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【光を】鈴仙奮闘記22【掴み取れ!】
[760]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:10:09 ID:??? にとり「(フォワードは何度失敗しても1点決めれば英雄。 ゴールキーパーは何度堅守を見せても1点取られれば戦犯。 本当に理不尽なポジションだよねぇ。 ――ま、あんなゴールキーパーなんて酷いポジション、普通は誰もしたくないんだ。 それでもやるって奴は……私みたく仕方なしにやってる奴か、『自分が守りさえすればチームは負けない』 とか目出度い事考えてる、酔狂な奴か。 そのどっちかに決まってるよ)」 そんな様子を自陣ゴールで見守るGKのにとりは、明日は我が身とて身を竦めるも、決して心の底から同情はしない。 それがサッカーにおける厳しい現実と知っていたからだ。 しかし、どうしても閉じこもりがちである以上、世間知らずで打たれ弱い面が残るさとりは……。 やはり、覚悟はしていても、そんな厳しい現実に打ちのめされようとしていた。 さとり「(フフ。 ……心が読めようが読めまいが、やっぱり、辛いわね)」 さとりの脳裏には何時しか、今こそここでは無い何処かにいるが、しかし確かに愛している妹の姿が浮かんでいた。 さとり「(だからこそ、こいしは……自分から心を閉ざしたのでしょうね。 自らのアイデンティティを放棄してまで、『他者から嫌われる』という自分の運命から逃げ出したかった。 今なら、あの子の気持ちが良く理解できる気がするわ……)」 ――自分は、やはりこの世界から求められていない。 光を掴む事など出来ない。 その事実を噛みしめながら、彼女は廻る廻る思考の中に心を閉ざして行く。 さとり「(妖怪の身体を構成するのは肉体では無く精神。 つまりは、私もこの心を閉ざしてしまえば……)」 ……ピィイイッ! ワァアア……ッ! ドガバギグシャッ! ドン、ドン……バシュウウッ! ズバァアアッ、ピピィイイッ! ……ピィイイッ! ワァアア……ッ! シュッ、スパッ! バババッ、バシュッ!……ゴオオッ、バシッ! ズバァアアッ、ピピィイイッ! ――どうやら、さとりが悩んでいる間にも試合は再開されたようだ。 遠くから耳鳴りのように空を切る音や笛の音が聞こえる。 しかし、今の自分にはもはや関係無い。 今の自分は深い闇の中に居るのだ。 そして、そんな深い闇の奥には、誰の声すらも届きはしない。 そんな地獄に、さとりが囚われていたその時だった。
[761]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:20:41 ID:??? お燐「……様! ……り様!!」 空「聞い……さと……ま!」 さとり「(……お燐、空。 貴女達も私を笑いに来たのね)」 ――何も聞こえない筈の闇の底に向かって、一筋の声が聞こえる。 それは最初、さとりには不甲斐ない主人に失望した従者達の笑い声だと思った。 その声は、意識してしまうと中々頭の中から離れずに響き、こびりついて離れてくれない。 うっとおしくなって、さとりが一瞬だけ目を開いた時――二人の姿とは別に、得点板が見えた。 碌なサッカー設備が無い旧地獄の特設サッカーコートに備え付けられる木製の板。 その板には、こう数字が記載されていた。 地底妖怪FC 3 − 3 霧雨恋色マジック 空「さとり様! 私、決めました! お燐と一緒に決めました!!」 お燐「後さっき、星熊さまもさとり様の為にやってくれたんですよ! こう、カッコ良く……ズバーーっと! これならまだ、さとり様の事をバカにした奴らを見返してやれますよ!!」 さとり「…………!」 ――この時のさとりの心境は、……自分でも良く分からなかった。 これまで自分はただただ暗い絶望の中に居て、そして今もその状況は変わっていないのだが……。 しかし、何故か明るいような気がする。 闇に居ても尚、掴める光があるような。 ――そんな気がするのだ。 この気持ちを、一体どうやって表現すれば良いのだろうか。 さとりはこの時、少しだけ間を置いて。 さとり「(……不思議ね。 まるで……白夜の世界に、やって来たみたい)」 ――と。 本物の白夜を知らないにも関わらず、そんな事を思い浮かべていた。
[762]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/04(火) 00:23:34 ID:??? ――と、言ったところで今日の更新はここまでです(汗) 明日で回想シーンは終わりになる予定です。 読み物としてはともかく、ゲームとしては、試合中に長い回想を入れるべきでは無かったかもしれません…テンポ的に考えて(反省)。 さとりの心情描写だけでなく、ひょっとしたら今後の伏線っぽいセリフもあるかもですので、出来れば読んで下されば幸いです。 それでは、皆さま、本日もお疲れさまでした。
[763]森崎名無しさん:2014/11/04(火) 00:24:45 ID:??? にとり「もうだめだぁ…おしまいだぁ…」さり気なく炎上中
[764]森崎名無しさん:2014/11/04(火) 00:32:49 ID:??? 乙でしたー。 にとり「本当にゴールキーパーは、損な役割だよ……ガクッ」 アリス「にとり……? しっかりしてにとり!」
[765]森崎名無しさん:2014/11/04(火) 21:58:11 ID:??? ヨーロッパあたりだとGKが人気で一人だけだから取り合いになるとか聞くけどね、特にドイツ
[766]森崎名無しさん:2014/11/04(火) 22:09:02 ID:??? 今の日本のGKを見てると、やっぱり川口と楢崎の時代は恵まれてた方なのかね
[767]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/05(水) 00:23:53 ID:??? こんばんは、今日も回想します。 >>763 多分さとり様の葛藤の裏で三回くらい吹っ飛ばされてます。 >>764 乙ありがとうございます。アリスさんに友達が出来そうで何よりです(違) >>765 そうなんですね、知りませんでした(汗)お国柄で好まれるポジションが違ってくるんでしょうね…。 >>766 何とか川口は分かります(爆)
[768]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/05(水) 00:25:14 ID:??? さとり「……無駄よ。 どうせ私はザルですから。 貴女達や星熊勇儀が頑張っても、どうせ逆転されます。 ……私のせいでね」 さとりは自らに芽生えた感情への戸惑いを隠すため、わざと後ろ向きに言い捨てたが、 しかし内心では決してそうは思っていなかった。 根拠は全くないし、絶望的な状況は変わっていない筈なのに、何処かに希望があるような気がする。 勇儀「――そうか。 だったらまた点を取らんとな」 ヤマメ「キスメの桶の耐久力が、シュートブロックでマッハだねぇ、こりゃ」 キスメ「………!」(←コクコク頷いている) さとり「貴女達は、どうしてこうも私なんかを庇うんですか。 お燐や空のような私の従者だったら分かりますが、貴女達は私とは無関係。 むしろ、旧都の住民は贅沢暮らしの地霊殿の令嬢を嫌っているのでは?」 無意識では救いがある事を知っていたが、しかしそれでもさとりの理性は 最後までお燐達や勇儀達を拒絶し続けていた。 どうせ裏がある。 おだてられて調子に乗ったところで、また突き落とされるんだ。 過去の経験則を当てはめながら、さとりは覚妖怪らしい醜悪な目つきで、地底妖怪FCの連中を睨む。 後で期待外れと罵られるくらいなら、最初から嫌われている方がマシだからだ。 ……しかし。 空「私は……ううん。 私だけじゃない。 お燐も、鬼さんも、蜘蛛さんも、桶さんも。 その他の名もなき地底の妖怪達も――きっと。 さとり様を、信じていますから!」 さとり「……」 空が純真に言い放った、この安易な励ましに対して、さとりが即座に皮肉たっぷりに言い返せなかったのは。 ――どこかで、地獄の絶望の中でも見える光を、感じたからかもしれなかった。
[769]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/05(水) 00:28:17 ID:??? ――ピィイイイッ!! ……暗いのか明るいのかも分からない、白夜のような心情の中、後半戦は始まった。 前半で奇跡的に決まった2点はやはり奇跡だったのか、後半戦が始まって以降、 地底妖怪FCは再び押されっぱなしの状態だった。 空にしても勇儀にしても、シュートは凄いがそれ以外はからきしだし、 お燐はドリブルもパスも中途半端。 守備については当然目も当てられない。 ヤマメはそもそもやる気があるかどうかすら分からないし、 キスメの小さな桶ではブロックに行ってもそもそもボールに当たらない。 ……故に、GKのさとりがCFの魔理沙と何度も対峙する事はもはや必然だった。 さとり「(……考えても無駄と言う事かしら。 どうせ私には何も無いのだから)」 魔理沙「……おっ、良い顔になって来たじゃないかさとり。 正直、さっきまではシュートを撃つ度に罪悪感に駆られていたんだぜ?」 さとり「……その心に嘘は無いようですが。 そう考えていながらも、遠慮無しに突っ込めるあたりが、貴女の凄い所だと思いますよ」 魔理沙「褒めても何も出ねぇよ……っ、と!」 グワァアアアアアアアアアアアアアアアッ! バッ、ゴォオオオオオオオオオオオン!! ビイィィィィィィィィ………………ッン!! さとり「(……コースは読める! 遠慮無しに私のどてっぱら!)止めます……!」 バァアアッ!
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0ch BBS 2007-01-24