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【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】
[715]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/23(月) 01:02:22 ID:??? 藍「――月の成り立ちについては、かつて紫様から話を聞いた事がある。 ……しかしそれがどう、今の話と関係が?」 永琳「月の民はかつて、どうしようも無く地上に溜まった消せない穢れを一点に集めていた。 しかし、その穢れはやがて溢れて暴れ出し、やがて統合した存在として、一柱の神霊を生んだわ。 世界に絶望し、激しい憎悪のみを糧として生きる。月の神々を以てして、莫大過ぎる力を持つ神霊を」 鈴仙「し、神霊……? 神霊って、神として崇められている亡霊とか幽霊とかですよね。 排除され迫害され、集められた穢れが一つの人格を取るという話自体は、無くも無い事ではありそうですが……?」 藍「――その存在意義を否定され、裏切られた事による怒りや憎しみから生まれた、純粋な感情の発露。 しかし、その感情には確固たる意思が無く。ただ消失するまで永遠に、他者を憎しみ続けるだけの存在。 成程。それなら確かに境界を操作する必要すら無くなるか」 永琳は深く頷き。 永琳「怒りや憎しみの暴走による、大いなる穢れと破壊の発生。 それは我々月の民を戦慄させ、場合によっては仲間同士の血で服を汚した事すらある。 ……そう。何故そうだったかは忘れたけれど。私達はその厄災を、『純狐』と呼んでいたわ」 ――そして彼女は溜息を吐いて、此度の異変について名称を与えた。
[716]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/23(月) 01:04:20 ID:??? ……と、言ったところで今日の更新はここまでです。 皆さま、本日もお疲れ様でした。
[717]森崎名無しさん:2015/11/23(月) 07:58:53 ID:??? む、難しい話だ・・・!チルノ!ついていけてるか!?(H並感)
[718]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/24(火) 00:15:56 ID:??? こんばんは、今日も仕事がありましたので今から少しだけ更新します。 >>717 後で読み返して、ちょっと勿体ぶり過ぎて論旨が行方不明になってる感が自分でもしましたね(汗) 適宜これまでの話を簡潔に纏めながら、最終的には分かり易い方向に話を持って行きたいです。
[719]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/24(火) 00:17:55 ID:??? 鈴仙を利用して莫大なエネルギーを得ようと画策した永琳。 計画は途中まで思い通りに進んだが、正体不明のイレギュラー的な存在が紫に介入し、事態は深刻化した。 そのイレギュラー的な存在とは即ち月に封じられし強大な怨念であり、『純狐』と呼ばれているらしい。 ……ここまでの話を要約すると、こうなるだろうか。 しかし永琳はここまで長く語ってなお、肝心な点を未だ明かしていない。 藍「紫様を狂わせ、変貌させたのは『純狐』たる月の狂気。それは良く分かりました。 しかし、失礼ながら私が知りたいのはそれだけではない。 ――私は、どうすれば紫様を元に戻せるのか。その具体的な方法を知りたいのです」 紫の狂気の、幻想郷の危機の原因については良く分かった。 では、その原因に対し我々はどう対処すれば良いのか。 藍が今一度切実に永琳に問いかけた事は、今回の話の核心だった。 永琳「狂気とは即ち、常軌を逸した波長の集合体を意味する。だから、その波長を中和し、分解してしまえば問題無いわ」 そしてこれまでの長い説明とは裏腹に、核心について永琳は単純に応えた。 また、永琳が意図的に答えなかった『どうやって』に対する答えについても自ずと示されていた。 ――少なくとも鈴仙にとっては、示されているように思えた。 鈴仙「――師匠。その波長を中和して分解するって言うのは、ひょっとして……」 永琳「……ええ。貴女がこれまでに瞳に蓄えて来て、これからも蓄えるであろう狂気の波長。 その全てを、純狐を受け入れた八雲紫にぶつけてしまえば良いのよ。 ――具体的には、八雲紫が示した次の大会。 『幻想スーパーJr.ユース大会』に優勝し、その時の観客の熱気を貴女が独り占めすれば良い」 強敵を倒し、八雲紫の企みを押しのけ、鈴仙が次の大会でも優勝すること。 それこそが純化された憎しみに駆られる紫を救い、幻想郷を――世界を守る事になると永琳は言う。
[720]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/24(火) 00:19:28 ID:??? 永琳「逆に、もしも次の大会で八雲紫の本来の目的――幻想郷における妖怪の人間に対する優位の証明 ――が正しく達せられたとしたら、その際に発生したパワーは鈴仙では無く、八雲紫に――引いては純狐に渡るでしょう。 そして恐らく、純狐はいよいよそのパワーを利用して完全なる純化を遂げ……。 ――その暁には、地球上の全生命は、彼女の憎しみを前に皆死に絶えるでしょうね」 鈴仙「それって、つまり。その……」 永琳「ウドンゲ、貴女はサッカーで世界を救うのよ。比喩では無く、字義通りに」 鈴仙「え、えぇーっ……」 つい情けない声を漏らしてしまう鈴仙。……しかし、普通に考えて、身も蓋も無い話だと思う。 世界の、全人類の生命が、自分のサッカー大会の成績に左右されると永琳は言ったが、 流石の鈴仙も今の話以上の無理難題を吹っ掛けられた事はない。 無論、この話が冗談では無い事は、これまでの出来事や永琳の説明から理解できるし、ある程度の覚悟もある。 ……しかし、いざその核心を提示されると、どうしても情けない声の一つくらい上げたくなるのが、 如何に成長しても、どうにも変わりようが無い鈴仙らしさの一端でもあった。 ――あの、師匠。お話は分かりましたが、ちょっと頭を整理させてくれませんか……? 鈴仙は取りあえずそう言おうとした。しかしそれは途中で遮られる。 藍「――待って下さい」 永琳「……何かしら?」 今回に限っては永琳の他にもう一人、第三の人物が居たからだ。 藍は困惑する鈴仙を庇いながら、永琳に確認を取っていく。 藍「今の貴殿の話を聞くと、@鈴仙は兎に角大会で優勝し、A紫様の目的を打ち砕けば良い。 では、その@とAの条件を達せられるならば――その過程については不問という事で良かったですね」 永琳「ええ」
[721]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/24(火) 00:21:21 ID:??? 藍「つまり、@とAの条件達成は同時でなくとも良い。例えば、先にAの条件だけを達成し、 後で@の目的を達成しても良い……と、いう考え方で良いと」 永琳「……ええ。だから例えば、貴女が何等かの方法で八雲紫を黙らせておいて。 その上で、鈴仙にのみ波長エネルギーが集中するよう便宜を図ってくれれば、全く問題が無いわ」 鈴仙「あ、あの。藍さん。一体何を……」 鈴仙の問いかけにも答えず、藍は数点永琳に確認を取り、 永琳は何かを見透かしたかのように正直かつ具体的に応えていく。 そこから藍は暫く考える素振りのみを見せ。 ――最後に彼女は鈴仙の肩を取りながら永琳に対して、最後にこう確認した。 藍「……ならば。鈴仙は必ずしも、貴女が今なお推し進める計画。 【プロジェクト・カウンターハクレイ】計画に肩入れする必要は無く。 私が考える、【リアル・幻想・セブン】計画の一員として活躍して貰っても、 純狐の制圧という、我々共通の目的達成には……全く問題が無いという事ですね?」 永琳「…………ええ。そうね」 鈴仙「……!」 藍は豹変した紫に関する、永琳の知識を聞きに来たのは間違いない。 しかし、藍が永琳を訪問し、永琳がそれを受け入れた事にはもう一つ大きな理由があったのだ。 鈴仙「(師匠と藍さんは、私を確かめているんだ。 両方の立場を選んでも大勢に問題が無いと確認した上で。私が幻想郷に対して、自分自身に対して何を想い。 そして、これから先はどんな道を進みたいと考えているかについてを――)」 これから待ち受けるであろう運命の選択を前に、鈴仙は人知れずゴクリと唾を飲んだ。
[722]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/24(火) 00:25:08 ID:??? 永琳「ウドンゲ、貴女はサッカーで世界を救うのよ!」 鈴仙「えぇ…(困惑)」 藍「たしかに世界を救うのは勝手だがそれなりのやり方があるでしょう?」 …と、言ったところで今日の更新はここまでにします。 早くて明後日くらいには、やっとこさ第二部のルート選択に行けると思います。 (選択前には、質問タイムを設けようと思います) それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[723]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/25(水) 01:05:07 ID:??? 永琳「……八雲藍。貴女も中々、主に負けず劣らず抜け目が無いわね。 単に私から情報を得るだけでは終わらせないのは、純粋に見直したわ」 藍「貴女は賢い。そして賢い者の発言は人を大きく動かす。 私は単純に、彼女が中立的な観点から選択をしてくれる事を祈ったまでです」 藍の質問の意図を最初から完璧に把握していた永琳は、謙虚そうに首を小さく横に振る藍を見て薄く笑った。 しかしその藍にしてもさしたる動揺はない。彼女もまた、最終的にはこうした展開になる事を予測しているようだった。 鈴仙「……そういえば、師匠も試合開始直前に言ってました。確か、この試合が終わったら……」 そして、鈴仙も思い出す。今日の昼間、博麗連合との試合開始直前に永琳が言い残した事を。 『――この試合が終わったら。私は貴女に問うわ。果たして貴女が、どちらの道を往きたいと考えているかを』 永琳「……ウドンゲ。私が話せる事はもう終わってしまったわ。後は貴女の話を聞く番」 永琳は薄い笑いを崩さぬまま鈴仙の方を向いてそう言った。 藍もそれに同調して、やや緊張した顔をこちらに向けた。 藍「――今この世界はとある月の狂人の意志により、滅ぼうとしている。 それを止める手段は、鈴仙。君が次のサッカーの大会で優勝するしかない事は、八意永琳が説明してくれた。 ――ここで私が君に聞きたい事は一つだ。『君は、どのような方法で世界を救ってくれる』?」 鈴仙は、どのような方法で世界を救うべきか。 藍のこの宣言を待って、永琳は穏やかながらも厳格に話を続けた。
[724]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/25(水) 01:06:31 ID:??? 永琳「……今、貴女の前には丁度二つの道が示されているわ。 一つは、私とともに【プロジェクト・カウンターハクレイ】のキャプテン候補として参加し、 幻想郷の秩序に一石を投じる者として、大会の優勝を目指すこと」 藍「そしてもう一つは、【リアル・幻想・セブン】の一員となって貰い、 内側から紫様の計画を崩しつつ大会で優勝することで、 今までの幻想郷の秩序を守りつつも、より良き世界を創る為の礎となること」 永琳は左手を、藍は右手を鈴仙の前に差し出しながら、改めて各々の立ち位置を表した。 革新か保守か。創造か再生か。二人の立場は共通の敵を前にしてもなお、正反対だった。 永琳「私は最初、貴女を利用して得たエネルギーを、もっと悲しい事に使おうと思っていた。 だけど、貴女が中山政男と触れて成長し、色んな人や妖怪と関わっていく中で――私の心境に変化が生じた。 貴女と、貴女を取り巻く世界の変化を楽しみたい……と。本気でそう思えるようになった。 これは嘘や策略じゃない。純粋な気持ちよ。 だから。――もしも貴女が、私の推し進める【プロジェクト・カウンターハクレイ】を選ぶにせよ、選ばないにせよ。 その気持ちの証拠を、後で貴女に渡したいと思っているわ」 鈴仙「……師匠」 永琳がそう静かに想いを告白してもなお、怯えた鈴仙の心は未だ動かない。 藍「――鈴仙。君が今まで暮らして来た幻想郷はどうだった。確かに課題はあるかもしれない。 しかし、多くの妖怪や人間が君に向けて来た笑顔は、決して嘘では無かった筈だ。 八意永琳の計画の趣旨は分かる。ただ私はそれでも、今ここにある幻想郷を大事にしたいんだ。 ……君が仮に、【リアル・幻想・セブン】計画に賛同しなかったとしても、 私は別の立場から君の事を陰ながら応援したいと思っているし、決して邪魔はしない、させないと約束する。 ――無論、正々堂々な試合の場なら、どうなるか分からないけどね」 鈴仙「……藍さん」 藍が穏やかながらも情熱的に幻想郷への愛を語っても、鈴仙の様子は同様だった。
[725]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/25(水) 01:09:54 ID:??? 藍「……決めかねて。いや。それ以前に酷く怯えているようだね」 永琳「――今この場で答えろとは言わないわ。だけど、明日の朝にでも答えを頂戴。 幻想郷の結界が壊れてしまった以上、私達の身にいつ、何が起こるか分からないのだから」 鈴仙「……すみません」 本当ならば、勝手に選択を強制する二人に対し、鈴仙は怒っても良かったのかもしれない。 しかし鈴仙は謝った。意見こそ違えど、強い想いを持つ永琳と藍が眩しく見えたからだと、後で鈴仙は思った。 永琳「……私が選んだ道を進んだとしたら。あるいは、八雲藍が選んだ道を進んだとしたら。 大まかにどういう事になるかは、こっちの方で表に纏めさせて貰ったわ」 藍「もしも質問があったら受け付けるから、しっかり目を通しておいて欲しい」 鈴仙「(い、いつの間に……)」 鈴仙は去り際、藍と永琳に見送られて一枚の紙を貰った。 これはどうやら、【プロジェクト・カウンターハクレイ】と【リアル・幻想・セブン】。 それぞれのルートに関する簡単な説明書きだった。紙には、こう書かれていた。
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0ch BBS 2007-01-24