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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[468]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:49:24 ID:??? 「ねえねえ、聞いたよ! 戦争でいっぱい、カツヤクしたんだよね! すっご〜い! カッコいいねえ〜!」 「おう、ありがとな……」 大きな瞳をきらきらと輝かせながら賞賛の雨を降らせるロリィに適当な礼を返しながら、 森崎がふと辺りを見回す。 「そういえば、今日はレズリーは一緒じゃないのか?」 「え、お姉ちゃん? いるよ?」 あっさりと返される。 しかし、もう一度見渡してもキャラウェイ通りの人波にレズリーの姿は見当たらない。 これまでの経緯を鑑みても、ロリィがこうも積極的にスキンシップを求めていれば 罵声の嵐と軽侮の視線がセットで送りつけられていてもよさそうなものだった。 それが、ない。 「あれ? さっきまでいたのに……どうしたんだろ、おトイレかな?」 『……キミ、ちょっとこの子にキョーイク、してあげた方がいいんじゃないかな』 「……ロリィ、女の子がそういうこと言っちゃダメだぞ」 ピコの助言通り、頭痛を抑えるようにこめかみを揉み解しながら忠告する森崎に、 えぇ、と抗議の声を上げてロリィが尋ねる。 「じゃ、おトイレ行くとき、オトナはなんて言うの?」 「そういうときはな、ちょっとお花を汲みに……あれ、違ったか、花を踏みに……ってのも 何かおかしいな、ええと……」 「―――お花を摘みに行ってきます、だ。ちゃんと覚えときな」 背後から響いたのは、呆れたような声である。
[469]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:50:25 ID:??? 「あ、お姉ちゃん!」 ロリィが指差すのに振り返れば亜麻色の髪と、やや吊り上がった瞳。 レズリー・ロピカーナその人である。 しかし今日はなぜか、その鋭い瞳が右に左に泳いでいる。 「おう、レズリー。夏至祭以来だな」 「よ、よぅ、モリサキ。……無事だったみたいだな」 「ま、ちったあ怪我もしたけどな。おかげさんで、もう大丈夫だぜ」 むん、と力こぶを作ってみせれば、ロリィがわあいとはしゃいでその腕にぶら下がる。 その様子にまた一悶着あるか、と身構えた森崎の眼前、しかしレズリーは頷いただけである。 「そ、そうか。それは何よりだ。……ち、よりによって余計なときに出てきやがって……」 「……?」 目を逸らしながらぼそりと呟く、その声はよく聞こえない。 「ん? 何か言ったか?」 「な、何でもないよ! そ、それより一躍時の人って感じだよな、アンタ」 「はァ?」 いかにも唐突な話題変換に、森崎が片眉を上げる。 しかしレズリーはといえば、そんな森崎の態度を無視するように言葉を続けるのだった。
[470]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:52:34 ID:??? 「戦争で大活躍だったんだってな、隊長にもなったって聞いたぜ、街の噂の的だよ」 「おい、レズリー……?」 「忙しそうだな、きっと忙しいんだろうな、うんそうだろ、この後も予定がびっしりだよな」 「いや、別に……」 「忙しいって言えよ!」 「いきなりキレんなよ……」 どうにも挙動が怪しい。 記憶の中のレズリーという少女はもっと大人びた、森崎自身にはやけに噛み付いてくるものの どこか冷めた印象を与える存在のはずだった。 「お前今日、ヘンじゃないか……?」 「何がだよ!」 怒鳴り返すレズリー。 そういうところがだよ、と言いかけた森崎よりも早く、ロリィが口を開いた。 「お兄ちゃん、オトナはこれから『ヨルノマチニクリダス』んだよね!」 「はぁ!?」 予想外の単語に、脳内での変換が遅れる。 ヨルノマチニクリダス。 よるのまちに、くりだす。 夜の街に、繰り出す。 「なるほど……」 ようやく語意を掴んだ森崎が、見上げるロリィに肩をすくめる。 「……あのなロリィ。まだ日も高いし、そもそも今日は俺、別にそんな予定……痛ッ!?」
[471]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:53:35 ID:??? 痺れるような激痛が、森崎の舌を止めた。 痛覚は、足先からやってきていた。 滲む涙を拭って見やれば、そこにはレズリーの履くアンクルブーツ。 どうやら踵で思い切り踏まれたらしい。 「お、お前な……」 「黙ってろ!」 針のような視線と刺すような言葉。 これでこそレズリー、と妙な納得をした森崎の目に、きらきらと煌めくものが映る。 手を組んでこちらを見上げる、ロリィの瞳であった。 「お洒落なバーかあ……」 その光は、燦々と降り注ぐ陽光を反射しているだけではない。 ある特定の年代にしか見えない、鏡には映らぬ憧憬という光を集めて煌めく、それは瞳であった。 「いいなあ、ロリィも行きたいなあ……」 「や、だから、何を言って……」 「ちょっと、アンタ!」 足を踏んだままのひどく近しい、体温を如実に感じる距離でレズリーが鋭く囁く。 「……頼む。話、合わせてくれよ」 目線は合わせようとせず、しかし切実な口調で言うレズリー。 「つってもお前、俺には何のことだかさっぱり……」 「いいから!」 言って森崎を突き放すようにしたレズリーが、ロリィに向き直る。
[472]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:54:36 ID:??? 「ロ、ロリィはまだ子供だから酒場には入れないんだ。大人になってからな」 「そうなんだあ……でもお姉ちゃんとかお兄ちゃんは、いっつも行ってるんだよね?」 「そ、そうだよ。アタシらくらいになれば、もう顔パスさ。な?」 と、そこで言葉を切ってちらりと森崎に目線を送るレズリー。 額に汗の珠が浮かんでいるのは、暑さのためばかりではあるまい。 「……そういうことか」 ようやく合点がいったように頷き、小さくため息をつく森崎。 その間にも、ロリィの憧れに満ちた瞳は攻勢を続ける。 「じゃあ、じゃあ、もしかして、『いつもの』とか言っちゃうの?」 「と、当然だね」 「わあ! お姉ちゃん、カッコいい〜!」 「はは……そ、それほどでもないよ」 引きつったように笑うレズリー。 「ねぇねぇ、『いつもの』って言うと、何が出てくるの?」 「え!? ……そ、それはお前、アレだよ……お酒の、」 「お酒の?」 「えーと、ほら……」 口ごもったレズリーが、森崎にちらちらと目配せをする。 (……どうしたもんかな) しばし逡巡した森崎が、やがて口を開く―――
[473]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:56:42 ID:qowjHo82 *選択 A 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか」 助け舟を出す B 「最近はアドヴォカートにハマってるって言ってなかったか? ……あれ? ところでアドヴォカートって何だっけ、レズリー?」 悪ノリする 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『9/7 24:00』です。 ****** 余談ながらGMは日本酒党、田酒・獺祭・酔鯨といったところがお気に入りです。 といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[474]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/07(金) 10:20:12 ID:??? Aレズリーに恩を売りつつ、俺はワインも良いがビールの方が好きだがね、と自らの趣向を言っておきたいですね。
[475]◆9OlIjdgJmY :2012/09/07(金) 23:35:41 ID:??? A 以前トニーニョに釘を刺されてますし、あまりからかわないであげようかなと。
[476]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:37:01 ID:??? 皆様、ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>473の選択については…… >>474 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます! 森崎、何気に朝からビール呑んだりしてますからね。 もっともこの時代には気軽に使える氷も冷蔵庫もありませんから常温ですけど……。 今でも日本以外ではそういう呑み方をする国も多いと聞きます。 CP3を進呈いたします。 >>475 そうですね、人を呪わば穴二つと言いますし、あまり弱り目に祟り目状態を楽しんでいると 思わぬしっぺ返しがくることもあるかもしれません。
[477]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:38:12 ID:??? *** A 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか」 助け舟を出す 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか。 ま、俺はビール党だからな。レズリーとはよく意見がぶつかるよ」 森崎がそう言うと、レズリーがぶんぶんと首肯する。 「え、あ、そ、そうだね。やっぱり赤だよ。ヴァン=トルキアの。夏だし」 そうだな、夏だな、といかにも適当に相槌を打ってやる森崎の呆れたような視線にも、 レズリーはまるで気付く様子がない。 この間の鋭さと勘の良さはどこかに置き忘れてきたのか、と内心で肩をすくめる森崎の前で ロリィが瞳を輝かせて頷く。 「ふーん、やっぱりお姉ちゃん、オトナだね! でもケンカはダメ、だよ?」 「わ、わかったかい? じゃあ、アタシたちは行きつけの店に……」 と、森崎に目配せしてそそくさと立ち去ろうとしたレズリーの腕に、ぽすんとロリィが飛び込んだ。 「ロリィ、お店まで着いてってあげるね!」 「え……」
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0ch BBS 2007-01-24