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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】
[321]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/13(日) 22:33:02 ID:??? パソコンで見たら、全く問題なくnamcoのロゴが表示されているのに気づき、 気まずくなったスレ主です。 執筆に難航しており、今週は投稿を休みます。 代わりに今ゲームしたい二次創作ゲームを一言紹介して終わります。 FC風『無尽合体キサラギ』 https://www.youtube.com/watch?v=LQup2UJtm9A FC風というよりPCエンジンHUカード風といった風なロボットアクションゲーム。 ゴエモンインパクトや暴れん坊天狗ばりに自機ロボットで躊躇なく街を破壊する 快感を味わうだけでも一見の価値あり。 MegaMan X: Corrupted - Weapon Factory https://www.youtube.com/watch?v=ZId-ykThO2U ロックマンXの二次創作ゲーム。滅多に更新されないので歯がゆいですが、 音楽、グラフィック、何より敵キャラのそれらしさは公式とも引けを取りません。 これこそロックマンXのあるべき方向性をとらえていると言っていい作品。 X5あたりから敵キャラ数が寂しくなったし、クールでリアルな感じが無くなったし…… 早くカプコンはこれを認可して発売するんだ!
[322]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/26(土) 20:41:34 ID:QYGgiLiY まだまだ頑張って次を書いていますが、テーブルマナー等が 分からず、難渋しています。仕事の都合やスクランブルなどのレトロゲームの やりこみで時間がなくなってしまったという失態もあったのですが。 遅くとも来週には投稿が再開できると思いますので、もうしばらくお待ちください。 第8話で問題になったコレコビジョンのモジュール。 以下の動画の30秒目程から紹介されてます。 https://www.youtube.com/watch?v=6W4RIOeZJfk さも当然のようにアタリのゲームが使えますとテレビCMで流しちゃう神経と それが通じるアメリカ社会に乾杯。
[323]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:07:05 ID:4HTfgGS2 第9話『赤い世界への道』 服を着替え、外に出る。アパルトマンの階段を降りると、目の前にはタクシーが停まっている。 岬父「ルドワイヤンへ。シャンゼリゼのロン・ポワンの角の」 運転手への指示を横目にして、後部座席へ乗り込む。 岬「今日会う人とは『お仕事』、それとも『付き合い』」 岬父「両方だ。今日は初対面である以上。まず顔合わせが必要、それ程込み入った話にはならないはずだ。 それと、その相手にお前の事を伝えておいたら、ぜひ来てくれと言っていたよ」 岬「僕に」 岬父「ああ、プレゼントもあると言っていたな」 パリの党第一書記が異国の小学生に何のプレゼントか。そう思って尋ねてみたが、 知っている訳が無いだろうと一笑にふされてしまった。 移動の間の短時間で相手の意図もプレゼントの中身も分かるはずがなく、目的地のルドワイヤンへたどりついた。 パリには珍しいレストラン前の駐車場で降りる。レストラン前とは言ったが、これまた 珍しい事に、ちょっとした大きさの公園で見られるような遊歩道と樹木が見られる。 悠々と木々の風を感じながら歩いて、ルドワイヤン正面へたどりつく。 岬「(なるほど)」 紳士のいで立ちで出向いた訳だ。この建物はレストランという事だが、 小さな劇場か音楽会場かといったような趣向のつくりになっている。 悠々とした会食をするに相応しい場所だ。
[324]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:09:00 ID:4HTfgGS2 ドアマンに案内されてルドワイヤンに入る。予約の確認が済んだ後、今度は食事の用意が出来るまでと、 ウエイティングコーナーへと案内された。細かい柄の絨毯、壁の美しい装飾、 落ち着いた明るさの照明が部屋に満たされている。 芸術的な待合室の様子にうっとりとしかかっていると、 部屋の中央近くの椅子で葉巻をくゆらせている壮年の紳士を見かけた。 顔つきは長嶋茂雄をフランス人にして、社交界の風に慣らした風といった方が良いだろうか。 眉は濃く目鼻の彫りは深く、貫録がありながらもどこか飄々とした風を漂わせている。 何やら雑誌を読んでいるようだが、僕らに気付くとパタリと閉ざし、 にこやかな笑顔を向けて歩み寄ってきた。 紳士「ムッシューミサキ、遠路はるばるよくお越しになりました」 岬父「ムッシューマルシェ、こちらこそ一介の異邦人への心遣い痛み入ります」 鷹揚に遠方の客をねぎらう相手に、父さんは東洋的微笑を卑屈にみられない程度に浮かばせて 礼を返す。 この人が今日の会食の相手、パリ特別市党第一書記ジャコブ・マルシェその人なのだろうが、 この人もオーダーメイドのランパン・オン・ブルーのスーツを小粋に着こなし、 ピシリとしながらも華やかさを失わないオーベルシーの革靴でスラリと立つ様は、 とても「労働者階級の前衛部隊」指導者層のいで立ちとは思えない。 こうした思想的、社会階級的矛盾を目の当たりにしているうち、相手は父さんから僕の方に向かい、 親し気に僕へと話しかけてきた。 マルシェ「モン・プサン(※)、フランスへようこそ。君を見ると羨ましくなる、 私も君ぐらいに聡明な子供だったら、もっと幸福な子供時代を過ごせただろうに」 岬父「いえいえ、愚息にそれは褒めすぎです。私ともども至らぬところばかりですよ」 岬「ど、どうも、初めまして。岬太郎です」 ※:直訳は「ひよこ」、他人の子供を呼ぶときの愛称の1つ。
[325]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:10:26 ID:4HTfgGS2 見慣れぬ外国人の相手に戸惑う態を見せ、声を堅めに返事をする。 年相応の純朴な子供だとさりげなく印象付け、余計な警戒を抱かせない仕草。 日本にいるころ年配者と相対する場面でこう振舞って歓心を得て心理的に相手の懐に入り込み、 父さんと共に肉体の懐にしまわれた財布を相手から差し出させてきた。 そんな一連の流れを見た相手は、一瞬にやりと笑った後、ハッハッハッと芝居気かかって笑い出した。 マルシェ「やはりです、ミサキの息子さんは大変素晴らしい。よく大人への礼儀をわきまえている」 岬「(えっ)」 見抜かれたか。しかしなぜ。 マルシェ「見知らぬ相手に浮かべる迷いと憂いの表情、ほんのわずかに外れる視線と声のトーン、 そして失礼のないようにと緊張して体を強張らせる姿。 さすがはミサキの愛息子。将来が楽しみだ」 よくやったぞといった様子で僕の頭を撫でた後、父さんの方へと向きなおして安心した 声音で語る。 マルシェ「これで安心しました。この歳でここまで自然に振舞えるならば、 さぞ日本で『階級敵』から人民の資産を『取り戻した』でしょう」 岬父「いやいやまだまだ拙いものです。慣れない異国の地であなたの助けが得られれば何とか」 マルシェ「ご心配なさらずに。決して無下にはしません。おっと」 僕らの方へヘッド・ウェーターと思わしき人がいつのまにか近くに来ている。 マルシェ「続きは食事の場で行いましょう。今日の料理はさぞ美味になるでしょうな」 僕達の事はとっくに承知済みだった。このパリの偉い人も父さんとそう変わらない、変わり者らしい。
[326]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:12:46 ID:4HTfgGS2 給仕「こちらドラモットのブラン・ド・ブランになります。料理が出来上がるまで、今しばらくお待ちください」 食前酒にシャンパンが(僕にはガス抜きの水が)運ばれ、並々とグラスに注がれる。 グラスが置かれたテーブルのクロスはアラベスク模様の白レースで、 下に敷いている深紅色のサテンも相まって、しっとりとした煌びやかさを放っている。 父さんとマルシェはウェイターに軽く会釈を交わした後、グラスを目の上に挙げる。 マルシェ「日仏社会主義の連帯に」 岬父「代わることの無い両党の友好に」 マルシェ「A votre sante」 岬父「ア・ヴォートル・サンテ」 岬「乾杯」 互いに視線を交わした後、すっと飲み干しグラスを空にする。 グラスをテーブルに置きちらりとウェイターの不在を確認した後、 相手はおもむろに懐から厚く膨れた封筒を取り出し、父さんに差し出した。 マルシェ「早速ですが、こちらを受け取っていただきたい。ここにあなたの仕事に不可欠な 同志の住所、電話番号、職業、人脈等個人情報が記載されている」 父さんが封筒を開けると、何枚もの紙には全て達筆なフランス語がぎっちり詰まっていた。 文章をじっくりと熟読している間、僕はさりげないほほ笑みを浮かべながら、じっと黙っていた。 内容からして真っ当な仕事でない以上、迂闊に話すと迷惑になる。 気にはなるが相手が話を振るまで待つほかない。
[327]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:14:57 ID:4HTfgGS2 しばらくして父さんは紙を収めて封筒に戻し、自らの懐へ入れた後、目の前の協力者に感謝の言葉を伝えた。 岬父「ありがとうございます。これで明日からでも仕事ができそうです」 マルシェ「それは良かった。不足したところは」 岬父「ありません」 マルシェ「おお、その言葉を聴いて安心しました。これで我が党の完全な独立も、遠いものではなくなるでしょう」 相手は笑みを浮かべている。ただ初体面の時とは違いどこか皮肉めいているというか、どこかに 影がかかったような笑顔である。 ヤレヤレといった風に軽く両手をハの字に広げた後、僕に向かっておどけた様子で話しかける。 マルシェ「モン・プサン、いやそれでは君に失礼だ、ムッシュー・プティ・ミサキ。 ここで少し我が党の弁解を許してもらいたい。 これからの父君の『仕事』の意義を、知ってもらいたいのだ」 そう言って改めて周りを見回した後、彼が言う「弁解」を清聴する機会に恵まれた。
[328]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:16:45 ID:4HTfgGS2 マルシェ「知っての通りフランスという国名はラテン語のFrancia、『フランク人の国』を意味する女性名詞だ。 女性と言ってもローマの昔から侵略者をただ黙って迎えはしない、 馬上で槍を握って我さきへと敵に向かっていく敢然とした女性だ。 この遺伝子は我が共産党にも濃厚に受け継がれている。 先の大戦で侵略者達に国土を踏みにじられた後、他のブルジョア政党はただ右往左往するばかりだったが、 我が党の偉大なる闘士たちは何度苛烈な弾圧を受けても銃弾をもって抵抗し、 我が国の開放に大いに貢献したものだ。たとえば」 滔々とフランス共産党の偉大なる抵抗の業績を語る姿を、初めて凄い話を聞いたような顔をして顔を向ける。 思う所はあるが、今は清聴だ。そう思っていると、相手がふっと最初に見せたような皮肉を含んだ笑顔に戻っていた。
[329]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:18:46 ID:4HTfgGS2 マルシェ「だが、現在はそうではない。現在の我が党指導部、私的関係でいえば私の兄上は、 国内で右往左往し、国外で貞淑さを示すばかりだ。 社会党の内閣に入閣したはいいものの、ゴタゴタと揉めてばかりで 影響力を発揮するどころか、今にも離脱してしまいそうだ。 目を外に向けると、4年前のソ連のアフガン侵攻、3年前のポーランド干渉など、 共産主義の理想を逸脱した覇権主義的行為に対し、 我々は真にさようでございますと、父親の、ソ連に恭しくしているばかりだ」 父親の、といったあたりからか、相手の顔に険が、声にトゲが混ざりはじめた。ちょうどここまで話し終わったところで、 ウェイターが前菜を持って現れ、テーブルに並べはじめた。 口にして見ると、中身は液状にした牡蠣のキャビアのせといった所だろうか。濃厚な牡蠣の味が 舌にしみわたる。 ただあまりにも液化しているため牡蠣を食べるというよりスープをすすっているような気分だ。 マルシェ氏も父さんも黙って牡蠣のスープをすすっていたが、先に食べ終わったマルシェ氏が 口をハンカチで拭いた後、再び柔らかな口調で語りを再開した。
[330]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:23:56 ID:4HTfgGS2 マルシェ「すまない、少々興奮しすぎて、見苦しい所を見せてしまった」 岬父「いえいえ、お陰で私にかけてくださっている期待の大きさが分かりました」 マルシェ「そういってもらえると有難い。問題は深刻だがその原因の1つが資金源だ。ここだけの話だが」 ここまで語ってふいにマルシェ氏が立ち上がり、こちらに来る。僕らの後ろに立って 身をかがめ、耳元で小声でつぶやく。 マルシェ「ソビエト共産党から多額の金銭援助を受けている。スポンサーに逆らえないのはどこも変わらない。 財政の自立なくして、意志の自立はありえない」 ここまで言った後再び自分の席に戻り、何事もなかったかのように語りを続ける。 マルシェ「とにかく、今後もこちらから情報を提供するし、必要とあれば コネも用意する。どうかそれらを活用して「人民の資産」を回収してほしい。 あなたが得意とする絵画によって。条件はこれでいかがだろうか」 そう言って彼はスッと1枚の紙を取り出し、父さんの前に差し出す。紙には単に 1:2 France:Japon とのみ記されている。 岬父「D’accord.」 即座に父さんは返事をした。ダコード、つまり「承諾した」 仕事で得た収益のうち3分の1を情報紹介などの便宜料としてフランス共産党へ提供するというのだろう。
[331]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:25:13 ID:4HTfgGS2 マルシェ「有難い。これで何の心配もいらなくなって、安心してここの料理に味わえるというものだ。 ここのエシーヌ・フリアンドは絶品でね。ここのを口にすると他のエシーヌは口に入らぬ」 エシーヌ・フリアンド。メニューで見たときはトンカツに似た料理のようだった。 だが実際にはトンカツとは違う。 金モール付きのマホガニーで作られたワゴンで運ばれたエシーヌが、テーブルへと運ばれる。 金縁に赤紫の花が咲くお皿に金のナイフとスプーン。そしてエシーヌの見事なつくりが、 料理というより芸術品を鑑賞しているような気分になる。 豚のカツの上に油で揚げた卵のフライ、二つ割のトマト、ニンニク、バターをのせて焼き上げている。 アーモンドとパルメザンチーズの香りがただようエシーヌをナイフで切り取り口に入れ、 ブクブクとした脂からあふれ出る肉の旨味で、とろけてしまいそうになる。 マルシェ「ああ、旨い。ことにクリームをつけたエシーヌは最高だ」 皿の隣に置かれた生クリーム入り容器から、僕もエシーヌにかけてみる。 心持ち酸味が残る濃い重厚な味がたまらない。 3人こうしてエシーヌ・フリアンドを心行くまで満喫し、食後のデザートとワインも味わい、 そろそろお開きという空気が流れだしたところで、どこからか取り出したのか1冊の雑誌を 持ち出して、今度は僕の目の前へ差し出した。
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0ch BBS 2007-01-24