※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[805]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 20:19:10 ID:??? ****** *D26.9月 「気のいい剣士」森崎有三 メインイベント 『元気!』 「う〜ん……」 『どうしたの? 馬車に轢かれた蛙みたいな声出して』 初秋の陽射しはまだまだ肌を刺激する。 日陰に入れば実感できる涼しさが夏の終わりを告げていたが、森崎有三には それを堪能する余裕はないようだった。 ピコが訊くのへ、森崎が渋面を作りながら言う。 「いや、なんつーか。俺、この道に呪われてる気がしてよ……」 『あー、まあ……ね』 森崎が歩いているのは、学園通りの並木道である。 傍らには学園の高い塀が決して不審者の侵入を許さぬとばかりに聳え立つ、 朝夕には登下校の学生たちで溢れかえるであろうその道をしみじみと眺めて 森崎が深いため息をつく。 ソフィアの婚約者を名乗る男、ジョアンと初めて遭遇したのもこの道すがらであれば、 犬に吠えられていたロリィを助けて騒動に巻き込まれたのもこの近辺である。 『ていうか、大抵は女のコ絡みだね。しかも若くて可愛い』 「……」 事実を否定もできずにごほんと咳払いをした森崎が、何事もなかったように辺りを見回す。
[806]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 20:20:11 ID:??? 「……ま、しかし今日は大丈夫だろ。誰もいねえし」 森崎の言葉通り、時間帯によっては混雑する道も今は閑散としている。 時折通りすがる乗合馬車の、蹄と車輪が石畳を噛む音が森崎の耳に響いてくるだけだった。 『登校時間はもう終わってるからね。重役出勤なんてキミも偉くなったもんだよ』 「嫌味な言い方すんな! 軍令部に呼び出されてただけだろうが! ほら、あれ! あの書類!」 『はいはい、お疲れ様〜』 「くっそう……人の苦労も知らないで」 『知ってるけどね』 地団駄を踏む森崎にちろりと小さな舌を出すと、白い雲も長閑な空に舞い上がったピコが くるりと輪を描いてみせる。 『ていうか、前見て歩きなよ。馬車に轢かれるよ』 「大丈夫だって。こうやって見渡す限り誰もいねえんだから。 ははっ、俺を何かに巻き込む運命ってやつがあるなら、是非とも底力を見せてもらいたいもんだね」 言って両手を挙げた森崎が、石畳の上で軽いステップを踏む。 『またそうやって、調子に乗ってると危ないからね!』 「どうなるってんだ? 右見て、左見て、前と後ろも問題なし―――」 と。 森崎の視界にふと影がさしたのは、その瞬間である。 右でも左でも、前後でもないそれは、 「―――ちくしょう! 上だったかよ!」 不意を突かれた森崎が、しかし咄嗟に見上げたその視界に映ったのは、 ふわりと広がるチェック柄の布と小麦色の肌である。
[807]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 20:22:23 ID:PaEHKKCc *チェック (体術+剣術)判定 目標値【16】 → !numnum ※ !と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。 難易度【ターン係数50+やや難60】−{(体術+剣術)/2=94}を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。 00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。 結果によって展開が分岐します。 成功→ 落ちてきたものを咄嗟に受け止める! 失敗→ 落ちてきたものを華麗に避ける! ****** なんと一週間のブランクという体たらくには申し開きのしようもありません……!
[808]傍観者 ◆YtAW.M29KM :2012/10/12(金) 20:30:36 ID:??? 目標値【16】 → 15 中世ヨーロッパにジャガイモとトマトはなく、中世日本に醤油はない…というのは結構面白いポイントだよね。
[809]傍観者 ◆YtAW.M29KM :2012/10/12(金) 20:31:47 ID:??? …EP5を支払います。いきなりこれか!w
[810]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/10/12(金) 20:34:51 ID:??? あと何人ぐらいヒロイン出て来るんだろう?
[811]◆W1prVEUMOs :2012/10/12(金) 20:42:49 ID:??? 正ヒロイン候補は五人と言ってたけど、今まで出てきた女性の誰がヒロインで誰が脇役なのか自分には分からない(笑)
[812]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:08:19 ID:??? >>808 トマトのないイタリア料理やポテトのないドイツ料理は、今からだと想像できませんね。 まあ、そもそも料理と呼べるほど食材にバリエーションを持てたのはある程度以上の 富裕層だけかもしれませんが。 >>810-811 正ヒロインはソフィア、レズリー、ロリィ、それから今まさに出てきた娘と、 来月に初お目見えする娘で打ち止めですね。 原作だとこれまでに出てきたキャロル、スー、クレアさん(と、一応ノエル)なども ヒロインなのですが、本作ではサポートキャラとして登場いただいております。
[813]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:09:50 ID:??? それと万が一全ヒロインの攻略に失敗した場合でも、ピコだけは森崎から離れません!w *** 成功→ 落ちてきたものを咄嗟に受け止める! 「くっ……、っと!」 森崎がそれを受け止めようとしたのは、頭上に差す影の主が女学生であると瞬時に認識した故である。 濃紅色のチェック柄は、学園に通う生徒のスカートの布地であった。 『何でそんなこと覚えてるのさ!』 相方が鋭く指摘するのを聞き流しながら森崎が腰を落とし、両手を差し出す。 足を下に落ちてくるそれを掬うように片腕を差し入れ、切っ先を受け流すようにその軌道を逸らし、 傾いだ上体を、空いた腕で支える。 重量は、ひと一人分。 支えるだけの力を、森崎という男は十二分に持っている。 ふわり、と。 流れるように、その落下物は一切の衝撃なく、森崎の腕の中に収まっていた。 「……ふう」 「……?」 一仕事終えた感で息をつく森崎の眼前。 ほんの拳ひとつ、ふたつの間を空けた向こうに、きょとんとした顔がある。 少年のように襟足で短く切り揃えた髪は栃栗色。 大きく見開かれた瞳は黒に近かったが、吐息を感じるような距離で覗けば濃紺であることがわかる。 そのごく近い顔が、事態を理解できずにいる空隙から驚愕へと変わるのは正しく一瞬のことだった。
[814]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:10:52 ID:??? 「―――え、えぇっ!? わわ、なに、きゃぁっ!?」 「あ、こら、暴れるな!」 『いや、驚くでしょ。実際』 遠くから他人事のように言うピコに内心で舌打ちしながら、森崎が腕の中の少女を宥めようとする。 「下ろす! いま下ろすから暴れんな!」 「いや、やだ、はな、離して! なに!?」 「ええい、くそっ……うわっ!?」 「きゃあっ!?」 どすんと重い音は、森崎の腕から解放された少女が石畳の上に落下した音である。 「いったたた……」 「だから暴れんなっつったのに……」 呻きながら腰を擦る少女に、森崎が呆れたように漏らす。 そんな声が聞こえたか、少女がきっと森崎を見上げると、口を開いた。 「もう! 何なのさ、キミは!」 「そりゃこっちの台詞だ!」 さすがに言いがかりも甚だしいと、間髪入れずに言葉を返す森崎。 「いきなり落ちてきたのを受け止めてやったんだろうが! つーかお前は一体何なんだ! 一体どっから降ってきた!?」 「う……」 森崎の剣幕に圧されたか、あるいは痛いところを突かれたのか。 少女の表情から見る間に勢いが失われていく。 ちらりと目をやったのは、傍らの高い壁である。
[815]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:11:53 ID:??? 「……お前、学園の生徒だろ」 「え、あ……ははは」 「笑ってごまかそうとするな! つーか、まさかこの壁の上から飛び降りたのか……」 言って森崎が見上げる壁は、彼自身の背丈よりも高い。 自衛意識の現れであろうか、忍び返しの類こそ設置されてはいなかったが、それでも 森崎が腕を伸ばして飛び上がったとしても届かないような位置に、その縁はあった。 「ま、まあ、その……」 と、少女が口ごもった、その時。 「―――ショースキーさん! まだそこにいますね!」 高い塀の向こうから響いたのは、女性の声である。 「おや、この声はいつぞやの……」 『キミが鼻の下を伸ばしてた……』 「やばっ! オルガ先生!」 そうそう、そんな名前だった、と頷いた森崎の手を、がしりと掴むものがある。 小麦色の肌と少し高めの体温。 眼前の少女の手に他ならなかった。 「とにかく、ここはマズいから! こっち!」 「お、おい!? 何で俺を引っ張る!?」 「いいから!」 森崎の声には聞く耳持たず、少女は走りだす。 必然、森崎も共に走る形となった。
前
次
写
0ch BBS 2007-01-24