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【伝説の】Another-CU_9【継承者】
[459]アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/23(月) 19:38:43 ID:??? (五日目、六日目) 練習開始時に比べ、逆足のシュートの威力は格段に向上していた。 しかし同等の威力にまで押しあがっていると言えば、それは否だった。 何かもう一つが足りないのだと三杉は懸命にシュート映像に食い入った。 だがどうにも分からなかった。 連日の疲労もピークに来ていた。 こうなってくるとモチベーションの維持が難しくなってくる物だ。 しかし三杉は別に課題を設ける事で、気分の転換を同時に行った。 威力のあるシュートではなく、回転をかけるシュートについて逆足で鍛錬したのだ。 一つの事に集中するのは良い事だが、それにも限度がある事を彼は判っていた。 これは思ったよりも順調であり、三杉の気を良くさせるのに役立ち、行き詰らずに済んだ。 回転をかけたシュートについては、威力が同等となった後には、必要になると予測された項目だった。 三杉は課題をクリアする事で何が得られるのか、ファンベルグの意図に想像を膨らませていた。 それはファンベルグの数多のゴールシーンを観察したからこその予測であった。 (最終日) この日の夕方と夜の境界と呼ぶべき時間帯にテストを行うと言われている。 時間は多く残されていない。 焦る気持ちが顔を出していたが、三杉はこれまで通り課題へと取り組んだ。 フォームの微妙な差については肩甲骨の開き方についてを見いだした。 これによってシュートの威力を微増させる事に成功した。 しかしそれでも同等には至らなかった。 最後の詰めが届かないまま時間は残酷に過ぎ、疲労ももはや限界に到達していた。
[460]アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/23(月) 19:40:22 ID:??? 〜約束の時からちょうど一週間〜 <フィレンツェ/フロレンティア・ヴィオラ練習コート> ボロリ… 汗と埃を吸って極限まで汚れきった練習着を纏い、三杉はコートに立っていた。 約束の時間はもう間もなくであろう。 そう思って時計に目をやった時、物音が聞こえた。 視線を向けると、マルコ・ファンベルグがこちらへゆっくりと歩いてきていた。 三杉「こんばんは、遠方からわざわざありがとうございました。」 ファンベルグ「気にする事はない、一週間後と言ったのは私だからな。」 そう言って彼は三杉の目の前で立ち止まった。 そして頭の上から足元までを舐めるように三杉を観察し、口を開いた。 ファンベルグ「無理だっただろう?」 三杉「いえ、そんな事はありません。」 確かにファンベルグの言葉通り、三杉はあと一歩届いていない。 しかしこの一週間、文字通り心血を注いで課題に努めた。 それをただ一言、無理だったで終わらせる事は三杉には出来なかった。 『出来なかった』と潔くテストを辞退する… そんな考えは欠片もなかった
[461]アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/23(月) 19:41:48 ID:??? 三杉「(諦めてたまるものか…。 そんな潔さは要らない最後まで足掻いてやる。) まずは利き足のシュートを見せます、その後に逆足で蹴ります。」 ファンベルグ「良いだろう、それでは準備が出来次第やって貰う。」 三杉「はい。」 三杉はボールを置いた。 そして試合中のシーンをイメージしながら走り込み… バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウッ! ザッ!っとゴールネットへ見事突き刺さった。 わざと威力を抑えて蹴ろうなどとは考えなかった。 そんな下らない小細工で誤魔化せる相手だとは思っていなかったし、それをやる意味もなかった。 ファンベルグ「悪くない。 では肝心の逆足を見せて貰おう。」 三杉「はい、それでは。」 再び三杉はボールを置いた。 奇跡が起きて欲しいという考えが浮かんだが、それを掻き消す。 偶然出来る事に意味はない。 しかし偶然出来た時、何がこれまでと違ったのか気付けなければならない。 それには結局、これまで繰り返して来た通りにやる事が大切だと考えていた。
[462]アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/23(月) 19:43:17 ID:??? 三杉「行きます。」 一言、声になっていたか分からないがそう呟いて助走を開始した。 そして… バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッウッ! 三杉(ダメだったか…) やはり威力は利き足のシュートと比べて僅かに足りなかった。 テストは不合格という事である。 悔しい気持ちに満たされたが、これが今の実力だと納得も出来た。 最初から最後まで妥協せずにやり切ったからこその納得だった。 パチパチパチ 重くなる意識の隅からか… 手を叩く音が聞こえた。 音の方を見ると、ファンベルグが拍手をしていた。 努力をしたことだけは称えてくれるという事だろうか。 しかし慰めは必要ない。 三杉「ありがとうございます。 けれど、やはり無理でした。」 ファンベルグ「………」 顔を上げてファンベルグと視線を合わせた。 どうした事か、ファンベルグの表情は驚嘆という表現がよく似合った。
[463]期待値50そこそこで70は立派ですアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/23(月) 19:48:34 ID:??? 三杉「あの、どうかしましたか?」 そう声をかけると、ファンベルグはようやく我に還ったと見えた。 ファンベルグ「いやいや… ブラボーだ、驚いたよ。 ミランとバルサ、キミのプレーは二度観ているが…」 三杉「は…?」 ファンベルグ「一週間で届くと予想していた水準を遥かに上回っている。 いや、もはや完成に近い。 誰かアドバイスをくれるような人間がいたのか?」 三杉「いえあの… ビデオカメラでフォームをチェックしながら、トライ&エラーをひたすら繰り返しました。 気が付いたことがあれば逐一反映させる事で、このレベルまでは到達しましたが…」 ファンベルグ「なるほど… だがそれは気が遠くなる作業だった筈だ。 どうやってモチベーションや集中力を保った?」 三杉「それは…」 三杉はファンベルグが投げる問いかけに対し、一つ一つ答えて回った。
[464]本日はこれで終了とさせて頂きますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/23(月) 19:50:49 ID:??? 結果だけを見ればテストは及第に足りていなかった。 しかし結果を見たファンベルグの反応は、足切った者に対するそれではなかった。 やがて三杉はファンベルグが自分に到底クリアできない課題を出したのだと気が付いた。 ファンベルグ「分かった、なるほど。 ジュン・ミスギ、キミはそういうパーソナリティというわけだ。」 最後の質問を終えたのか、ファンベルグは大きな嘆息と共にそう口にした。 右手は三杉の方へと差し出されている。 三杉「あ………」 自分が憧れの選手の課題に対して及第だった事は把握したが、それでも少し戸惑った。 嬉しさの中に、少しだけ抗議したい気持ちが混ざっていた。 ファンベルグ「私の名はマルセル・ファン・バステン。 今日からキミの味方だ。」 その言葉を聞いて、ようやく三杉は手を握り返した。 嬉しさが勝り、やがてそれは感激となった。 憧れの人を認めさせるだけの過程と結果を実感したのだ。
[465]森崎名無しさん:2014/06/23(月) 21:46:42 ID:??? うん なんともワクワクする展開のはずだけど スペルマンのことがあって三杉と読者の間に凄く感情の乖離が発生している気がします。
[466]森崎名無しさん:2014/06/23(月) 21:54:47 ID:??? 作品にはそういう溝があるのはしょうがない むしろ俺はスぺルマンが即座に去らなかったことに対して内心喜んでる まだ可能性はあるんだって
[467]森崎名無しさん:2014/06/23(月) 22:02:45 ID:??? スペルマンを失うことを覚悟しつつ、それでも先に行こう 新たな出会いや発見も絶対ある思うし
[468]森崎名無しさん:2014/06/23(月) 22:04:32 ID:??? ブルノ「一人抜けて困ってるらしいからこの俺が、入ってやるってばよ!」
[469]森崎名無しさん:2014/06/23(月) 22:32:27 ID:??? 三杉とアルシオンは片方が落ち目になるともう一方が上り調子になる因果関係だっけ 個人としての成功と可能性の継続、関係の失敗と破綻、ゆれていますね
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0ch BBS 2007-01-24