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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】
[624]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/23(土) 23:16:59 ID:??? 鈴仙「……そんな、事」 あるわけがない。鈴仙はそう断言しようとしたが、……できなかった。 過去程では無いにせよ、依然少なからず永琳に依存している自分が居る事を、鈴仙は感じていた。 岬「その顔を見ると、多少の自覚はあったようだね。だって、普通じゃ考えられないよ。 何を考えているかを分からぬ相手を盲目的に信じるなんてさ。 君もお師匠様を信じつつも、どこか無意識にでも、不安を覚えていたんじゃないかな」 鈴仙「――そ、そんな事……ないもん……」 岬「たんじゅ……おっと失礼、素直だね、君は。顔に出ているよ」 鈴仙は岬を強く見つめ返す事すら出来なくなっていた。 そして、心理的に弱みを見せた相手に対して岬は容赦しなかった。 岬「――もしかしたら、君がここに来た事自体が、最初っから八意永琳の計画だったのかもしれない。 八意永琳には親しい月の有力者姉妹も居るようだし、そこそこ優秀で御しやすい玉兎を見繕う事もできただろう。 その後、玉兎の通信電波をジャックして、『人間が月に攻めて来る』とかいうガセ情報を送るのも、月の賢者ならば容易だろうし、 それで地上に逃げて来た時優しく保護してやれば、簡単に懐柔できる。 ……噂話でも何でもホイホイ信じて突っ走ってしまう、そんな単純な少女が相手だったらなおさらだ」 鈴仙「…………!」 岬は鈴仙の物語をあざ笑う。 月からの逃亡、永遠亭での平穏だが鬱屈した生活、サッカーの流行、パスカルや中山との出会いによる成長。 これまでの鈴仙が体験して来た一連の物語の全てが、もしも永琳によって仕組まれたものだと断じる。 岬の説はこれまでの論理と比べて整合性に欠ける、より推測が強くなっていたが……。 しかし、今の鈴仙は反論できる余裕を失っていた。岬は鈴仙の心理的な不安を的確に突いていたからだ。 これまで自分は永琳から何も聞かされていない。自分はもしかしたら本当に、永琳の道具に過ぎないのかもしれない。 そんな思考は不毛だと思っていても、今の鈴仙は中々それを拭えないでいた。
[625]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/23(土) 23:18:38 ID:??? 岬「人を信じる事は立派さ。しかしそれは、その人が嘘をついているかもしれない。 その人が自分を利用しようとしているのかもしれない。 ……そう言ったリスクを負ってでも、尚も突き進もうとした場合にのみ立派と言えるんだ。 そうでも無いのに、ただ単に言われた事を信じて。 それで裏切られた時になって初めて文句を垂れて絶望するのは、子どものする事だ」 これまでの自分を否定されたような気分になった鈴仙を諭すように、岬は語気を和らげた。 そこには神子の手下ではない、岬太郎自身の考えが見え隠れているような気がした。 岬「さて。とにかく僕が君に伝えなければならない事は全て言い終わったんだけれど。 ――君にひとつ、宿題をあげよう」 暫くの沈黙が流れた後に、岬は不意にこんな事を呟いた。 鈴仙「……宿題? 悪いけれど師匠や先生はもう間に合っているんだけど」 岬「――なに。至極簡単な宿題だよ。やろうと思えば、幼児でも容易く出来る事さ」 鈴仙「だったら別にやる必要なんてないじゃないの。姫様じゃないけど、ムダなタスクは捨てる化したら?」 永琳に対する不信を押し留めるのに必死な鈴仙だったが、 それでも皮肉を振り絞って、少しでも岬に抗い続けようとした。 次に何を言われても、精神的な動揺を見せてはいけない。 永琳の見えない真意に苦しみながら、鈴仙は岬の発言を待つ。一秒が比喩でも何でもなく長く感じる。 しかしそんな鈴仙の辛抱とは裏腹に――。
[626]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/23(土) 23:23:02 ID:D7SACXzA スッ。 岬「そっか。じゃあ、……これを返してくれないかな。君のチームの、とある方から借りてたんだ」 岬は言葉に代えて、鈴仙に対しある物を手渡した。それは一見、何の変哲も無い、ありふれた物だったが……。 鈴仙「――え。これって……? な、なんであんたが……?」 先程岬が語った、永琳の計画の全容に関する推察以上に、岬が鈴仙に手渡した物はショッキングだった。 ――何故なら、それは鈴仙も良く知っている物だったからだ。その持ち主であろう人物も含めて……。 そう、岬が鈴仙に手渡した物。それは――。 先着1名様で、 ★鈴仙の試練→!card★ と書き込んでください。マークで分岐します。 JOKER→妹紅と見知らぬ女子高生との怪しいツーショットだった。慧音「も、妹紅……?」チャキッ 岬「(渡す相手間違えた)」 ダイヤ・ハート→一冊の恋愛小説だった。 スペード・クラブ→七つ葉のクローバーが押してある古手帳だった。
[627]森崎名無しさん:2015/05/23(土) 23:23:42 ID:??? ★鈴仙の試練→ ハート3 ★
[628]森崎名無しさん:2015/05/23(土) 23:24:07 ID:??? ★鈴仙の試練→ ハート3 ★
[629]森崎名無しさん:2015/05/23(土) 23:25:44 ID:??? >ダイヤ・ハート→一冊の恋愛小説だった。 ちなみにカップリングはブローリン×カグロット カグロット「やめろぉ!」
[630]森崎名無しさん:2015/05/24(日) 01:01:28 ID:??? うーわ、やはり岬はやっかいだ 既に佳歩ちゃんに目を付けてスカウト済か 岬にとっては御しやすい上に攻撃に関しては一部鈴仙さん以上だしなあ 愛着あるし3章以降も一緒にプレイしたかったけど、仕方ないか…… 妖夢さんと同じくよきライバルとなる展開も熱くはなるだろうし
[631]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/24(日) 01:26:54 ID:tD5VSiQ+ ★鈴仙の試練→ ハート3 ★ ダイヤ・ハート→一冊の恋愛小説だった。 鈴仙「これは……」 鈴仙に託されたのは一冊の本。人里の本屋で叩き売りしている、ごくありきたりの恋愛小説だった。 しかしその本に鈴仙は見覚えがあった。 鈴仙「これ……佳歩の好きな本」 それは佳歩がまだ名前を貰っておらず、ウサギAとしてルナティックスのFWを務めていた時代。 パスカルが加入した事により、自分の立場が無くなると心配した佳歩は、 少しでもその不安と寂しさを紛らわせるべく、この本を読んでいたという。 鈴仙はこの本を見て、思い悩む佳歩の前に『サッカーも恋愛と同じ。夢見るだけではチャンスを掴めない』 ……などと力説したものだったが――。(※詳細は1スレ目>>727-742参照) 鈴仙「どうしてあんたが……その佳歩の恋愛小説を持ってるのよ!?」 岬「どうしてって、……さっき言ったろう、僕が彼女から借りてたんだ。 まあ、ラストでヒロインが交通事故に遭う……ってのは少しどうかと思ったけれど」 岬は暢気に本の感想を述べる。まるでこう振る舞えば、鈴仙が少しでも取り乱してくれるとでも知っていたかのように。 そして鈴仙は悲しい事に単純だった。 鈴仙「違う。そんな事を聞きたいんじゃない! どうしてあんたが借りてたのよ! 佳歩があんたみたいなのと関わり合いがある訳ないじゃない……!」 岬「――それじゃ、鈴仙さん。僕の宿題、きちんとこなして下さいね? でないと……貴女は絶対に、この次の試合で敗ける。貴女は、神子様に勝てない。いや、誰にも勝てない」
[632]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/24(日) 01:30:05 ID:??? 岬は鈴仙の質問に答えずに立ち上がり、スタジアムを去ろうとする。 鈴仙は何度も岬を呼び、佳歩との関係、何故岬がこの本を持っているのかを聞こうとするが、岬は全く聞く素振りも見せない。 追いかけようとしても、今度は人里の岬ファン――鈴仙の視点から見ると信じがたいが、 岬には神子程では無いが少なくない数の信望者がいる――の人波に阻まれてしまう。 鈴仙「はぁ、はぁ……!(これまでの私の悩みは、頑張りは、全て師匠に仕組まれたものだったの? 私はこれまで、師匠の道具になるために頑張ってたの……? 私は一体、何の為に戦うべきなの……?)」 岬はもう既に鈴仙の視界から消えていた。 鈴仙に残されたのは、岬達が語る永琳の、そして自分自身の真実と、佳歩の恋愛小説だけだった。 これまで漠然と考えつつも、深くは保留していた問い――何の為に、自分は戦うのか――が、今鈴仙に突きつけられている。 この時、鈴仙は完全に打ちひしがれるまでは行かずとも、精神的に消耗していた。 ――そのため。 明らかな岬の罠であると見え見えな、ごく単純な思考の誘導にも鈴仙は簡単に引っかかってしまう。 鈴仙「(それにしても、岬はどうして、佳歩の持っている本を持ってたの……? ムリヤリ奪ったとか? ……いや、流石の佳歩だって妖怪ウサギなんだし、岬君よりは強い筈。 たまたま同じ本を持ってたとか? ……それも無い。どうしてたまたま同じ本だって、アイツが分かるのよ。 だけど。だったら、どうして……?)」 考えてみればみるほど、佳歩は正常な環境下で岬と取引を結んでいたように思える。岬の話が嘘であるように見えない。 そしてそうなると、妖夢の一件も相まって、鈴仙の内心の疑心暗鬼は、いよいよその勢いを強める。
[633]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/24(日) 01:31:17 ID:??? 鈴仙「(そう言えば、岬君は知り過ぎだろうって思える位、永遠亭や私の事に熟知していた。 もしかしたら。誰かが……もしかしたら佳歩が! 私達の情報を盗み聞きし、神子達のスパイとして動いているの!?)」 佳歩もまた、人知れず岬に籠絡されていたのではないか。 そして、妖夢と同じ『ハイパーカンピオーネ』計画の一員としてか、そうで無くとも永遠亭ルナティックスのスパイとしてか。 その実態は分からずとも、兎に角その裏で鈴仙に反する行為を行っているのではないか。 永琳に対する信頼に罅を入れられたと同時に、鈴仙の仲間達に対する信頼もまた、この局面で同時に揺らぎ始めていた。 *** 佳歩「……あっ。いたいた。鈴仙さまー、お財布見つかりましたかー?」 鈴仙「か、佳歩……!」 タッ! ……フワッ! 佳歩「あっ、鈴仙さま、鈴仙さまーー! どうして私を避けるんですかー!?」 だから鈴仙は、スタジアムの外で健気に自分を待ってくれていた佳歩の素直な顔を見る事ができなかった。 佳歩を避けるようにして背を向け空を飛び、普段とは違うルートで永遠亭へと帰っていく。 そしてここで、自分が岬の言う『宿題』を満足にこなせそうで無い事に気付く。 鈴仙「(……どうしよう。私は……信じられない。師匠の事を……佳歩の事を……皆の事を、信じてない)」 これまで信じられると思って来た師匠。友人。仲間達。それらは全て、自分の勝手な思い込みでは無かったか。 都合の良い上澄みだけを信じて、都合の悪い部分については敢えて目を閉じて来たのではないか。 仮に仲間が鈴仙を信じていたとしても、自分はまだ、そんな仲間達を真の意味で信頼していなかったのではないか。
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0ch BBS 2007-01-24