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【希望は】鈴仙奮闘記42【魔界より】
[123]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:27:05 ID:??? ★問われる魔界知識→ スペードQ ★ スペード・クラブ→星「魔界地方都市・エソテリア。……ここに、かつて聖が拠点としていた住居がある筈です」 静まる一同の中で手を挙げたのは、やはり星だった。 星「前にも少し話しましたが、私とナズーリンはかつて、聖を探し、その封印を解く為に仲間達と共に魔界を旅していました。 ――その途中で、霊夢さんや魔理沙達にとっちめられたのですがね」 鈴仙「(私の時は、まあ。姫様を屋敷に隠すって目的があったけど。 星ってば、ただ白蓮さんを探してるだけで因縁付けられたんだ……可哀想)」 星「とにかく。……その時に魔界の一部を見ているので、ある程度の土地勘があります。 今回はまず、そこを目指そうと思っています。具体的には――」 そう言いながら、彼女は甲板の地面に大きな地図を広げた。 世界地図と似ているようで似ていない、様々な大陸が混在している、 輝夜が良くやっていたロールプレイングゲームの地図は――恐らく、魔界の全図なのだろう。 星は手に持つ錫杖で、その広い地図の中の隅の方にある、小さな大陸。その中心部にある盆地を指した。 星「エソテリア。付近に法界……悪しき魔力が入り込まぬ聖域を擁する、小さな地方都市です。 人口はおよそ50万。魔界最大の都市にして、魔界神のおわしますパンデモニウムから、 海を挟んで、距離にして5,000ラール――私達の単位で言うと、およそ25,000キロ。 中央の政争も聞こえぬ、自然と文明が調和した長閑な地ですよ」
[124]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:28:31 ID:??? 穣子「へぇ〜。何かワクワクして来たね、一樹君! 私達、これからファンタジーの世界に行っちゃうんだよ!」 反町「(俺からすると、幻想郷の時点で大分ファンタジーの世界なんだけど……)」 パチュリー「質問だけど。そこにはきちんとした、サッカー設備があるのでしょうね。 書物の知識では、魔界は全体的にサッカーが浸透していないとあるけれど」 ナズーリン「問題は無いと思う。確かに、中央都市であるパンデモニウムよりも、エソテリアは後進的だ。 けれど魔界は全体的に、我々の世界よりも魔術を活かした科学が進歩しているし、生活水準も豊かなんだ」 コーチ「ま。ここにおっても、ストリートサッカーとバーのアルバイト位しかできんがのぉ……ホッホッ」 鈴仙「(コリンチャンスは圧倒的に貧乏だものねぇ……どうなのよ、サッカーコートも無いクラブチームって。 アヤソフィアが加入時のお礼で遺してくれた、大会期間中の生活費も底をつきそうだし)」 さとり「住居に当てはあるのですか? 最悪、この聖輦船で暮らす事が出来るとは言え。 やはり、これから魔界カップまでの時間を過ごすならば、相応の拠点は必要です」 さとりの的確な質問に対し、星は少し間を置いて答える。 星「かつて聖は、妖怪との共存を望んでいました。しかし、彼女と同じ人間によって、 その思想は邪悪だと断罪され。先程述べた魔界の聖域――法界に封印されていました。 しかし、その境遇を憐れんだ魔界神様が、時たまに恩赦として封印を緩め。 暫くの間は、法界近郊の都市・エソテリアにて居を構え暮らす事をお許し下さったのです。 ……今は人が居ない、その邸宅を借りれればと考えています」
[125]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:29:32 ID:??? さとり「成程。サッカー設備も、住居の当てもあるという事ですか。 貴女達、メキシコ派遣組が魔界カップが始まるに先んじて、魔界への移動を提案した理由が分かりました」 にとり「ま、私は一刻も早く、自分で直した聖輦船に乗ってみたいだけだけどね!」 アリスさん「……………」 静葉「どうしたの、アリスさん。何だか神妙な顔をしているけれど……」 アリスさん「!? べ、べべベ別に! 何も無いわ! 私と魔界には、なーんの繋がりも無いのよ! オホホ!!」 静葉「そう……なら良いけれど……」 アリスさん「オホ、ホ……(なら良いけど、じゃないでしょぉ……? ここは誰がどーみても、 私と魔界との、のっぴきならない因縁を疑ってしかるべきでしょぉ……?)」 冷静な静葉はアリスさんのワケあり感を見事にスルーしたところで、一同に更なる質問は無くなった。 にとり「さあ、さあ! 座標はこれで確定したし、もう質問タイムはこれで良いだろー! ほらほら行こうよ〜! 私ゃ早くこの船を飛ばしたくてウズウズしてるんだよ〜!」 ナズーリン「全くもう、こいつと来たら……子どもじゃないんだからさ、しっかりしなよ」 佳歩「でも、私もワクワクしてきました。魔界って、どんなところなんでしょう……!」 つかさ「昔に八意様から聞いた話では、魔法使いのメッカであり、 幻想郷よりも遥かに高濃度のエーテルが漂っていると聞くわ。 弱い人間や妖怪では、息をするだけでも体調を崩すと言うけれど……」 てゐ「――ま。あんたらもそこは、アルゼンチンの修行やらなんやらで鍛えこまれたしね。心配ないと思うよ〜」
[126]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:30:52 ID:??? 反町「お、俺、大丈夫なのか……? そんな所行っても」 パチュリー「それが不思議なのよね。あんたは普通の人間だと思っていたけれど。 調べてみると、強い毒の魔力を感じるのよ。まるで魔術師か何かみたいに……」 穣子「それがなくても、私達の信仰ラブパワーがあるから大丈夫だよっ!! ……たぶん」 ――そして、いよいよ一行は出発の時を迎える。 コーチ「鈴仙。……思い残した事は無いかの。タルの中は調べたか?」 鈴仙「はい。……でも、タルの中を調べるのは、どっちかって言うと船から降りる時のような気が」 鈴仙はコーチと並んで、甲板の柵に立ち。サントス港の波止場で手を振ってくれる、 元々のコリンチャンスメンバーとの別れを惜しんでいた。 ライア「レイセン! 俺達はお前の事を忘れないぞー!」 ミャージ「コーチ! レイセン! 後は任せろー!!」 ニータ「コリンチャンスはこれからが再出発だ! 今度は俺達の手でリオカップに優勝してやる!」 鈴仙「ライア君……ミャージ君にニータ君まで……」 特に別れを惜しんでくれたのは、リオカップ前に急成長し、リザーバーとしての出番の多い三人だった。 彼らは戦友との別れに涙を浮かべながら、しかし前向きに戦う事を決意してくれる。 ……鈴仙が驚いたのは、コリンチャンスのメンバー以外にも、この場で手を振ってくれる者が居た事だった。
[127]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:32:38 ID:??? メオン「次は負けん……! 『マインドスパークルマイン』で来い! レイセン!」 鈴仙「(メオン君……グレミオ戦では負けてボロボロに叩かれた彼も、前を向いているんだ)」 ザガロ「くそったれーーーー! この俺達サントスを無視して魔界に行くなど許さんぞーーーー!!」 ディウセウ「オラ達もこれから、カイオー様って人の所に行って修行するんだぞーー! 次はぜってー、負けねぇからなーーーーー!」 ブローリン「カグロットォォォオオオオオオオオオオオオオーーーーーッ!!」 鈴仙「(ザガロ君、ディウセウ君。それからスウェーデンのブローリン君。サントス戦は本当酷かったわよね…… ……でも。まあ、あれも良い思い出……ではないわね。ガレリ君とか、しれっと殺されてるし)」 カルロス「噂を聞いたんで駆け付けて来たぞ、レイセン! 君は俺のトモダチだ。またサッカーをしよう。 今度は俺と、君と、アルツールと。そして……アーサーお姉ちゃんとの四人でだ!」 鈴仙「(カルロス君……。フラメンゴ戦ではライバルだったけれど。 その後、アーサーお姉ちゃん――アヤソフィアとの因縁を通じて、私達は交流を深めたんだっけ。 あのブン屋。今頃何やってるんだろう……)」 エベルトン「ケッ! なーにが魔界だ、あのクソガキめ! この俺様に土下座してれば今頃、 パルメイラスで有り難く扱いてやったのによ、勿体ねえ事しやがって! しかもあんの老いぼれまで、何考えてやがるんだ! ……二人で仲良く勝ち逃げしてんじゃねえよ。 もう一遍、コリンチャンスを率いて、俺達と戦うべきだろうがよォ!」 コーチ「(エベルトン……我が友よ。君はレイセンと共に、腐っていた私に檄を入れてくれたな。 過去の手術ミスで、君の妻と娘を奪った罪は忘れないが。 ……せめてもの罪滅ぼしを、この少女に対して行いたいんだ。許してくれ)」
[128]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:35:44 ID:??? ネイ「れ、レイセーーーーンッ!? なんで行っちゃうんだよ。俺とのデートの約束はーーーッ!?」 鈴仙「そんなモン、約束してないっつーーの! もうっ……!」 トニーニョ「まあ、気を落とすなよネイ。お前だって解ってるだろ? 彼女が喜ぶのは、甘い囁きじゃないって」 ネイ「ああ。分かってるよ……レイセーーン! 俺達ブラジル代表も、4月の『幻想スーパーJr.ユース大会』に出るんだ。 その時こそ! 君が惚れてしまうようなプレーを連発するからなーーーっ!」 鈴仙「はいはい……(でも。ネイ君との交流は私にとっても貴重な経験だったのは確かだし。ま、期待してるわよ……!)」 新田「鈴仙さーーーーん! 見ていて下さい! 俺、絶対強くなります! そして、鈴仙さんの代わりに姉御を……妖夢さんを、見つけ出してやりまーーーす!!」 鈴仙「(新田君……ありがとう。サンパウロとの決勝戦前。貴方とやった練習は、掛けがえの無いものだったわ!)」 ――鈴仙達の出立は、いつの間かにか彼女のライバル達にも情報が洩れていた。 コリンチャンスメンバーと勢ぞろいでサントス港へと向かう鈴仙達を見て、 彼らはこっそりとその後を付けていたのである。全ては、良き好敵手を見送るため。
[129]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:36:45 ID:??? 星「さあ乗員の皆さん! 我らが聖輦船は……魔界に向けて間もなく出発します! 5! 4! 3! 2! ……テイク・オフでーーーーーーーーーーーす!」 惜別の時は長くは続かない。 ハイテンションに機器類を制御する星の声を背景に。 フワリ……! 鈴仙達一行を載せた船は、魔法と科学の力で海から僅かに浮き上がり。 ゴ……ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!! 鈴仙「みんな、さよなら……! またね……!!」 そしてそのまま……青空高くへと飛び上がる。ブラジルでは1月末は真夏。 しかし、風は涼しく、何より空が美しい。気付けば、あれだけ別れを惜しんでいたライバル達は、 もう豆粒のように小さくなってしまっていた。 にとり「軌道が安定するまで、このまま高空を300キロ程飛んでようか。 それで、高度が10000メートルまで行ったら……!」 パチュリー「魔界へのワープ魔法の回路を起動させる。それで良かったのよね」 にとり「イクザクトリー! うっひゃ〜! こんな凄いマシンを操縦できるなんて夢みたいだー!」 さとり「どちらか言えば、高度なマジックアイテムに近い気がするけれど。これは果たしてマシンと言えるのでしょうか……」 お燐「まあまあ、さとり様。空飛ぶ乗り物はホラ。やっぱり、男の子のロマンじゃないですか。分かって下さいよ〜」 さとり「あんたもそこの河童も、女の子でしょうが……」
[130]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:38:03 ID:??? 反町「ひ、ひいいっ……!? た、高いー!? 酸素が薄いー!」 静葉「(肝心の男の子は震えあがってるわね……無理もないけれど)――反町君、私の手を取って。そうすれば怖くないわ」 穣子「って、ちょーーい! 何お姉ちゃん、一樹君に猛接近してるのー!?」 アリスさん「魔界……。まさか、帰って来る事になるとはね……」 つかさ「(――石崎了。先のサンパウロ戦で見せた彼のプレーは私に似通っていた。 しかし、全てにおいて、彼は私を上回っていた。……私は、もっと上を目指さなくてはならない!)」 てゐ「大丈夫かい、佳歩ちゃん。怖くない?」 佳歩「……正直、足が震えます。でも、怖いとは感じません。だって、夢だったんですもの。 こうして私も、鈴仙さまやてゐ様と肩を並べて。つかさちゃんも傍にいて。 それで、一緒に大きな敵と戦うって事が……! ――本当は、霞ちゃん。Cちゃん。Dちゃん。Kちゃんとも一緒に戦いたかったんですけど」 てゐ「なーに。別に今から死にに行く訳じゃないんだ。帰ってから、良い土産話にしちゃおうじゃないか。 ……もっとも、あいつらも黙ってお家で留守番してる訳じゃないだろうけど。 CちゃんやらDちゃんは、アルゼンチンでも戦ったワケだしね」 星「ナズーリン。……私は実は、まだ怖いんですよ。自分の実力が、果たして本当に世界に通用するのか。 私は本当に、寅丸星として、命蓮寺の希望になれるのかどうか」 ナズーリン「……知ってる。ご主人様は隠し事がヘタだからね」 星「むう。そんな言い方しなくても良いじゃないですか。それに、ナズーリンだって。 出発の前夜は緊張して眠れないって私の部屋に押しかけて――」 ナズーリン「はいちょっとストップ。――これ以上語ったら、死ぬよ?」
[131]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:39:10 ID:??? 仲間達も船室から飛び出して、鈴仙と一緒に空の青さに溶け込んで。 強い風に髪の毛を思いっきりなびかせながら、思い思いに仲の良い友人たちと これからの戦いに想いを馳せたり、純粋に今を楽しんでいたり、いつも通り雑談をしたりしている。 コーチ「鈴仙よ。ワシはお主のかつての師匠のように、お主を導いてやる事は出来ん。 じゃが……年長者として、見守る事は出来る。……具体的には、そうじゃの。 トイレのゴミ箱にピンホールカメラを仕掛けたり、シャワーの、給水口に……こう、セットしたりとか」 鈴仙「それは見守りじゃなくて盗撮だー!? 流石に通報しますよ!?」 コーチ「……と、言うのは冗談としても。これからの戦いが厳しくなる事は確かじゃ。そんな時、ワシは頼りにならん。 じゃから。その時は仲間を頼るのじゃよ。……これはワシの勘じゃが。 鈴仙達の勝利は、ここに居る、14人の仲間達との絆にかかっている。そんな気がするのじゃて」 鈴仙「絆……ですか」 コーチ「左様。絆じゃ。それは功利主義により、往々にして一笑に付されるが、決して侮るべきものではないぞ」 鈴仙「はい……(絆。……絆、か。確かに、先のサンパウロ戦。私達は最低限の信頼こそあれども、 基本的には各国から合流して来たばかりの急造チームだったのかもしれない。だから、勝てなかった。 ……そう、考える事も出来るのかもしれないわね)」 魔界へのワープを間近に控え、大空高く飛んだ鈴仙に対し、コーチはそう諭す。 絆。鈴仙はそのある意味では夢想的で理想主義的な都合の良い言葉を。何度も心の中で繰り返した。 鈴仙「(今はまだ、結束したての15人の新チームだけど。……でも、私はこのチームを大事にしていきたい。それは確かだ)」 ここに居る鈴仙の仲間達は、リオカップの敗北や、プロジェクト・カウンターハクレイからの離脱という困難を受けても尚。 鈴仙の為に涙を流し、鈴仙の為に立ち上がってくれた、掛けがえの無い友人達である。 ならば――と。鈴仙は青空を肌に触れて感じながら、思う。リオカップは終わりではない。
[132]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:40:28 ID:??? 鈴仙「(次の魔界カップ、必ず勝つ。そして……皆でもっともっと試合をして、強くなって……笑い合うのよ!)」 新チーム・リトルウイングズの戦いは。今ここに始まったばかりなのだと。
[133]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:50:20 ID:??? ――光を失って、視えたものがある。 ――光を失っても、失わなかったものがある。 希望の光は暴風によって打ち砕かれても、しかし決して消えなかった。 少女は、暗い絶望を歩ききり、その結果、天の果てにある希望を見出したのだ。 それは決して容易な事ではない。それは誰にでも出来る事ではない。 しかし、そんな少女を称える者は居らず。更なる試練を以て迎えられる。 しかし、もはや誰も、彼女を絶望させる事は出来ない。 彼女は全てを失い。にも拘わらず不変なる絆の欠片を、既にその手に握っているのだから――。 鈴仙奮闘記 第二部 第三章 リオカップ&海外修行編 完
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0ch BBS 2007-01-24