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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[903]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/25(木) 00:47:57 ID:??? 唐突に声を上げたのはロリィである。 ととっ、と三歩ばかり駆け出すと、くるりと森崎に向き直ってスカートの裾を摘み上げる。 にっこり笑って言うことには、 「今日は、お誘いいただいて、ありがとうございます!」 「おう、ちゃんと言えるなんて偉いな」 可愛らしい淑女の礼に、笑みを返して言う森崎。 嬉しそうに再び駆け寄ってきたロリィが、ぺたりとレズリーに抱きついた。 呪いが解けたように、レズリーがはっとしてロリィを見やる。 「へへー。レズリーお姉ちゃんに、そう言うんだぞって教えてもらったの!」 「ロリィ……それは言っちゃダメだってば」 「……?」 思わず天を仰ぐレズリーと、苦笑する森崎。 それを見たロリィが不思議そうな顔をする。 ひどく和やかな空気の中、ちらりと日の高さを見た森崎が大仰な身振りで言う。 「さて、お嬢様方。そろそろ参りましょうか」 「わ〜い、ロリィ、お嬢様だって!」 「……気持ち悪い喋り方すんな」
[904]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/25(木) 00:48:58 ID:??? 予想通りの対照的な反応に、にやりと笑って歩き出す森崎。 何気なく人波をかき分けるその後ろから、二人の着いてくる足音が聞こえた。 「はは、カッコいいとこ見せるけど、惚れんなよ?」 「えっへへ、楽しみ〜」 「……うるさい、バカ!」 背中から響く声の主がどんな顔をしているのか、森崎には見えない。 ******
[905]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/25(木) 00:50:00 ID:??? ****** ※システムメッセージ※ 収穫祭での「○○大会」は剣術・馬術・体術の内、その時点で最も高いパラメータで 自動的にエントリーされます。 難易度及び判定内容、報酬はどの大会であっても変わりません。 大会はトーナメント制で行われ、判定は1〜3回戦、準々決勝までが能力チェック。 準決勝、決勝戦は個人戦闘形式で行われます。 なお、収穫祭での戦闘で使用するガッツは通常のガッツとは別個のパラメータとして扱い、 0になっても入院ペナルティが発生することはありません。 ****** *チェック (剣術)判定 一回戦難易度【ターン係数50+成功前提0】−(剣術126) 目標値【0】 → 自動成功 ニ回戦難易度【ターン係数50+容易20】−(剣術126) 目標値【0】 → 自動成功 三回戦難易度【ターン係数50+通常40】−(剣術126) 目標値【0】 → 自動成功 準々決勝難易度【ターン係数50+やや難60】−(剣術126) 目標値【0】 → 自動成功 ******
[906]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/25(木) 00:51:30 ID:??? 「……ハン、こんなんじゃ肩慣らしにもならねえな」 サウスドルファンの広場に、剣術大会の会場として設けられたステージがどよめいている。 その中心にしてどよめきの対象は、他ならぬ森崎有三であった。 「ほら、審判さん。頼むぜ」 「あ、そ……そこまで! しょ……勝者、ユーゾー・モリサキ!!」 森崎自身に促され、審判の男が片手を上げて宣言する。 小さく息をついた森崎が剣を収め、ステージから降りていこうとするその時になって、 ようやく会場から歓声が上がった。 「う……うわあああ!!」 「すげえ! 何だありゃ!?」 「あいつがイリハでヴァルファを倒した東洋人だってよ!」 歓声は、瞬く間に爆発的な勢いを得て会場を包み込んでいく。 観客が一時声援を送ることも忘れ、息を呑んだのも無理はなかった。 これまでの四戦を見渡して、森崎と刃を三合打ち合わせた者は誰もいない。 文字通りの鎧袖一触であった。 「すごい! お兄ちゃん、すご〜い!!」 「ふ、ふん……やるじゃないか」 関係者ということで観客席の最前列に席を用意された二人に軽く手を振ると、 森崎が控え室として設置された天幕の中へと戻っていく。
[907]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/25(木) 00:53:27 ID:??? *** 『これでベスト4……あとは準決勝と決勝戦だね』 「ま、ここまでは楽勝だったが……この先は、そうはいかねえかもな」 ふわりと肩に乗ってきた小さな相方に向かって、森崎が呟く。 天幕の中に戻ってきた勝者は、森崎が四人目。 即ち、準決勝に残った最後の一人である。 ぴりりとした空気を発するのは、それぞれ距離を置いて座る三人の男たちであった。 「……」 『次に当たるのは……あの人だよね』 言ったピコが小さな指で指し示すのは、天幕の入口近くに腰を下ろした森崎の正面。 漆黒の板金鎧に身を包んだ巨躯である。 得物はその背後に立てかけられた長大なハルバード。 鋭い目線に赤茶けた髭を蓄えた、いかにも剛勇無双といった風情の男であったが、 篭手だけを外したその手に握られているのは、何ともこの場にそぐわぬ代物である。 「……いや。盃って」 『お酒……呑んでるよね、あのおじさん』 「カール・フェルドマン。騎士団代表で『黒騎士』の称号を持ってるらしいぞ」 『……騎士団代表、ねえ』 「の、はずなんだが……」 ぼそりと口の中だけで答えた森崎の眼前、湯呑みのような盃を一気にあけると、 傍らに置かれた壺からまたどくどくと琥珀色の液体を注ぎ込んでいる。 「……明和の大虎かよ。まあ、余裕があるのは確かみたいだな……」 言った森崎が、次に目をやったのは向かって左。 静かに目を閉じている男である。
[908]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/25(木) 00:54:30 ID:H96KMhgc 一見すればただ座しているだけに思えるが、しかし森崎はその静かな佇まいの中に 確かな鍛錬の証を見て取っていた。 『クラウディオ・メオン……だっけ?』 「個人でエントリーしてるみたいだな。西洋圏出身らしいが……さすがにここまで残ってるだけはある。 見た感じ、立ち居振る舞いに隙はねえ。いい感じに気合いも乗ってるぜ」 『ふうん。油断はできないんだね』 「ああ。それで、あいつと当たるのが―――」 森崎が、向かって右に目線を移す。 そこに座っていたのは、 *ドロー 四天王最後の一人 → !card ※ !と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。 結果によって展開が分岐します。 スペード→ 個人で参加していたネイだ。話しかけてくるぞ。 ハート→ 個人で参加していたカルツだ。こちらを見て不敵に笑ったぞ。 ダイヤ→ 確か以前に埠頭で見かけたスキンヘッドだ。長棍を磨いているぞ。 クラブ→ 個人で参加していたレヴィンだ。血まみれの大剣を眺めている……。 JOKER→ あれは……ジョアン・エリータス!?
[909]傍観者 ◆YtAW.M29KM :2012/10/25(木) 01:03:58 ID:??? 四天王最後の一人 → ダイヤ7 二回引きなおせるし…。
[910]傍観者 ◆YtAW.M29KM :2012/10/25(木) 01:05:06 ID:??? 一回くらいは引き直しますか、リドローで。 四天王最後の一人 → ダイヤK
[911]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/26(金) 17:47:53 ID:??? *** ダイヤ→ 確か以前に埠頭で見かけたスキンヘッドだ。長棍を磨いているぞ。 天幕の隅でこちらに背を向け、得物らしき棍を磨いている男。 顔は見えなかったが、その禿頭と背格好、そして何より特徴的な得物を見紛うことはない。 『あの人、キミがこの国に来た日に会った……』 「トサカ野郎の兄貴……だな。名前は何て言ったっけか」 夕暮れの埠頭。 ソフィアに絡んでいたチンピラを叩きのめした森崎の前に悠然と立ちはだかった男である。 実際に刃を交えることこそなかったが、ただならぬ棍捌きは印象に強く焼き付いている。 『ええと……確か、元地区警備隊の、地廻りのサム……だったかな』 「……よく覚えてるな」 『えっへん。ところで地廻り、って?』 むふー、と得意げな顔で胸を張ってみせた小さな相方に、森崎が説明する。 「まあ、俺らの郷でいう目明かしみたいなもんだ」 『要するに権力の狗、兼ヤクザだね』 身も蓋もない言い草に、森崎が苦笑する。 「……ま、元ってからには、そっからイヌを取っ払ってやんな」 『単なるヤクザじゃない』 「今はな。まあ、聞いた頃には分からなかったが、地区警備隊……区警といやあ 軍の中でもこの首都城塞市中の犯罪取り締まりを担当してる隊だ」 『ふうん。……大したことなさそうじゃない』
[912]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/26(金) 17:48:57 ID:??? 何を想像したのか、ピコが怪訝そうな表情で言うのへ森崎がため息をつく。 「おいおい、相手はこそ泥や引ったくりだけとは限らねえんだぞ。 火付け、押し込み、殺しの捜査、武器弾薬の密輸にテロ、麻薬まで区警の領分だ。 最前線は命懸け、実戦経験じゃそこらの騎士なんぞ足元にも及ばねえだろうぜ」 『で、あのサムって人は最前線にいたの?』 「知らねえよ、んなこた」 『……』 「ま、ここまで残ってんだ。運もあるかも知れねえが……それだけじゃねえ、ってことさ」 と、森崎が肩をすくめてみせたとき。 「準決勝、第一試合の出場者の方、お願いいたします」 外からかけられた声は、進行を担当する係員のものである。 「おっと……もう出番か」 『なんで最後に試合したキミが第一試合なんだろうね。不公平じゃない?』 「ま、言っても仕方ねえだろ」 不満気なピコの頭を指先でひと撫でして、森崎が立ち上がる。 がしゃり、と金属的な音が響いたのは、天幕の対角線上。 同じように立ち上がった男の、板金鎧が擦れ合って鳴った音である。 がしゃ、ごしゃ、と耳障りな、しかし森崎にも聞き慣れた喧しい音が近づいてくる。 「おう、貴様が噂の東洋人か!」 野太い声の主が、森崎の眼前で立ち止まる。 薄暗い天幕の中、漆黒の鎧に走る無数の傷と修繕の痕が見えた。
[913]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/26(金) 17:49:58 ID:??? 「……!」 『うわ……おっきい』 森崎とて、南欧の人間と比べても決して背の低い方ではない。 しかし眼前の男は、その森崎よりも頭一つ分以上の差をつける巨漢であった。 全身を覆う鎧のせいもあろうが、肩幅や胸板は森崎の倍はあろうかとさえ思える。 「……」 「ん? どうした、これから戦う者と交わす言葉はないか? グアッハハハ、いかんぞ、あまり硬くなってはいざという時に力が出ん!」 蓄えた赤髭を揺らしながら豪快に呵ってみせた、男の全身から漂うのは強烈なアルコール臭である。 森崎はその匂いに辟易して口を開けないというのが正しい。 「しかし貴様、聞いていたより若いな! その若さで隊を任されるとは、大したもんだ」 『うわ、ぐいぐい来るねこの人』 「……」 「何だなんだ、覇気がないぞ! 気付けに一杯やるか?」 顎で指した先には先ほどまで絶え間なく傾けていた壺と盃。 「いや……」 「まあいい、せいぜい祭りの舞台を楽しもうではないか!」 かろうじて断りを入れた森崎を、侮るでもなく蔑むでもなく、ただ言葉通り楽しそうに呵って見やり、 男は先に天幕の入り口を潜って外に出ていく。 「……やりづれえ」 『ま、頑張って。ほら!』 僅かに肩を落とした森崎の頬に、小さな拳で気合い一発。 相方に頷いて、森崎もまた男の後を追う。
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0ch BBS 2007-01-24