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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[839]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/18(木) 18:23:15 ID:??? 「ね、こないだの戦いで活躍したっていう傭兵の隊長さん……だよね」 「あー、まあ、活躍したかどうかは知らんが……傭兵は、傭兵だ。今は隊長でもある……が」 『またまた、照れちゃって』 「……」 『わあっ! 何するのさ!』 退屈していたのかやかましく茶々を入れるピコを、何気なく腕を伸ばす仕草を装って追い払う森崎。 暗闘に気づいた風もなく、ハンナが何度も頷く。 「……やっぱり」 「だったらどうした」 しばらく森崎を見上げたままでいたハンナが、森崎から手を離して立ち上がる。 と、意を決したように口を開いた。 「練習、みてほしいんだ」 「……は?」 予想外の言葉に、思わず訊き返してしまう森崎。 「ボクの練習。走るとこ、見てほしい。それで、直せるところがあったら教えてほしいんだ」 「なにィ!? 何で俺が……」 『まあ、競技は素人だしねえ』 懲りずにまとわりつく相方の言葉も、今度ばかりは正論である。 しかしハンナは訥々と続ける。
[840]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/18(木) 18:24:15 ID:??? 「ボク、ずっと独りで練習してるから……教えてくれる人もいないし。 今の練習でいいのか悪いかも、よくわかんなくなってきてて、それで焦ってたんだ。 ……でも、だからさっきの話、こう、ずーんって響いたんだよ!」 言ったハンナが、森崎の手をとって、縋るように言う。 意識しているわけでもないだろうが、距離は互いの身体の温もりを感じるほどに程近い。 「ね、お願い! 一回、一回みてくれるだけでもいいから! これも……『エン』だと思って!」 *選択 A 「しゃーねえ……乗りかかった船だ!」 快諾する。 B 「ったく……一度だけでもいいんだな?」 渋々承諾する。 C 「俺、忙しいんだってば……」 一応抵抗してみる。 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『10/18 24:00』です。
[841]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/18(木) 18:25:26 ID:9+77bZxM ****** 森崎、年上モード。といったところで、 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 お付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[842]森崎名無しさん:2012/10/18(木) 21:29:16 ID:??? A一度だけって事なので快諾してあげた方が良いと思います。 本来は陸上専門の人に観て貰わないといけないんだぞと言っといてあげたいと思います。
[843]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/10/18(木) 21:30:17 ID:??? A一度だけって事なので快諾してあげた方が良いと思います。 本来は陸上専門の人に観て貰わないといけないんだぞと言っといてあげたいと思います。
[844]◆W1prVEUMOs :2012/10/18(木) 22:35:46 ID:??? A この縁をこれから何度も出会う縁にするために
[845]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:39:57 ID:??? 皆様、ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>840の選択については…… >>843 さら ◆KYCgbi9lqI様のご回答を採用させていただきます! 「気のいい」森崎らしい返答ですね。 ただ世の常として、一生のお願いというものほど何度でも来るものでして…w ともあれCP3を進呈いたします。 >>844 はい、この出会いもきっと強い縁となるでしょう。 というかこの先しばらくはハンナともう一人絡みのイベントが続いたりします。 収穫祭を挟んだりはしますけど。
[846]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:41:07 ID:??? *** A 「しゃーねえ……これも乗りかかった船だ!」 森崎がそう口にした瞬間、ハンナの笑顔が弾けた。 夏の太陽のような、直視するには眩しい笑顔である。 「やった! ありがとう、……え〜っと、」 「森崎。森崎有三だ。ったく、名前も知らない奴に頼むなよ」 半ば呆れながら言う森崎に、 「ありがと、モリサキコーチ!」 「なにィ!?」 抱きつかんばかりの勢いでハンナが喜んでいる、その目の前で森崎は何気ない呼称に愕然とする。 「コーチ、だと……?」 「え? だって教えてくれるんだからコーチでしょ?」 『あ〜あ……ま、いつものことだけどね』 何かおかしいかな、と一切の疑問を持たない顔で訊き返すハンナに、 森崎が慌てたように答える。 「いや、だから俺、素人だっつーの。コーチなんて呼ばれるような目も知識もねえよ! それでもよけりゃ一度くらいのアドバイスはしてやるけどな、ホントは専門家に見てもらった方が、」 「お金がない」 「う……」 にべもない返事である。
[847]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:42:08 ID:??? 「そういう人はだいたい、貴族とかお金持ちに雇われちゃうんだよ。 ボクなんかには会ってもくれない」 「そ、そんなもんか……」 『まあ、プロは報酬で動くものだからねえ』 二の句が継げず森崎が黙るのへ、ピコがその肩に舞い降りてぽむぽむと頬を叩く。 慰めているつもりなのか、からかっているのかは判然としない。 考えてみれば、そう不思議な話でもなかった。 森崎自身、より良い条件を求めて流浪する傭兵である。 「ま、ないものねだりしてても仕方ないし! 練習始めよ、コーチ!」 「慣れねえなあ……せめてモリサキって呼んでくれねえかな」 あっけらかんと言い放つハンナが、森崎の手をとって公園の半ばへと歩き出そうとする。 ほとんど引きずられながら呟いた森崎に、ハンナが振り返った。 「ん? 何か言った、コーチ?」 『諦めが肝心だよ、コーチ!』 「もういいや……」 深いため息は諦念と、気分の切り替えの合図である。 顔を上げた森崎の表情には既に暗さは残っていない。 「けどな、練習つっても、俺まだ何にも知らねえぞ。走るってことしか聞いてねえ」 「うん、そうだね。じゃ、まず軽く説明しておくよ」 「そうしてくれ」 頷いて、森崎へと向き直るハンナ。
[848]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:43:10 ID:??? 「走るっていっても、ボクがやってるのはマラソンとかじゃなくてね。 六アルパンの短距離走なんだ」 「六アルパン……てえと、凡そ四町か」 聞いた距離を、森崎は自身に馴染みのある単位に換算しようとする。 それを耳にしたハンナが、胡乱げに聞き返す。 「シチョウ?」 「ああ、俺の故郷での長さの数え方だ」 「ふぅん、面白いね」 『九分の一里くらいかあ。……それって短い距離っていうかな?』 「まあ、大体わかった。続けてくれ」 言われたハンナが、今度は森崎から数歩離れて広大な芝生の向こう側を指した。 「この公園……走る以外にも色んな競技ができるようになってるんだけどね。 あの真ん中くらいに、芝生が切れてるところがあるでしょ?」 「ああ……確かに」 「あそこが、トラック。ボクたちの戦場」 ハンナの指差す先、運動公園の中心近く。 大きな楕円を描くように芝生が途切れ、赤土が覗いている。 「あれの縁をぐるっと一周するのが、ちょうど六アルパン」 「そりゃ、わかりやすくて助かるな」 なるほど、と森崎が頷く。 となればコースの構成は長い直線だけでなく、二度の大きな曲線を含むことになる。 距離からしても瞬発力だけでなく持久力、そして曲線をいかにしてスピードを落とさずに 曲がりきるかという技術も求められる、難しい競技であろうことが想像できた。
[849]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:44:10 ID:??? と、そんなことを考える森崎にハンナが何気なく説明を継続する。 「スポーツの祭典で使うのは、競技場の中にあるトラックだけどね。大きさは同じなんだ」 「ちょっと待て、スポーツの祭典って?」 さらりと出てきた単語に、森崎が引っかかる。 一瞬、怪訝そうな顔をしたハンナがすぐに合点がいったというように首を縦に振った。 「……ああ、そっか。コーチは傭兵さんだから、この春にドルファンに来たんだよね。 なら知らないのも無理はないね」 うんうん、とひとり頷いたハンナが、どこか得意げな顔で続ける。 「毎年十一月に、そういう催しがあるんだよ。スポーツの競技会。 王室主催で、すっごく大掛かりなんだ!」 両手を広げ、大袈裟な身振りを交えて言うハンナ。 「何日もかけて、色んな競技……ボクがやってる競争や、マラソン、水泳、ナインピンズ、 やり投げ、幅跳び、高飛び、フットボール……とにかく色んなもので一番を競うんだよ。 首都城塞だけじゃなくて、この国全部から選手が集まってくるんだから! で、舞台は―――あそこ」 目を輝かせながら言ったハンナが、びしりと指さしたのは広大な運動公園の遥か向こう、 森崎が立つのとは反対側に位置する、巨大な建造物である。 「あれは……確か」 『スタジアム、だね』
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0ch BBS 2007-01-24