※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
屁理屈推理合戦withキャプ森
[483]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:41:47 ID:??? ジェンティーレ「だったら、早速後で試してみようぜ。お前達の蹴鞠と、俺達のカルチョ。 どっちが本物で、どっちが馬鹿の勘違いなのかをな?」 森崎「(このジェンティーレって奴は直情型で、大分プライドも高いみたいだな。 ……こういうヤツ向けの挑発セリフ、また考えとこうっと)」 ランピオン「よせよジェンティーレ。……やるなら、お前達だけじゃない。全員でだ」 森崎「(ランピオンも優等生ぶってるが、本性の短気な性格が隠せてねぇ。 こういう中途半端な奴が、後々大事な大試合で一発レッドでも食らって退場するんだよな)」 ヘルナンデス「面白いスピーチを有難う。後でまた聞かせてくれ。……できれば、こうした公的な場以外でな」 森崎「(で、こいつがキャプテンのジノ・ヘルナンデスか……。実力はジェンティーレに劣りそうだが、 その分キャプテンシーとメンタルに優れているタイプだな。ちょっとだけ厄介そうだ)」 見上「(挨拶の時点で情報戦は始まっている、か。 やりたい事は分かるが、どうしてお前はそう、我々を安心させてくれないんだ……)」 冷や汗を隠しきれない見上が見守る中、森崎は早速に新たな難敵への対処法を考察している。 しかし状況判断力としては見上の方が正確で、プライドを傷つけられたアズーリの戦士達は、 早速極東からの来客の実力を判断し、……そして必要無ければ嘲り笑い切り捨てようと考え始めていた。 ジェンティーレ「さあ、早速実戦練習とでも行こうじゃないか? ホテルの横には広い平地があるから、 ここで試合をする事も出来なくはない。あれだけのビッグマウスに相応しい実力を見せてくれよ?」 早速ジェンティーレが、穏健派のヘルナンデスの指示も聞かずに森崎に喧嘩を買いに行った、その時だった。 ――カッ! ドオオオオオオオオオオオオオオンッ! ……ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ…………! 辺りが光り、そして風が吹き始めた。
[484]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:42:54 ID:??? 支配人「失礼いたします。……どうやら、突然の吹雪に見舞われたようです。 恐らくはこれより明日の朝まで、下界の街へ戻る事は出来なくなりそうです」 神出鬼没の支配人がノックして報告せずとも、辛うじてガラス張りだった窓を見れば、一目瞭然だった。 このホテルはロの字型に造られており、客室や会議室はロの字の内側に面している。 よって、森崎達は既に会議室の窓からロの字の内側――即ち、ホテルの中庭を見ていたのだが。 ビュオオオオオオオ……ッ! ゴオオオオオオ……ッ! 翼「……雪、だね。それも、猛烈な猛吹雪だ」 若林「確かここは、モンテ・ローザの標高3800メートル地点に立っているんだったか。 富士山の頂上よりも高い場所にあれば、夏場でも吹雪があってもおかしくない……」 早田「って、いやいや! なんでやねん!? 俺達一応、サッカーの合宿に来てたんだろ!? 一体どの世界に、こんな山奥の山荘でサッカー合宿をするバカが居るんだよ……!?」 松山「なんだと!? 早田お前、俺が2年の時に企画したふらの中サッカー部冬合宿をバカにする気か!? 網走の強烈な地吹雪にも負けずに走り続けた、俺だけじゃない、小田や加藤も……皆の想いまで、 お前は否定するって言うのかよ!?」 ――謎な激昂をする松山を邪険に扱いながら、森崎もひょいと窓から中庭を見ると、 その一面はすでに銀色に覆われていた。これを見て、森崎はますます疑念を募らせる。
[485]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:46:11 ID:??? 森崎「おかしいぜ……」 次藤「まっこと、おかし過ぎるタイ。イタリア人は皆、松山みたいな奴らばっかりなのタイ? そんな訳あるまい。ワシらが巻き込まれた理由はさて置いて、ヤツらはなぜ不平も言わんタイ?」 そして、森崎の疑念に真っ先について来たのは、その体躯に見合わず理知的な次藤だった。 森崎「ああ。見上さんに聞いたが、イタリアJr.ユースの連中が来たのは今日の午前。 ――つまり、俺達の到着とさして時間的な差はない。にも拘わらず、あいつらは不平も言わず、 むしろ雪が降っても好都合と言わんばかりに無反応だ。 さっきまで、俺達との練習試合まで申し出て来たような奴らが、だぜ? 要するに、あいつ等は、自らこんなクソみたいな場所で合宿する事を望んでいるんだ。……どういう訳か、な」 次藤「他にもずっと不思議に思っちょる事がある。玄関口で遭ったストラットタイ。 ワシは最初てっきり、ヤツは問題児で勝手に行動していると思っとったが、 ……誰しもヤツについて、何も語りたがろうとせん。まるで、最初からここに居ないかのように……タイ」 お前はタイを語尾に付けないと死んでしまうのか、というツッコミは避けつつ、 森崎は再び思索に暮れていた。古めかしい雪の山荘。不自然なイタリアJr.ユース。 そして、玄関口で顔を合わせたきり、吹雪が吹いても戻らぬイタリア人の少年・ストラット。 謎を孕んだサッカー合宿は、やがて……『魔女』の手に完全に堕ちる。 愛憎の魔女ミアータ・ベアトリーチェ「ウフフ……みぃつけた、ストラット」 雪の降りしきるホテルの中庭。小学校の校庭程の広さを持つその中に、ポツリと佇む『離れの祠』。 その祠の小さな丸屋根の辺りで、金色の蝶が一匹、フワリと舞った。
[486]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:48:01 ID:??? ……と、言ったところで一旦ここまでです。 ゲームの開始時刻ですが、もう少し更新して、本日の午後22時00分頃を予定しています。 (可能であれば、前倒しで開催したいです。)
[487]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:52:47 ID:??? すみません、ちょっと遅くなりそうですが、ゲームを初めていきます。 まずは前提となる幻想描写と、その前置きの展開を投下していきます。 (文章を読みたくない人は、幻想描写だけ見て頂ければ結構です)
[488]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:54:26 ID:??? +++++++++++++++++++++++++++++++++++ 【愛が無ければ死ねない】 ストラット「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!!」 ストラットはひたすらに逃げ出していた。 雪の積もった山奥を、遭難の危険すら厭わずに。 パァァァァッ……! 彼が逃げているのは、黄金の蝶の大群からだった。 それらの群体は一つの意思を持っているかのように彼を追いかけ続け、 そしてたった今、追い詰めようとしていた。 ストラット「くそっ。やはりホテルに戻るしか……」 一方で、これ以上の逃走には限界があった。逃げ場も無ければ体力もない。 想像以上の追尾性能を誇る蝶達を前に、彼は逃走場所を再検討する必要があった。 タタタタタッ……ガチャッ、バターンッ! 支配人「ど、どうされましたか!?」 ストラット「『閂の扉』を開けてくれ。そして――『離れの祠』の鍵をくれ!」 支配人「状況は察せませぬが、分かりました。今すぐお開けしましょう」 蝶を振り切り、滑り込むようにホテルのロビーへとたどり着いたストラット。 その只ならぬ様子に気圧された支配人は、彼の要求を呑んで、 急いでロビーの向こう側にある大きな閂の扉へと向かう。 支配人が呪文を唱えると、数百年は使われていないであろう閂はギイ、と重厚な大きな音を立て。 ――そして、中庭に向かう扉は開け放たれる。
[489]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:55:56 ID:??? 支配人「さあ、急いでください!」 ストラット「ああ、感謝する!」 ダッ! 暫く前に、雪はもう止んでいた。ストラットは新雪の積もった中庭を一直線に走り、 中庭の中央に佇む『離れの祠』へと向かう。 黄金の蝶のうち、幾つかは閂の扉の抗魔力に阻まれているようだったが、 その一部は屋根を越えて空からストラットを追い続ける。 ストラット「……くそっ、間に合え。うおおおおおおおぉぉぉぉぉぁあぉぉぉぉぉっ!」 バァァァァァッ! それから得意なオーバーヘッドキックの要領で、祠のドアに向かって飛び込んで。 蝶々がストラットに死の魔法をかけるよりも早く、ドアを開き、部屋に入り、 そして、……ドアを閉めて鍵を掛ける! ガチャァァァァァァアッ!! ストラット「はぁ、はぁ……よし。逃げられたァァァアアッ!」 ――『離れの祠』は、中世時代の修道士の瞑想場所として用いられていたらしい。 狭い場所で精神を集中し、神への交信を深めるには、この場所は打ってつけだったとか。 だがしかし今となっては、使用する者も殆ど居らず、雪かき用の梯子やシャベル位しか置かれていない。 そしてストラットは視認する。密室には、誰もいないと。
[490]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:57:27 ID:??? ストラット「……とにかく、これでもう安心な筈だ」 内側の施錠がしっかりとなされている事を確認しながら、改めてこの密室の強固さを振り返る。 自分の居る『離れの祠』に至るには、ロビーにある『閂の扉』を潜り抜け、 足跡の残る中庭を進み、祠そのものに施された施錠を破る必要がある。 しかし、『閂の扉』にかかっている閂は非常に強固であり、破壊する事は不可能。 奇跡的に扉を破壊出来たとしても、人間は足跡を残さずには中庭を通れぬし、 もし足跡が残れば、それは重大な証拠となる。 それらの困難を潜り抜けて、祠の前まで辿り着く事が出来ても……ダメなのだ。 ストラット「この祠の鍵は、今俺が持っている一つだけ。そして、事前に忍び込むにしても、 この部屋には、隠れられるようなクローゼットやベッドの類は存在しない。 そして何より、今、この部屋には『アイツ』はいない。……俺は、助かったんだ!」 本人による内側からの施錠。そして鍵はその内側にある。 事前に密室内の家具類に隠れている可能性もない。 シンプルながらも最強の密室構築を、ストラットは完成させる事ができた。 これならば、魔女の魔法が入り込める余地などどこにも――― ミアータ「無いと思ったぁ? ウフフ……ストラットったらお馬鹿さん」 ストラット「!?!?!?!?!?!?!?!?」
[491]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:58:46 ID:??? ――いや、いた。魔女は既に忍び込んでいた。 金色の鱗粉に姿を変え、扉の隙間から、壁の外側から、地下から、天井から、平行空間から! 魔女の魔法に、ニンゲン風情が考えた密室如きが通用するはずもない。 緑色の体表で体よく草葉に擬態したと思い込んでいる芋虫を、人間が見つける事の如何に容易い事か。 ストラットの必死の努力は、魔女にとっては芋虫の体表程度の欺きにしかならないのだ。 ストラット「ま、待てミアータ! 俺が、俺が悪かった。許してくれ!」 ミアータ「うん、許してるわ。私、貴方の事だったら全てを許そうと思っているもの♪ クビになっても、犯罪をしても、浮気をしても、私を裏切っても。 どんな事をしたって許してあげるわ。だって、私は貴方を愛しているもの」 ストラット「じゃ、じゃあ……頼む。殺さないで……殺さないでくれ!」 同世代のエースストライカーとして、夥しい数のゴールを挙げた彼は今や、 魔女の前では哀れなる乞食も同然だった。しかし、彼に落ち度がある訳ではない。むしろその逆。 彼はあまりに、魔女に愛されていた。それが故に、彼は今こうして、全てを失いつつあるのだから。 ミアータ「あのね、ストラット。私は、貴方を殺す為にここまで来たわけじゃないの。 私は――貴方を黄金郷に招待しに来たのよ?」 ストラット「またそれか! それは聞き飽きた! 何が黄金郷だ。君の言う黄金郷は、ただの無理心中じゃないか!」 ミアータ「……はぁ。本当に可愛そう。反魔法の毒に染まってしまって、黄金の真実が見えなくなっちゃったのね。 でも大丈夫よ。私がそうだったみたいに、すぐに良くなるからね?」 シャキーンッ! カランッ、カランカランカランカランカランッ! ミアータが――愛憎の魔女が指示を出すと、虚空から一本の杭が現れた。 邪悪なる海蛇を象ったそれは、カランカランと部屋中を音速で飛び跳ねまわり、 ストラットの命のカウントダウンを告げる。5、4321……………そして、ゼロ。
[492]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:02:38 ID:??? ミアータ「人間の大罪を象りし、煉獄の七姉妹が一。嫉妬のレヴィアタン! あの人を黄金郷に招待しなさい!」 バッ! ズバァァァァァァァンッ! ストラット「あ、が……。な、んで……み、あ……………」 バタリ。 ――彼女が黒き魔女から譲り受けた高級の家具は、あまりにも慈悲深く、男の心臓を貫いた。 そして、倒れ伏せたストラットの亡骸の至る箇所に口づけをしながら、 ……魔女ミアータは、悲し気にこう呟いた。 ミアータ「ごめんね、ストラット。誰よりも愛してるわ。……こんなの、他の男にはしないのよ? 貴方の事が好きで好きで。愛して堪らないからなのよ? 愛が無ければ、殺す事なんてできないんだから」 ある魔女は言った。愛が無ければ、視えないものも存在すると。 ならば、その愛が有り余る場合、一体その風景はどうなるのだろうか? 愛が無ければ、少女は魔女にならなかった。少年は命を落とさなかった。 ……愛が無ければ、視えない。 愛憎の魔女の双眸には、凡百のニンゲンは勿論のこと。 千年以上を生きた大魔女にすらも、視えない風景が広がっているのかもしれない。 彼女を観測する者達は、その風景が、せめて美しいものである事を祈るしかなかった。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++
[493]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:04:18 ID:??? ************************************ 〜上位世界・魔女のサロン〜 ベアト「な、なんだこれは……! 妾以外の魔女が、ニンゲンの少女に力を分け与えたと言うのか!?」 ワルギリア「どうやら、そのようです。……航海者権限を与えられたのは、私達だけじゃなかったようですね」 ミアータによる魔法殺人の様子は、森崎達がサッカー合宿を過ごす世界よりも上位に位置する視点にて、 ベアトリーチェとワルギリアによって観測されていた。 碑文を媒体にこの世界へと渡り歩いてきたベアトリーチェとワルギリアだったが、 今回の事件は彼女達にとって想定だったようである。 ベアト「あれだけの力を容易く分け与えられる存在かつ、妾専属の家具であった煉獄の七姉妹を 貸し与えられる者と言えば、おおよそ検討は付くが……今は、犯人探しをしている場合ではない」 ワルギリア「その通りです。彼女を放置しておけば、今殺されたストラットくんだけじゃない。 イタリアJr.ユースのメンバー全体……引いては、この世界のサッカー情勢に致命的な影響が生じます。 そうなると、この世界はロジックエラーを起こし破綻してしまうかもしれない」 ベアトとワルギリアが観測し、今森崎が居る世界は、基本的には『キャプテン森崎』という、 ニネー卿のゲーム盤を下敷きにしたものである。寛大なる彼女の方針もあり、このゲーム盤は 大体の改変や変更は許可されているのだが……その前提となる世界観に破綻が生じた場合、 その波紋はどこまで広がるかは底知れない。別のカケラ世界、別のゲーム盤からやって来たベアト達にとって、 世界の破綻は望む事ではなかった。 ベアト「……魔女の魔法には、ニンゲンのトリックでしか対抗できぬ。 今の妾とお師匠様で魔法対決に持ち込んでも、口惜しいが返り討ちに遭うのがオチか。 ……となると、やはりアイツに。森崎に動いて貰うしかないかァ」 ワルギリア「それが賢明でしょうね。後は、森崎くんが私達の意思に気付くかどうかですが……」 ???「それについては心配ないわ」
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24