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【レイセン】鈴仙奮闘記33【アレアレオー】
[598]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:08:15 ID:??? 鈴仙「師匠が仰ってました。姫様が私を送り出す手段を持っているって………!」 輝夜「ええ。えーりんは今日の展開すらお見通しだったからね。 ちゃーんと、永遠亭の倉に用意しといてたのよ。あんたを外へ送り出す手段!。 ……てなわけで、後の現場は宜しくね、てゐ!」 てゐ「――チッ。折角人畜無害なウサギTちゃんのフリをしてたのに。 ……ま。私もイナバ達を決して死なせたくは無いからね。頑張るよ」 輝夜達と合流した鈴仙は、後の防衛をてゐに任せて永遠亭の蔵へと向かう。 一見古臭い蔵であるが、ここには輝夜や永琳が持ち出した月の財宝が残されているというが――。 果たして、そこにあったのは月の財宝では無かった。 鈴仙「こ、これは……!?」 蔵の中に収められていたのは、近未来的なデザインのメタリックな自動車だった。 二人乗りと思われるその車は収容人数に反して巨大で、恐らくはさぞ立派なエンジンが備え付けられているのだろう。 メカメカしい流線型のボンネット。その先端には猛牛をあしらったエンブレムが飾られている。 鈴仙「も。もしかして……、姫様。これが外の世界でも高くて有名な、『ふぇらーり』って車ですか!!」 輝夜「――イナバ。あんたもしかして、高そうなクルマは全部フェラーリだと思ってるわね。 残念、これはランボルギーニのウン十周年記念車よ! 最大馬力は750馬力で、最高速度は時速365キロ。 僅か3秒足らずで時速100キロまで加速しちゃうんだから。 いやー、流石に300万ユーロ(現代の価値にして約4億円)は高かったけど、えーりんから買って貰ってて良かったわー」
[599]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:09:47 ID:??? 鈴仙「(――師匠。永遠亭の財政はいつもカツカツって言ってたのに。姫様にどんだけ貢いじゃってるんですか……!)」 輝夜の説明を聞いて、正直言ってブン殴りたい衝動に駆られる鈴仙だったがここは敢えて堪える。 この車がどうやら、永琳が言っていた脱出の手段である事には違い無いようだったからだ。 輝夜「そんなワケで。イナバはこの私が責任を持って外まで送ってあげるからね! コスタ・コンコルディアに乗ったつもりで安心して乗んなさい!!」 鈴仙「(コスタ・コンコルディアって。座礁して転覆した船じゃないですか……」) 果たして輝夜は車を運転できるのか、などと言う些末な不安を掻き消して、鈴仙はその高級車に乗り入れる。 鈴仙「(――あっ。やっぱり乗り心地良い……)」 そして、そんな暢気な感想を抱けたのは僅か3秒の間だった。 輝夜「うっしゃー、エンジン全開よ〜!」 ブロロロロロロロロロロロッ! ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ! 鈴仙「ギャーーーッ、し、シートベルト付けさせてくださーーいっ!?」 車は直ちに、内部にいても耳をつんざくような悲鳴を上げて発進した。……後ろ方向に。 アナウンサー「あっ! イタリア製の高級車が蔵から飛び出して来ました! 時速百キロで兵士達のみを器用に跳ね飛ばしながら屋敷を後にします!! しかし時価数億円もの高級車が蔵にあるとは。ますますこの屋敷の正体が分からなくなります!」
[600]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:11:03 ID:??? 鈴仙「ひ、姫様ぁ……!? 私、先に交通事故で死んじゃいますう……!」 輝夜「人間も妖怪も、そんな簡単には死なないって! さぁ、今から外の世界に向かってゴーよ!」 ブロロロロロロッ、ギャリッ、ギャリギャリギャリッ!! ……鈴仙の永遠亭からの脱走劇は、時速365キロで竹林を駆け抜ける一台の高級車によって成功した。 〜迷いの竹林〜 ブロロロロロ…… 輝夜「――さーて。これで追手どもは大体撒けたわね」 鈴仙「ひ、姫様ぁ。無茶しないで下さいよぉ……」 輝夜「まあまあ。イナバ達も永琳やてゐが居るから大丈夫に決まっているし。 それに中山さんとパスカル君も、それぞれサッカー協会の精鋭が保護に向かったって聞いているわ。 永遠亭は……ちょーっとぶっ壊れちゃったかもしんないけれど……形ある物いつか滅びるっていうし。 また全てが終わったら、新しく建て替えれば良いもの」 鈴仙「(このプラス思考、本当に凄いなぁ……)」 そしてプロジェクト・カウンターハクレイメンバーの集合場所である、 幻想郷と外界を隔てる集落に向けて、鈴仙と輝夜は路無きドライブに明け暮れていた。 途中でガタガタと竹を薙ぎ払い、あるいは薙ぎ払われて竹林も車もボロボロであるが、 もはやそこまでを気にする程の精神的余裕が鈴仙には無かった。
[601]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:12:34 ID:??? 鈴仙「……でも。外の世界の報道機関はともかく。さっきの兵士は何だったんでしょうか。 永琳様は、私がプロジェクト・カウンターハクレイに合流したら困ると思っていて。 なおかつ、銃器を持った私兵を雇える余裕のある勢力の仕業と言っていましたが」 輝夜「んー、私はその辺詳しく分かんないけれど……、聖徳ホウリューズの連中の差し金かもしんないわね。 漁夫の利狙いのハイエナ集団だし、今まで幻想郷に姿を見せなかったし、外界との繋がりも強いっぽいし。 幻想郷と外界が接触するXデーに乗じて、武力で政権を獲得するつもりだったとか」 鈴仙「――な。そ、そんなの、あの八雲紫が許す訳が……! ――って、あっ……!?」 輝夜「幻想郷を愛する、かつての八雲紫だったらそうかもね。 でも考えてみなさい。今のあのスキマ妖怪はもはやスキマ妖怪ですら無い。 月の一罪人にひたすら粘着し続けるだけが生きがいの、迷惑女に取り憑かれてるんだから。 聖徳太子の一人や二人どうでも良い、みたいな発想になっててもおかしく無いわ」 鈴仙「確かに……そうかも」 半年後の大会に勝利する事を目標に捉える余り、過程を省みる事を忘れた八雲紫。 用意周到な神子の一派が彼女の変化をいち早く察知し、 それに取り入る術を事前に考えていたとしてもおかしくは無い。 鈴仙「(私達の敵は……八雲紫だけじゃない。 きっとこの先、豊聡耳神子が掲げる幻想郷乗っ取り計画――『ハイパー・カンピオーネ』計画を潰す事が必要になる。 そして。私は今度こそ――『あの子』を。妖夢を助けてあげなくちゃいけない……!)」 八雲紫を取り込みつつある純狐を止め、豊聡耳神子の私欲にまみれた計画を潰す。 そして――狂った計画に巻き込まれた親友を救い出し、鈴仙は自身のあるべき道を世界に示す。 これからの物語は、単に誰かの背中を追うだけでは進まない。 鈴仙自身が真なる意味で主人公となり、この世界を、親友を、仲間達を。そして自分自身を取り戻さなくてはならない。
[602]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:13:41 ID:??? 輝夜「……イナバ。あんたビビってるわね。これからの自分を待ち受ける運命ってヤツに」 そんな風に考えていた鈴仙の内心を見透かしたように、 輝夜はハンドル片手に、助手席の鈴仙に身を乗り出し問いかける。 鈴仙がそれにゆっくりと首を縦に振ると。 輝夜「はぁー。若いわねぇ。若い若い。私より十億才くらい若いわー」 鈴仙「何ですか。その唐突かつ雑な年長者アピールは……」 輝夜はフロントガラスを見るのも忘れて鈴仙を見据え、こう言い放った。 最初鈴仙は、またいつもの面倒なノリが始まったと思ってつっけんどんに答えていたが。 やがて輝夜が真剣に鈴仙を案じて言葉を選んでいる事に気付いた。 輝夜はふうと溜息を吐くと、普段の飄々とした表情を保ちながらこう続けた。 輝夜「……運命なんて、気にするモンじゃないわ。 あいつ等は残酷に人を別ち、大切なモノを奪い、何ら悪びれる素振りも無い。 ――そんなヒドい奴の事なんて考えてても、明るい気持ちになんてならないわ。 だから、ただ、自分の心で感じたままに。自分が楽しいと、自分が正しいと思えるように。 それだけを考えて行動するようになさい。――だってこれは、あんたの物語なんだからね!」
[603]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:15:15 ID:??? 鈴仙「ひ、姫様……!」 輝夜「ちょっとちょっと、まだ泣いちゃダメよイナバ。まだカンドーのプレゼントも渡せて無いんだから。 ……はい、これ」 感極まる鈴仙に追い打ちを掛けるように、輝夜は鈴仙に一つのプレゼントを渡してくれた。 それは――いつしか鈴仙が難題として輝夜に献上した「しゃべるボール」だった。 輝夜「ドタバタしてたから、お別れがテキトーになってたでしょ? そうなると思ったから、永琳が事前にこんなものを書かせてたのよ。このボール君にね。 ……生憎と、幻想の力が流れ出した今はもう、しゃべんなくなっちゃったけれど」 鈴仙「……見て、良いですか?」 輝夜「良いわよー。穴が開くほど見なさいな」 決して泣きはするまいと思いつつも、鈴仙はボールを覗き込む。 ……そこには、達筆から乱雑で。大きな字から細かい字で、こんな事が書いてあった。
[604]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:19:26 ID:??? 鈴仙 ありがとう! 永遠亭ルナティックス一同 合格ね 八意 永琳 お土産はPS4と3DSとWiiUと最新PCとスマホで4649 ←死ね! 鈴仙頑張ってね、応援してるよ! 妹紅 ぐや 本当に有難う。君のお蔭で成長出来た。 君達が紡ぐ歴史に幸あらん事を! 上白沢 慧音 私と鈴仙は永遠亭のゴールデンコンビ ……ウサ 因幡 てゐ また古武術を教えて下さい! 頑張ります!! ウサギK 一期一会。君との出会いは決して忘れない A.Pascal ねたばれ れいせんさまのしゅ〜とりょくは67 鈴仙さま、永遠亭を離れられると聞いて寂しいです。 私は鈴仙さまの相棒として役立ちたいと思って頑張ってきましたけど、 いつも迷惑ばっかりおかけして、本当にごめんなさい。 でも、私にとっては鈴仙さまは永琳様にも霊夢さんにも負けない最高のヒーローです。 鈴仙さまなら世界でも一番になれると思います。また一緒にサッカーしたいです! あと他にも書きたい事があるんだけど、ボールが真っ黒になっちゃうのでやめます。 因幡 佳歩 鈴仙さまが活躍出来る確率は100%とデータが出ましたよ! 霞 れいせんさまだいすきです。つかさちゃんといっしょになかないでつよくなります!! ウサギD Dちゃんをいつも有難うございました。ご健闘をお祈り申し上げます。 つかさ 書くべき言葉は無い。また会おう、鈴仙! 中山拝
[605]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:22:33 ID:??? 鈴仙「………………!!」 普段のように、気の利いた皮肉が思いつかなかった。鈴仙の胸からは熱い物がこみ上げて来た。 ……自分は改めて、仲間に、主人に、――家族に、恵まれていると実感した。 鈴仙「ししょうが……みんなが……なかやまざんが……!」 輝夜「……例えチームを離れようが、これまであんたが築いて来た絆は永遠に消えない。 だから、鈴仙。運命なんかに負けんな! どこに居たって、永遠亭ルナティックスは永遠に不滅よ! 文字通り、ね!」 鈴仙「は……はいぃ……!!」 今の自分が酷い声だと思ったが、それでも声が止まらなかった。 ――独りじゃない。鈴仙は皆の想いが詰まったボールを胸に抱えて泣きながらそう思った。 そして――。 輝夜「――ねぇ、鈴仙………?」 鈴仙「は、はいいいいびっ……!」 輝夜「――ごめん。ボール渡したりしてたら、カーブ曲がり切れなかった。……今からガケ落ちるから覚悟しといて!」 鈴仙「は、ひ……? ――ぎゃ、ぎゃわわわわーーーっ!?」 ブロロロロ――バンッ! ドゴオオオオオッ!! ガードレールをオモチャのように弾き飛ばして、時価数億円のランボルギーニは某県の山中へと放り出されて、 ……これまでの展開を台無しにするかの如く、見事に落ちた。
[606]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:23:42 ID:??? ……と、言ったところで一旦ここまでです。 続きは気力があれば今夜中。無ければ明日のお昼頃になります。
[607]森崎名無しさん:2015/12/31(木) 00:24:44 ID:??? 乙です。サッカー協会の精鋭とはいったい…w
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0ch BBS 2007-01-24