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【優勝】キャプテン森崎48【エンディング】
[76]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:45:13 ID:5kKgHQ8Q 若島津「なら、ボールを用意しろ。殴り合いをしてはクラブを追い出されてしまうからな」 先輩DF「へっ、なんでい。お上品なフットボールなら負けないってか?」 若島津「違う。ボール越しのラフプレイなら、お前が怪我をしても100%お前の自己責任だからだ」 先輩DF「なっ…!」 監督「いい加減にしろ!君たちは金を貰っている以上クラブの財産なんだ!勝手にお互いを 傷物にする事は監督のこの私が許可しない!紹介は済んだんだ、練習前のアップに入れ!」 若島津「はい」 先輩DF「…はい」 若島津が信じるのは力、ただそれだけ。弱肉強食を尊び、強い者に従いつつ自らを高める。 そして敵は全てなぎ倒す。この信条の下では先輩DFにいきなり挑発されても何処吹く風である。 若島津「(プレミアリーグは接触プレイの重要性が高く、またシンプルな攻撃の応酬を繰り返す事が特徴と聞いた。 つまり俺が結果を出しつつ己の長所を更に伸ばすのに向いている環境だ。さて、どれだけの力をつけられるか…)」 チームメイト達「(随分目がギラギラした奴が入ってきたな)」「(偶に居るんだよなー、ああいうの)」 監督「(全く…想像以上に厄介な選手だ。だが私の見立てが確かなら、彼は跳ね返し屋としては 即戦力どころではない。上手く機能させればリーグ制覇の原動力にすらなり得る…! しかし元GKなだけあってクリア以外は何とも心細いな。これから忙しくなるぞ)」 自ら望み修羅道を歩む空手家が今、サッカーの母国で暴力を振るい始めた。更に大きな暴力となる為に。
[77]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:46:52 ID:5kKgHQ8Q 〜三杉 淳〜 そしてもう一人、激しいフィジカルコンタクトを前提とした攻撃的サッカーで知られる プレミアリーグの門を叩いた元全日本ユースの選手が居た。 フィールドの貴公子、三杉は名門リバプールに入団していた。とある野望と共に。 監督「君がスカウトされてきたジュン・ミスギか」 三杉「はい。今後是非ともよろしくお願い致します」 監督「………」 礼儀正しく挨拶する彼に対し老獪そうな監督はほんの少しの間だけ黙り、ほんの少しだけ片眉を上げた。 三杉にはそれだけで十分だった。 三杉「随分ヒョロヒョロしているな。スタミナも平均以下の様だ」 監督「!?」 三杉「本当にこれでプレミアリーグでやっていけるのか…こんな所でしょうか?」 監督「…ああ、その通りだ。君も選手の分析をやっていたのかね?」 三杉「はい。日本代表では選手兼コーチの立場を監督に指名されていました」 監督「そうか…」 三杉は初対面の監督が彼に持った印象をズバリ言い当ててみせた。 指導者が選手を値踏みする視線と言う物を良く知っていた事、そしてそれ以上に彼には不向きではないかと 思われるプレミアリーグに挑戦する際に必ず言われるであろうと予想していた事項だったからだ。
[78]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:48:42 ID:5kKgHQ8Q 監督「ならば、解せない事が二つあるな」 三杉「何でしょうか」 監督「まず一つ。何故そんな優れた頭脳を持ちながら、そんなあからさまな弱点を放っておいた?」 三杉「答えは実にシンプル。生まれつきの心臓病と言う不可抗力です。それによって僕は 完治するまでの間、成長期のほぼ全てを不満足なトレーニングしか出来ないまま過ごしました」 監督「そうか…突拍子もない話だが、そんな事で嘘を突くメリットがないな」 三杉「既にチームドクターにこれまでの治療記録を渡してありますよ。いくらでも目を通して下さい」 監督「では二つ目。何故プレミアリーグを選んだ?」 三杉「このフィジカルを改善するまで通用しないし、成長期を逃したツケは大きい。 今から鍛えても上限があるだろう。他のリーグの方がやり易いのでは…と言う事ですか?」 監督「その通りだ。通じないとは言わん。私は既に君のビデオは見ている。そのテクニックや 戦術眼を持ってすればプレミアリーグでも通用するだろう。だが通用するだけで、大成は出来ない。 ウチは取りあえずパスとパスカットに長けたMFが欲しかっただけだ…いずれ用がなくなれば 君を飼い殺しにするかも知れん。あるいは二束三文で売るかも知れん。分かっているだろう?」 三杉「はい。リバプールがプレミア向きではない僕を誘った理由はそうだろうと推測していました」 監督「それにも関わらず、君はウチのスカウトに乗った。何故だ?それが知りたい。 君と話せば話す程嫌な予感がしてくる。何かとんでもない事を企んでいる気がする」 三杉「とんでもない、とは言いませんが…企みはありますよ」 監督「…言ってみたまえ」
[79]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:51:07 ID:5kKgHQ8Q そして三杉はクラブの監督を抱き込むべく、あっさりとその野望を明かした。 三杉「フィジカルが要らないサッカー。フィジカルでは対応できないサッカー。 フィジカルをいざと言う時の為に節約しておけるサッカー…」 監督「…君は…まさか!」 三杉「プレミアリーグの中で、リバプールだけがこの武器を上手に使いこなしていたら…どうなると思います?」 監督「……………」 三杉「それが僕の企みですよ。僕がプレミアリーグに合わせるのではない。プレミアリーグを僕に合わせるんです」 監督「………その野望、私以外には口に出すなよ。全ては私の管理と責任で行われなければならない」 三杉「勿論。秘密と言うのも武器の一つですからね」 監督「…詳細は後日聞く。使えそうな部分だけ使うぞ。さあ、チームメイト達に挨拶をしてきたまえ」 三杉「はい。それでは失礼します(…手応えあり、だな。辛抱強く、しかし大胆に事を進めればいずれ…)」 ずっと後の時代にこの監督は語る。あの時、三杉が退室してから冷や汗をかいていた事に気付いたと。 弥生「ああ…もうすぐご主人様が帰ってくる…ベッドシーツは完璧…シャワーも…な、縄も… ああああ、もう待ちきれない!早く、早く可愛がって下さいご主人様…!」 三杉がそんな大それた野望を抱く様になったキッカケは知らぬが華である。
[80]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:54:03 ID:5kKgHQ8Q いったんここまで。
[81]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/02(火) 06:59:14 ID:hifgRM4U 〜赤井 止也〜 全日本ユース加入前からイタリアの上位クラブ、サンプドリアのユース部門に所属していた赤井。 彼は念願かなってトップチームに昇格出来ていた。 赤井「…はぁ〜…」 しかしその扱いはとても良い物とは言えなかった。彼には攻撃力がない。絶望的なまでに。 赤井「今日もベンチスタートかよ…」 故に周囲にボールを安心して預けられるDFを配置しなければ彼を起用するのは常に危険が伴う。 そしてそういう選手を起用出来たとしても、赤井の為にリソースを割いていると言う事に変わりはない。 赤井「こないだはベンチ外だったし…」 結果、彼の出番は“もう攻めなくて良いからとにかく守る事だけ考えるべき“と言う場面のみに限られる。 如何にウノゼロを理想とするセリエAと言ってもそう言う場面が頻繁にある訳ではない。 国家の代表チームでならともかく、所属クラブチームで出場機会が限られるのは安心できる事ではないのだ。 赤井「やっぱり守備だけでもいい!って言われる位スンゲー守備力を持たないと駄目なのかな…」 もし彼に敵のエースを高確率で止めてしまえる程絶対的な守備力があれば話は変わっていただろう。 だが現状彼の守備力はチーム内では“役に立つ”レベルであって“なくてはならない”レベルではなかった。 赤井「夢って叶えるよりも、維持していく方が難しいんだな…」 日本代表に選ばれ、憧れのセリエAのプロ選手になれたが、そこには厳しい現実が待っていた。 経歴上は非常に華々しいが、実際は不安に苛まれ苦労を重ねている。赤井はそんな選手だった。
[82]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/02(火) 07:02:17 ID:hifgRM4U 〜山森 正吾〜 山森「(やったぞ…!)」 山森はワールドユース大会中はこれだと言えるオファーが来ていなかった。 最良でもブンデスリーガやプレミアリーグの1部リーグ降格圏内の下位クラブ位だった。 山森「(とうとう俺は、世界に出られた…!)」 しかし大会終了後、彼はついにハイレベルな環境を堪能出来そうなクラブに声をかけられた。 セリエAの上位クラブ、ナポリから“君の様な堅実なユーティリティプレイヤーが欲しかった”と 高い評価と共にスカウトされた。山森はこれ以上良いチャンスはないと判断し、即時契約。 山森「(数々の超強豪クラブと戦う事が出来る…その中にはあいつらも居る! 世界屈指の環境で、ライバル達と競い合って…自分が何処までやれるか確かめてやる!)」 こうして彼は喜びと熱意をジャージの中に込め、ナポリ市内の見物を兼ねてロードワークに勤しんでいた。 山森「(それにしても…イタリアってやっぱり金髪美人多いなー。日本人には無い魅力だな…)」 女の群れ「あれ?あそこ見てよ」「あら、あの人って…」「うん、間違いないわ!」「キャー!」 山森「えっ…えっ!?」 女の群れ「ねえねえ、あなたヤマモリでしょ!」「新しくウチのクラブに入ったって言う!新聞で見たわよ!」 「あのジノ・ヘルナンデスからゴールした事もあるんですって!」「マジそれ!?凄い事じゃない!」 そんな折、彼は気が付いたら若い女の集団に囲まれていた。 山森「そ、そうなんですか…有難う。これから頑張りますので、よろしくお願いします」
[83]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/02(火) 07:03:39 ID:hifgRM4U 女の群れ「キャーー!何この人、可愛いー!」「日本人って礼儀正しすぎるわねー」 「こんなにしなやかな体しているのに、顔は童顔なのね!」「おおー、脚もたくましい!」 山森「うぉわぁああ!?(な、なんだこれ…やばい、嬉しい!)」 日本人と言うだけでイタリアでは目立つ。それが噂の新加入選手となれば既に有名人である。 更に本人の真面目で礼儀正しい対応が彼女たちを面白がらせ、山森は複数の女に揉みくちゃにされると言う目に会った。 山森「(よ、よかった、イタリアに来て…!日本では何故かダメだったけど、ここなら…!)」 学生時代全国屈指のヒーローであったにも関わらず何故か女との縁がなく、彼女を作ろうとしても 逃げられまくっていたと言う奇怪な過去を持つ山森は今感激のあまり涙を流しそうだった。 だがその奇怪な過去の原因は未解決のまま彼の後方の物陰に存在している。 女の群れ『………ヒッ!!!?』 山森「え、え、どうしたんです…」 女の群れ「に、逃げるわよ!」「ヤバい!あれはヤバいわ!」「ゴメン!試合頑張ってね!」 ズドドドドドドッ!! 山森「なっ…ちょっ………な、なんで…ここでも…グスッ」 琴音「フゥ、間一髪…イタリアでも私が守るからね、山森くん…」 サッカー選手としての春は来たが、プライベートの春は未だ遠い。
[84]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/02(火) 07:04:42 ID:hifgRM4U 〜新田 瞬、ダヴィデ・ランピオン〜 一方別のセリエA上位クラブでは奇妙な組み合わせが発生していた。 ランピオン「ん?お前は…日本のニッタ、か?」 新田「あ、アンタはイタリアの…そうか、このクラブ所属だったのか」 新田がイタリアユースのFWだったランピオンと出会っていたのである。 ワールドユースでの試合では新田の出番はランピオンの退場後であった為 二人の面識はなくお互いの名前を知っているだけの関係だ。 ランピオン「そういえば今日新しい選手が入るって聞いていたけど…お前だったのか (しかし何でこんな奴を?ドリブルだけはかなりの物だったが、それだけじゃな…)」 新田「(むっ…こいつ今俺を見下したな。退場してチームに迷惑かけただけの癖に)」 二人の第一印象は良くなかった。ランピオンは新田のワールドユース大会に置ける パフォーマンスを高く評価していなかったし、新田の方もランピオンが 対日本戦で大した事もしないまま退場してしまった間抜けと言う印象が強かった。 このまま放置されていれば二人は喧嘩を始めていたかも知れないがそうはならなかった。 ジョアン「来たな、ニッタ。ランピオンも居たか、丁度良い」 新田「あ、ジョアンさん!」 ランピオン「監督!」
[85]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/02(火) 07:05:47 ID:hifgRM4U 新田「えっ…この人、スカウトじゃなくて監督?」 ランピオン「当たり前だ馬鹿!何勘違いしているんだ!」 新田「す、すみません!すみません!」 ジョアン「なあに、今回だけは見逃してやれ。ニッタはワシがローマに誘ったのだから勘違いもしよう」 ランピオン「え…監督が直々に?」 ワールドユース大会でまずまずの成績を出した事(イタリアではあの立て続けの退場劇さえ 無ければ日本にだってブラジルにだって勝てていただろうと言う声が強かった)を評価され、 ASローマの監督に就任出来たジョアン・デ・ラセルダ・アパレシーダが割り込んできたからである。 ジョアン「そうじゃ。予め言っておこう。ワシはお前たち二人に大いに期待している」 ランピオン「こ、光栄です…(俺が?あんな醜態を晒した俺に…?)」 新田「ど、どうも…(えー…何で?俺、殆ど目立てていなかったよな?)」 ジョアン「腑に落ちん顔じゃな。何故わざわざ自分などに…と」 ランピオン「…はい」 ジョアン「だがお前たちはこう考えているじゃろう。このまま日陰者で終わって堪るか、と」 新田「!!」
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0ch BBS 2007-01-24