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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[472]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:54:36 ID:??? 「ロ、ロリィはまだ子供だから酒場には入れないんだ。大人になってからな」 「そうなんだあ……でもお姉ちゃんとかお兄ちゃんは、いっつも行ってるんだよね?」 「そ、そうだよ。アタシらくらいになれば、もう顔パスさ。な?」 と、そこで言葉を切ってちらりと森崎に目線を送るレズリー。 額に汗の珠が浮かんでいるのは、暑さのためばかりではあるまい。 「……そういうことか」 ようやく合点がいったように頷き、小さくため息をつく森崎。 その間にも、ロリィの憧れに満ちた瞳は攻勢を続ける。 「じゃあ、じゃあ、もしかして、『いつもの』とか言っちゃうの?」 「と、当然だね」 「わあ! お姉ちゃん、カッコいい〜!」 「はは……そ、それほどでもないよ」 引きつったように笑うレズリー。 「ねぇねぇ、『いつもの』って言うと、何が出てくるの?」 「え!? ……そ、それはお前、アレだよ……お酒の、」 「お酒の?」 「えーと、ほら……」 口ごもったレズリーが、森崎にちらちらと目配せをする。 (……どうしたもんかな) しばし逡巡した森崎が、やがて口を開く―――
[473]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:56:42 ID:qowjHo82 *選択 A 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか」 助け舟を出す B 「最近はアドヴォカートにハマってるって言ってなかったか? ……あれ? ところでアドヴォカートって何だっけ、レズリー?」 悪ノリする 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『9/7 24:00』です。 ****** 余談ながらGMは日本酒党、田酒・獺祭・酔鯨といったところがお気に入りです。 といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[474]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/07(金) 10:20:12 ID:??? Aレズリーに恩を売りつつ、俺はワインも良いがビールの方が好きだがね、と自らの趣向を言っておきたいですね。
[475]◆9OlIjdgJmY :2012/09/07(金) 23:35:41 ID:??? A 以前トニーニョに釘を刺されてますし、あまりからかわないであげようかなと。
[476]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:37:01 ID:??? 皆様、ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>473の選択については…… >>474 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます! 森崎、何気に朝からビール呑んだりしてますからね。 もっともこの時代には気軽に使える氷も冷蔵庫もありませんから常温ですけど……。 今でも日本以外ではそういう呑み方をする国も多いと聞きます。 CP3を進呈いたします。 >>475 そうですね、人を呪わば穴二つと言いますし、あまり弱り目に祟り目状態を楽しんでいると 思わぬしっぺ返しがくることもあるかもしれません。
[477]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:38:12 ID:??? *** A 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか」 助け舟を出す 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか。 ま、俺はビール党だからな。レズリーとはよく意見がぶつかるよ」 森崎がそう言うと、レズリーがぶんぶんと首肯する。 「え、あ、そ、そうだね。やっぱり赤だよ。ヴァン=トルキアの。夏だし」 そうだな、夏だな、といかにも適当に相槌を打ってやる森崎の呆れたような視線にも、 レズリーはまるで気付く様子がない。 この間の鋭さと勘の良さはどこかに置き忘れてきたのか、と内心で肩をすくめる森崎の前で ロリィが瞳を輝かせて頷く。 「ふーん、やっぱりお姉ちゃん、オトナだね! でもケンカはダメ、だよ?」 「わ、わかったかい? じゃあ、アタシたちは行きつけの店に……」 と、森崎に目配せしてそそくさと立ち去ろうとしたレズリーの腕に、ぽすんとロリィが飛び込んだ。 「ロリィ、お店まで着いてってあげるね!」 「え……」
[478]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:39:12 ID:??? その引きつった表情を見るに、ロリィを煙に巻いた後は実際に店に入らずに 済ませるつもりだったようである。 この分ではそもそも、入る店の目星がついているかどうかも怪しい。 詰めの甘い少女に小さく首を振ると、森崎が率先して歩き出し、振り返って声をかける。 「ほら、それじゃ行くぜ。二人共」 「え、……あ」 「うん!」 夏空の下、ロリィの元気な返事だけが、高らかに響いた。 ***
[479]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:40:18 ID:??? 「……周りの目が白いんだが」 窓のない半地下の店内では、夕刻にもまだ早い時分から幾組かの客がグラスを傾けている。 客といっても仕事にあぶれ、酒に溺れるという類の酔漢ではない。 避暑に軽くアルコールを嗜む富裕層の婦人とその従者や、あるいは商談を交わしているらしき 異国の商人たちなど、落ち着いた佇まいの店に相応しい人々である。 陽が落ちれば雇いの音楽家による演奏が始まり、酒そのものや店の雰囲気を味わう客層も 姿を見せ始めるだろう。 キャラウェイ通り北、『砂丘の星』亭はそういった店だった。 「アタシだって、もう帰りたいよ……」 「つまらん見栄を張るからだ」 森崎たち腰掛けるのはカウンター席である。 振り返らなければ他の客の様子は見えないが、しかし背中越しに感じる視線は気のせいではないだろう。 原因は隣に座る少女、レズリーであった。 「はあ……」 大きなため息に艶はなく、ただ緊張と疲労が口から漏れただけという体である。 ぐったりと丸めた背中を唐突に伸ばしたかと思うときょろきょろと周りを見やり、 内装を睨み、わざわざ振り返って他の卓の客と目を合わせては慌てて向き直る、 そんなことを繰り返している。 まずカウンター席に座らせるまでが一苦労、座らせても一向に面倒が収まらぬ。
[480]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:41:19 ID:??? 「いいからちょっと落ち着け」 ため息をつきたいのはこっちだ、と思いながら森崎が言う。 レズリーという少女、実際の歳よりも上に見える端正な顔立ちである。 もとより背も高く、発育もいい。 今日の服装とてアースカラーをベースにしてタイトなレザーのベストでまとめた、 強気な女性らしさを前面に押し出したものである。 堂々としていれば決して奇異の視線を集めるような外見ではないはずだったが、 何しろ挙動が不審なことおびただしい。 結果的に周囲の耳目を一身に集中させてしまっているのだった。 「うぅ……そんなこと言われてもさ」 「ったく……」 形のいい、少し薄い唇が今ばかりは力なく半開きになっているのへ眉根を寄せた森崎に、 カウンターの中から店主らしき男が注文を聞いてくる。 「何にしましょう」 「あー、そうだな……」 気分的には盛大に深酒をして憂さを晴らしたくもあったが、そうもいかない。 明日には執務机に積まれるだろう書面の山と、陽子の悪魔じみた笑顔が脳裏をよぎる。 そもそも隣の少女を、心ならずもエスコートせねばならぬ立場であった。 「それじゃ、」 適当に軽いアルコールを頼もうとした森崎だったが、それを制するように上がる声があった。 「―――い、いつもの!」 言わずと知れた、レズリーである。
[481]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:42:20 ID:??? 一瞬で周囲の空間を制圧した沈黙の中、もしかしたらこの少女は極度に緊張に弱い質なのだろうか、 などとぼんやり思考した森崎が、困ったように視線を向けてくる店主に苦笑を返す。 「……何かソフトドリンク、出してやってくれ。俺にはエール」 「かしこまりました」 *** 「……ロリィのやつが、あんなこと言うから。引きずられただけだからな」 グレープジュースの満たされたグラスを前にして、レズリーがぶすりとした顔で呟く。 森崎が何かを口にする前に先手を打ったつもりらしいが、さすがにその段は通らない。 首を振った森崎が、常温の麦酒で喉を湿らせながら言う。 「初めての店であんな注文、通じるわけねえだろ……」 「だから、わかってるよ! そんなこと! もういいだろ!」 語調は強いが、森崎を睨む目には力がない。 「……そういうアンタは、随分慣れてるみたいじゃないか」 「そうでもねえよ。普段来るのはこんな高い店じゃなくて、安い呑み屋だし。 ま、それでも商売柄、色んな国の色んな場所に顔は出してっからな」 「……ふぅん」
[482]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:43:21 ID:??? しばらく、静かにグラスを傾ける時間が続いた。 陶器のカップではなくグラスを使う辺りは高級店の面目躍如といったところだったが、 レズリーという少女、そこには何の反応も示さない。 普段からグラスを使い慣れているのであれば、それなりに裕福な家庭に育ったのだろう。 豪農、商人、あるいは役人、高級軍人。 はすっぱな口調、手のかかった服装。 手がかりは少なく、正解を知りたいわけでもない。 単に、時間を潰したかっただけである。 そんな風に益体もない想像を巡らせる森崎の沈黙を破ったのは、カウンターに頬杖をついた少女だった。 「退屈」 「……お前なあ」 じろりと森崎。 「ガキみたいなこと言うなよ」 「ヘン、どうせアタシはガキ扱いされてるじゃないか。 出されるのはワインやシードルどころかこんなジュースだしさ」 手がつけられない。 本当に、強気で尖った少女はどこへ消えたのかと、麦酒を口に含んで香りを楽しみながら 森崎が低い天井を仰ぐ。 もしかしたら、と思う。 普段ロリィという子供じみた存在と接している分、どこかで無理をしているのかもしれない。 今日の浅はかな背伸びなどその典型だろうし、あんなことを続けていれば疲れもしよう。 森崎の知る友人という概念とは随分と違う、奇妙な関係。 ふと、それが気になった。
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0ch BBS 2007-01-24