※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
屁理屈推理合戦withキャプ森
[236]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:47:45 ID:??? >>235 乙ありがとうございます。分かり易ければ幸いです。 そうですね、私もそう考えています。>「そんな細かいところ突っつかなくていいから」 ただ、中には定義の穴を利用した問題(脱出不能な隠し扉とか)もあるので、信じすぎても問題かもしれません。 第三のゲーム盤について、準備が出来ましたので投下したいと思います。 取りあえずNPCパートだけ投下しておいて、開始は明日以降人がいる時間にしようと思います。 (私以外にやりたい人がもしいたら、スレを押さえてしまっててすみませんが…)
[237]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:55:35 ID:??? 屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』 Episode 3 Revenge of the golden witch 〜黄金の魔女の雪辱〜 おはようございます。 黄金の魔女はあなた方のご活躍に大変驚いております。 魔女も是非雪辱を晴らしたいと意気込んでおられます。 とはいえ、これはあくまでも楽しいゲーム。そう、ゲームの世界の出来事なのです。 そのため、肩肘張らずにお付き合いして頂ければ幸いです。 難易度は王道。 王道の謎には王道の推理、王道の展開、そして王道の真相がつきもの。 どのような真相が待ち受けていようとも、決して諦めない事もまた王道かと思われます。
[238]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:58:08 ID:??? 森崎「弘法は筆を選ばず、なんて死語だよな。良い選手には良い道具が必要なんだ」 全国中学校サッカー大会を終えた森崎は、Jr.ユースの合宿が始まるまでの束の間の休日を楽しんでいた。 森崎「……優勝したはいいが、大会MVPは翼のクソヤローに取られちまったしな。 合宿を迎えるまでに、少しでも出来る事はやっておかなくちゃな」 今日の予定はショッピング。しかし森崎は当然、ただ遊び呆けるつもりは毛頭ない。 日本国内だけではなく、世界中に森崎有三の名を知らしめる第一歩として、 次のJr.ユース大会のキャプテン就任、そして優勝は必要不可欠。 そして、その為にはまずは自分自身の実力とコンディションを高めておく必要がある。 フワァァァッ…… ベアト「森崎、こんな所で会うとは偶然だなァオイ? こうもなったら妾が作ったゲーム盤で一勝負……」 森崎「……………」 森崎は暇な時間などない。仮に、スポーツ用品店を目指す道中に金色の蝶が羽ばたいても、 その蝶から現代日本には似つかわしくない豪奢なドレスを来た金髪の女が現れても、 そいつが馴れ馴れしく遊ばないかと誘って来たとしても、構っている暇など存在しないのだ。
[239]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:00:42 ID:??? ベアト「おーい、相手してくれよォ。こないだの事なら謝るからさぁ……」 森崎「……………」 ベアト「……むぅ。こうなっては仕方あるまい。先にそなたの家に潜り込んでご両親にでも挨拶しておくか」 森崎「おいやめろ。話をややこしくするな」 と、言いつつこうやって理由を付けて構っているあたり、森崎も根はお人好しなのかもしれない。 以前ひょんな事で知り合ってしまった、黄金と無限の魔女・ベアトリーチェ。 傲然と煙管を吸う彼女に対し森崎は思いっきり舌打ちしながら睨み付けた。 ベアト「まぁまぁ。どうせ、【そなたは今日、これからスポーツショップに行ってグローブを新調する以外、 特段の予定がない】のであろう? 妾は何でも知っておるぞ! なにせ妾は『読心の魔法を使い、そなたの思考を読み取った』のだからなァ! くっくっく!」 森崎「……何が魔法だ。『この通りにはスポーツ用品店以外、俺が好みそうな店はない。 そして、中学大会の日向のシュートのせいで、俺のグローブは痛んでいる』から、 推理してそんな事言ってるだけだろう。それが魔法なら、ポーやドイル、 クリスティやエラリーは大魔術師だぜ」 ベアト「ほう! そなたのような無学な輩にも天界大法院の上席審問官の名が轟いているとは。 妾も以前は、SSVDのご厄介になったものだ、懐かしい」 森崎「(何言ってるんだ、こいつ……)」
[240]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:04:08 ID:??? 森崎が幾ら面倒そうな素振りを見せても、この魔女はマイペースを崩さない。 とはいえ無視するともっと面倒なのは明らかなため、森崎は諦める事にした。 森崎「……どうしたらここから失せてくれるんだ? 世界のてっぺんを目指す俺にはな、お前なんかとじゃれ合ってるヒマは無いんだっての」 だからせめて、森崎は少しでも時間の浪費を最小限にするべく、単刀直入に要件を聞くのだが。 ベアト「くっくくく……! そなたがそう言う位、妾とて推理……じゃなかった。 地獄の魔女・サトリーヌ卿から学んだ『心を読む魔法』で予知済みよ!」 が。どうもこれがまた、ベアトの思い通りの返しだったらしい。したり顔で笑っている。 ベアト「だから妾は、そなたにゲームを挑むとともに……『ご褒美』を用意している。 そなたの覇道を手助けする事間違いナシの『魔女のマジックアイテム』をな」 するとベアトの掌から蝶が一匹生まれ、それはみるみるうちに姿を変える。 姿を変えて現れたのは――小さく黄金の蝶の刺繍がなされた、上質なグローブだった。 森崎「……! お、お前。これ幾らで……」 ベアト「魔女に金策の心配とは愚かな。妾は無限の黄金すら生み出せる大魔女ぞ。 この程度のグローブなど、使用人の支給品にするにも憚られるわ」 『良い選手には良い道具が必要』と主張し、サッカー用具の質には一家言ある森崎が見ても、 そのグローブは素材、製法、性能からして良質だった。 恐らく、これから行こうと思っていたサッカー用品店では売っていない――売っていたとしても、 到底今の森崎の小遣いでは買えるレベルで無い代物である事は間違いなかった。 森崎の目の色が変わった事を確認してから、ベアトは頷いてこう続けた。
[241]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:05:34 ID:??? ベアト「妾はそなたに挑戦するため、一つのゲーム盤を用意した。 もしもこのゲームで、そなたが妾に勝つ事ができれば、このグローブをそなたに贈ろう」 森崎「グローブは良いが、また人を殺すのかよ」 ベアト「なあに! 妾としても、これは自らの存在の為のゲームでは無い。 純粋に、そなたと妾との知恵比べ。魔女と人間との勝負が楽しみたいだけよ! 故に、【このゲーム盤の内容はフィクションであり、現実の人物・地名・事件と一切関係しない】事を、 この【赤き真実】にて誓約しようではないか!」 森崎「現実では無い。これはゲームだ。賞品もある。……だから、勝負に応じろと言う訳だな。 ケッ、相変わらずズルい奴だぜ。俺が断る理由を丁寧に潰して来てやがる」 ベアト「ほう。それは勝負を受ける……と言う意思表示で良いか?」 森崎「別に良いさ。どうせ帰っても家で基礎トレーニングをやって、漫画でも読んで寝るだけだ。 だったら、基礎トレーニングの前に漫画みたいな奴とゲームしたって一緒だからな。それに――」 ベアト「それに?」 ……ベアトリーチェは高貴なる魔女らしいが面倒なヤツだ。それは間違いない。 しかし、森崎は内心ではこうも思っていた。この魔女は面倒だが、この魔女との勝負は悪くない。 それは、かつて翼を殺しかけた相手に向かって思うには、あまりに不謹慎な感想なのかもしれない。 だからこそ、森崎はこれまでもずっと魔女を軽くあしらい続けていたが――一方で、 ソリマチ卿との戦いを入れれば3度目となるこのゲームに対しては、興味を抱いている事には間違いなかった。 森崎「――俺は勝つのが大好きなんだ。それはサッカーだろうが、魔女のゲームだろうが一緒だ。 だったら勝ってやるよ。……もうお前が二度と俺に勝負なんて挑みたくなくなる位完璧になァ!!」
[242]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:07:10 ID:??? なぜなら、森崎は結局のところ、純粋なまでの勝利主義者。 翼がどうとか、ソリマチ卿の野望がどうとかは勝負に挑む為の外形的な理由作りにしか過ぎない。 森崎は本心では――あの『魔女のゲーム』に挑み、そして勝利する事を心待ちにしていたのだ。 ベアト「……くーーーひゃっひゃっひゃひゃっひゃァァアッ!! よくぞ受け入れたな森崎ィ!! それでこそ妾が倒すに相応しい相手よ!」 そしてベアトは、そんな森崎の闘争本能を知っていて、今ここにそれを引きずりだせた事に対し喜ぶ。 同時に、彼が自分の見込み通りの好敵手である事を再認識する。 魔女幻想を認めさせ、人間を屈服させたいベアトリーチェ。相手が誰であろうとも、決して屈服しない森崎。 人命や世界の命運は関係せず、賭け合うのは互いのプライドのみ。 それにも関わらず、これまでで最も熾烈を極める魔女と人間の争いが、今ここに始まろうとしていた――。
[243]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:08:57 ID:??? ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 【地獄の悪魔の復讐】 航海を生業とする北欧の一民族の言葉に、「フラーノ」という言葉がある。 これは彼らの言葉で「地獄」を意味し、東の果てにある大きな島の、その中央に位置すると言われていた。 彼らの中には、本当に「地獄」が存在するのかと疑い、実際にこの眼で確かめたがる者も多く居た。 その者達は好奇心から、伝承の地への航海を試み――そして、実際に辿り着いた者すらも居た。 だが、その地から戻って来た者の全ては人格が変わり果て。そして、口を揃えてこう言ったのだ。 「良いよなァ……お前は。どぉせ俺なんか……」 ――部族における協議の結果、彼らは地獄(フラーノ)にて悪魔に憑依されたとし、全員が処刑された。 そして、誰もがフラーノへと近づく事を固く禁じられた。 かの部族が滅んでから数百年の時が流れ、かつて地獄とされたフラーノの地にも開拓民の手が入り、 今では「ふらの」と呼ばれる美しき土地として、多くの人間が住み着くようになった。 しかし、地獄の悪魔はまだこの地に潜んでおり、闇より現れ人間を蹴り殺していると、一部の民俗学者は主張する。 その悪魔は、かつて滅んだ民族が使った言葉に準じて、今でも住民の間でこう呼ばれている。 「ヤグ=ルマ」 ――と。
[244]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:10:19 ID:??? *** ――暗い暗い空間の中で、松山はひたすらに泣き叫んでいた。 「あにきぃ……あにきぃ……助けてよぉ……」 とある事件をきっかけに、ふらの中のサッカー部員はこぞって自分を虐めるようになった。 陰湿な嫌がらせが始まった時は、彼らを全く疑っていなかった。 しかし、それは少しずつエスカレートしていって、やがては決定的な事件が起き。 それでも、まだ仲間を信じたいという想いが残っていて……。 ――そう考えている内に、自分はここに閉じ込められたのだった。 「あにきぃ……痛いよぉ……」 ……結局は自分が悪いのかもしれない。だけどそれ以上に、仲間に裏切られたという想いが、 仲間を信じていただけに強く、重く、自分の心を蝕んでいた。 暗闇に支配された体育用具室の中で、松山は無力に泣き続ける事しかできなかった。 「光を掴もうと思っても、……結局はこうなんだ。痛いしっぺ返しを食らうだけなんだ……」 内心は絶望に覆われていた。光を目指して前に進んでいた筈の自分の人生は、もう無い。 あるのはただただ辛い現実と、真っ暗闇の無間地獄だけだった。
[245]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:11:47 ID:??? それでも、松山は一度だけ泣くのを止めて、口元を歪めてみせた。 ……笑うって、どうやるんだっけ。彼はそれすらも判らない様子だった。 だが――結果として、この行為は彼にとって致命的だった。 何故なら、伝承において悪魔は、人間の笑い声を聞いて現れるとされていたからだ。 「……今、……笑ったか? ……俺の事を……笑ったか?」 松山は無意識的な笑顔を止めて、顔を強張らせる。 ……他には誰もいない筈の体育用具室。その暗闇が人間の形を取っていた。 背の高い、やさぐれた様子の『悪魔』は、落ちくぼんだ瞳で松山の事を見つめている。 「……笑うな。……笑うな。……笑うな笑うな笑うなワラウナワラウナァアァァァ!!」 ――松山の笑いがきっかけとなり、悪魔はその怒りを剥きだしにした。 人間の形をとったシルエットが更に膨れ上がり、飛蝗と人間を掛け合わせた怪物となって、 松山の背丈の倍近くの跳躍を見せて襲い掛かる。 ドガン。ドガン。ドガンドガンドガンドガン。 飛蝗を象った悪魔は、跳ね回って何度も松山の頭を叩き付けた。 まるで特撮映画のワンシーンのように悪魔は飛び回り、その頭蓋を叩き割る。 その跳躍が何回か続いたところで――彼はもう、動かなくなっていた。 「あにきぃ。あにきぃ……ごめんなさいぃぃ……」
[246]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:13:30 ID:??? 「良いよなァ……お前は。どぉせ俺なんか……」 血塗れとなった松山の死体を見下ろす形で、 悪魔は伝承通りの言葉を呟きながら、暗闇の中、佇んでいる。 この暗闇を破ったのは松山の絶命から数分後の事だった。 「おい、さっきの音は一体どうした――って」 「えっ……!? あ、あれは……」 体育用具室に松山を閉じこめていたふらの中サッカー部員の数名――小田と加藤が、 先程の騒ぎを聞いてその扉を開け放った。 そして、彼らはその目で見てしまったのだ。――かつての伝承にあった、地獄の悪魔を。 「マブシインダヨ……オマエハ……!!」 悪魔は怨嗟の声と共に、次の標的に向かって襲い掛かる。 小田はその時漸く自分達の行為の愚かさを知ったが、時は既に遅かった。 彼は死の間際、薄れいく意識の中で自分を殺した伝承上の悪魔の名前を呼んだ。 「ヤグ=ルマ……!」 ――ふらの中サッカー部は全員死亡。 新聞各社はこれを、「地獄の悪魔ヤグ=ルマによる所業」として大体的に報じた。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24