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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[878]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:35:58 ID:??? 「こ、根性って、それ精神論っていうんじゃ……そうじゃなくて、もっとこう、 テクニック的なものとか、東洋に伝わる秘密の奥義とか、そういう……」 ぎりぎりと腕を締め付けながら食ってかかるハンナに、森崎がすうと息を吸うと、雷を落とす。 「―――ばかもーん!!」 「うわっ」 飛び退くように手を離したハンナに、森崎が向き直ると真面目な顔を作る。 何かを察したか、ハンナもまた居住まいを正して森崎に正対した。 頷いて、続ける。 「俺は短距離走については素人だ。技術的なことを言っても的外れかもしれねえ。 だがな、こと誰かと戦うって点についちゃ、これでも日々タマ張ってる本職よ」 「……」 「その俺が言うぜ。お前の走りで一番の武器になるのは、その向こうっ気の強さだ」 向こうっ気、と口の中で呟くハンナ。 浮かぶ困惑は、隠しきれていない。 「お前、さっきの走りだけどな。向こう正面でもうヘロヘロだっただろう」 「う……はい」 「それで、どうだ。そのままへばったか。もうダメだ、諦めようと思ったか」 「そんなわけ、ない!」 即答だった。 答えに迷う余地がないという、それは一直線の声音。 「走ってれば苦しいのは当たり前だよ。足だって胸だってお腹だって頭だって、 全部ぜんぶ笑っちゃうくらい痛いよ。だけど、そこからなんだから!」 「ほう、何がそこからだ」
[879]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:37:11 ID:??? 探るように尋ねる森崎に、ハンナが決然と言い放つ。 「勝負だよ! 勝負はそこから始まるんだ! 苦しくて、痛くて、だからって そこで諦めたら、ボクより前にいるやつには絶対に追いつけない!」 「そうだな」 「だから、ボクは諦めたりなんかしたこと、ないよ! 足が動かなくなっても、 気持ちだけは……って、え?」 なおも何かを言い募ろうとしたハンナだったが、森崎があっさりと頷いたのに一足遅れで気付き、 戸惑いの表情を浮かべる。 そんなハンナに、森崎がにやりと笑って言った。 「それだよ。それがお前の武器だ。苦しいとき、どん底だろうと限界だろうと 絶対に食らいついてやるって気持ちの強さが、ハンナ、お前を育てたんだ」 「……そう、かな」 「おう」 困惑を拭いきれぬハンナの背中を押すように、森崎がはっきりと頷く。 「だから、磨きな。手前ぇの胸や腹や頭ン中にある武器ってのは、磨いてやらなきゃ錆びついちまう。 けどな、丁寧に手入れしてやれば、いつまでだってお前を助けてくれるもんなんだぜ」 ぐっと拳を握り、森崎がハンナの眼前に突き出す。 「戦えよ、ハンナ。お前の武器と一緒に」 「……はい。……はい!」 返事は二度。 一度目は、噛み締めるように。 二度目は、拳と共に。 「頑張んな。俺も、遠くから気にはかけてるからよ」
[880]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:40:03 ID:??? こつりと、拳のぶつかる音と感触。 その小気味良さを最後に、森崎が立ち上がる。 「はい! また今度、お願いしますっ!」 「おうよ。……って、なにィ!?」 尻についた芝生を払っていた森崎が、ハンナの言葉に目を剥いた。 思わず振り返ったその眼前にあったのは、しかし悪戯っぽい笑みである。 「あははっ、冗談だよ! 忙しい隊長さんに、あんまり迷惑かけらんないもんね」 「勘弁してくれよ……」 安堵のため息をついた森崎に、ハンナもまた立ち上がって真っ直ぐに森崎を見据えると、言う。 「今日教わったこと、全部。一つも、忘れないよ。それで、ボクなりにやれるところまでやってみる。 ……怪我とか無茶はしないようにするからね」 「ああ、そいつはくれぐれも頼むぜ」 頷いた森崎に、ハンナが今度ははにかんだような笑顔を浮かべる。 「でも、再来月のスポーツの祭典は見に来てよね! 絶対だからね!」 「覚えとくよ」 「うん!」 しっかりと頷く姿を見届けて踵を返した森崎の背に、ハンナの声が響く。 「じゃ、またね! コーチ! 本当にありがとっ!」 それは、一時の別れの合図である。 片手だけを上げて応えた森崎の頬を、芝生を渡る風が爽やかに撫でるのだった。
[881]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:41:04 ID:??? 『元気!』(了) ****** ※ハンナの特性が変化しました。 『逆境での根性』→『逆境でのド根性』 効果:ダイスが30以下だった場合、次のセクションでのスコア倍率が30%アップします。 ******
[882]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:42:08 ID:??? *D26.9月 月次イベント:収穫祭 九月下旬。 寝苦しい夜をもたらしていた残暑も和らぎ、人の眠りの深くなる頃合いである。 休日ともなれば鳥の声が聞こえても、陽射しが窓から頬を撫でても、もう一眠りの魅惑は際限がない。 いつまでもそんな惰眠を貪ろうとする森崎有三を襲ったのは、 『今日は! 収穫祭っ!』 「んあ……?」 小さな相方の、容赦のない突撃であった。 いまだ覚醒しきらぬ森崎の頭の周りをぐるぐると回りながら、甲高い声ではしゃいでいる。 『ねえねえ、誰を誘うの、ねえ!』 「……何、そのテンション」 ぼんやりと頭を掻いた森崎の、半目で言うのを気にした風もなくピコが両手を挙げて答える。 『だってお祭りだよ! パーっといかなきゃ!』 「こっちは仕事で疲れてんだけど……」 『何いってんの!』 もごもごと言う森崎に、ピコがその眼前で止まると、腰に腕を当てて言う。 お説教モード、とは小さな相方本人の談である。
[883]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:43:08 ID:??? 『キミ、傭兵大隊の代表で剣術大会に出るって決まってるんだから! 晴れ舞台に寝ぼけ眼で行くつもり!?』 「ああ……そういや、そんなこと押し付けられたんだっけ……。 くそう、たまの休みくらいちゃんと休ませろよ」 『もう! ばっちり活躍すればますますキミや隊の評判も高まるんだから!』 ぷりぷりと怒ってみせる相方に、森崎が渋々ながら寝台から身を起こす。 閉めきった雨戸の隙間から射す陽が、狭い宿舎の部屋を横切って壁を照らしている。 外は快晴のようであった。 『ね、早く着替えようよ!』 「うう……だるい」 雨が降れば中止になったかもしれないのに、などと益体もないことを考えながら のろのろと手近にあったシャツを着込む森崎。 その間も待ちきれないというように忙しなく翅を動かしていたピコが、 ようやく着替えを終えた森崎の髪を引きながら言う。 『で! 誰を誘うのさ!』 「誰って……」 『せっかくだから誰か誘っていこうって、昨日話してたじゃない!』 頬をぺちぺちとその小さな手のひらで叩いてくるピコを指先で押しのけながら、森崎が首を捻る。 「そうだっけか……?」 『そうだったの! ね、キミのカッコいいとこ、見せちゃおうよ!』 「んー。そうだなあ、じゃ……」
[884]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:45:48 ID:D6gsMymc *選択 好きな人物を収穫祭に誘えます。 収穫祭ではパラメータに応じて剣術・体術・馬術の大会に出場することになります。 活躍に応じて評価値などが上がります。 今回森崎がエントリーしているのは「剣術大会」です。 誰を誘いますか? A ソフィア B レズリー C ロリィ D ハンナ E その他 (傭兵仲間やサブキャラ、誰も誘わないなど、内容を明記して下さい。 熱意があれば「クレアさんが働く店のマスター」でも構いません。 ゲーム的なメリットは一切ありませんがw) ※不在・多忙などで断られた場合は「誘いに応じる可能性のあるキャラからランダム」で決定されます。 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『10/22 23:00』です。
[885]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/22(月) 18:47:14 ID:??? ****** 当然ながら、連絡が取れなそうな人を誘うのはリスキーです、 といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。 お付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[886]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/10/22(月) 21:12:42 ID:??? B単純に誘っても来てくれないかも知れませんのでロリィと一緒に来ても良いよと軽く言ってあげるとレズリーも来やすいと思います。
[887]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/23(火) 13:54:30 ID:??? ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>884の選択については…… >>886 さら ◆KYCgbi9lqI様のご回答を採用させていただきます! 今回は単一回答ながら……なんという心憎い気配り! これで心理的ハードルはがくんと下がりますね、というわけでこの後の展開から 「レズリーが来ない」をなくしておきました。 CP3を進呈いたします。
[888]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/23(火) 13:55:36 ID:??? *** B レズリー 「んー……なら、レズリーかな」 『……ふぅん』 何気なく口にした森崎を、ピコが思わせぶりに腕を組んでじろじろと見やる。 「何だよ、その顔」 『べっつにぃ〜』 にやにやと笑っているのか、呆れているのか、それとも怒っているのかすら判然としない、 顔という器に様々な感情を溢れる寸前まで詰め込んだような表情のまま肩をすくめると、 ピコはふわりと天井近くまで舞い上がって降りてこようとしない。 「……ちぇ」 聞こえよがしに舌打ちした森崎だったが、それ以上の舌戦には応じようとしない相方に、 その後は無言で身支度を整える。 「せっかくの祭りにいつもの武装ってのも虚しいな……」 話題を振っても、天井から返る声はない。 わしゃわしゃと頭を掻いた森崎が、ため息をついて言う。 「……じゃ、行くからな。いつまでもへそ曲げてると置いてくぞ」 『……』
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0ch BBS 2007-01-24