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アク規中代理カキコ依頼スレその3
[183]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:30:18 ID:qY13xZ8o コインブラ「こんな所に呼び出して何の用だ…?」 カルロス「お前には聞きたい事が山ほどある。俺が納得いくまで付き合ってもらうぞ」 カルロスはコインブラと一対一で対峙していた。 ミーティングの数十分後、会議室に彼だけを呼び出したのだ。 コインブラ「そう長く付き合うつもりはない。何を聞きたいのか最初にハッキリさせろ」 カルロス「では要点を3つに絞ろう。俺が知りたいのは過去、現在、そして未来に関わる事だ。 まずは…お前が俺の記憶の中にあるアーサーと同一人物なのかどうか。 次に…お前がブラジルユースに入るまで何処で何をしていたか。 最後に…お前がこのブラジルユースで何を何の為にしようとしているかだ」 二人の会話は決して友好的な物ではなかった。カルロスはブラジルユースの選手達の中では かなり温厚な人物だが、それでも度重なるコインブラの身勝手で理解し難い振る舞いを これ以上放っておけないと言う決意を込めた声を出していた。 コインブラ「……………」 カルロス「まずはこれに答えろ。お前はフラメンゴのデンチ・デレイチ(少年)チームに居たのか? あの時、サッカーボールに慣れていなかった俺が入団テストに落ちそうで焦っていた時に 一緒に練習して助けてくれた…その後再会を約束したアーサーなのか?」 コインブラ「………ああ。俺は確かにフラメンゴに所属していた。そして退団した日に お前にサッカーボールを譲ったのも覚えている。こんなに長く持ち続けているとは思わなかったがな」 カルロス「やはり…!」 それに対するコインブラの反応は何とも読み難い物で、渋々ながら淡々と答えるその表情は 不快感を主とした感情を隠しきれていなかった。
[184]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:34:02 ID:qY13xZ8o カルロス「だが、お前は結局戻ってこなかった。チームの誰に聞いてもアーサーなどと言う者は 知らないと言われた。あれはコインブラと言う名で登録していたからなのか?」 コインブラ「…いや。クラブの誰もが俺の事を居なかった事にしたかったからだろう」 カルロス「何!?なんでそんな事が…いや…上手すぎたからか」 コインブラ「そうだ…俺はチームの為に全力を尽くしてプレイしたが、その結果得られた物は 俺を持て余してまとまる事が出来なくなり、崩壊したチームだった。実にくだらない結末だったさ」 カルロス「(サラッと言っているが…恐らくは、とんでもない境遇だったのだろう。 あれだけずば抜けていれば相手チームから反則やラフプレイを繰り返されていたに違いない。 それなのにチームメイトも指導層も味方ではなく敵と化していたとしたら…恐ろしい物だな)」 コインブラ「お前にも覚えがあるだろう?自分の無力を強い相手を妬む事で誤魔化そうとする者達の視線を」 カルロス「…確かに俺もそういう思いをした事はある。だがそれだけでサッカーを止めようとは思わないし、 そんな下らないトラブルは上のレベルに上がっていけば自然と消え去る。その先に得られる物がある筈だ」 コインブラ「…得られる物、だと?くだらんな」 カルロス「くだらないだと…?クラブサッカーを止めたのになぜそんな事が言えるんだ? 他のどこかでサッカーをしていたのだろうが、そこで何を見たと言うんだ?」 コインブラ「………やけに詳しそうだな。ある程度事前に調査してきたのか?」 カルロス「俺が知っているのは8年前お前が俺と入れ替わる様にフラメンゴを退団した事。 あちこちのアマチュアサッカーに介入して金を稼いでいた事。 そしてそれは病気の養父…ジャイロを養う為に行っていた事くらいだ」 二人の価値観は噛み合わず、次第に会話は剣呑さを増していく。 少年時代の旧友同士が思い出話をしている筈なのに、とてもそんな穏やかな空気ではなかった。
[185]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:35:58 ID:qY13xZ8o コインブラ「…そこまで分かっているのにそれ以上何を聞きたいと言うんだ?」 カルロス「この程度では全然足りはしないさ。何故フラメンゴに戻ってこなかったんだ? それ以降何故クラブに入らず、そんな生活をしていたんだ?そしてその年月に何を見てお前はこうなったんだ!」 コインブラ「…フラメンゴに戻る訳などない。あの日、お前と別れて家に戻ったら親父は倒れていたんだからな」 カルロス「!」 コインブラ「デンチ・デレイチのチームでプレイしていても金は貰えん。逆に払わされる側だ。 かと言って何のツテもない子供が働いたとしても大の大人の入院費には到底足りない。 当時俺がまとまった金を稼ぐには、子供だと侮る大人を挑発して金を巻き上げる位しか無かった」 カルロス「…よくそんな事が出来たな?いくら上手いとは言え、12歳じゃ限界があっただろうに…」 コインブラ「当然最初から上手く行った訳じゃなかった。だから親父の残したノートに従い 練習を積み重ね、多勢に無勢を引っくり返し…そんな事を繰り返している内に力がついていった」 カルロス「なるほど…ジャイロは指導者としても優れていたと言う訳か。だが、彼はもうこの世には…」 コインブラ「…俺が15の時、目の前で息を引き取ったぞ。最後までブラジルサッカーの行方を気にしてな」 カルロス「流石と言うべきか…骨の髄までセレソンだったんだな。見習わなければ」 コインブラ「…一体何を見習うと言うんだ?」 カルロス「うん?それは勿論、そのブラジルサッカーにかける情熱と信念を…」 コインブラ「親父がそれで何を得られたと言うんだ!」 カルロス「!!?」
[186]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:37:00 ID:qY13xZ8o 先に声を荒げたのはコインブラの方だった。彼は初めて感情を剥き出しにし、カルロスを糾弾する側に回った。 コインブラ「伝説の選手?要は忘れ去られたどうでもいい存在だ。親父の見舞いには俺以外誰も来なかったぞ」 カルロス「誰もか?引退後は世捨て人の様な生活をしていたと聞いたが…誰も来なかったのか?」 コインブラ「そうだ。金を持っている元選手なりサッカー協会関係者なりが居ただろうに、 誰も親父を助けようとしなかった。世間は親父以降の世代と、今の世代のセレソンについて騒ぐばかりだった!」 カルロス「それは…仕方がないだろう。偉大なセレソンでありながら、引退後生活を乱し 悲惨な最期を遂げた選手も居る。身内としてはそんな理屈では納得し難いだろうが…」 コインブラ「そんな事は分かっている。結局親父は何も得られず、何も残らなかっただけだ。 第二次世界大戦で全盛期を逃しながら、それでもワールドカップに出てボロボロになり… その後の選手達の活躍の陰に忘れ去られた。頂点を目指して得た結果は…むなしい最期だった」 カルロス「(伝説の名選手に最期は何も残らなかっただって…?そんな事が本当に有り得るのか…?)」 コインブラ「頂点に達すれば妬みと恨みを買い、達せなければそれすら得られず存在を消される。 お前はその一体何を見習うと言うんだ。見習って何が得られると言うんだ!」 カルロス「(違う…何も残らないなんて、そんな筈はない!そんな筈は…!)」 栄光を求めた結果と最期。生々しい体験を聞かされたカルロスはそれを否定したかった。 だが否定する事は出来なかった。初めて見るコインブラの激情を押し返せなかった。 カルロス「…なら、お前は…お前は何故ここにいるんだ?ここで何をしているんだ…?」 コインブラ「っ………」 代わりに絞り出した質問はコインブラの怒りを鎮める効果があった。
[187]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:38:08 ID:qY13xZ8o コインブラ「……………」 カルロス「何故ブラジルユースに入った?何故…サッカーを続けているんだ?」 コインブラ「…親父が何を見ていたか、知りたかったからだ」 カルロス「ジャイロが…」 コインブラ「親父は最後の最後まで後悔らしきものを見せなかった。 ブラジルが勝つと我が事の様に喜び、ブラジルが負けると何日も嘆いていた。 俺にはそれが理解できない。だから…監督に誘われてここに来た。 実際にセレソンになってみれば、親父が何故あそこまで拘り続けたか分かるかも知れないとな」 カルロス「そうだったのか…それなら、何か分かった事があるんだな?」 コインブラ「…いや。全く分からない」 カルロス「!!」 冷静になったコインブラは問われるまま己の目的と意図を語り出し、カルロスに背を向けて 窓から夜空を見上げた。故に気付かなかった。カルロスの肩が怒りで震え始めた事に。 コインブラ「この大会を見てきても、何も分からなかった。やはり俺には 何の縁もなく、何の価値もないのだろう。セレソンとして頂点を目指す事は」 カルロス「………それで、お前はどうするつもりだ。結局見物するだけでワールドユースを終えるつもりか?」 コインブラ「そうだな…それでもいいが、ブラジルが負けそうになったら出るつもりだ。 監督には少しばかり恩があるし、どうせなら無価値でも頂点と言う奴を得ておきたい。 明日の試合は俺抜きならドイツが勝つ確率が高い。だから…」
[188]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:39:15 ID:qY13xZ8o カルロス「ふざけるな!」 コインブラ「!?」 故にカルロスが怒声を上げた時、彼の怒りを宥める手段はもう無かった。 カルロス「何がブラジルが負けそうになったら出るつもり、だ!そんな事は例え監督が許しても この俺が、ブラジルユースキャプテンのカルロス・サンターナが許さん!」 コインブラ「…自分で言っていて矛盾に気付かないのか?監督に刃向う上に 勝利の為に最善を尽くさないのがお前のキャプテンとしての務めだと…」 カルロス「キャプテンだから言っているんだ!今ハッキリと確信した! そんな腑抜けた状態のお前はチームの癌でしかない!お前を試合に出させる訳にはいかない!」 コインブラ「なんだと!?」 続いてコインブラも激昂した。それは初めて彼がチームメイトに見せた剥き出しの感情だった。 二人の生の激情がぶつかり合い、殺し合いに発展しそうな程緊迫した空気が場に満ちる。 カルロス「何が何も分からなかっただ!何が何の縁も価値もないだ! 今のお前の話と今までのお前の振る舞いを見てそんな戯言を信じる奴が居るか! それにも拘わらず己の魂や信念を賭けて戦う覚悟の無い奴などただの足手まといだ!」 コインブラ「足手まといと来たか!俺に出せる手も足も無い奴が良く言えた物だな!」
[189]森崎名無しさん:2013/09/05(木) 13:39:59 ID:??? 表情が素敵です
[190]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:41:37 ID:qY13xZ8o カルロス「確かに純粋に実力だけで比べれば俺は未だお前に追いついていない。 だがその差はお前が願っている程大きな物ではない…練習ではなく実戦なら! 1対1ではなくチーム対チームの試合なら!間違いなく俺が勝つ程度の小さな差だ!」 コインブラ「ほざきやがって…そんなに魂やら信念やらが大事だと言うのなら 明日の試合でドイツを倒してみるんだな。俺の見立てでは3−2でドイツが勝つ」 カルロス「ああ倒してやろうとも。俺がセレソンとは何かを見せてやる。 お前には絶望的に足りない物があると証明してやる。それを精々学ぶんだな。 それを見ても尚何も分からないのなら…お前は最初からセレソンにはなれなかったと言う事だ」 コインブラ「良いだろう。くだらん物を見る羽目になりそうだがな」 カルロス「…話は以上だ。さっさと寝ろ。これ以上口で語る事はない」 カッ、カッ、カッ、カッ… コインブラ「……………」 かくして二人の主義主張は一切の妥協を見出す事なく、激突と火花のみを後に残した。 ブラジルユースは10番を着る選手が孤立したまま準決勝に挑む事になる。
[191]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:43:24 ID:qY13xZ8o 上記8レス(>>189以外)のコピペをお願いします。 >>189 ここはコピペ用スレなので、感想などは雑談スレもしくは本スレでお願いしますね。
[192]森崎名無しさん:2013/09/05(木) 13:43:32 ID:??? 行ってきます。 スミマセン、189は誤爆です。
[193]2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/07(土) 00:47:23 ID:gaszjmxg 〜大会22日目、リオ州のエスタジオ・ド・マラカナン〜 ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! 観客「来た来た来たーーーッ!待ってましたァ!」「遂に我らがブラジルユースの出番だぜ!!」 「今日の相手はドイツだ!」「やっと歯応えのあるチームを倒せそうだな」 「今までのザコとはちょっと違うぞ!気をつけろよーっ!」「油断するな!ちゃんと勝て!」 「カルロス!得点王取れよーっ!」「ゲルティス!ドイツなんかに得点させるなよーっ!」 放送「全世界の皆さまこんにちは!ここエスタジオ・ド・マラカナンは最早数えるのも 嫌になる程超満員!観客席が抜けてしまわないか心配してしまう喧噪に包まれています! それもその筈、今日のゲームは我らがブラジルユースがドイツユースと準決勝で激突するのです! 御存じドイツユースは大会前から優勝候補の一角として名高かった強敵! グループ予選こそ2位突破だったものの、ここまでの4試合での戦績は18得点3失点と 2位突破だから何だと言わんばかりの堂々たる戦果!その証拠に準々決勝ではグループCを 1位突破したウルグアイユースを4−1で一蹴しており、また一足早く決勝進出を決めた 全日本ユースとも激戦の末に2−2で引き分けているのです! 準決勝の相手として不足なしのこのチームを率いるのは現在8ゴールで得点王ランキングで カルロスくんと同率3位についているエースストライカーのカール・ハインツ・シュナイダー! 彼の得点力は我らがブラジルユースにとって多大なる脅威となるでしょう。 まずはこのシュナイダーくんを抑え込めるかどうかが守備における最重要課題となります。 そしてドイツは勿論守備も堅いのは言うまでもありません!その象徴はGKのミューラーくん! 豪快な体格とそれ以上に豪快なセービングは生半可なシュートを寄せ付けません! 鋼鉄の巨人と言う従来の異名に加え、今大会で雷神と言う新たな異名を得た彼に 我らがブラジルのシューター達はどう立ち向かうのでしょうか?目が離せません!」 準決勝のマラカナンスタジアムは当然の如くブラジルの勝利を願うブラジル人観客で満員だった。 ドイツ人の応援団がどれだけ声を張り上げてもかき消される程である。
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0ch BBS 2007-01-24