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【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】
[470]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:40:18 ID:??? バァァァァッ……! 彼女は、渾身の個人技でボールクリアへと向かう。 それは間違いなく、世界を舞台としても輝けるスター級の威力。 もしも慧音がこの技を来たる大会で使えれば、間違いなく希望となれるだろう。 パチュリー「……私にはお生憎と、そこまでの志の高さは持っていないわ。 そもそも魔法使いとは孤独な求道者。そこに希望なんて、あってもなくても良い」 一方のパチュリーのプレイは、美しく鮮やかではあるものの、教科書的な丁寧さから脱し切れていない。 ドリブルやパス、パスカットに反して、彼女のフィジカル面は凡庸と言っても良かった。 パチュリー「……………」 スッ…… 慧音「(――後ろに下がって……止まった。フィジカル面の弱点を回避するべく、勝負を諦めたのか?)」 慧音の力強く突き出した右脚が、今まさにボールを捉えようとしているにも関わらず、 パチュリーは諦めたかのように動かない。『動かない大図書館』の二つ名を持つ彼女らしいが、 しかし空中戦においてそれを実践する事に対し、慧音は疑念を覚えるが――しかし、今は勝利が先決だ。 慧音はそのまま全体重を駆使してボール越しにパチュリーごと、相手のゴール前へと吹っ飛ばそうとするが。 パチュリー「……魔法使いとしての私にとっては、希望なんてどうでも良い。だけど、『賢者』となると、少し話が違って来るかしら」
[471]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:42:12 ID:??? クッ……グルンッ! ――ガシイイイイイッ! 慧音「!?」 パチュリーはここで、ベクトルを静から動へと一気に傾ける。 空中で急回転し、左脚を大きく伸ばして流星のように一薙ぎすると、慧音に僅かながらに先んじて。 見事に……ボールを、捉えてみせた。 パチュリー「賢者とは賢き者。智恵の光によって暗闇を照らし、自ら希望を定義し、弱者に示すべき者。 ……私の希望は何か、ですって。上白沢慧音? その質問は前提が間違っているわね。何故なら――」 慧音「(な、なんて空中での制動力……いや、それだけではない。知識や理論だけでは、 こうしたプレー、思いつきこそすれでも実行できない!)」 慧音は動揺する。パチュリーは、これまで自分が思い込んで来た対立軸――集団対個人――の存在自体を、 そもそも揺るがそうとしている。そう気付いた、いや気付けたからこそ、彼女は改めて震える。 慧音「……貴女は。単なる集団戦術のコーチではない。集団戦術を究めつつ、司令塔としての視野を広げ、 それに足りるだけの個人技も磨いて来た。自分が活躍する為ではなく、チームを勝利に導く為の……!」 ――その反応を以て、今回の勝負は決まっていた。慧音は少しずつ押し負けている。 パチュリーは最後に淡々と、慧音に対して傲慢に言い放った。 パチュリー「何にも無い場所から希望を見出すこと。それこそが賢者が凡人に対して行うべき使命。 つまりは、私こそが希望そのもの――それが、あんたの質問への答えよ」 スパーーーーンッ! 実況「……ぱ、パチュリー選手。この土壇場で信じられない競り合い強さを見せました。 そして――後半戦40分にして、フィオレンティーナ、絶好の攻撃チャンスに入ります……!!」
[472]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:43:58 ID:??? ――そこから先の展開は、簡単に語るのみで足りた。 個人技でボールを奪取したパチュリーは次に、司令塔としての技術を遺憾なく発揮。 相手の守備陣の穴を看破し切った上での的確な指示により、チームはギリギリで勝ち越し点を得る事に成功する。 無論、そこからパルマもシニョーリを軸に徹底抗戦の構えを見せるが――。 パチュリーが鍛えた集団戦術を前に、圧倒的な個は足止めを食らわせられる。 シニョーリ「ちっくしょー。このままじゃヨームに負けちまう! 最後にこれでも食らえッ!」 タッ、ギュンッ、グルンッ……! とはいえ、後半ロスタイムにはシニョーリもこれを単身突破し、 圧倒的な威力のシュート――『アクセルスピンシュート』と呼ばれ、これまで数十得点をもぎ取って来た――を放つも。 ――ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ……!! ……バギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ……! それは、ごくわずかに遅かった。彼がボールを蹴れたのは、しびれを切らした審判がホイッスルを鳴らした、 ほんの極コンマ数秒後の事だったからだ。ボールは当然の如くにゴールネットへと吸い込まれるが、 ……試合後のゴールは、当然ながら得点にカウントされない。 実況「試合、終了〜〜〜!! フィオレンティーナ、パルマを下しました……! そして、何という事でしょう! 下馬評を大きく覆し、大会前まで弱小チームだったフィオレンティーナが、 今大会で優勝の栄冠を獲得しました〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 ワァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアァァァァァアァァァッ! ――賢者はこの時、初めて無表情を崩し、薄く笑みを漏らす。 その唇は小さく、「私の勝ちね」と動いているように見えた。
[473]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:48:50 ID:??? ***** 青娥(観客席)「そ、そんなー。パチュリーさんの能力値が、私の測定よりも一回りも高くなってるなんて……」 神子(観客席)「彼女は我々の諜報を警戒していた。出来る事なら、この試合で本気を出したくなかっただろう。 だからこそ、上白沢慧音の活躍は充分だったと言えるさ」 青娥(観客席)「ですけど……太子様は良いんですの? このままじゃ慧音さん、『プロジェクト・カウンターハクレイ』に 戻ってしまいます。太子様は彼女を第二の魂魄妖夢にしたかったのでは?」 神子(観客席)「良いさ。我々にとって、幻想郷にいる既存選手の獲得は、あくまで保険にしか過ぎない。 魂魄妖夢の代わりにシニョーリが居たように。彼女の代わりにもまた、充分なアテはある」 この試合の結果を見ていた『ハイパーカンピオーネ』計画の中枢――豊聡耳神子と霍青娥は、 今回の試合にある程度の落胆は見せつつも、想定の範囲内然とした様子で冷静に会話を続ける。 人間中心主義を掲げ、自分を中心とした人間による幻想郷、ひいては日本の支配を目標とする彼女らにとって、 幻想郷の半妖を喪失したロスは大きくない。 青娥(観客席)「……確かにそうですわね。半人半妖の彼女でなければ取れないような、 貴重なデータが取れたと、カスティリオーネ博士も仰ってましたし。 お蔭で、想定よりも早く進められそうですわ。私の主導するヒドラ・プロジェクトも。 そして――」 神子(観客席)「私が、『アルシオン』の座に就く事にも、少しは近くなったという事か」 青娥(観客席)「ご名答。……さあさ、そろそろ行きましょ。イタリアの首脳陣が待っていますわ」 ――現に、彼女は今回の敗戦を糧に、新たな計画を進めようとしていた。 第三極であり、今や人里の統治に興味を示さぬ八雲紫からも、 彼女への警戒と対策で手一杯な神綺や魅魔達からも大きく敵視されなかった彼女達は、 まるで進行を悟らせぬ悪性の腫瘍の如く、少しずつ、その存在感を増していく。
[474]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:50:02 ID:??? 青娥はスタジアムを去る前に――神子にも知られる事なく、邪悪な表情でこう独り言ちた。 青娥「……それと、そろそろ『プロジェクト・カウンターハクレイ』にも楔を打っておく必要がありますわね。 例えば……鈴仙・優曇華院・イナバ。一番厄介なあの子を消す、とか? うふふふ……っ!」 ***** また、第三極とは言えないが、この試合を見守るライバル達も多い。 小悪魔(観客席)「ふぅぅ……。パチュリー様、カッコ良かったです」 三杉(観客席)「そうかな。確かに終盤の彼女のプレーは素晴らしいの一言だった。 しかし、戦術面も、技術面にも、どこか頭でっかちな所が残っていると思う。 ブルノが 980 点も失点さえしなければ、僕達も彼女と戦えたのに……」 主人であるレミリア・スカーレット嬢の命令でイタリア・レッチェへと派遣された小悪魔と、 有力選手を海外研修させ実力アップを目指す『ツバサ・ヴァイキング』計画で同チームの コーチ兼選手となった全日本Jr.ユースの三杉淳。 彼らはGKのザルさが不幸し途中敗退となったが、パチュリー・ノーレッジを始め、 多くの強敵達と対峙してそれぞれパワーアップを遂げている。
[475]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:51:19 ID:??? ***** ジェンティーレ(観客席)「パチュリー、ケーネ、シニョーリ……ああ、畜生! 俺を含め、イタリアのアズーリ共はどうして決勝の舞台に上がって来れない!」 ヘルナンデス(観客席)「落ち着け、ジェンティーレ。俺達の実力を見せる場なら、幸いにも早々に示された。 戦いの主戦場はここじゃない。――半年後の『幻想スーパーJr.ユース大会』だろう」 ランピオン(観客席)「如何にも怪し気な大会だが、一応各国のサッカー協会もお墨付き、だったっけか。 まあ、ワールドユースの前哨戦としては丁度良いよな」 バンビーノ(観客席)「(ストラット、お前はブラジルだったな。……ミアータがGPSでお前の居場所を突き止めたらしいから、 今度近い内に会いに行くぞ。待ってろよ)」 ――同じく今回の大会では途中敗退となった、若きイタリアのアズーリ達も、決して腐る事なく次を見据えている。 前回のJr.ユース大会では顔を見せなかった実力者達も勢ぞろいに顔を合わせ、 堅守と猛攻の二面性を持つ、イタリアサッカーの真髄が近々見られる事は間違い無い。
[476]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:52:43 ID:??? ***** 慧音「(集団か個か。私はどちらを取るべきかで悩んで来たが。 ――そうか。彼女にとっては両方取るのが当たり前で、悩むべき事でも何でも無かったんだな。 ……流石は、あの傲慢で欲張りな吸血鬼の親友にして――魔法使いではなく、『賢者』を名乗るだけある)」 慧音は茫然としながらも、勝利に湧くチームを前に思う。 慧音「(パチュリー・ノーレッジ。彼女は……確かに、希望だ。 『ハイパーカンピオーネ』にも、全幻想郷代表にも、彼女のような選手は居ない。 もしも私が子ども達の希望となるならば――彼女のようにならなくてはならない。 彼女のように、全てを得て、そしてそれが当然だと冷笑に付す程の『賢者』に……)」 ――慧音のこれからは、既に決まっていた。 これから彼女はパチュリーに自らの不理解と誤解を謝罪し、そして……出来れば、再び。 再び、新チームの中核を担うべき選手同士として、鈴仙を――仲間達を導く者同士として、 その関係を続けていきたい。その為にすべきことは沢山あるかもしれないが。 ……彼女は、もう迷わなかった。
[477]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:53:55 ID:??? 賢者は希望の星であり、賢人は太陽を目指す。 両者は同じく空に輝くも、その性質は互いに異なる。 両者は同じく志を示すも、その性質から互いに争う。 しかし、両者の使命は互いに同じく、両者の力は互いに等しい。 故に、両者が同時に一人の愚者の掌に収まる時。 それは、巨大な希望の光となって、彼女を導くだろう。 〜パチュリー・慧音の章 完〜
[478]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:55:03 ID:??? *賢者としての真の実力を発揮し、パチュリーの全能力値が+1されます。 *パチュリーがスキル・レジスタ(自分を起点とするプレーが途切れるまで、ボールを受けた味方選手のパス・ドリブル+1) を習得しました。(プレーが途切れる=敵チームのボールとなる又はラインアウトする と定義します) *慧音がスキル・カティナチオマステリー(自分がCBかつPA付近に居る時、自分除く味方DFの全守備能力+1) のフラグを習得しました。
[479]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 20:56:20 ID:??? 〜現在の能力値〜 選手名 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低 ガッツ フラグ パチュリ- .56 55 .53 54 56 51 54 379 4 / 4 850 パス、パスカット、競り合い、特殊スキル 慧音 54 54 ..47 56 ..56 ..56 56 379 2 / 2 875 競り合い、特殊スキル パチュリー 芸術的なドリブル(1/2でドリブル+5) 華麗なドリブル(1/4でドリブル+3) エメラルドメガリス(高パス+3)150消費 ロイヤルフレア(シュート+6、吹飛4)200消費 サイレントセレナ(低シュート+5)250消費 賢者の石(高シュート+8、吹飛3)400消費 クワッドスパーク(近シュート+6)200消費 アグニシャイン(1/2でタックル+2) プリンセスウンディネ(1/2でパスカット+3) スキル・オフサイドトラップ(スルーパスを1/2でオフサイドにできる) スキル・ファストブレイク(発動時全選手のパス+1、全行動消費ガッツ1.1倍) スキル・フォトシンセシス(スキル・喘息を完全無効化。ただし、−3の差で敗北した場合必ず吹き飛ぶ) スキル・プレースキッカー(フリーキック時、シュート力・パス力+1) スキル・アシスト○(アシストに繋がるパス成功時、シューターのシュート力+1) スキル・レジスタ(自分を起点とするプレーが途切れるまで、ボールを受けた味方選手のパス・ドリブル+1) ※プレーが途切れる=敵チームのボールとなる又はラインアウトする と定義 慧音 造化三神の結(1/2でドリブル+4) 武烈クライシス(パス+2)60消費 草薙の剣(1/2でタックル+3、吹飛4) 三種の神器 玉(1/4でパスカット+2) 八咫の鏡(1/4でブロック+6)150消費 三種の神器 鏡(1/4でブロック+4)100消費 幻想天皇(高クリア+2)100消費
[480]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/15(日) 21:03:27 ID:??? ……と、言ったところで一旦ここまでです。 次回更新(たぶん明日以降になります)は鈴仙の章に戻って、 これまでのあらすじ整理&サンパウロの情報描写になると思います。 サンパウロ戦は翼、ストラット、バビントン、マウリシオ、アマラウ、ドトール(あとレナートとかリマとか)という本スレの布陣に加え、 超強化された妖夢、強化された新田&石崎を追加しておりますので、 久しぶりのボス戦として盛り上がれば良いなあ…と思っています。
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0ch BBS 2007-01-24