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【光を】鈴仙奮闘記22【掴み取れ!】
[755]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:00:15 ID:??? 勇儀「だ〜〜〜〜〜っ! もう、本当に辛気臭い女だねアンタは。 そんなんだから、何時まで経っても男友達の一人も出来やしない!」 さとり「……な。 そ、それは関係ないでしょう星熊勇儀! 幾ら旧地獄の荒くれ共を仕切る有力者たる貴女とは言え、言っても良い事と悪い事が……!」 ――見苦しいと分かっていても徹底的に抗うさとりだったが、 彼女もまた内心で、試合に出る覚悟自体は決めかけていた。 地霊殿は権威こそあるが、さとりが長らくその門を閉じていたせいでその影響力は弱まっている。 そんな中、鬼の首魁たる星熊勇儀の顔に泥を塗る事はあってはならない。 また、彼女の従者達も素直な想いから自分の参戦を期待してくれているのも、正直言って嬉しかった。 しかし――。 さとり「(……やっぱり、まだ人前に出るのは怖い。 だけど、それよりも――私は本当に、皆に受け入れられるのかしら……?)」 自分のような嫌われ者が。 しかも、努力では無くその才能のみで活躍を目論むような者が。 本当に、光を掴み取る事が出来るのだろうか――。 お燐や勇儀に空が明るく否定してくれたビジョンを、さとりはまだ拭い去れないでいた。
[756]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:01:19 ID:??? **** 魔理沙「くらえ地底の妖怪め! これが私の……『マスタースパーク』だ〜〜〜ッ!」 バッ、ゴォオオオオオオオオオオオン!! ビイィィィィィィィィ………………ッン!! さとり「あっ、あああっ……!?」 ズバァアアアアアアアッ、ピピィイイイイイイイイイイン!! 実況「決まった〜〜〜! ゴ〜〜〜ッル!! これで2−1! 霧雨魔理沙選手、地上最高のストライカーという前評判に違わぬ見事な活躍で早くもハットトリックにリーチを掛けた! 前半16分、地底妖怪FCはどう粘りを見せてくれるのでしょうか!」 空「うにゅ!? さ、さとり様大丈夫ですか!?」 お燐「死んだら屍は拾って差し上げますよ〜」 さとり「……ええ大丈夫よ空。 ありがたいけど……貴女は態々ゴールまで戻らず、自分の持ち場に戻りなさい。 そしてお燐は嬉しそうにしないの、まだ死なないから」 ヤマメ「んー、やっぱり私らトーシロじゃあ地上の猛者には敵わないかァ。 勇儀姐さんにボールを渡そうにも、中盤の寂しげな女(アリス)に、悉くカットされちゃうよ」 ……結果として、さとりはこの試合GKとして試合に出るも、 前半も半ばにして既に散々な結果であると言って仕方が無かった。 試合は開幕こそ勇儀の出鱈目な自称必殺シュート『三歩必殺』で、 霧雨魔理沙の知り合いらしい河童が守る敵守備陣を、ゴールごと吹っ飛ばして先制点を挙げたが、 それから先はやはり、先にサッカーが流行っていた地上の選手達の独壇場だった。 そして、今もまた……。
[757]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:02:31 ID:??? ピィイイイッ! 実況「再び地底妖怪FCのキックオフで試合開始です! ボールはトップ下のお燐選手がフォローしましたが…」 アリス「そんな拙いドリブル、私でも楽々カットできるわ!」 シュンッ! スパァァァァァアアアアアアアアアアアアッ! お燐「あひんっ!?(う〜ん、灼熱地獄跡で磨いたバランス感覚さえあれば、何とかなるかと思ったんだけどねぇ)」 ……と、言った風に、地底の妖怪達の基礎的なサッカー技術はまるでお話にならない水準だったらしく。 地上のサッカーチーム――霧雨恋色マジックは名無しの妖精からして実力が高く、 更に中盤にも司令塔たる選手が居た為に碌にボールに触れる事すらできない。 魔理沙「よし、良くやったアリス! 後は私が!」 アリス「ええ、分かったわ魔理沙!(フフ……この信頼。 やっぱり私こそが、魔理沙の一番の友達と言っても過言では無いわね……)」 バシュウッ! 実況「アリス選手、針に糸を通すかのように正確なパス! ボランチのヤマメ選手はカットにすら行けません! そして……CFの魔理沙選手、バイタルエリアにてボールを確保します!」 キスメ「……」チラッ(←不安げにさとりを見つめている) さとり「(この状況は、さっきと全く同じ……!)」
[758]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:03:37 ID:??? ――さとりは1、2失点目の時を思い返しながら、ペナルティエリアの中へと突っ込む魔理沙の姿を眺める。 確かにペナルティエリアの中では、シュートを放つ魔理沙の思考が嫌でも入って来る。 どのタイミングで、どこに、どうやってシュートを狙っていくか。 そして果たして魔理沙は、さとりの読み取った通りに行動していたが――。 魔理沙「悪いなさとり。 お前には恨みは無いが……!」 さとり「『私達の計画の為にも、ここは圧勝させて貰う!』……ですか。 どんな得点計画かは知りませんが、次は止めます!」 グワァアアアアアアアアアアアアアアアッ! バッ、ゴォオオオオオオオオオオオン!! ビイィィィィィィィィ………………ッン!! さとり「(読めた! 私から見てゴール左端下側! だけど――!)」 バァァァッ! バチッ………ギィイイイン!! ドゴオオオオオオオオオオオオッ!! さとり「きゃぁあーーーーーーーーーーーーっ!?」 ズバァァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ! ピピィィイイイイイイイイイイイイイイッ! 実況「決まった〜〜〜〜! またまたゴールだ〜〜〜! これで3−1! 霧雨魔理沙選手、前半早くにしてハットトリック達成です!!」 ……魔理沙のパワーシュートに対しては、如何にさとりが人の心を読めようと意味が無い。 どこに来るか分かっていても、受け止められなくては同じだからだ。 そんな中、近くに地上にて行われた永遠カップにて、永遠亭ルナティックスのゴールを粉砕した新技 ……『マスタースパーク』は、さとりの想像を絶するまでの破壊力を秘めていた。
[759]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:05:18 ID:??? お燐「……さとり様、大丈夫ですか」 さとり「……今度は言いつけ通り、真面目に心配してくれるのね」 お燐「状況が状況ですから。 ……しっかし、あれがモノホンの『マスタースパーク』かぁ。 威力だけなら地上最強、っていう触れ込みだったけど本当だ。 ありゃあレミリア・スカーレット嬢の『マスターオブレッドサン』や、天才八意永琳の『ライフゲーム』以上の破壊力じゃないか」 地上に頻繁に出ている為、地底妖怪FCでは一番のサッカー通であったお燐が言う通り、 この時点で霧雨魔理沙の『マスタースパーク』は、幻想郷最高の必殺シュートと評価されていた。 レミリア・スカーレットが『ノンレッドサン』を、八意永琳が『爆宙アポロ』を、 そして博麗霊夢が『夢想封印・瞬』を発明していない時代であった為に、 現在でもその評価が適切か……と言われれば疑問符は残るが、 兎に角、そうした知識がほぼ入ってこなかった地底において、魔理沙のシュートは規格外と言わざるを得なかった。 しかし―――。 観客「ブゥウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!」「なんだーこの試合はー!」「妬ましい……!」 「何で地上の、しかもふつうの人間に3点取られてるんだー!」「ふざけんな、覚妖怪が!」 「人の心を覗く浅ましい妖怪がお姫様ぶりやがって!」「俺は昔から、アイツが気に食わなかったんだー!」 実況「お、お客様! 幾ら試合が一方的だからと言って、フィールドに物を投げ入れないで下さい!」 さとり「(ふふ……やっぱり私の思った通りだわ。 でも良いわ、どうせ私は地獄の住民。 こうした罵声には、とうの昔から慣れている……)」 ――しかし、だからと言ってそれで地底の荒くれ共がさとりに対して同情をしてくれる筈も無い。 お燐が心配するように、観客達のさとりに対する評価は酷い物だった。 単純に失点の責を詰る者はまだ良心的であり、中には試合に関係ない、 さとり本人への言われなき怨嗟や恨み、品の無い罵声が轟いていた。
[760]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:10:09 ID:??? にとり「(フォワードは何度失敗しても1点決めれば英雄。 ゴールキーパーは何度堅守を見せても1点取られれば戦犯。 本当に理不尽なポジションだよねぇ。 ――ま、あんなゴールキーパーなんて酷いポジション、普通は誰もしたくないんだ。 それでもやるって奴は……私みたく仕方なしにやってる奴か、『自分が守りさえすればチームは負けない』 とか目出度い事考えてる、酔狂な奴か。 そのどっちかに決まってるよ)」 そんな様子を自陣ゴールで見守るGKのにとりは、明日は我が身とて身を竦めるも、決して心の底から同情はしない。 それがサッカーにおける厳しい現実と知っていたからだ。 しかし、どうしても閉じこもりがちである以上、世間知らずで打たれ弱い面が残るさとりは……。 やはり、覚悟はしていても、そんな厳しい現実に打ちのめされようとしていた。 さとり「(フフ。 ……心が読めようが読めまいが、やっぱり、辛いわね)」 さとりの脳裏には何時しか、今こそここでは無い何処かにいるが、しかし確かに愛している妹の姿が浮かんでいた。 さとり「(だからこそ、こいしは……自分から心を閉ざしたのでしょうね。 自らのアイデンティティを放棄してまで、『他者から嫌われる』という自分の運命から逃げ出したかった。 今なら、あの子の気持ちが良く理解できる気がするわ……)」 ――自分は、やはりこの世界から求められていない。 光を掴む事など出来ない。 その事実を噛みしめながら、彼女は廻る廻る思考の中に心を閉ざして行く。 さとり「(妖怪の身体を構成するのは肉体では無く精神。 つまりは、私もこの心を閉ざしてしまえば……)」 ……ピィイイッ! ワァアア……ッ! ドガバギグシャッ! ドン、ドン……バシュウウッ! ズバァアアッ、ピピィイイッ! ……ピィイイッ! ワァアア……ッ! シュッ、スパッ! バババッ、バシュッ!……ゴオオッ、バシッ! ズバァアアッ、ピピィイイッ! ――どうやら、さとりが悩んでいる間にも試合は再開されたようだ。 遠くから耳鳴りのように空を切る音や笛の音が聞こえる。 しかし、今の自分にはもはや関係無い。 今の自分は深い闇の中に居るのだ。 そして、そんな深い闇の奥には、誰の声すらも届きはしない。 そんな地獄に、さとりが囚われていたその時だった。
[761]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:20:41 ID:??? お燐「……様! ……り様!!」 空「聞い……さと……ま!」 さとり「(……お燐、空。 貴女達も私を笑いに来たのね)」 ――何も聞こえない筈の闇の底に向かって、一筋の声が聞こえる。 それは最初、さとりには不甲斐ない主人に失望した従者達の笑い声だと思った。 その声は、意識してしまうと中々頭の中から離れずに響き、こびりついて離れてくれない。 うっとおしくなって、さとりが一瞬だけ目を開いた時――二人の姿とは別に、得点板が見えた。 碌なサッカー設備が無い旧地獄の特設サッカーコートに備え付けられる木製の板。 その板には、こう数字が記載されていた。 地底妖怪FC 3 − 3 霧雨恋色マジック 空「さとり様! 私、決めました! お燐と一緒に決めました!!」 お燐「後さっき、星熊さまもさとり様の為にやってくれたんですよ! こう、カッコ良く……ズバーーっと! これならまだ、さとり様の事をバカにした奴らを見返してやれますよ!!」 さとり「…………!」 ――この時のさとりの心境は、……自分でも良く分からなかった。 これまで自分はただただ暗い絶望の中に居て、そして今もその状況は変わっていないのだが……。 しかし、何故か明るいような気がする。 闇に居ても尚、掴める光があるような。 ――そんな気がするのだ。 この気持ちを、一体どうやって表現すれば良いのだろうか。 さとりはこの時、少しだけ間を置いて。 さとり「(……不思議ね。 まるで……白夜の世界に、やって来たみたい)」 ――と。 本物の白夜を知らないにも関わらず、そんな事を思い浮かべていた。
[762]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:23:34 ID:??? ――と、言ったところで今日の更新はここまでです(汗) 明日で回想シーンは終わりになる予定です。 読み物としてはともかく、ゲームとしては、試合中に長い回想を入れるべきでは無かったかもしれません…テンポ的に考えて(反省)。 さとりの心情描写だけでなく、ひょっとしたら今後の伏線っぽいセリフもあるかもですので、出来れば読んで下されば幸いです。 それでは、皆さま、本日もお疲れさまでした。
[763]森崎名無しさん:2014/11/04(火) 00:24:45 ID:??? にとり「もうだめだぁ…おしまいだぁ…」さり気なく炎上中
[764]森崎名無しさん:2014/11/04(火) 00:32:49 ID:??? 乙でしたー。 にとり「本当にゴールキーパーは、損な役割だよ……ガクッ」 アリス「にとり……? しっかりしてにとり!」
[765]森崎名無しさん:2014/11/04(火) 21:58:11 ID:??? ヨーロッパあたりだとGKが人気で一人だけだから取り合いになるとか聞くけどね、特にドイツ
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0ch BBS 2007-01-24