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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】
[518]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/12(火) 00:34:00 ID:??? ***** 鈴仙「えっ。失敗作……? あれが、ですか?!」 同じころ、観客席にて試合を観戦していた鈴仙達ルナティックス一行。 これまでずっと無言だった永琳が静かにそうつぶやいたのを聞いて、鈴仙は大きく驚いた。 永琳「そう。失敗作。霧雨魔理沙の『ファイナルスパーク』には、どうしようも無い欠点があるわ」 佳歩「えっと……。ホントですか、お師匠様? 私が眩しい中目を凝らしていた限りだと、あのシュートは威力は勿論、精度にも問題が無さそうでしたが……」 てゐ「八雲紫の手下の狐からパク……失敬した新型式神スカウターによると、 あのシュートの威力は星熊勇儀の『三歩必殺』とほぼ互角。 鬼ですら、あんなに制約だらけの状況下じゃないと撃てない威力のシュートが、 人間のひよっこ小娘はどこでも撃てる……ってのは、確かに都合良すぎだけどねぇ」 鈴仙も内心では佳歩やてゐと同意見だった。 確かに、如何に魔理沙が努力を重ねたとはいえ今のシュートは強力すぎる。 それで何の弱点も無いと言うのであれば都合がよすぎる。 しかしその一方で、鈴仙が実際にシュートを見た限りでは、実際の威力や精度には全く問題が無かった。 鈴仙「――いったい、どこが欠陥なんでしょうか。霧雨魔理沙のシュートは……」 中山「……分かった」 鈴仙の素朴な疑問に答えたのは――永琳では無く、不意に口を開いた中山だった。 彼はごくシンプルな回答を出した。
[519]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/12(火) 00:35:45 ID:??? 中山「……あのシュートは、そもそも人間が撃てるような代物じゃない。 要するに彼女は間違って。あまりに強力すぎて、自分でも撃てないようなシュートを編み出してしまった。 ――そういう事ではないだろうか?」 永琳「ご名答。正確に言えば――」 中山の発言に永琳が頷いた。そして永琳は鈴仙達に向かって医学的な観点から講釈を入れる。 その結論は、当の霧雨魔理沙本人にとって、非常に痛ましい物である事は想像に難く無かった。 ***** 霊夢「……ってこと。分かった? つまりあのシュートは、あんたの脚で蹴り出せる限界を軽く三周は超えてる。 物理的には勿論、魔術的にも無理。道理を無理で捻じ曲げてるから、足に掛かる負担もバカみたいに大きい。 だから――このシュートを撃つ事は即ち、自分で自分のサッカー寿命をガリガリ削っているようなモンって事。 次かその次か。はたまたその次かは分からないけれど……魔理沙。 ――このシュートに頼っていたら、アンタは遠くない将来、いつか必ず破滅する。身に持て余る力の、あまりの大きさにね」 魔理沙「ど、どうしてそんな事がお前に分かるんだよ……。医者がそう言ってたのかよ……」 霊夢「道理で考えれば一発よ。あの永琳だって、今のシュートを見れば、さっきの私と全く同じ事を言うと思うわ」 魔理沙「マジかよ……」 場面は再び博麗連合の控室に戻る。 魔理沙は霊夢の説明をあらかた聞き終わって、いよいよ怒るよりも先に落ち込んでいた。 霊夢の発言を嘘と決めつけて跳ね返す事も出来た。 しかし魔理沙には、珍しく声を荒げつつも理路整然と説明を行う霊夢の真剣な顔を見てもなお、 それを嘘八百だと笑い飛ばす程の強い神経は持ち合わせていなかった。
[520]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/12(火) 00:36:58 ID:??? 霊夢「……幸い。さとりが相手だったら、アンタはPA外の『マスタースパーク』で充分決められるわ。 レミリアんとこのヘンな中国人は良く分かんないけど、『ブレイジングスター』や『ドラゴンメテオ』と、 幅広い攻め手と豊富すぎる体力がある、アンタの方が最終的に有利になる。 で、私は決勝の相手は鈴仙達永遠亭ルナティックスになると思うけど。 輝夜は永琳に頼るのと、ヘンなファンを世界中から掻き集める事位しか能が無いから、 永琳にもファンにも頼れない一対一を仕掛けてやったら良い。 ――ほらね? 『ファイナルスパーク』に拘らなくても、魔理沙。アンタは充分活躍出来るわよ」 魔理沙「(………………)」 霊夢は語気を和らげ、現実的な問題を交えつつ、 魔理沙には『ファイナルスパーク』を使わずとも活躍出来る道があるのだと言う事を冷静に示していく。 感情的で荒っぽくはあるが、魔理沙とていっぱしの魔法使い。魔法使いは理を何よりも好む種族。 だから、論理に基づいた正確な事実を告げれば、きっと納得してくれるだろう。 そう考えての事でもあったが、果たしてそれは効果があった。 魔理沙は落ち着いた様子で深々と白黒の山高帽をぎゅっと被りなおして告げる。 魔理沙「……分かったよ、霊夢。私、もうアレは撃たない」 霊夢「魔理沙。……分かってくれたのね」 いくら本人が取り繕おうとも、この時の霊夢の口調は心底穏やかで優しげだった。 もしかしたら、霊夢は不安だったのかもしれない。 森崎という謎の外来人が現れて、魔理沙は最近、その外来人の生き方に心を惹かれていた。 そしてその結果、魔理沙は自ら破滅の道を進みつつあった。 魔理沙「――さ。作戦練ろうぜ。次は私達のキックオフだ。アリスの一人ワンツーを使うのも良いかもな。 針妙丸は結構疲れたろうし、敢えて衣玖。お前がロングパスをするってのも……」
[521]森崎名無しさん:2015/05/12(火) 00:42:23 ID:??? ヘンなファンを世界中から掻き集める程度の能力
[522]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/12(火) 00:52:02 ID:??? しかし、今ここで霊夢の説得を聞き入れた魔理沙は、 まるで憑き物が落ちたかのように、朗らかかつ熱心にミーティングを先導している。 そんな魔理沙の姿を見ていた霊夢の口元は緩んでおり、どことなく安心しているように森崎には見えた。 魔理沙「……………」 森崎「………ん?」 ふと、森崎と魔理沙の目が合った。彼女は森崎に対して、こう問いかけているように見えた。 ――どうする。お前だったら……? 森崎はそんな彼女の強さの中に不安が見え隠れた表情を見て鼻で笑った。 彼はじっとり目線を飛ばして、こう答えてやる事にした。 ――俺はお前みたいなヘマはしないよ。一緒にすんな、バーーーーカ。 魔理沙の返答は森崎にはどうでも良かった。 彼はもう既に、先程おぞましいまでの殺気を向けて来た勇儀のシュートをどう受け止めるか。 どうやって挑発して、あの偉そうな大女の角を、いや鼻を明かしてやろうかとウキウキしていた。 森崎はこの時、霊夢の魔理沙に対する説教を横で聞きながら、 自分は決して魔理沙のような惨めな目には遭いたくない。いや、決して遭わないと根拠も無く確信していた。 ***** 中山「(凡人が凡人の限界を越えた代償による、身体の崩壊か……)」 一方で、永琳の話を聞いた中山は。 彼のとある親友の姿を先の不幸な少女と重ね合わせ――口に出来ぬ不安を覚えていた。
[523]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/12(火) 00:53:54 ID:??? ……と、言ったところで今日の更新はここまでです。 >>521 かぐや姫特有の男を寄せ付ける魅力ですね(違) それでは皆さま、本日もお疲れ様でした。
[524]森崎名無しさん:2015/05/12(火) 08:37:33 ID:??? 霊夢さんの姫様に対するイメージが(笑) 変なファンを世界中からかき集めるくらいとか ゴールを冥王星に投げたりしただろ、いい加減にしろ! 乙なのです
[525]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/13(水) 00:37:11 ID:??? こんばんは、更新を再開します。 随分とNPCシーンが長くなってしまい申し訳ないですが、たぶん次回か次々回の更新には終わると思います(汗) >>524 乙ありがとうございます。ゴールを冥王星は忘れてました(爆) 実際問題、ゴールをブン投げる腕力があれば一人でもかなり凄いGKな気がしますね。
[526]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/13(水) 00:40:16 ID:??? ――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!! そして後半戦のホイッスル。 博麗連合のキックオフから始まる後半戦だったが、 派手好きの魔理沙は『ファイナルスパーク』をのっけからぶちかます……という事はしなかった。 得意の直線的かつ『強引なドリブル』で地霊殿の中盤を突破しつつも、最初に言った作戦通りに、 アリスや針妙丸と言ったサイドの駒にもしっかりと頼り、独断専行はしない。 さとり「(――流石に50メートルもの距離だと不利と踏んだのか。 それとも、単純に体力を温存しているのか。この距離だと心は読めないけれど……何となく不気味ね)」 魔理沙「一旦頼むぜ、アリス!」 バシッ……! アリス「はっ。ま、魔理沙!? 私の事覚えててくれたのね!」 魔理沙「当たり前だろ。そりゃあ最近、忙しくて冷やかしには来てないけど……でも。 私たち、何だかんだで友達だろ?」 アリス「魔理沙…………それ、って……!?」 そして後半5分、魔理沙は大きく上がってアリスにスルーパスを要求する。 この時アリスはプライベートな事情で舞い上がっていたが、それを邪魔する影もあった。 ――タッ。 松山「あにきぃ……こいつ、友達なんかで喜んでるよ? バカだろ? どうせ裏切られるのにさ!」 アリス「――貴女は、何も分かっていない……!」 グワァァッ、バギュン!
[527]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/13(水) 00:41:36 ID:??? 実況「アリス選手パスを出した! これはもしや〜〜〜〜!?」 松山「分かるさ。お前も俺達と一緒に地獄に堕ちる事でしか幸せになれない。 今謝って俺達の仲間になるっていうなら、兄貴の旨い麻婆豆腐を食わせてやるぜ? ……それっ!」 バァァァッァッ! 実況「後半戦、矢車選手から交代した松山選手がパスカットに出た! この広いスペースを使った上手いパスカットは矢車選手には無い、彼だけの必殺技! 素晴らしい精度を誇りますが……!?」 アリス「――魔理沙がこの先私を裏切ったとしても、裏切る前までは友達で居てくれた。 こんな贅沢な事実に、貴方達兄弟はどうして満足できないのかしらっ!?」 パァァッンッ! 松山「なっ、ボールが更に跳ねた!?(そして……こいつはもしかして。俺達以上の地獄を味わったというのか……!?)」 実況「やはり、やはりアリス選手の二段スピンパス、『アーティクルサクリファイス』には敵わない! 幻想郷でも一級のパサーであるアリス選手のパスは……ペナルティエリア前の魔理沙選手に渡ります!」 魔理沙「いや……別に私は裏切らないからな? 本やらマジックアイテムやらを返す約束は多分裏切るけど。 まぁいいや、折角の得点チャンスだ!!」 グワァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ! 霊夢「………魔理沙」 魔理沙「……分かってるって。私は理のある勝負を捨てる程バカじゃない。さっきのが特例だ。 だからここで決めてやるよ! 恋符……『マスタースパーク』ッ!」 バッ、ゴオオオオオオオオオンッ!! ――ビイイイイイ………ンン!!
[528]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/13(水) 00:44:00 ID:??? さとり「(さっきのシュートとは違うけれど、やはり凄い威力……!)――止めます!」 バッ! 魔理沙はここで、霊夢との会話通りに、ペナルティエリア外で『マスタースパーク』を放った。 元々レミリアの『マスターオブレッドサン』にも並ぶと評された威力の元祖必殺シュートは今も衰えず強い。 先程の『ファイナルスパーク』とは比べては大きく劣るが、それでも充分さとりの守るゴールを抜くには充分。 現に、そのシュートはすでにブロックに出ていたこいしやキスメをふっとばし、さとりの鼻先にまで一瞬で近づいて――。 ――ドガッ! ……グッ、ググッ……。 バァァァァァァァアッ! さとり「……と、め……られない……!?(――そんな! 辛うじて防げると思ったのに……!! これが、追い詰められた主人公の力だと言うの………!?)」 ズバァァッ、ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!! ――そして、全力のパンチングに出たさとりを吹き飛ばして、呆気なく魔理沙は2点目を決めてしまう。 無論、『呆気なく』とは傍目から見た印象であり。 実際にボールを受け止めたさとり達は、それ以上の運命めいた意志の力を感じていたが。 博麗連合2015 3 − 0 地霊殿サブタレイニアンローゼス
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0ch BBS 2007-01-24