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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[869]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/20(土) 01:26:42 ID:??? 「……っと! 大丈夫か、ハンナ!」 「へ、へへ……」 小麦色の肌を垂れ落ちる汗に、森崎の腕にぐったりと体重を預けるハンナが滑り落ちそうになる。 かろうじて抱え直したその身体は、内に秘めた熱をすべて解き放つように熱い。 「おい、大丈夫か!?」 「ちょっと……、はりきり、すぎた……かな」 荒い呼吸の中で無理やりに笑みの形を作ってみせる、その紅潮した顔が痛々しかった。 「あは……。コーチにいいとこ……みせたくて」 「馬鹿! ……大事なときほど平常心、だ」 「はぁい……」 渋面を作る森崎の腕の中、首肯しようとして身じろぎするハンナ。 何はともあれ少女を休ませるべく、森崎はその肩を抱えるようにして芝生へと移動する。 「……」 「……」 懐中から取り出した手拭いを芝生に敷くと、その上にハンナを寝かせる森崎。 そのまま静かに呼吸を整えていたハンナが上体を起こしたのは、しばらく後のことである。 「……ふぅ」 「もう起きて大丈夫か?」 「うん、平気。……ありがと、コーチ」 少し照れくさそうに言うハンナに、森崎が深々とため息をついて首を振る。
[870]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/20(土) 01:27:43 ID:??? 「ったく……お前、一人でも今みたいにぶっ倒れてたのか」 「うん……まあ。えへへ」 「えへへ、じゃない!」 森崎の一喝に、雷に打たれたように身をすくめるハンナ。 「うぅ……ごめんなさい」 「あの距離だ、気ぃ入れて一本走るだけでもキツいってのはわかるが……」 「はい……今日、コーチに言われたことは忘れないよ。もう無茶な追い込み方はしない」 しゅん、と項垂れたハンナだったが、しかしすぐに顔を上げると森崎ににじり寄って言う。 「……で、コーチ!」 「何だなんだ、……暑苦しいっての」 鼻先を掠めるほどに近づいてくるハンナの額を押し返す森崎。 どうもこの少女の距離感には馴染めない、と辟易するその眼前で、きらきらと煌めくのは瞳である。 「どうだった!?」 「どうって、あー……」 聞かれていることはわかっている。 走りを見ろ、というのは単に見物しろという意味ではない。 『さっき、散々あれこれ言ってたじゃない』 声は森崎の頭のすぐ後ろから響いてきた。 どうやら後ろ髪にぶら下がっているらしい小さな相方の言葉に、森崎はハンナのレースを思い返す。
[871]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/20(土) 01:28:50 ID:??? (そうだな……) 今から思えば、スタートは実に好調だったといえる。 しかしそれが仇となったのかカーブで崩れ、バックストレートではスタミナを使い果たして失速。 最終コーナーで僅かに持ち直すものの、その気力は長続きせず直線でも伸び悩んだ。 (これらから判断するに―――) ハンナは『持久力に不安』があり『第一コーナーが苦手』である。 しかし反面『スタートが得意』で『逆境での根性』も備えている、といえるだろう。 ****** ※ハンナの特性が決定しました。 『スタート得意』:スタートでのスコア倍率が10%アップします。 『逆境での根性』:ダイスが20以下だった場合、次のセクションでのスコア倍率が30%アップします。 『第一コーナーが苦手』:コーナー1でのスコア倍率が10%ダウンします。 『持久力に不安』:バックストレート2のスコア倍率が10%ダウンします。 ****** これらを踏まえた、森崎のアドバイスは―――
[872]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/20(土) 01:34:09 ID:IfuaKHGs *選択 A 長所を伸ばすようにアドバイスする:『スタート得意』 (特性効果を30%にします) B 長所を伸ばすようにアドバイスする:『逆境での根性』 (特性効果を「ダイスが30以下だった場合」に強化します) C 短所を克服するようにアドバイスする:『第一コーナーが苦手』 (マイナス補正が消え、当該セクションのダイスに10加算されます) D 短所を克服するようにアドバイスする:『持久力に不安』 (マイナス補正が消え、、当該セクションのダイスに10加算されます) 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『10/20 23:00』です。 ****** レースのバランス調整に結構時間を取られました…といったところで 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[873]◆W1prVEUMOs :2012/10/20(土) 14:15:46 ID:??? B システム的メリットは数値加算を減らせられることで 個人的には勝負根性があるキャラが好きだから
[874]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/10/20(土) 18:31:28 ID:??? A初めのアドバイスとしては、長所を伸ばす方が良い様に思います。短所を直そうとすると萎縮してしまうかも知れない。
[875]◆9OlIjdgJmY :2012/10/20(土) 22:02:59 ID:??? C スタートが得意でも第一コーナーですぐ失速するんじゃ宝の持ち腐れだ!とか。 あと、数値加算するかどうかは終盤に判断したいので、前半でスコアを稼げるように。
[876]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:33:56 ID:??? 皆様、ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>872の選択については…… >>873 ◆W1prVEUMOs様のご回答を採用させていただきます! なるほど、確かに数値加算の検討には強いスキルかもしれません。 CP3を進呈いたします。 また>>875 ◆9OlIjdgJmY様の、勝負の行方を見極めてからポイントをつぎ込むかを 判断するためという考え方も実に合理的ですね。 次点としてCP1を進呈いたします。 ハンナのスキルアップの機会はこれが最後ではありませんので、 次の機会にも検討してみて下さいね。 >>874 初心者に対するコーチングの基本としてはその通りですね。 いいところを探して褒めながらうまいこと技術的な修正を施していくのが肝心です。
[877]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:34:57 ID:??? *** B 長所を伸ばすようにアドバイスする:『逆境での根性』 (特性効果を「ダイスが30以下だった場合」に強化します) 「ハンナ。俺が見たところ、お前には幾つかの欠点がある」 「う……」 突然の指摘に、ハンナが面食らったようにのけぞった。 そんなハンナを前に腕組みをしたまま、森崎は重々しく続ける。 「だが、それ以上に光るものが、お前には備わっているように思えた。それは……」 「それは?」 緊張の面持ちで森崎の言葉を待つハンナ。 こくり、と小さく喉が動いた。 たっぷりと間をとって、森崎が口を開く。 「それは―――根性だ」 「え」 一瞬、訪れた静寂はハンナの意識の空隙であっただろうか。 「え……ええー!?」 引いた波が再び押し寄せるように、ハンナが叫ぶ。 がしりと、森崎の腕を掴んだ手に込められる力が当惑の度合いを示していた。
[878]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:35:58 ID:??? 「こ、根性って、それ精神論っていうんじゃ……そうじゃなくて、もっとこう、 テクニック的なものとか、東洋に伝わる秘密の奥義とか、そういう……」 ぎりぎりと腕を締め付けながら食ってかかるハンナに、森崎がすうと息を吸うと、雷を落とす。 「―――ばかもーん!!」 「うわっ」 飛び退くように手を離したハンナに、森崎が向き直ると真面目な顔を作る。 何かを察したか、ハンナもまた居住まいを正して森崎に正対した。 頷いて、続ける。 「俺は短距離走については素人だ。技術的なことを言っても的外れかもしれねえ。 だがな、こと誰かと戦うって点についちゃ、これでも日々タマ張ってる本職よ」 「……」 「その俺が言うぜ。お前の走りで一番の武器になるのは、その向こうっ気の強さだ」 向こうっ気、と口の中で呟くハンナ。 浮かぶ困惑は、隠しきれていない。 「お前、さっきの走りだけどな。向こう正面でもうヘロヘロだっただろう」 「う……はい」 「それで、どうだ。そのままへばったか。もうダメだ、諦めようと思ったか」 「そんなわけ、ない!」 即答だった。 答えに迷う余地がないという、それは一直線の声音。 「走ってれば苦しいのは当たり前だよ。足だって胸だってお腹だって頭だって、 全部ぜんぶ笑っちゃうくらい痛いよ。だけど、そこからなんだから!」 「ほう、何がそこからだ」
[879]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:37:11 ID:??? 探るように尋ねる森崎に、ハンナが決然と言い放つ。 「勝負だよ! 勝負はそこから始まるんだ! 苦しくて、痛くて、だからって そこで諦めたら、ボクより前にいるやつには絶対に追いつけない!」 「そうだな」 「だから、ボクは諦めたりなんかしたこと、ないよ! 足が動かなくなっても、 気持ちだけは……って、え?」 なおも何かを言い募ろうとしたハンナだったが、森崎があっさりと頷いたのに一足遅れで気付き、 戸惑いの表情を浮かべる。 そんなハンナに、森崎がにやりと笑って言った。 「それだよ。それがお前の武器だ。苦しいとき、どん底だろうと限界だろうと 絶対に食らいついてやるって気持ちの強さが、ハンナ、お前を育てたんだ」 「……そう、かな」 「おう」 困惑を拭いきれぬハンナの背中を押すように、森崎がはっきりと頷く。 「だから、磨きな。手前ぇの胸や腹や頭ン中にある武器ってのは、磨いてやらなきゃ錆びついちまう。 けどな、丁寧に手入れしてやれば、いつまでだってお前を助けてくれるもんなんだぜ」 ぐっと拳を握り、森崎がハンナの眼前に突き出す。 「戦えよ、ハンナ。お前の武器と一緒に」 「……はい。……はい!」 返事は二度。 一度目は、噛み締めるように。 二度目は、拳と共に。 「頑張んな。俺も、遠くから気にはかけてるからよ」
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0ch BBS 2007-01-24