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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】
[794]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/18(土) 01:37:19 ID:??? すみません、今日は更新をお休みします(汗)明日は更新したいです。
[795]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/20(月) 00:12:42 ID:dNkCd+7+ ――ピィイイイイイッ! 早苗「さあさ、試合はまだ最後の一秒まで分かりません! 行きますよ、皆!」 タタタタタッ……ババババッ! ナポレオン「――チイッ!(……ピエールの奴はすっかり戦意喪失気味だが、コイツは逆に生き生きとして来やがった!)」 実況「生徒会チームのキックオフと同時に、試合はいよいよロスタイム! 先程猛威を振るったピエール選手は足を休め、代わりに早苗選手が高いドリブル力で突き進みます!」 反町「早苗さん……最後に聞きたい。一体何故、ピエールに加担を……?」 静葉「――貴女の後ろには狡猾な神々が付いている。彼女達の差し金?」 早苗「違います。神奈子様達は確かに、目的の為ならば手段を選ばぬ所もありますが、 今回については無関係。『折角機会を得たサッカー留学だ、楽しんでおいで』以上には言われてません」 穣子「じゃあ、一体どうして……? 私達、一緒にご飯食べたり、遊んだりしたじゃん。トモダチじゃなかったの……?」 早苗「どうして? ……そんなの、決まってるじゃないですか」 実況「快速ドリブルでナポレオン選手を突破した早苗選手、次は反町選手と静葉選手、 そして穣子選手の三人と対峙し……」 早苗「(――中学時代からずっと、あなたに憧れてた。寡黙だけど紳士的なプレーを見せたあなたを。 ……そして、理想を挫かれても尚、自分の信念を貫こうとしたあなたを……!)」
[796]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/20(月) 00:13:58 ID:??? 〜回想シーン〜 ピィィィ…… 実況「……あ。ホイッスルが……鳴りました。後半23分、明和東のキックオフで試合さいか――」 日向「くたばれ、雑魚が!」 バギイイッ! グシャッ! 英武「ひでぶっ!?」 観客「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」「も、もうやめてくれーー!!」「+‘#$%’#!?」 「血が……臓物が……」「ハハハ、脳ミソってプリンみたいだよなァ、めっちゃ可愛ェ、ハハハ」 実況「……前半に小松選手から交代した英武選手、日向選手の強引なタックルにより吹き飛ばされました。 全身が奇妙な飴細工のように捩れていますが、試合続行です。これは政府のお達しが理由です。 ……あ! 日向選手の強引なドリブルに吹っ飛ばされた?仏選手が起き上がれません。 また背骨が折れでもしたのでしょうか。ですがこれはボール越しのプレーの為、反則ではありません」 反町「(……なんだ。なんだよ。この試合――いや。この文字通りの虐殺は……!)」 早苗(観客席)「外界最後の思い出にと、全国大会に来てみては良いものの……こりゃあ、非常識すぎますね」 ――早苗は幻想入りする前、東邦学園の試合を観戦していた。 地元の宿敵・鳴門中学をアッサリと下したチームがどこまで行くのか、純粋な興味があったからだ。 また、幻想入り直前にして、早苗の存在は現実において虚ろだったため、 こうして無銭で試合を観戦するのは容易だったのも理由としてあった。
[797]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/20(月) 00:15:16 ID:??? 早苗(観客席)「長野県最強GKの渡会君からアッサリゴールを決めちゃった、あの反町君って子も凄いと思ったけど。 ……こうしてみると、彼ですら全国では最優じゃないのね」 そして、彼女はこの時、狂気的な殺戮現場を前に小市民然とした反町に対し、幾許かの失望を抱いていたのも事実だった。 自分達を打倒したチームを圧倒した、全国有数のチームのエースストライカー。 そんな反町ですら、日向小次郎という圧倒的才能を前にしては単なる雑魚に過ぎない。 現に、反町が堅実に稼いでいた大会5ゴールの記録に、日向は僅か1試合で既に並んでいた。 多くの屍の山と共に、彼は全てを蹂躙していた。そして――。 日向「ククク……次は貴様だっ!」 阿部士「ひ、ひぃぃぃッ!?」 実況「……日向選手、阿部士選手もドリブルで突破に向かいます。 しかし阿部士選手は先程のプレーで全身を負傷しており、これ以上の続行は危険。 恐らく、もう一度あの直線的ドリブルを受ければ内臓破裂は必至でしょう。 ですがそうした些細な事情など気にせず、日向選手は減速せずに、ボール越しで突破へと向かいます!」 早苗(観客席)「(――これは死にますね、あの阿部士って人……。しかし、サッカーで人が死ぬなんて。 幻想郷だったら、こうした出来事が日常茶飯事になるのかしら……)」 早苗の推察は正しく、堀に代わって明和東のボランチを務める阿部士はこの時死を確信していた。 幾度も無く暴力的プレーを受け、身体はもはや動かない。 しかし、自分に代わる選手はもう居らず、反則のホイッスルが鳴らない以上、 仮に死んだとしても、自分は日向に向かわなければならない。 阿部士はボロボロの全身を辛うじて立たせ、日向に向かってタックルをしようとして――。
[798]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/20(月) 00:16:33 ID:??? 反町「(これ以上人が死ぬ所は見たくない。でも、日向に逆らって死にたくない。 だったら……俺にできる事は……)――くっ、頭がふらついて……」 グラッ……バターンッ! ……ドサッ。 阿部士「あべしっ!?」 ピィィィィィッ! 日向「――チッ。反町の馬鹿め。サッカーは格闘技だぞ。リング上で血が流れるのを見て倒れる奴がどこにいる」 実況「おっと、日向選手が阿部士選手を抜くと思いきや、反町選手の転倒によってホイッスルが鳴りました! これは反町選手の反則で、明和東にフリーキックが与えられた格好です!」 反町「(日向のボール越しの暴力行為が合法で、俺の転倒が反則を取られるのは少し理不尽な気がするけど……。 ――でも兎に角、これで少しは彼の寿命が延びたと思えば……)」 ――日向が人命までをも奪う事になる直前、反町はすんでの事で彼の命を救った。 偶然の立ちくらみが、安倍士を暴力の魔の手から助けだしていたのだ。 これには日向も機嫌悪そうに舌うちをしたが、流石に人名ともあると『後片付け』が大変だからか。 それとも、単なる気まぐれからか、それ以上の追及は無かった。 日向「……フン。どこかの馬鹿のせいで興が削がれた。おいタケシ、これから後は流すぞ」 沢田「ひゅ、ひゅいいいっ!? わ、分かりましたぁ!? ヒューガーバンザーイ!」 更にこれは思わぬ幸運だったが、反町の反則以降、興を削がれた様子の日向はこれ以上の暴行に走らなかった。 ……無論、無数のけが人が今なおフィールドで苦悶の声を上げている現実は変わらないが、 少なくとも反町の行為は、結果としてここにいる11名の生命を守ったのだ。
[799]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/20(月) 00:18:11 ID:??? 早苗(観客席)「(……今のって、もしかして。身を挺して彼の――阿部士君の命を救ったんじゃないかしら)」 そして、こうした反町のプレーに、早苗は興味を抱いていた。 早苗にとっては反町が、圧倒的な才能により、自分のこれまでの全てを否定され、 しかしそれにも関わらず、出来る限りの精一杯をやろうとしている風に映った。 早苗(観客席)「(私も、頑張らなくちゃ。自分達を倒したチームが全国の場でアッサリ敗北しようとも。 ……私の才能が足りず、神奈子様と諏訪子様をこの現実の地に留められなくても。 それでも、できる限りの事をしなくちゃいけない。それが、私の役目である以上は)」 その姿は、自分の才能が井の中の蛙である事を感じていた早苗にとって、勇気付けられる物だった。 例え真実が偶然であったとしても構わない。反町は間違い無く、人の命を救ったのだから。 早苗(観客席)「(……会える事は二度と無いだろうけど。反町君に会えたら、お礼を言わなくちゃいけませんね)」 ――試合は6−0で東邦学園が圧勝した。 この試合によって東京〜埼玉間に不仲が生じ、およそ8億もの経済損失が生じた事や、 ヒューガーが大手広告代理店やマスコミ、果ては政府を利用し、若き少年達への暴行をもみ消した事は、 これから日を待たずに幻想入りした早苗にとってはどうでも良かった。 ただ、華々しくも無いどころか反則を取られるような、そんなしょうもないプレーを通じて、 自分に勇気を与えてくれた少年に、一方的な感謝を伝えたかった。 そんな些細な未練を、早苗はこれまでずっと隠し持ち――。 ……早苗はいつしか、彼に対し、単なる感謝以上の恋慕を抱いている事に気付いてしまった。
[800]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/20(月) 00:23:35 ID:??? ……と、言った所で短いですが今日の更新はここまでにします。 (本当は18日土曜日中には更新したかったですが、外出や体調不良もあり更新できませんでした) 早苗さんの描写パートはもうちょっとだけさせて頂いて、その後試合終了+反町の章エンディングイベントをやって、 来週頃を目標に、久しぶりの鈴仙パートに戻る予定でいますが、案の条予定は未定です(汗) 本日もお疲れ様でした。
[801]森崎名無しさん:2016/06/20(月) 00:32:59 ID:??? 乙なのです! 反町君は爆発し……いや、それ以外の不幸度考えればこれくらい報われてても釣り合い取れるのか?
[802]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/21(火) 00:32:48 ID:??? 〜回想シーン終了〜 早苗「(……だけど、私は伝えられなかった。反町君への想いを伝える事が、迷惑だと思った。 なぜって、私が彼を知った頃にはもう、彼の傍には二人の想い人が居たから……)」 反町「早苗、さん……?」 実況「……早苗選手、ドリブルで突破かと思いきや、周囲を取り囲む反町選手と秋姉妹の二人の間合いを意識し動かない。 動的なプレーを好む彼女らしからぬ慎重さです!」 早苗「(……反町君が穣子さん達と支え合い、言いたい事をハッキリと言える少年に成長する姿を、 私はその傍で無関係らしく見守る事しかして来なかった。 何時の間にか、言いたい事を言えないのは反町君じゃなくて、私だけになっていた。 ……私の中には、自分自身へのもどかしさと。それだけじゃない、穣子さん達への嫉妬の感情も生まれた。 そしていつしか私は――反町君に勝つ事で、彼を乗り越えたいと思うようになっていた。 滑稽な程に一方通行な関係。だけどそんな滑稽な想いが、私がここまでサッカーをやって来れた理由の一つでもある。 だから……)私は、貴方に勝つ!」 タッ、バッ! シュンッ! ククッ、スパァッ! 反町「(……凄いキレのドリブルだ! こんな実力で、長野県大会レベルに埋もれていたのか!? ――俺には彼女がどうしてこんなに強いのかが、分からない……!)」 静葉「早苗お得意の五段ステップフェイント――『グレイソーマタージ』ね! 『オータムスカイラブタックル』で行けば、奪えたかもしれないけれど……」 穣子「無理だったよ、お姉ちゃん。私達の体力もそろそろきつくなってるし……」 実況「早苗選手、試合も終盤にも関わらず、相変わらずの素晴らしい技巧派ドリブルで中盤を突破します!」
[803]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/21(火) 00:33:56 ID:??? アリス「まだよ! 私はあんたみたいな『リアルが充実している人』なんかに負けない!」 ダッ! 早苗「貴女に私のリアルの何が分かるんですかっ!」 バシュンッ! シュパッ! アリス「『リアルが充実している人』には勝てなかったよ……」 実況「早苗選手、この試合大活躍のアリス選手をも突破しゴール前へ! 既に疲労困憊の美鈴選手を差し置いて、カイエ選手から高いセンタリングを貰い……!」 早苗「……決まれぇぇぇーーーっ!」 ――バッ、シィィィ……ン! バギュウウウウウウウウウウウッルルルルルルルルルルッ! ルスト「な……!? こ、これは……!」 ブラボー「『ドライブシュート』だ。『ドライブシュート』を……オーバーヘッドの体勢で撃っているぞ!」 ドゴール「『ドライブオーバーヘッド』! いや……彼女風に言えば、『ドライブサマーソルト』、と言った所か!」 早苗「(思えば私は、普段は明るく自由であろうとしているけれど。 その裏では色んな人に対して劣等感を抱いてた。 中学時代のライバルチームのキャプテンだったり、反町君だったり、霊夢さんだったり、 静葉さんや穣子さんだったり、ピエール君だったり……。でも、そうやって辛いと思って。 それでも上を目指そうと思い続けたからこそ、この技が出来た! この技で、もう一度振り出しに戻すんだ!)」
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0ch BBS 2007-01-24