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【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】
[475]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:23:10 ID:??? 〜モリヤスタジアム・上空〜 藍「――紫様、報告がございます」 紫「……今はあまり、悪い報告は聞きたくないのだけど」 試合の一部始終を高みより観戦していた紫は、 萃香と天子が為すすべなくシュートを通してしまったのを確認すると、 そのまま大きく項垂れて、超モリサキのセービングを見ることすらしなかった。 明らかに消沈しきった紫に対し、藍は報告するのが躊躇われたが、構わずに続ける。 藍「重要な報告の為、続けます。……中山政男が引き起こした、幻想郷における一連の変革について。 我々は今まで、中山政男が変革のトリガーであり、鈴仙・優曇華院・イナバが変革を広め維持・強化したと。 そうした仮説に基づき、博麗の巫女等を通じて、監視及びサッカーの試合による異変解決を図っておりました」 紫「まだ試合は終わっていないわ。霊夢により、異変は解決されるべきなのよ」 そう頑なに言い張る紫だったが、彼女自身もまた気付いていた。 この試合は。そして今回の異変は――彼女が今まで経験して来た通りには、決して終わりはしないであろう事を。 紫のその気持ちを汲んで、藍は最後まで報告を続けた。 藍「……ですが。この仮説には一部重大な視点の見落としがありました。 即ち、中山政男と鈴仙・優曇華院・イナバの二人だけでは。八意永琳と蓬莱山輝夜だけでは。 この異変を起こすには、発生する熱量が少なすぎる。 ――本来ならば、この異変は。人間が団結し強くなり、妖怪が存在価値を失うという、この大異変は。 そもそも起こりようが無かったのです」
[476]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:29:59 ID:??? 紫は今大会の準決勝戦後に起きた――いや、意図的に引き起こした出来事を回想する。 その時は確かに中山を中心とする団結によって、多くの妖怪の群れが倒されていった。 紫としては中山の危険性を対外的に主張する為に使ったパフォーマンスではあったが、 その際の団結の強さについては、紫の想像以上のものがあった。 これまでは些事として片づけていたが、もしもこの際にも、中山の力を増幅させる「何か」が存在していたとしたら。 紫「――単独ならば、益にも害にもならない存在。 しかし、特定のトリガー及びキーマンとの関係によって、存在意義を補強し、維持する存在。 ……そんな存在が偶然――もしくは必然?――にも、二人の間に立っていた……と」 紫は自身の推測を述べる。それは藍が求めるべき結論と合致していた。 藍「……思えば、森崎有三との関わりが薄すぎるとして、彼への警戒を外した私達が間違っていました。 そして私達は森崎有三を手に入れ制御し、中山政男を御す事が出来ると考えた時点で、慢心していました。 彼が元々、外界において果たして来た役割を考慮すれば、危険性を把握する事は可能だったのですが……」 紫「…………」 そして、その内心はさて置き、藍は紫への報告を終えた。 紫は藍を責める気は無かった。自分のミスを悔いる余裕すら無かった。 今の彼女には、そこまでの活動を行う為の力は残されていなかった。 ――藍が再び、大きく綻び始めた結界の修復に向かったのを確認して、紫はこう独りごちた。 紫「アラン・パスカル。……彼の存在が中山政男を、鈴仙・優曇華院・イナバを支え、より強くした。 彼がかつて、サッカーが得意だった自分の親友を、アルゼンチンの至宝にまで至らしめたように。 ――成程。この異変に真の黒幕が。エキストラボスが居るとしたら……間違い無く、彼しかあり得ないわね」
[477]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:31:01 ID:??? 〜モリヤスタジアム・フィールド〜 ――バシュウウウウウウウウウウウウウウッ、ズバアアアアアアアアアアッ!! ……ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ……!! ……シュウウウ〜ッ……。 森崎「あ………が…………!」 ドサリ。 全体力を注いだ、間違い無く森崎の最強最大のセービングは ……結果として、鈴仙達の『リフレクトバレット』に敗北した。 最後にやや右下に変化したシュートの軌道を森崎は捉えきれず、 ポストに頭から大きく激突し、全身から血を吹きだしながら倒れた。 鈴仙にもその際、般若の如き形相が見えたが、まさしくあれは狂王の最期と呼ぶに相応しかった。 鈴仙「……決まった。私達のシュート。本当に決まったのね……!?」 パスカル「ああ、間違い無く。――しかし情けないな。 俺のねじ込みだった筈が、殆ど完全にレイセン頼みのゴールになってしまった」 鈴仙「いやいや、そんな事無いわよ。パスカル君が一緒にコンビプレイを練習してくれなかったら、 私だってこの場じゃどうしようも無かったんだし」 パスカル「全く……。最初はどうかと思ったが、結局こっちでも俺は誰かの相棒扱いになるんだな」 鈴仙とパスカルはシュートを決めたという喜びよりも、森崎を制したという安堵感に包まれていた。 試合はまだ残り約20分で3点差。途中魔理沙や霊夢が決める可能性も残されてはいるが、 後は中盤を固めたパスワークを繰り返せば充分時間は稼げる。試合の趨勢は殆ど決していた。
[478]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:32:26 ID:??? 永遠亭ルナティックス 4 − 1 博麗連合2015 大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ): 15ゴール 鈴仙 13ゴール レミリア 9ゴール フランドール、射命丸、魔理沙 7ゴール 勇儀 6ゴール 来生、屠自古、霊夢 5ゴール 星、諏訪子 4ゴール 森崎、神子、反町 3ゴール 早苗、謎の向日葵仮面 2ゴール 神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩、岬、永琳 1ゴール 妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、萃香 影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、パスカル 大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ): 6アシスト パチュリー、霊夢 5アシスト 小町 4アシスト てゐ、神子 3アシスト 早苗、ピエール、小悪魔、マミゾウ 2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、霞、レミリア、アリス 1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、佳歩、パスカル 衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅
[479]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:33:38 ID:??? …と、いったところで一旦ここまでです。
[480]森崎名無しさん:2015/11/01(日) 22:35:18 ID:??? 藍「真犯人はお前だ、アラン・パスカル!ばっちゃん(紫)の名にかけて!」
[481]森崎名無しさん:2015/11/01(日) 22:37:44 ID:??? −−F−− F佳歩 −−−−− −−E−− E永琳 G−−−H Gてゐ H鈴仙(パスカル) −−I−− I中山 C−B−J C霞 B妹紅 Jパスカル(鈴仙) −D−A− D慧音 Aつかさ −−@−− @輝夜 今のメンバーで一番ゴールの可能性がありそうな永琳をゴールに近づけて 後は一番怖い1対1対策でDF増やしただけ、単純すぎるけどこれでどうじゃー
[482]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:01:05 ID:??? 萃香「森崎……。――森崎!?」 中里「……! 大丈夫でゴザるか、森崎!?」 天子「ちょっとこれシャレになんないでしょ!? 衣玖、何とかしてよ!」 衣玖「えっと、そう言われましても。私にはちょっと管轄外でして……」 アリス「貸して、私が見るわ!(――助けてあげたら後で友達度が増すかな……?)」 鈴仙達がある程度の安堵感に包まれる中、対する博麗連合は一転騒然としていた。 しかしそれは4失点を被り、いよいよ勝利は難しくなった事への絶望によるものではない。 ――ポストに激突し、血だまりを作った森崎が、そのまま動かなくなった事への動揺が原因だった。 アリス「……これは酷い。腰の疲労骨折を起点に、全身の骨という骨が粉々に砕けているわ。 神経もグチャグチャになっているし、これは、助かったとしても、もう………」 魔理沙「――もう、サッカーは出来ない……か?」 アリスは深刻な表情で頷く。 病院務めの新しい友人との話題作りの為に齧った医学の知識が、こうした局面で役立つ事は一種の皮肉だった。 萃香「私にゃ詳しい知識は無いから分からんけど。 多分、森崎は割と早いうちから――腰かどこかで、限界を迎えていたんじゃないかな。 何故って前半終了前、鈴仙の『マインドスターマイン』を受けた時から、動きがちょっと普通じゃなかった。 それを持ち前の人間離れした根性で、無理やり稼働させてたんだろうけど……流石にもう、持たんかったか」 中里「――兎に角、もうプレーは続行不可でゴザろう。医務室へ運ぶでゴザ……」 アリスの診断と萃香の所見もあり、森崎がこれ以上サッカーを続ける事は誰もが絶望的だと思った。 だからこそ中里の提案に反対する者もおらず、一同は慌てて担架を用意させるのだが――。
[483]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:02:18 ID:??? ――ムクリ。 森崎「――何勝手に殺してんだよ、ヤブ医者アリス」 アリス「あ、あれっ……? も、森崎……!?」 針妙丸「い、生きてる!? もしかしてゾンビ!? キョンシー!?」 森崎「ちょっと脳震盪で気を失ってただけだよ。身体もまだ動く。 ――もっとも、まともなセービングに向かう程のガッツが無いのも確かだがな」 霊夢「(…………)――試合は一応続行、か。でも、本当に大丈夫なの?」 森崎「愚問だ。俺はFWあたりに置いてくれ。 多少質は落ちるが、小町よりかはマシなボールキープは出来る筈だ」」 小町「まーね。そんじゃあたいはサボってても良いかな?」 霊夢「ダメに決まってるでしょうが。あんたはタッパもあるんだし、DFでクリアでもやってなさい」 ――しぶとい事に、森崎は生きていた。 アリスや萃香の診断を一笑に付し、相も変わらず自分の要求を淡々と述べて、傲慢な口は減りもしない。 博麗連合のメンバーの多くは再び驚き一部は呆れつつも、 しかし森崎が戻って来てくれた事に、ほっとしていた感情を抱いているという事実を否定できなかった。
[484]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:05:23 ID:??? 魔理沙「……嘘だろ?」 ――魔理沙だけは違った。森崎と同類で、森崎と同じ爆弾を抱えていて、 今現在、森崎と同じ痛みを共有している彼女だけは、FWへと向かう森崎に最後まで食い下がった。 森崎「嘘? 何のことだ?」 魔理沙「アリスや萃香の診断は間違っちゃいない。お前は今、死に体で動いている」 森崎「ああ、死に体さ。今の俺じゃ、もうパンチングも出来やしねえよ」 魔理沙「そういう体力的な問題じゃない。……お前はもう、選手として破綻しているんだ」 魔理沙は自分がもしも森崎と同じ立場になった事を考えた。 もしも重要な試合で、右脚が完全に潰れて動かなくなったら、どうするか。 答えは恐らく今の森崎と同じ――無理やりにでも動かす、である。 森崎「………ふん」 魔理沙の推論に根拠は全くない。しかし何故か確信はあった。 そして魔理沙の確信を裏付けるかのように、森崎はこう教えてくれた。 森崎「全身の骨という骨に釘を打ち付けられて、それに一遍にハンマーを打たれる痛みを想像してみろ。 それを想像したら、その痛みを百倍しろ。そしてその上で、今までの五倍の力で腕や脚を曲げ伸ばしてみろ。 あと一点、一瞬でも集中を切らしたら、意識が冷たい闇に沈んで行くから気を付けろ。 ……お前は、それに耐えられる自信はあるか? お前の夢は、その痛み以上に重要か?」 魔理沙は何も答えなかった。しかし、その森崎の問いかけへの答えは揺らぐ事は無い。 森崎にも聞こえるよう、魔理沙はこう悪態を吐いた。 魔理沙「……お前が自分で、その問いへの回答を示してるじゃないか。 夢ってのは、ちょっとやそっとの痛みで、諦められるモンじゃない……ってさ」
[485]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:07:07 ID:??? 霊夢「…………」 ――そして必然、森崎の無残な姿を目にしても全く動じない魔理沙の意思は、霊夢にも聞こえていた。 霊夢「(魔理沙……。私はやっぱり、良く分からなくなって来た。 最初はあんたの夢を応援するのが、本当の友達だと思ってここまでやって来た。 だけど次第にそれは疑問に変わって来て……こうやって苦しむ森崎の姿を見て確信した)」 霊夢は冷静で暢気な風を装いながらも、心の中は今までに無くざらついていた。 今までは照れや外聞あって認めないでいた。魔理沙の夢を応援する為と自己を正当化させ、気に留めないでいた。 しかし今、その才能に見合わぬ大きすぎる夢を抱いた男の末路を見てしまった以上。 霊夢は自分の心の中に、こうした可愛らしい本音が残されている事を認めざるを得なかった。 霊夢「(――魔理沙。私はやっぱり……あんたをここで、失いたくない)」 自分の望みは恐らく、いや――間違い無く、魔理沙の夢にとって障害でしかない。 しかし霊夢は一方で、こうも考えていた。 だけどそれなら偶には、自分の夢を魔理沙に押し付けたって良い筈だ……と。 現状維持を嫌い、常に高みを目指し続ける森崎。魔理沙。中山政男。それに続く者達。 それらの者達と実際に会い、戦い、交流し、そして霊夢は気付く。 霊夢「(私には夢なんて全く無いと思ってたけど、あったわ。夢。それは――)」 ――願わくば、これまで通りの穏やかな、何も変わりない平凡な生活を。 何かを失い、何かを切り捨てる事の無い、いつも通りの日常を。 霊夢の夢は、特別過ぎる博麗の巫女が考えたとは思えないまでに、平凡かつ陳腐なものだった。 だが、年頃の少女が、こうした平穏を夢として願う事は罪なのだろうか。 その是非は据え置いたまま、時間は進み、そして――。
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0ch BBS 2007-01-24