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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[841]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/18(木) 18:25:26 ID:9+77bZxM ****** 森崎、年上モード。といったところで、 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 お付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[842]森崎名無しさん:2012/10/18(木) 21:29:16 ID:??? A一度だけって事なので快諾してあげた方が良いと思います。 本来は陸上専門の人に観て貰わないといけないんだぞと言っといてあげたいと思います。
[843]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/10/18(木) 21:30:17 ID:??? A一度だけって事なので快諾してあげた方が良いと思います。 本来は陸上専門の人に観て貰わないといけないんだぞと言っといてあげたいと思います。
[844]◆W1prVEUMOs :2012/10/18(木) 22:35:46 ID:??? A この縁をこれから何度も出会う縁にするために
[845]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:39:57 ID:??? 皆様、ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>840の選択については…… >>843 さら ◆KYCgbi9lqI様のご回答を採用させていただきます! 「気のいい」森崎らしい返答ですね。 ただ世の常として、一生のお願いというものほど何度でも来るものでして…w ともあれCP3を進呈いたします。 >>844 はい、この出会いもきっと強い縁となるでしょう。 というかこの先しばらくはハンナともう一人絡みのイベントが続いたりします。 収穫祭を挟んだりはしますけど。
[846]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:41:07 ID:??? *** A 「しゃーねえ……これも乗りかかった船だ!」 森崎がそう口にした瞬間、ハンナの笑顔が弾けた。 夏の太陽のような、直視するには眩しい笑顔である。 「やった! ありがとう、……え〜っと、」 「森崎。森崎有三だ。ったく、名前も知らない奴に頼むなよ」 半ば呆れながら言う森崎に、 「ありがと、モリサキコーチ!」 「なにィ!?」 抱きつかんばかりの勢いでハンナが喜んでいる、その目の前で森崎は何気ない呼称に愕然とする。 「コーチ、だと……?」 「え? だって教えてくれるんだからコーチでしょ?」 『あ〜あ……ま、いつものことだけどね』 何かおかしいかな、と一切の疑問を持たない顔で訊き返すハンナに、 森崎が慌てたように答える。 「いや、だから俺、素人だっつーの。コーチなんて呼ばれるような目も知識もねえよ! それでもよけりゃ一度くらいのアドバイスはしてやるけどな、ホントは専門家に見てもらった方が、」 「お金がない」 「う……」 にべもない返事である。
[847]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:42:08 ID:??? 「そういう人はだいたい、貴族とかお金持ちに雇われちゃうんだよ。 ボクなんかには会ってもくれない」 「そ、そんなもんか……」 『まあ、プロは報酬で動くものだからねえ』 二の句が継げず森崎が黙るのへ、ピコがその肩に舞い降りてぽむぽむと頬を叩く。 慰めているつもりなのか、からかっているのかは判然としない。 考えてみれば、そう不思議な話でもなかった。 森崎自身、より良い条件を求めて流浪する傭兵である。 「ま、ないものねだりしてても仕方ないし! 練習始めよ、コーチ!」 「慣れねえなあ……せめてモリサキって呼んでくれねえかな」 あっけらかんと言い放つハンナが、森崎の手をとって公園の半ばへと歩き出そうとする。 ほとんど引きずられながら呟いた森崎に、ハンナが振り返った。 「ん? 何か言った、コーチ?」 『諦めが肝心だよ、コーチ!』 「もういいや……」 深いため息は諦念と、気分の切り替えの合図である。 顔を上げた森崎の表情には既に暗さは残っていない。 「けどな、練習つっても、俺まだ何にも知らねえぞ。走るってことしか聞いてねえ」 「うん、そうだね。じゃ、まず軽く説明しておくよ」 「そうしてくれ」 頷いて、森崎へと向き直るハンナ。
[848]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:43:10 ID:??? 「走るっていっても、ボクがやってるのはマラソンとかじゃなくてね。 六アルパンの短距離走なんだ」 「六アルパン……てえと、凡そ四町か」 聞いた距離を、森崎は自身に馴染みのある単位に換算しようとする。 それを耳にしたハンナが、胡乱げに聞き返す。 「シチョウ?」 「ああ、俺の故郷での長さの数え方だ」 「ふぅん、面白いね」 『九分の一里くらいかあ。……それって短い距離っていうかな?』 「まあ、大体わかった。続けてくれ」 言われたハンナが、今度は森崎から数歩離れて広大な芝生の向こう側を指した。 「この公園……走る以外にも色んな競技ができるようになってるんだけどね。 あの真ん中くらいに、芝生が切れてるところがあるでしょ?」 「ああ……確かに」 「あそこが、トラック。ボクたちの戦場」 ハンナの指差す先、運動公園の中心近く。 大きな楕円を描くように芝生が途切れ、赤土が覗いている。 「あれの縁をぐるっと一周するのが、ちょうど六アルパン」 「そりゃ、わかりやすくて助かるな」 なるほど、と森崎が頷く。 となればコースの構成は長い直線だけでなく、二度の大きな曲線を含むことになる。 距離からしても瞬発力だけでなく持久力、そして曲線をいかにしてスピードを落とさずに 曲がりきるかという技術も求められる、難しい競技であろうことが想像できた。
[849]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:44:10 ID:??? と、そんなことを考える森崎にハンナが何気なく説明を継続する。 「スポーツの祭典で使うのは、競技場の中にあるトラックだけどね。大きさは同じなんだ」 「ちょっと待て、スポーツの祭典って?」 さらりと出てきた単語に、森崎が引っかかる。 一瞬、怪訝そうな顔をしたハンナがすぐに合点がいったというように首を縦に振った。 「……ああ、そっか。コーチは傭兵さんだから、この春にドルファンに来たんだよね。 なら知らないのも無理はないね」 うんうん、とひとり頷いたハンナが、どこか得意げな顔で続ける。 「毎年十一月に、そういう催しがあるんだよ。スポーツの競技会。 王室主催で、すっごく大掛かりなんだ!」 両手を広げ、大袈裟な身振りを交えて言うハンナ。 「何日もかけて、色んな競技……ボクがやってる競争や、マラソン、水泳、ナインピンズ、 やり投げ、幅跳び、高飛び、フットボール……とにかく色んなもので一番を競うんだよ。 首都城塞だけじゃなくて、この国全部から選手が集まってくるんだから! で、舞台は―――あそこ」 目を輝かせながら言ったハンナが、びしりと指さしたのは広大な運動公園の遥か向こう、 森崎が立つのとは反対側に位置する、巨大な建造物である。 「あれは……確か」 『スタジアム、だね』
[850]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:45:11 ID:??? その石造りの白い巨体は、遠く距離を隔てた場所からでもひどく目立つ。 伝統的なオリンピア様式を模した、ドルファン文化の雄。 堂々たる聳えこそが、ドルファン王立運動競技場。 通称、スタジアムである。 「ボクが目指すのは」 と、ハンナがそのスタジアムをじっと見つめながら言う。 「あそこで一等になることなんだ。……今まで、一度も取れたことはないけど」 「あー……っと、ハンナ」 森崎が、何らかの思いに耽ろうとするハンナを引き戻すように声をかけた。 気になることが、あったのである。 「お前、その祭典に出るのは今年が初めてってわけじゃないんだよな?」 「うん。去年までは子供の部だったけどね。今年からは平民女性の部」 『子供の部は平民とそれ以外の区別、ないのかな』 くるりくるりと中空を舞いながらピコが疑問を口にするが、森崎にとっては それ以上に聞かなければならないことがあった。 言葉を選ぶように、唇を湿らせながら言う。 「で……その。これは一応、教えるための参考にするんで気を悪くしないでほしいんだが」 「二等」 先回りされた。 あっさりとした、それは湿り気のない回答である。
[851]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:46:50 ID:??? 「ボクがどのくらいの位置にいるのか、でしょ。コーチだもん、聞くのは当たり前。 怒ったり拗ねたりなんて、しないよ」 「……」 ハンナという少女、こと競技が絡むと森崎の想像をあっさりと踏み越えるところがある。 それ以外のときに見せる姿とはまるで違う人間がそこにいるようですらあった。 思わず言葉を失った森崎を前に、ハンナが淡々と、告げる。 「子供の部で、二番目。去年も、一昨年も、その前も。ボクはこの国で二番目だった。 大人の部でどうなるかはわかんないけど……このままだと、多分、同じ」 国全体から選手が集まるという競技会で、二等。 門外漢の森崎からすれば、それが意味するのは栄光であるように思える。 しかし、少女の顔に喜悦の色は一切浮かんでいない。 代わりにそこにあったのは、情念である。 灰の中にちろちろと燃える熾火のような、触れれば肌を焼く、炎。 「それは……」 「去年もその前も、ボクの上で一等になってるのは一人だけ。同い年なんだ。 だから今年はあいつも大人の部に出てくる」 あいつ、と呼ぶとき、ハンナの口角がぎり、と引き絞られる。 牙を剥く獣。あるいは、戦士。 そういうものを彷彿とさせる、それは少女という衣を脱ぎ去った競技者の顔である。 「ボクは、あいつに勝ちたい。勝って、一等になりたいんだ」 「あいつ、ってのは」
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0ch BBS 2007-01-24