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【Other】鈴仙奮闘記23【World】
[452]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/26(水) 00:38:09 ID:??? 彼の体は一回り大きくなり老けて、短い白髪は少し伸び、何故か着ている服まで丈長の黒コートに変わり行く。 その姿はもはや松山では無く、彼が試合前に採っていた姿――即ち、矢車想のそれだった。 永琳「(極度の解離性同一性障害者は、人格の交代を機にその姿までも変貌すると月の科学書には書いてあったけれど、 私も地上に降りてからだと、実際に見たのは初めてね……。 ただ、彼の場合は人格の交代というよりは、彼にとっての理想的ヒーローという殻の、『装着《プットオン》』と言った方が正確かしら)」 矢車「……はぁ。 満足したか、相棒」 松山(矢車の脳内)「(あにきぃ。 俺はこの試合でやっとわかったよ。 俺には兄貴しかいないって……! 時々イタイ電波女が兄貴の真似して擦り寄って来たけど! やっぱり、俺には兄貴しか……!)」 矢車「……そうか、そうか。 ……最悪だったなァ」 松山(矢車の脳内)「(うんっ、最悪だった! 地獄に相応しいドン底の真っ暗闇だったよ!)」 矢車は一人でボソボソと何かを呟いていた。 まるで、引っ込んでしまった松山と会話を楽しんでいるようだった。 さとり「……松山、君。 いえ、……今は矢車君ですか。 貴方は――」 救護班「――すみません、救護班です! 遅くなってすみませんっ!!」 矢車「……はぁ」 放送「あっと、ここで専属の河童達による救護班が到着したようです! 救護班のリーダー、キャプテンのさとり選手に事業を聞いています。 さとり選手は複雑そうな表情ですが、松山選手――いや、今は矢車選手と化した彼の容体を説明してるようですね」
[453]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/26(水) 00:39:18 ID:??? さとり「……私ならば、彼の心を開かせる事が出来る――そう思ったのですが、今の私ではまだ駄目だったようです。 ええ、外傷ではありません。 ですが、ええ、可能ならば河童の診療所で検査をして下されば――」 救護班「そうですねー。 念の為に痛い栄養注射位は撃っておく位は……(ゲシィイイッ!)――って、ひゅいぃっ!?」 ゴロゴロゴロゴロ! ……ドガッ! 矢車「治療は不要だ。 ――それに、言っておきたい事がある」 矢車は元気な様子だった。 ――自分を治療しに来たらしい、救護班長の青髪の河童をけっ飛ばす程度には。 大きなリュックに治療用品を抱えていたらしい青髪の河童は、 荷物を吐き出しながらゴロゴロとサッカーボールのように、今や無人のフィールドを転がって行く。 そして救護班の中に、そんな彼女をフォローする者はいなかった。 矢車は、さとりの瞳を一直線に見据え、彼女を庇うように手を伸ばし。 怯える救護班や、戸惑うチームメイト達に対してこう宣言した。 矢車「この人は――俺が守る」
[454]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/26(水) 00:40:27 ID:??? ヤマメ「えっ!? 何ソレ!? 告白!? キャ〜ッ! カッコ良いー……って、アイテテ」 キスメ「ヤマメは大やけどしたんだから。大人しくしてなきゃダメだよ……」(←桶修理中) 矢車「……………この人は、俺の相棒を守ってくれた。 だから、俺が――この人を守らなくてはいけない。 同じ、地獄の住民として」 不思議に浮ついた雰囲気になりかけた周囲を、矢車はそう静かに語る事でぴしゃりと収めた。 ただでさえ狂気と絶望に沈んでいる彼の表情が、悲壮な決意を帯びていた為に、 彼の宣言が単純な色恋沙汰では無い事が周囲にも容易に理解できた。 さとり「……私はやはり、殻に過ぎぬ貴方の心を読む事が出来ません。 ですが、そうで無くとも、私は貴方が何を言いたいか。 それが分かるような気がします」 矢車「…………」 矢車は押し黙って答えない。 さとりはこう続けた。 さとり「……その上で。 私は貴方にこう答えます。 『いいえ。 貴方も、彼を守って下さい』……と。 ――私には、仲間が居るから大丈夫だけど。 彼には、未だ貴方と――この私しかいないから。 それと……」 矢車「それと……?」
[455]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/26(水) 00:41:33 ID:??? さとり「――勇儀さん、ボディに一発入れといてください」 勇儀「うっし! 了解だ古明地!」 ガシッ、ボガァァァァアアアアアアアアアアッ!! 矢車「うわぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 ギューーーーーーーーーーーーーン、ドガーーーンッ!! 放送「矢車選手、吹っ飛ばされた〜〜〜!! 等速直線運動の如く真っ直ぐ平行に空を飛び! 先程救護係の青髪の河童が転がるフェンスに激突!」 さとり「……善意でやって来た救護の方を、言い掛かりみたいな理由で蹴っ飛ばさないで下さい。 ただでさえ乱暴者の集団、という地底のイメージが、余計に悪くなっちゃうじゃないですか」 鈴仙「(……さとりさん。 心が読めているなら聞いて欲しいんですが。 ――それだけの理由で人を数十メートル吹っ飛ばす方も、結構乱暴だと思います)」 永琳「(――それでも、彼の精神は試合を超えて幾分は変化したようね。 少なくとも、矢車は松山君に対して献身した古明地さとりを信頼している。 ……でも、それだけでは未だ解決には時間が掛かりそう。 と、言った様子かしら)」
[456]森崎名無しさん:2014/11/26(水) 00:42:06 ID:??? やっぱり消し飛ぶ矢車www
[457]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/26(水) 00:44:54 ID:??? ――そんな地底のメンバーの様子を遠目で見ていた鈴仙(と、永琳)。 ハチマキに関する疑問は未だ消えないでいたが……しかし、鈴仙が今の彼女達に介入するのは難しい。 想像以上に、地底妖怪達の絆とか友情とかは厚かったようだ。 鈴仙「(――さとりさんも、ハチマキの事とかは気になってたみたいだし。 あの様子からして、松山君の為になる事だったら、地霊殿でも歓迎してくれそう。 ……しょうがないけれど、今日は色々話すのは止めて。 また次に地底に来た時にした方が良いかしらね。 さとりさんはもちろんだけど、あの矢車も最初と比べて随分丸くなった様子だから、 【松山君の為に、突然ハチマキを奪って来る事はまずしない】でしょうし……)」 ――だが、実際に旧都に向かい、試合を行った事で、鈴仙の地底妖怪に対する偏見が更に薄れた事は事実。 (さとりの読心能力には、まだ苦手意識が残るが……) 気が向いたら、もう一度地底に行ってみようか。 今度は手土産にラーメンでも持って……と、決意する鈴仙だった。
[458]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/26(水) 00:48:19 ID:??? ……と、いったところで今日の更新はここまでです。 試合イベントはこれで終わりでなく、もう少しだけ続きます。 そのため、人気度の上昇などの勝利ボーナスは、明日にまとめて行います。 明日は永琳による強化イベントと、妖夢との特訓イベントの判定位は出来れば…と思っています。 それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[459]森崎名無しさん:2014/11/26(水) 00:53:25 ID:??? 乙でしたー。 ラーメンは手土産になるのね。 饅頭も日向の手土産ようかしら。 シリアスな場面のはずなのに、何故かコントに(笑) 私はこういうノリは大好きですが。 妖夢特訓と師匠特訓か、カードさんお願いしますね。
[460]森崎名無しさん:2014/11/26(水) 21:15:10 ID:??? やはりラーメンが手土産になるのか じゃあトロピカルラ・メーンをプレゼントだーw
[461]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/26(水) 23:44:56 ID:??? こんばんは、更新を再開します。 >>459 乙ありがとうございます。 饅頭は本スレリスペクトで、日向の好物ですね。 矢車さんはシリアスな笑いに定評があるので、たぶんこれが普通ですw >>460 トロピカルラ・メーンって何かと思ったら、カブトに出てたんですね(失念)
[462]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/11/26(水) 23:46:24 ID:??? *** 鈴仙「さ〜て。 帰りに人里の店で冷たいジュースでも買っておこうかしら……」 ――試合終了後。 一旦解散となった鈴仙は、珍しく一人でぶらぶらと、試合の熱狂冷めやらぬ人里を散歩していた。 佳歩やてゐ、パスカル達が一足先に永遠亭に帰っている中、こうして町をぶらつくのも悪くない。 人間の里は旧都と比べて猥雑な賑わいは無いが、秩序立った活気に満ち溢れている。 鈴仙「(――半年前は、地震やら瘴気やらでバタバタしていたけれど。 それでも、人間ってのは凄いモンね。 もう前の明るさを取り戻している)」 サッカーコートのある大通りには多くの店や露天商、住宅が並び、 往来では人間を中心に妖怪や妖精、獣人達が楽しげに行き交う。 鈴仙「――ま、技術とかでは月の都には当分追いつかないでしょうけどね……」 疲れもあってか、ふわりと欠伸をしながら鈴仙は何気なく周囲を振り返り、 最近出来たらしい西洋風のオシャレな衣装店の外装を眺める。 やはり若い女性に人気の店らしく、衣装店には友人連れやカップルがしきりに出入りしているようだった。 鈴仙「(オシャレなお店ねぇ。 ――私も一回入ってみたいけど、一人じゃ恥ずかしいな。 今度、妖夢でも誘ってみようかな……)」 と。 そんな風に鈴仙が客の行き来を眺めている時、一組のカップルらしき男女が店を出ていく姿を見かける。 鈴仙はその姿を本当に何となく見ていて――。
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0ch BBS 2007-01-24