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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】
[783]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/15(水) 00:30:18 ID:??? 中西はこのシュートに対して自信を持って真正面からがぶり寄った。 彼は決して二流や三流のゴールキーパーでは無かった――が、同じく一流では無かった。 このシュートの本質はただ早いだけでは無い。中西はそれを見誤っていた。 ナポレオン「ただ早いだとォ? 違うな。このシュートは早いだけじゃなくて……痛いぜ?」 中西「ア……ガッ……!?」 ナポレオンがそう言うと同時に、中西は思わずうめき声を漏らした。 言う通り、彼はこのシュートが中西の脂肪の壁を越えて内臓を傷つけている事に気付いた。 ナポレオン「ライフリングのついた銃弾の如く、このシュートは敵を抉り取る。 器用にコースを狙えやしねぇが、GKさえ吹き飛べば、ポストと枠外以外どこに撃ったって一緒だろ?」 生命の危機を訴える中西の全身を、中西の精神は無理やりに押さえつける。 それがこのシュートへの唯一の対処法だと気づいたは良いが、結果として、 中西の精神は所謂超一流の選手と比べて脆弱だった。 中西「もう……耐えれ……へん……!」 ゴオオッ……バタリッ。 ――中西は最終的にその場に倒れ伏した。他のDFのように派手に吹き飛びはしなかったが、 ここで立ち上がれなかった中西は、命を賭してまでゴールを守れなかった自分自身の精神の弱さを恨み。 ズバアアアアアアアアアアアアアアアアッ! ―――ピピイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
[784]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/15(水) 00:31:26 ID:??? 実況「決まった〜〜! ゴ〜〜ッル! 後半29分! ナポレオン選手の『メガキャノンシュート』が、 生徒会チームのゴールを突き破りました〜〜〜!! これで試合は4−3、4−3です! レジスタンスチーム、試合終了まで後僅かにして……逆転です!」 観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 中西「(……やはり、ワイは勝てんのか。森崎有三。……アイツのようには、なれへんのか……!?)」 ナポレオン「(……決まった。ギリギリの勝負だったが、決めた。――いつもの喧嘩より、余程晴れやかな気分だぜ)」 反町「(――信じて、良かった。俺達が繋いだ勝ちの芽を、ナポレオンが。皆が、育ててくれた……!)」 ゴールを決めたレジスタンスの面々は、これまで絶望と悪夢の底に沈んでいた、 一欠片の希望を――漸く。本当に漸く、手に取る事に成功した。 レジスタンス 4 − 3 生徒会チーム
[785]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/15(水) 00:42:26 ID:??? すみません、力尽きたので今日の更新はこれだけです(汗) アナウンス通り、ここから先は描写のみで進行します。 >>781 秋ジスタを出した反町君の事も思い出してあげてください… でも枠外とかの事は忘れてあげてください。 本日もお疲れ様でした。
[786]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/16(木) 00:15:10 ID:??? ピエール「……俺の、負けだ」 早苗「――? 何を言ってるんです。勝負は最後まで、まだ……!」 ピエール「いや、負けだ」 今のシュートを食い入るように見つめていたピエールは、やがて決然と、 しかし吐き捨てるような口調でそう言い放った。 冷徹な彼の豹変ぶりに早苗は感情的になって詰め寄るが、彼の次の言葉には反論できなかった。 ピエール「奴らはナポレオンがゴールを決める事を信じた。 一方、俺はナカニシがゴールを守る事を信じられなかった。 ――その差がある限り、俺達はいつか負ける。そう気づいたのさ」 個々人の実力ならば間違い無く自分達の方が上だ。 戦術と戦略が上手くかみ合えば、今からでも逆転は不可能ではない。 しかし、ピエールは既にこの時点で、自分達の勝利は無いと確信していた。 早苗「……でも、良いんですか。このまま負けたら、貴方の実家の面子は丸つぶれと聞いてますけど」 ピエール「日本資本の協力の下この学校を買って、スポーツ行政界での復権を目指そうとする没落貴族の事か?」 かつてのチームでの交流から、ピエールとの関係が深かった早苗は、この試合の裏事情を知っていた。 彼の実家が負債を抱えている事。『友人』の岬太郎の提案から、彼の実家が学校の買収に出た事。 そして、それに楯突く経営陣に対して
[787]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/16(木) 00:37:29 ID:??? すみません、間違えて書いてる途中で送信してしまいました(汗) 更新はもう暫くお待ちください。
[788]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/16(木) 01:05:06 ID:9jEN4p+g ピエール「……俺の、負けだ」 早苗「――? 何を言ってるんです。勝負は最後まで、まだ……!」 ピエール「いや、負けだ」 今のシュートを食い入るように見つめていたピエールは、やがて決然と、 しかし吐き捨てるような口調でそう言い放った。 冷徹な彼の豹変ぶりに早苗は感情的になって詰め寄るが、彼の次の言葉には反論できなかった。 ピエール「奴らはナポレオンがゴールを決める事を信じた。 一方、俺はナカニシがゴールを守る事を信じられなかった。 ――その差がある限り、俺達はいつか負ける。そう気づいたのさ」 個々人の実力ならば間違い無く自分達の方が上だ。 戦術と戦略が上手くかみ合えば、今からでも逆転は不可能ではない。 しかし、ピエールは既にこの時点で、自分達の勝利は無いと確信していた。 早苗「……でも、良いんですか。このまま負けたら、貴方の実家の面子は丸つぶれと聞いてますけど」 ピエール「日本資本の協力の下この学校を買って、社交界での復権を目指そうとする没落貴族の事か?」 かつてのチームでの交流から、ピエールとの関係が深かった早苗は、この試合の裏事情を知っていた。 彼の実家が負債を抱えている事。『友人』の岬太郎の提案から、彼の実家が学校の買収に出た事。 そして、それに楯突く経営陣に対して何らかの『見せしめ』を行う必要があり、一連の騒動を起こした事を。 ――しかし、ピエールは早苗の言葉に首を横に振り、真意を初めて零した。
[789]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/16(木) 01:06:19 ID:9jEN4p+g ピエール「……確かに、この結果に新経営陣は納得しないだろうな。 だけど、そもそも――見せしめを行うにしても、こんな試合を開いたのは、俺の独断だった。 大人たちは、もう少し穏便な方法での問題解決を意図していたんだ」 早苗「……そうだったんですか。私は、てっきり貴方が大人たちの操り人形になっていたのかと」 ピエール「それは間違ってはいない。事実、大人たちは俺達の勝利を疑っていなかったし、 勝利すれば、大きな見返りを得る事ができた。 ノーリスク、とは言えないが、ローリスクハイリターンの次善策として、彼らも支持してくれていた。 だが……今にして思えば。この時点で俺は、今のような展開になる事を、望んでいたのかもしれない」 早苗「今のような展開――って、つまり。仲間達が信じあって、強大な敵を打ち倒す……みたいな展開のことです? 私達が強大な敵側なのが、なんだか寂しい気もしますけど」 ピエール「……ああ」 おどけるような早苗の相槌に、ピエールは静かに頷いた。 ピエール「俺は常日頃感じていた。Jr.ユースで一緒に戦った仲間達は、本当に、仲間なのだろうかと。 心を許し合ったようでいて、単なる打算と利害関係で付き合うだけの、そんな空虚な関係なのではないかと。 俺を尊敬し、一緒に笑いあってくれる仲間達との関係が深まる程、そうした疑念が膨れ上がって来た。 だから――俺は一度、試してみたかったのかもしれない。 俺の仲間達は、何があっても本当に仲間同士信じあえるのか。あの時の笑顔は、涙は。本物なのだろうかと」
[790]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/16(木) 01:17:56 ID:9jEN4p+g 早苗「……そんなの、どうやっても分かりっこないですよ。人の本心なんて、さとり妖怪でも無い限り分かりません。 あるのはただ、仲間同士が互いを信じあえるという、そんな信仰があるだけです。 知ってますか? 信仰ってのは、決して神様に対してするものだけじゃあ無いんですよ。 いや、むしろ、空気みたいに常識すぎて、誰も意識していない位だと思います」 ピエール「信仰という行為を神聖化せず、普遍的に捉えるのか、君は。 ――だったら教えて欲しい。俺は、どうやって彼らを信仰すれば良かった? どうすれば俺は、こんな試合を通さずとも、皆を信じられるようになれた?」 早苗は、思い悩むピエールの姿を見て、明るくそう応えた。 かつて幻想郷において、信仰の在り方に思い悩む早苗を支えようとしたピエールは、 今度は逆に、正しき信仰を見つけた少女に助けを求めていた。 早苗「……信仰だなんて言っちゃうと、語弊があるかもしれないですね。 そうね。仲間同士に生じる、互いに互いを信じあう為の信仰を得る為には……」 そう前置きした上で、早苗はシンプルな答えを導き出した。 早苗「――ピエール君が、フランスの皆ともう一度、『トモダチ』になる事だと思います!」 ピエール「フッ……ハハハ。そうか、そうだったな。社交界の権力だの、利害関係の維持だの、 そんなどうでも良い事ばかりを並べ立てて。俺は、一番肝心な事を忘れていたみたいだったな……」 ピエールは、初めて年相応の少年らしい笑みを零した。 ――今回、フランスのサッカースクールで起きた学園紛争。 それは、少年の人知れぬ孤立が引き起こした、滑稽かつ悲劇的。矮小かつ遠大な信仰の儀式だった。
[791]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/16(木) 01:22:24 ID:9jEN4p+g ピエール「――俺は全て話した。だから、と言う訳では無いが教えて欲しい。 ……サナエ。君は何故、俺に手を貸してくれた? 君はソリマチの事が……」 最後にピエールは、そう早苗に問いかけた。 実は、ピエールは彼女が何故レジスタンスでは無く、自分達に加担してくれたのか。その真なる理由を知らなかった。 彼女はいつも通りの明るさを保ちながら、そうした当然の疑問を拒絶し続けていたからだ。 早苗「それは……幾らピエール君でも、言えません。だって、それだけ色々考えてたピエール君と違って、 私がここに参戦した理由なんて、めちゃくちゃショボイし、しかも色々とアレな理由だし」 それは今になっても同じだった。彼女は照れくさそうに指を合わせながら、もじもじと言葉を渋る。 そして、ピエールは少女の秘め事を根掘り葉掘り聞きたいようなタイプの男では無かったため、早苗の秘密は今も尚隠される。 早苗「さ! そんな詰まらない事よりも、私達のキックオフですよ! 色々語ってスッキリしたんだし、折角だから、この試合を最後まで楽しまないと!」 最後の最後まで自分の本心を隠し、明るく周囲を照らし続けようとする早苗の背中を見て、 ピエールはこうも付け足した。 ピエール「……仕方ないとは言え、彼女のような子を放っておくなんて。――ソリマチの奴は本当に罪な男だな」 その言葉の意図は、紳士的な観点からの感想なのか、あるいは反町に対する少年らしい嫉妬なのか。 ――それを知るのはピエールの本心のみだった。
[792]森崎名無しさん:2016/06/16(木) 18:07:56 ID:??? 実は真に孤独なのはアリスさんではなくピエールだった そしてアリスさんは>112におけるピエールの友情論が 実は自分自身すら騙しきれていないうわべだけのものであるとアリスさんは本能で感じ取った! だからアリスさんはピエールとは友達になれないと思ったんだよ! 結論!YAS!
[793]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/17(金) 00:42:06 ID:??? すみません、早苗さんパートの文章を考えていたら思いのほか長くなりそうなので、更新をお休みします。 >>792 ピエールの動機については当初から考えてましたが、>>112は実はそこまで考えず書いてました(汗) アリスさんとピエールは奇しくも対比的な感じになりましたね。
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0ch BBS 2007-01-24