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屁理屈推理合戦withキャプ森
[102]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/02(月) 23:40:33 ID:4yGz+HWo ワルギリア「……森崎くん。今更ですが。――魔女が頑なに赤で使用していない単語がある事に、気付いていますか?」 森崎「え?」 ワルギリア「赤字を見て下さい。……どうですか。これまで一度も『殺害』と言う単語が、出て来ていません。 復唱要求にすら応じていません。これが何を意味しているか、森崎くんはどう思いますか?」 森崎「……犯人は少なくとも、翼を閉じ込めたかもしれないが。毒を撒くとか、トラップを仕掛けるとか。 そう言った能動的な行為はしていない、って事か?」 ワルギリア「もちろん、閉じ込める行為も間接的な殺害、という意味では条件を満たしているかもしれません。 ただ一つ言えるのは、翼くんの死因は、殺害と言えるかどうか微妙なものである可能性がある、という事です。 フェアプレーを期すべく、魔女は意識して『殺害』という単語を使わなかった、いえ、使えなかったのではないでしょうか」 森崎「だから、殺害から程遠い、発狂死説や病死説を受けて焦ったって事か? でも、発狂死では無いそうだぜ。 病死……に、ついては怪しいが、少なくとも翼には持病が無かったらしいから、何の理由もなく病死するのはおかしいし……。 一体どうやったら、何の理由もなく突然病気になったりするんだ? 周囲に細菌もウイルスも無ければ、医薬品の投与も無い。病気になりようがないだろう」 ワルギリア「……いいえ。私には後ひとつだけ。翼君が体育用具室に入ってから死亡する明確な理由が思い浮かびますよ。 それも他者やウイルスによる介入も受けずに」 森崎「だーかーらー! それが思いつかないんだっての! だって、翼が死にそうな要因は悉く赤で切られてるんだぜ? 餓死や脱水症状ですら、水や食料があったって言われてるし。どんなだよ、食料の供給が充分な用具室って!」 ワルギリア「そうですね。……では逆に聞きますが。翼くんは今の状況下では不老不死。不死身だと。そう思いますか? 翼くんが死に得る、あらゆる条件は赤字により排除されているようですが」 森崎「いや、それはそれでおかしいだろ。不死身だなんて……人間はいつか必ず死ぬんだぜ? ――って、ん?」
[103]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/02(月) 23:43:22 ID:4yGz+HWo 森崎はここで気づいた。餓死・ショック死・脱水死・毒死。翼はあらゆる死亡の可能性を否定されている。 他者や動物による殺害はおろか、ウイルス・細菌類による死亡すら、魔女は否定している。 にも拘わらず、【翼は死亡している】。これまで森崎はその謎が解けずに悪戦苦闘していたが――。 どうやら、自分は一番基本的かつ重大な死亡の理由を見落としていた。 森崎「……なあ。ベアトリーチェ。基本的な事を聞かせて貰うぜ」 ベアトリーチェ「何だ? 言ってみるが良い」 森崎「――翼が体育用具室に入ってから、死体が発見されるまで。 ……そこには一体、どの位のタイムラグがあったんだ? 一日か、三日か?」 ベアトリーチェ「……! あ、ぐ……!!」 森崎が抱いた疑問に対し、ベアトリーチェは苦しそうに呻く事でしか答える事が出来ない。 その時点で、彼女のゲーム盤。そのハラワタは潰されかけていると白状するも同然だった。 森崎「翼が死ぬまで、充分な水や食料が供給されていた……。 これを聞くと、水や食料なんて精々三日か四日位だとしか思えねえよな? だって、体育用具室だぜ? まさか、数年……いや、数十年分の食料や水があるだなんて。普通の奴は考えない。 というかそもそも、人が何年も何十年も、体育用具室に閉じ込められるワケが無い。 ――お前は、その思い込みを利用したんだな。 俺も騙されたぜ。赤で切られない限りは、どんなトンデモな可能性もあり得るって散々言われたのによ」 ベアトリーチェ「……やるなら、一思いにやれ。妾はしつこい男は嫌いだ」
[104]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/02(月) 23:45:26 ID:4yGz+HWo 森崎「なら、お望み通りにしてやるぜ。受け取りなベアトリーチェッ! 『翼は自然死であり、鍵をかけたのは翼自身。今回、ベアトリーチェはそれを利用したに過ぎない』!」 カッ! ドーーーーーーーーーーーーーーーンッ! ベアトリーチェ「……! 妾の、負けだ……!!」 森崎が最後に紡いだ特大の青の槍は、ベアトリーチェの心臓を貫いた。 魔女は最後に清々しい表情すら見せながら、森崎に対し敗北を表明する。 森崎「あばよ。クソッタレ魔女。翼や若林に負けないレベルにウザかったが。 ……ほんの少しは、お前の事を悔いてやるぜ」 ベアトリーチェ「く、くくくっ……! 妾もだ、モロサキ、いや森崎有三よ……! 今にみておれ。次のゲーム盤では、必ず、妾が……くうっ!」 そして、森崎の振り向きざまに――魔女が作り出した儚くも哀れな幻想は、 金色の光を放ちながら立ち所に雲散霧消し、空の彼方へと消えていった。
[105]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/02(月) 23:48:22 ID:4yGz+HWo ************************************** 【とある哀れな老人の手記】 「一体、どうしてこんな事に……」 私は何度目かも分からぬ言葉を呟いた。 「私は……死にたくない。まだ何も成し得ていないのに……」 ――あれは恐らく、70年程前の事だろうか。 私はサッカーボールを取りに体育用具室に入ったところ、事故により鍵がかかってしまった。 最初は些事と思い、何とか出られる方法を探していたが、具合が悪く、どうしても出る事が出来ない。 助けを待てども、一向に助けは現れなかった。 海運会社の父親が乗った船が難破した事など、私には知りようがなかったし、 浮気相手と再スタートを切りたい母親としては、私は行方不明で失踪した、とした方が都合が良かったのだろう。 「私はプロになって……日本をワールドカップに……」 それが私の夢だった事は、痴呆が激しくなった今も辛うじて覚えている。 もっとも、寝たきりとなって動く事すらままならない今の私にとっては、途方もない夢ではあるが。 ……そして、この悪夢のような現実も、そろそろ終わりの時が来たようだ。 「もり……さき……」 ――殆どが体育用具室で過ごした、長いようで短い人生の走馬燈が走る。 そんな時に、何故その単語が浮かんだのかは、私にもよく分からない。 ただ分かったのは。果たせぬ夢を抱いたままであっても、永遠の眠りは等しく穏やかで安らかであるという、 たった一つの真実のみだった。 **************************************
[106]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/03(火) 00:04:30 ID:IB1rcuRM 『翼の死因は老衰死。体育用具室が何らかの理由Xにより封鎖された状態が数十年続き、翼は寿命を迎えた』 ……と、言うのが今回の謎の真相でした。と、言ったところで今日の更新はここまでにします。 次回にちょっとした締めを書いて、とりあえず問題第一号は完結としたいと思います。 すみません、第一号にしては正答の発想がレベル高すぎたかもしれません(汗) ただ、屁理屈推理合戦ではこうした『現実的に考えてありえない!』という発想が正解である事が、 往々にしてあり得ます。(今回の死因についても、これまで出した赤字には抵触していないと思います。) 参加して下さった皆さんは本当にありがとうございました。 個人的には、初見でも比較的参加しやすい、謎が思い浮かべば割と簡単にGMが出来る、決着が数日で付く、 キャプ森キャラの新しい掘り下げが出来る、(ついでに、これまであまり無かった「ひぐらし」「うみねこ」キャラとのクロスが容易) …と言った面から、 森崎板での新しい読者参加型ゲームとして、キャプ森キャラを使った屁理屈推理合戦は面白いのでは?と思っています。 参加して頂いた方やROMして頂いた方につきましては、ゲームの感想や今後の改善点等について、 色々とコメントをして頂ければ嬉しいです。 もしも好評意見があり、次回も参加したいという方が居りましたら、第2回ゲームもやりたいと思っています。 (その時は難易度を下げます(汗)) また、私以外の方も、このスレを自由に使えるようにしたいと思っていますので、 もしもGMをやってみたい、という方がおりましたら気軽にコメントして頂ければ幸いです。 新しい試みに参加・応援して頂いた皆さまには、本当にお疲れ様&ありがとうございました。
[107]森崎名無しさん:2017/01/03(火) 00:12:19 ID:??? 乙でしたー まさか数十年経過してたとは……赤だけがゲーム上は絶対だってことを忘れてて、すっかり冒頭の文章の固定観念に囚われてしまった…… やはり常識に囚われてはいけないんですね!(風祝並感)
[108]森崎名無しさん:2017/01/03(火) 00:24:46 ID:??? 乙です 私も常識にとらわれていた……なんとか当てることできたけどあくまで消去法だった
[109]森崎名無しさん:2017/01/03(火) 15:05:09 ID:??? 楽しかったですよー! 乙でした!
[110]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/03(火) 22:21:52 ID:IB1rcuRM >>107 乙ありがとうございます。 そうですね、冒頭に森崎が翼の死体を発見するシーンは、 中学時代にベアトリーチェを召喚した直後に発生したとは限らないです。 >>8までは中学時代の話で、>>9からは70年後の世界の話として読んでも辻褄は合うと思います。 突拍子も無い発想が正解に繋がり得る、と言うのが分かって頂ければ幸いです。 >>108 乙ありがとうございます。 最終的には雁字搦めに制限された赤字を潜り得る青字(仮説)を探す、 というのがこのゲームの肝なので、消去法も全然良いと思います。 ただ今回は、死因にしても種類が多すぎるので大変だったかもですね…。 >>109 乙ありがとうございます。 普段のサッカーゲームとは違う面白さを提供できたなら幸いです。 ところで今更になりますが、私のゲーム盤において登場する「うみねこ」キャラ (ベアトリーチェ、ワルギリア)及び、魔法の設定の詳細については、原作に準拠しておりません。 私のオリジナルです。基本的なキャラの性格や立ち位置は原作を参考にしていますが、イコールではありません。 その点につきましては、ご了承いただきますようお願いします。
[111]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/03(火) 22:23:42 ID:IB1rcuRM 森崎「これで……終わったんだな」 ワルギリア「ええ。無限の魔女・ベアトリーチェは貴方が提出した青字に対してリザインを宣言。 それにより、あの子がかけた魔法が否定されました。 じきに遡って、貴方の大切なご友人――大空翼くんも、息を吹き返すでしょう。 これまでの争いなど、何も無かったかのように」 ベアトリーチェの消滅を見守ったのち、森崎は残された魔女――ワルギリアに問いかける。 彼女は淑女然とした佇まいを崩さず、小さくコクリと頷いた。 森崎「聞かせてくれないか。お前は……お前達は、一体何者なんだ? お前は、さっきのベアトリーチェと知り合いのようだったが」 ワルギリア「ええ……そうですね。時間が無いのでかいつまんでにはなりますが、 お話しましょう。私と、あの子の事について――」 ワルギリアはそれから、森崎に自分とベアトリーチェの正体について話してくれた。 ベアトリーチェは元々、ワルギリアが魔術師として仕えた旧家の子女であったこと。 『ベアトリーチェ』の名前は本来、ワルギリアが冠していたものだったが、 彼女――今のベアトリーチェが卓越した魔法の才能を見せた為に、その名を継承させたこと。 しかしその後、ベアトリーチェは自身の余りの魔法の才能に溺れ。 果てには人を殺し傷つける事を愉しむ、黒き魔法に魅入られてしまったこと。 ワルギリア「……あの子は、自分が元居た世界だけでは飽き足らず、 あらゆる世界を渡り歩いては、黒き魔法で人を苦しめるようになりました。 しかしそれは、師たる私が未熟であるが故に、あの子の増長を止められなかった事が発端。 だから私もまた、こうして世界を渡り歩いては、魔女と戦う者達に知恵と力を与えているのです。 それが今の私にできる、せめてもの罪滅ぼし――」
[112]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/03(火) 22:25:37 ID:IB1rcuRM スッ……。 そこまで話を聞いて、森崎はワルギリアの身体が透けている事に気付く。 森崎「それで、悪の魔女が消えたら、正義の魔女サマも退散、ってか?」 ワルギリア「ほっほっほ。私は正義ではありませんよ。同様に、あの子もまた純粋な悪では……。 ――ですが、それについて、今の私には語る時間も権限もありません。 さあ、森崎くん。消えゆく魔女幻想は忘れておしまいなさい。 そして、真実に存在するご友人を大切にするのですよ」 フワァァァッ……! ――ワルギリアはその言葉を最後に消えた。 魔女ベアトリーチェを存在せしむ魔法力が否定された以上、 同じ魔女である彼女もまた、その存在が否定されるのも必然だった。 森崎「だ、誰があんなヤツを大切にするかよ!」 森崎はそう言いながらも、内心では翼の安否が気になって仕方なかった。 だから、ワルギリアとの別れを惜しむ間も無く、彼は体育用具室へと走っていき――。 鍵のかかっていないドアをガタリと開ける。……そこに、彼は『生きていた』。 森崎「つ、翼ァ!」 翼「……どうしたんだよ。森崎、いきなりそんな気持ち悪い声を上げて」 相変わらずの生意気な声に、今にも殴りたい衝動が走る。 しかし、それはまさしく翼が生きていなければ、決して生じえない感情だった。 魔女との争いを通じて、そうした怒りや憎しみの感情すらもが大切である事を知った森崎だが、 ……しかし、それを正直にぶちまけるのはとても恥ずかしい。
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0ch BBS 2007-01-24