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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[848]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:43:10 ID:??? 「走るっていっても、ボクがやってるのはマラソンとかじゃなくてね。 六アルパンの短距離走なんだ」 「六アルパン……てえと、凡そ四町か」 聞いた距離を、森崎は自身に馴染みのある単位に換算しようとする。 それを耳にしたハンナが、胡乱げに聞き返す。 「シチョウ?」 「ああ、俺の故郷での長さの数え方だ」 「ふぅん、面白いね」 『九分の一里くらいかあ。……それって短い距離っていうかな?』 「まあ、大体わかった。続けてくれ」 言われたハンナが、今度は森崎から数歩離れて広大な芝生の向こう側を指した。 「この公園……走る以外にも色んな競技ができるようになってるんだけどね。 あの真ん中くらいに、芝生が切れてるところがあるでしょ?」 「ああ……確かに」 「あそこが、トラック。ボクたちの戦場」 ハンナの指差す先、運動公園の中心近く。 大きな楕円を描くように芝生が途切れ、赤土が覗いている。 「あれの縁をぐるっと一周するのが、ちょうど六アルパン」 「そりゃ、わかりやすくて助かるな」 なるほど、と森崎が頷く。 となればコースの構成は長い直線だけでなく、二度の大きな曲線を含むことになる。 距離からしても瞬発力だけでなく持久力、そして曲線をいかにしてスピードを落とさずに 曲がりきるかという技術も求められる、難しい競技であろうことが想像できた。
[849]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:44:10 ID:??? と、そんなことを考える森崎にハンナが何気なく説明を継続する。 「スポーツの祭典で使うのは、競技場の中にあるトラックだけどね。大きさは同じなんだ」 「ちょっと待て、スポーツの祭典って?」 さらりと出てきた単語に、森崎が引っかかる。 一瞬、怪訝そうな顔をしたハンナがすぐに合点がいったというように首を縦に振った。 「……ああ、そっか。コーチは傭兵さんだから、この春にドルファンに来たんだよね。 なら知らないのも無理はないね」 うんうん、とひとり頷いたハンナが、どこか得意げな顔で続ける。 「毎年十一月に、そういう催しがあるんだよ。スポーツの競技会。 王室主催で、すっごく大掛かりなんだ!」 両手を広げ、大袈裟な身振りを交えて言うハンナ。 「何日もかけて、色んな競技……ボクがやってる競争や、マラソン、水泳、ナインピンズ、 やり投げ、幅跳び、高飛び、フットボール……とにかく色んなもので一番を競うんだよ。 首都城塞だけじゃなくて、この国全部から選手が集まってくるんだから! で、舞台は―――あそこ」 目を輝かせながら言ったハンナが、びしりと指さしたのは広大な運動公園の遥か向こう、 森崎が立つのとは反対側に位置する、巨大な建造物である。 「あれは……確か」 『スタジアム、だね』
[850]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:45:11 ID:??? その石造りの白い巨体は、遠く距離を隔てた場所からでもひどく目立つ。 伝統的なオリンピア様式を模した、ドルファン文化の雄。 堂々たる聳えこそが、ドルファン王立運動競技場。 通称、スタジアムである。 「ボクが目指すのは」 と、ハンナがそのスタジアムをじっと見つめながら言う。 「あそこで一等になることなんだ。……今まで、一度も取れたことはないけど」 「あー……っと、ハンナ」 森崎が、何らかの思いに耽ろうとするハンナを引き戻すように声をかけた。 気になることが、あったのである。 「お前、その祭典に出るのは今年が初めてってわけじゃないんだよな?」 「うん。去年までは子供の部だったけどね。今年からは平民女性の部」 『子供の部は平民とそれ以外の区別、ないのかな』 くるりくるりと中空を舞いながらピコが疑問を口にするが、森崎にとっては それ以上に聞かなければならないことがあった。 言葉を選ぶように、唇を湿らせながら言う。 「で……その。これは一応、教えるための参考にするんで気を悪くしないでほしいんだが」 「二等」 先回りされた。 あっさりとした、それは湿り気のない回答である。
[851]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:46:50 ID:??? 「ボクがどのくらいの位置にいるのか、でしょ。コーチだもん、聞くのは当たり前。 怒ったり拗ねたりなんて、しないよ」 「……」 ハンナという少女、こと競技が絡むと森崎の想像をあっさりと踏み越えるところがある。 それ以外のときに見せる姿とはまるで違う人間がそこにいるようですらあった。 思わず言葉を失った森崎を前に、ハンナが淡々と、告げる。 「子供の部で、二番目。去年も、一昨年も、その前も。ボクはこの国で二番目だった。 大人の部でどうなるかはわかんないけど……このままだと、多分、同じ」 国全体から選手が集まるという競技会で、二等。 門外漢の森崎からすれば、それが意味するのは栄光であるように思える。 しかし、少女の顔に喜悦の色は一切浮かんでいない。 代わりにそこにあったのは、情念である。 灰の中にちろちろと燃える熾火のような、触れれば肌を焼く、炎。 「それは……」 「去年もその前も、ボクの上で一等になってるのは一人だけ。同い年なんだ。 だから今年はあいつも大人の部に出てくる」 あいつ、と呼ぶとき、ハンナの口角がぎり、と引き絞られる。 牙を剥く獣。あるいは、戦士。 そういうものを彷彿とさせる、それは少女という衣を脱ぎ去った競技者の顔である。 「ボクは、あいつに勝ちたい。勝って、一等になりたいんだ」 「あいつ、ってのは」
[852]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:47:50 ID:??? ごくり、と。 生唾を飲みながら訊いた森崎の姿を、ハンナの目は映さない。 映さないまま、どこかここではない遠くを見つめ、少女はその名を口にする。 「―――リンダ・ザクロイド。ボクより速い、この国でたったひとりの女だよ」 ******
[853]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:48:53 ID:??? ※システムメッセージ※ ハンナの練習はミニゲーム形式で行われます。 結果によってハンナにスキルを覚えさせることができます。 基本的には本戦に備えたテストプレイとなりますので成功や失敗はありませんが、 初練習の結果によってハンナのレース特性が判明します。 また練習後に覚えられるスキルは判明した特性と選択によって異なるものになります。 競技は6アルパン(約420m)の徒競走となっており、ゲーム的には1アルパンごと、 6つのセクションで判定を行いながらスコアを稼いでいくシステムとなります。 本戦ではゴール時点で最もスコアが高い(=タイムがいい)選手が優勝となります。 それぞれのセクションは 1.スタート 2.コーナー1 3.バックストレート1 4.バックストレート2 5.コーナー2 6.ホームストレート という名称となっております。 またセクションごとの基本スコア判定式は セクションスコア=基礎値*{1+(!numnum/100)} ※端数切り捨て。また00は100として扱う。 となっています。 つまりダイスの目によって基礎値の1.01〜2.00倍のスコアが出ることになります。 またここに各種スキルの補正が加わり、セクションスコアとなります。 それぞれのセクションスコアがすべて加算されることで、最終的なスコアとなります。
[854]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:50:22 ID:??? ****** 「よし、とにかく走ってるところを見なきゃ始まらねえ」 「うん、そうだね……っと」 「うぉい!? お前、何やってんだ!」 森崎が慌てるのも無理はない。 頷いたハンナがシャツのボタンに手をかけると、だしぬけにそれを上から外し始めたのである。 ベストがするりと肩から落とされ、ぷちぷちと白いシャツがはだけるとハンナの小麦色の鎖骨が 見る間にあらわになっていく。 「わ、おい、そういうのは……!」 「へへ……すぐ練習できるように、制服の下に着ておいたんだ。……って、何やってんの?」 『……ばか』 背中を向け、何も見ないように亀のように蹲った森崎に突き刺さるのは、相方の冷たい一言であった。 *** 「……うん、こんなもんかな」 入念な柔軟体操とウォームアップを終え、ハンナが森崎に声をかける。 「じゃ、始めるよ。しっかり見ててね」 「おう。全力を見せてくれ」 森崎の言葉に、ニヤリと口の端を上げるハンナ。 「言われなくたって!」 悪戯っぽく笑ってみせたハンナの顔から、しかし一歩ごとに笑みが抜けていく。 スタート位置に近づくその身が纏うのは、一種独特の気配である。
[855]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:51:31 ID:??? (いい気合じゃねえか。伊達や酔狂じゃねえ。 こいつはこいつなりに命、張ってる……ってわけだ) 森崎の見守る前で、ハンナが屈むようにスタートの姿勢を取る。 合図はない。号砲もない。 二人の他には誰の姿も見当たらない広大な公園の、音のないトラックで、刹那。 少女がスタートを切った。 ****** エントリーNo.1 ハンナ・ショースキー 基礎値:94 特性:不明 スキル:なし PBスコア:846(D25.11 スポーツの祭典 本戦) 参考値 子供の部 歴代1位記録:947 (D25.11、リンダ・ザクロイド) ******
[856]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:52:37 ID:l/JwoCrA *スタート セクションスコア1= 94*{1+(!numnum/100)} ※ !と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。 00は100として扱います。 基本ルールは>>853となります。
[857]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/10/19(金) 19:01:12 ID:??? セクションスコア1= 94*{1+( 73 /100)}
[858]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 19:18:45 ID:l/JwoCrA セクションスコア1= 94*{1+(73/100)} =162 「ふむ……スタートに問題はないみたいだな。体の起こし方もスムーズだ」 『……結局ノリノリだよね、キミ』 疾走するハンナの一挙手一投足も見逃すまいと、顎に手を当てながら鋭い眼差しを向ける森崎に、 傍らにふわふわと舞うピコは小さな肩をすくめて白い目を向けるのだった。 既に第一コーナーに入りつつあるハンナは無論、そんなやり取りを知るはずもない。 *コーナー1 セクションスコア2= 94*{1+(!numnum/100)} ※ !と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。 00は100として扱います。 スタート:162 計:162
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0ch BBS 2007-01-24