリーですが、傭兵団の単位で雇い入れれば、隊長サンは皆カーネル扱いですからネ」 「……」 「要はハクつけの階級デス。実権は全然ありまセン。HAHAHA!!」 「……」 「まだ疑ってマスか? 心配いりまセン、モリサキさん。アナタにはこれから、私と一緒に 王城に来ていただきマス。正門顔パスなら、きっと信用してもらえマスね」
[409]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:44:48 ID:??? では参りましょウ、とやはり訛りの強い語尾でそう告げたルーカスが踵を返して歩き出すのを、 森崎が慌てて呼び止める。 「ちょ、ちょっと待て! 待ってくれ! 王城!? 軍の本部から呼び出しがかかってるってことか!?」 「ハイ、その通りデスが、何か?」 事も無げに言ってのけるルーカス。 「何か? じゃねえよ! 今更責任問題ってか!? 勘弁しろよ、おい!」 森崎が泡を食ったのも無理はない。 先の大敗を受け、騎士団では第二・第四大隊長が共に更迭の憂き目にあっている。 その段でいけば、分隊長という低い役職とはいえ部隊責任者である森崎が王城に呼び出されるということは 何らかの責めを負わされるものと考えるのも自然であった。 「責任? あー……責任といえば、責任デスが……」 「……!」 「ユーゾー・モリサキ。編成部はイリハ会戦の結果を受け、アナタに―――」 「アーアー、聞こえなーい!」 耳に手を当てて抵抗する森崎。 そんな森崎の様子に怪訝そうな顔をしたルーカスが、告げる。 「アナタに、外国人傭兵大隊の隊長就任を要請いたしマス」 「アーアー……へ?」 きょとん、とする森崎に、ルーカスが小さくため息をついて首を振り、 まるで幼子を諭すように繰り返す。 「ですかラ、アナタに新隊長を務めていただきたいのデス、モリサキ」 「……なにィ!?」
[410]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:46:25 ID:??? *** 事務手続きは簡便なものであった。 予め用意されていた何枚かの書類に署名をした、それだけである。 ****** ※称号が『気のいい傭兵隊長』になりました。 スキル『部隊指揮』を獲得しました。 種別:パッシブ 消費ガッツ:- 効果:戦争パートで傭兵大隊の指揮ができるようになり、幾つかのパラメータが追加される。 また訓練パートの項目が開放される。 ******
[411]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:47:26 ID:35jxfBfg *D26.8月 訓練選択 『今月は何をするの? これまでとは少し変わってるから、注意してね!』 森崎有三 称号:気のいい傭兵隊長 個人パラメータ: ガッツ175 剣術68 馬術10 体術62 魅力78 評価69 (ATK78 DEF140 SPD72 ini14) 部隊パラメータ: 兵数239 騎馬53 練度30 所属隊員: トニーニョ(威圧Lv1) ネイ(鼓舞Lv1) ジェトーリオ(撹乱Lv1) 剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩・部隊訓練・陳情の中から『二種類』選んで下さい。 (※隊長就任により、部隊訓練・陳情が可能になっています)
[412]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:48:35 ID:35jxfBfg ※システムメッセージ※ 新システム『陳情』について説明いたします。 これは軍上層部とかけ合って兵員の臨時増強や騎馬の優先供給を要請するものです。 評価値を消費して、それぞれの数値を増やす形式になります。 具体的なレートは以下の通りとなります。 兵数増強:兵100につき評価値20 騎馬供給:騎馬100につき評価値5 『陳情』を選ぶ際には上記を参考に、何をいくつ要請するのかを付記してください。 兵員と騎馬を同時に陳情することも可能です。 注意: このコマンドを使用しなくても、兵員や騎馬は定期的に供給されます。 また本作において、戦争パート以外で評価値を得る手段は極めて限られていますし、 評価値は様々な判定において比重が大きく設定されています。 ※システムメッセージここまで※ 同じ訓練を二つ選んでも構いません。 また個人訓練の内、剣術・馬術・体術を選んだ場合は、所属する隊員の中から 共に訓練する相手を一人だけ選ぶことができます。 所持スキルの強化・変化や、イベントによる称号取得が起こる可能性があります。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。 期限は『8/28 18:00』です。
[413]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:50:11 ID:35jxfBfg >>412訂正です。 期限は『8/28 23:00』とさせていただきます。 申し訳ございません。
[414]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:55:50 ID:??? ****** 何だかあっさり隊長に就任してしまいましたが…? といったところで 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
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0ch BBS 2007-01-24