※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【バグサッカー】きれぼしサッカー【やりまーす】
[149]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:18:37 ID:??? 賀茂「んう?」 思いもせぬ相手の声に間抜けな反応をしてしまう。片桐の父が隠れも無き日本経済界の雄であり、 雲の上の人間である事は既に聞いていた事ではあるが、そんな人物から不意に声がかかって、 動揺を隠す事はできなかった。相手はその反応を受け、小馬鹿にしたような様子を交えた。 宗義「そして陽子の父親でもある。父親として言うならば、 君達は娘のお守りをしっかりとこなしてもらって、大変に感謝している」 賀茂「お守り?その哺乳瓶にはビールが入っているけどな」 宗義「はっはっ、いやこれは失礼した」 純粋にユーモアで返されたと思ったか、笑って返答をさらに返す。 宗義「お守りと言ったは失礼した。私達の元へいた頃の娘の陰鬱を取り払い、 明朗を取り戻させた君達の働きを、大変感謝する」 賀茂「あーそうかい、先に言っておくが、 そのあんたの娘さんは金輪際家に戻るつもりはないそうだぜ。他ならぬあんたのせいでな」
[150]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:19:57 ID:??? 宗義「その事については私も深く反省している。急いて事を仕損じかけた。 だが今度はそうした事も考慮して教育に当たっていく積りだ。娘は返してもらう」 賀茂「どう手心を加えようがあいつの心は変わらんよ。 それに既にサッカー協会の一員として期待されている人間の1人なんだ、 これは俺だけじゃない、もっと上の人間にかけあっても同じだぜ」 精一杯気づかれぬように凄んでみせる賀茂。 そんな空威張りを宗義は軽く鼻で笑ってから、冷ややかに話を続けた。 宗義「君達には失望したよ。やはりこんなところで油を売らせるより、 一流の人間が揃った環境の中でいさせるのが一番良かったんだ。君達はもう娘に何もしなくていい。 ドナルド・トランプ流に言うと、こういう事だ。残念だが、クビだ」 口元に笑みを浮かべ、宣言した。音吐の冷えに胸騒ぎを覚えた賀茂が自らの車に目を向けると、 陽子以外の赤の他人がドアを開けて乗り込んでいた。瞬間、賀茂は受話器を放り投げ車へ向け駆け出した。 バックライトは光っている。賀茂が着く前に走り出すだろう。
[151]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:21:42 ID:??? 陽子「…う…ううん………」 陽子の瞼は震え、ゆっくりと開きだす。 キーをもらって車を開け椅子に座った後はうとうととまどろんでいた。 何かの拍子で目が覚めて、横に振り向く。 陽子「!」 運転席を見て驚愕した。ハンドルを握っているのが賀茂ではない。 長身痩躯、黒スーツに黒サングラスと似ても似つかぬ日本人の男だった。 陽子「あ、あなたは!?」 黒服「お気づきになられましたか、陽子お嬢様」 陽子「!!」 この男は追手だ、このままでは父の元へ連れて行かれる。 そう悟った陽子は逃げようとしたが、手足が縛られていて動けない。 うたた寝をしている間に紐で固定され、ドアに手を掛ける事もままならない。 黒服「お静かに願います。ここはまだ路地裏です、外へ出れば大変危険です」 陽子「あなた達の方がずっと危険よ!賀茂さんはどうしたの!?」 黒服「運転手は私に交代いたしました。これより私が責任を持って目的地まで移動いたし…」 陽子「嫌よ!早く車を止めなさい!」 黒服「お断りいたします。いかなる手段を用いてもお嬢様を日本へ連れ戻せとの、 会長直々の御指令がありますので」
[152]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:22:46 ID:??? このままでは日本に戻される。なんとかして車を止めないと。 陽子は倒れこむように男へと飛びかかり、ハンドルを握る男の手に噛みついた。 黒服「っ!」 男は顔をしかめる。陽子の歯は深々と肉に食い込み、唇をつたって血が滴り落ちている。 痛みに耐えかねた男は車を止めて陽子を引き剥がすと、裏拳を水月に撃ちこんだ。 陽子「あぐっ……!」 黒服「お静かに願います」 もうだめだなにもかもおしまいだ。絶望に覆われくず落ちる陽子。 勢い余って座席下に転げ落ち、意識を失ってしまったが、それが陽子にとって幸いとなった。 ガシャアアアアアアアアン! 陽子側の窓ガラスが蹴破られ、飛び込んできた男に黒服の男は外へ押し出された。 何が起こったか分からず呆然としている黒服に、 陽子のよく知っている男はドアを閉める間際に黒服へ吐き掛けた。 賀茂「クビだ」
[153]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:24:19 ID:??? 路地裏を抜け、人通りの多い大通りを走らせているところで、 自動車電話が鳴り響いた。ちょうど信号待ちの時であったため、賀茂が受話器を取る。 宗義「時間だ、ちゃんと陽子は連れてきたか?」 賀茂「生憎だが、まだらしいぜ」 宗義「………」 思いもよらぬ相手に、相手は押し黙る。 賀茂「もういいかげん、嫌がってる娘を無理矢理連れさらおうとするのはやめるべきだと思うけどな」 宗義「……とりあえず君の頑張りぶりを評価するとしよう。 だが、後継者の件については変えるつもりはない。いずれは娘も理解する」 賀茂「もう諦めろ、どうにもならない事でいつまでも拘っていたら、残り少ない老い先がますます短くなるぜ」 宗義「娘は一時の気の迷いになっているだけだ、 落ち着いて思慮分別を養えば必ず我々の意義を重んじるようになる。必ず娘は取り戻す」 ガチャッ。 賀茂「あっ、おい!……切れやがった、言いたいことだけ言いやがって、ガラスの弁償ぐらいしやがれ」 ぶつぶつとはるか遠くの宗義に向かって悪態を吐く賀茂を、 そしてその下の受話器を、助手席からぼんやりと瞳が見つめていた。
[154]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:25:35 ID:??? 今日はここまで、このところ忙しくなってなかなか更新できませんが、 週1でも定期的に更新していきたいです。
[155]森崎名無しさん:2013/03/17(日) 16:38:44 ID:??? まさかの賀茂主役!?w
[156]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 18:28:11 ID:??? いやいやw まあ、迷監督や汚物扱いじゃない賀茂さんがいてもいいじゃないwってことですね。 陽子さんの回想はもう少し続きます。更新はもう少しかかりますが、 彼女の感情の推移をお楽しみください。
[157]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/21(木) 20:29:49 ID:??? 申し訳ありませんが、少々トラブルがありましてしばらく更新できそうにありません。 これから1か月かかるか、1週間もかからないかは分かりませんが、少なくとも 今週の土日には更新できそうにありません。誠に勝手ではありますが、 今しばらくお待ちしていただければ幸いです。
[158]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 14:47:37 ID:??? ようやく更新できるようになりましたので、これより投稿いたします。 私的なトラブルに続き転職することとなった為、予定より遅れてしまいました。 今後は仕事の為に今以上に更新頻度が遅くなるかもしれませんが、 なにとぞ今後も拙稿を読んで楽しんでもらえればうれしいです。 最後に、今回の投稿は一部本編の文章をそのまま、あるいは一部変更して 用いている箇所があります事について、なにとぞご容赦を願います。
[159]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 14:49:47 ID:??? ―――――― ――――――――― ――――――――――――― さらに時は流れる。 インドネシア、ジャカルタのとある国際ホテル屋上。 ホテルは高く、ジャカルタ800万の喧騒も屋上では虫のさえずり程にしか響かない。 空は雲に包まれるも風涼しく、こうした天地の加護を受けてか、男女2人が誰に邪魔されることなく語り合えていた。 男の方は緊張しながらも躊躇うことなく自らの心境を明かしている。 女も同様に心の奥底を開こうとしているが、男に比べて憂いの色が強くにじんでいた。
前
次
写
0ch BBS 2007-01-24