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【希望は】鈴仙奮闘記42【魔界より】
[125]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:29:32 ID:??? さとり「成程。サッカー設備も、住居の当てもあるという事ですか。 貴女達、メキシコ派遣組が魔界カップが始まるに先んじて、魔界への移動を提案した理由が分かりました」 にとり「ま、私は一刻も早く、自分で直した聖輦船に乗ってみたいだけだけどね!」 アリスさん「……………」 静葉「どうしたの、アリスさん。何だか神妙な顔をしているけれど……」 アリスさん「!? べ、べべベ別に! 何も無いわ! 私と魔界には、なーんの繋がりも無いのよ! オホホ!!」 静葉「そう……なら良いけれど……」 アリスさん「オホ、ホ……(なら良いけど、じゃないでしょぉ……? ここは誰がどーみても、 私と魔界との、のっぴきならない因縁を疑ってしかるべきでしょぉ……?)」 冷静な静葉はアリスさんのワケあり感を見事にスルーしたところで、一同に更なる質問は無くなった。 にとり「さあ、さあ! 座標はこれで確定したし、もう質問タイムはこれで良いだろー! ほらほら行こうよ〜! 私ゃ早くこの船を飛ばしたくてウズウズしてるんだよ〜!」 ナズーリン「全くもう、こいつと来たら……子どもじゃないんだからさ、しっかりしなよ」 佳歩「でも、私もワクワクしてきました。魔界って、どんなところなんでしょう……!」 つかさ「昔に八意様から聞いた話では、魔法使いのメッカであり、 幻想郷よりも遥かに高濃度のエーテルが漂っていると聞くわ。 弱い人間や妖怪では、息をするだけでも体調を崩すと言うけれど……」 てゐ「――ま。あんたらもそこは、アルゼンチンの修行やらなんやらで鍛えこまれたしね。心配ないと思うよ〜」
[126]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:30:52 ID:??? 反町「お、俺、大丈夫なのか……? そんな所行っても」 パチュリー「それが不思議なのよね。あんたは普通の人間だと思っていたけれど。 調べてみると、強い毒の魔力を感じるのよ。まるで魔術師か何かみたいに……」 穣子「それがなくても、私達の信仰ラブパワーがあるから大丈夫だよっ!! ……たぶん」 ――そして、いよいよ一行は出発の時を迎える。 コーチ「鈴仙。……思い残した事は無いかの。タルの中は調べたか?」 鈴仙「はい。……でも、タルの中を調べるのは、どっちかって言うと船から降りる時のような気が」 鈴仙はコーチと並んで、甲板の柵に立ち。サントス港の波止場で手を振ってくれる、 元々のコリンチャンスメンバーとの別れを惜しんでいた。 ライア「レイセン! 俺達はお前の事を忘れないぞー!」 ミャージ「コーチ! レイセン! 後は任せろー!!」 ニータ「コリンチャンスはこれからが再出発だ! 今度は俺達の手でリオカップに優勝してやる!」 鈴仙「ライア君……ミャージ君にニータ君まで……」 特に別れを惜しんでくれたのは、リオカップ前に急成長し、リザーバーとしての出番の多い三人だった。 彼らは戦友との別れに涙を浮かべながら、しかし前向きに戦う事を決意してくれる。 ……鈴仙が驚いたのは、コリンチャンスのメンバー以外にも、この場で手を振ってくれる者が居た事だった。
[127]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:32:38 ID:??? メオン「次は負けん……! 『マインドスパークルマイン』で来い! レイセン!」 鈴仙「(メオン君……グレミオ戦では負けてボロボロに叩かれた彼も、前を向いているんだ)」 ザガロ「くそったれーーーー! この俺達サントスを無視して魔界に行くなど許さんぞーーーー!!」 ディウセウ「オラ達もこれから、カイオー様って人の所に行って修行するんだぞーー! 次はぜってー、負けねぇからなーーーーー!」 ブローリン「カグロットォォォオオオオオオオオオオオオオーーーーーッ!!」 鈴仙「(ザガロ君、ディウセウ君。それからスウェーデンのブローリン君。サントス戦は本当酷かったわよね…… ……でも。まあ、あれも良い思い出……ではないわね。ガレリ君とか、しれっと殺されてるし)」 カルロス「噂を聞いたんで駆け付けて来たぞ、レイセン! 君は俺のトモダチだ。またサッカーをしよう。 今度は俺と、君と、アルツールと。そして……アーサーお姉ちゃんとの四人でだ!」 鈴仙「(カルロス君……。フラメンゴ戦ではライバルだったけれど。 その後、アーサーお姉ちゃん――アヤソフィアとの因縁を通じて、私達は交流を深めたんだっけ。 あのブン屋。今頃何やってるんだろう……)」 エベルトン「ケッ! なーにが魔界だ、あのクソガキめ! この俺様に土下座してれば今頃、 パルメイラスで有り難く扱いてやったのによ、勿体ねえ事しやがって! しかもあんの老いぼれまで、何考えてやがるんだ! ……二人で仲良く勝ち逃げしてんじゃねえよ。 もう一遍、コリンチャンスを率いて、俺達と戦うべきだろうがよォ!」 コーチ「(エベルトン……我が友よ。君はレイセンと共に、腐っていた私に檄を入れてくれたな。 過去の手術ミスで、君の妻と娘を奪った罪は忘れないが。 ……せめてもの罪滅ぼしを、この少女に対して行いたいんだ。許してくれ)」
[128]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:35:44 ID:??? ネイ「れ、レイセーーーーンッ!? なんで行っちゃうんだよ。俺とのデートの約束はーーーッ!?」 鈴仙「そんなモン、約束してないっつーーの! もうっ……!」 トニーニョ「まあ、気を落とすなよネイ。お前だって解ってるだろ? 彼女が喜ぶのは、甘い囁きじゃないって」 ネイ「ああ。分かってるよ……レイセーーン! 俺達ブラジル代表も、4月の『幻想スーパーJr.ユース大会』に出るんだ。 その時こそ! 君が惚れてしまうようなプレーを連発するからなーーーっ!」 鈴仙「はいはい……(でも。ネイ君との交流は私にとっても貴重な経験だったのは確かだし。ま、期待してるわよ……!)」 新田「鈴仙さーーーーん! 見ていて下さい! 俺、絶対強くなります! そして、鈴仙さんの代わりに姉御を……妖夢さんを、見つけ出してやりまーーーす!!」 鈴仙「(新田君……ありがとう。サンパウロとの決勝戦前。貴方とやった練習は、掛けがえの無いものだったわ!)」 ――鈴仙達の出立は、いつの間かにか彼女のライバル達にも情報が洩れていた。 コリンチャンスメンバーと勢ぞろいでサントス港へと向かう鈴仙達を見て、 彼らはこっそりとその後を付けていたのである。全ては、良き好敵手を見送るため。
[129]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:36:45 ID:??? 星「さあ乗員の皆さん! 我らが聖輦船は……魔界に向けて間もなく出発します! 5! 4! 3! 2! ……テイク・オフでーーーーーーーーーーーす!」 惜別の時は長くは続かない。 ハイテンションに機器類を制御する星の声を背景に。 フワリ……! 鈴仙達一行を載せた船は、魔法と科学の力で海から僅かに浮き上がり。 ゴ……ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!! 鈴仙「みんな、さよなら……! またね……!!」 そしてそのまま……青空高くへと飛び上がる。ブラジルでは1月末は真夏。 しかし、風は涼しく、何より空が美しい。気付けば、あれだけ別れを惜しんでいたライバル達は、 もう豆粒のように小さくなってしまっていた。 にとり「軌道が安定するまで、このまま高空を300キロ程飛んでようか。 それで、高度が10000メートルまで行ったら……!」 パチュリー「魔界へのワープ魔法の回路を起動させる。それで良かったのよね」 にとり「イクザクトリー! うっひゃ〜! こんな凄いマシンを操縦できるなんて夢みたいだー!」 さとり「どちらか言えば、高度なマジックアイテムに近い気がするけれど。これは果たしてマシンと言えるのでしょうか……」 お燐「まあまあ、さとり様。空飛ぶ乗り物はホラ。やっぱり、男の子のロマンじゃないですか。分かって下さいよ〜」 さとり「あんたもそこの河童も、女の子でしょうが……」
[130]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:38:03 ID:??? 反町「ひ、ひいいっ……!? た、高いー!? 酸素が薄いー!」 静葉「(肝心の男の子は震えあがってるわね……無理もないけれど)――反町君、私の手を取って。そうすれば怖くないわ」 穣子「って、ちょーーい! 何お姉ちゃん、一樹君に猛接近してるのー!?」 アリスさん「魔界……。まさか、帰って来る事になるとはね……」 つかさ「(――石崎了。先のサンパウロ戦で見せた彼のプレーは私に似通っていた。 しかし、全てにおいて、彼は私を上回っていた。……私は、もっと上を目指さなくてはならない!)」 てゐ「大丈夫かい、佳歩ちゃん。怖くない?」 佳歩「……正直、足が震えます。でも、怖いとは感じません。だって、夢だったんですもの。 こうして私も、鈴仙さまやてゐ様と肩を並べて。つかさちゃんも傍にいて。 それで、一緒に大きな敵と戦うって事が……! ――本当は、霞ちゃん。Cちゃん。Dちゃん。Kちゃんとも一緒に戦いたかったんですけど」 てゐ「なーに。別に今から死にに行く訳じゃないんだ。帰ってから、良い土産話にしちゃおうじゃないか。 ……もっとも、あいつらも黙ってお家で留守番してる訳じゃないだろうけど。 CちゃんやらDちゃんは、アルゼンチンでも戦ったワケだしね」 星「ナズーリン。……私は実は、まだ怖いんですよ。自分の実力が、果たして本当に世界に通用するのか。 私は本当に、寅丸星として、命蓮寺の希望になれるのかどうか」 ナズーリン「……知ってる。ご主人様は隠し事がヘタだからね」 星「むう。そんな言い方しなくても良いじゃないですか。それに、ナズーリンだって。 出発の前夜は緊張して眠れないって私の部屋に押しかけて――」 ナズーリン「はいちょっとストップ。――これ以上語ったら、死ぬよ?」
[131]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:39:10 ID:??? 仲間達も船室から飛び出して、鈴仙と一緒に空の青さに溶け込んで。 強い風に髪の毛を思いっきりなびかせながら、思い思いに仲の良い友人たちと これからの戦いに想いを馳せたり、純粋に今を楽しんでいたり、いつも通り雑談をしたりしている。 コーチ「鈴仙よ。ワシはお主のかつての師匠のように、お主を導いてやる事は出来ん。 じゃが……年長者として、見守る事は出来る。……具体的には、そうじゃの。 トイレのゴミ箱にピンホールカメラを仕掛けたり、シャワーの、給水口に……こう、セットしたりとか」 鈴仙「それは見守りじゃなくて盗撮だー!? 流石に通報しますよ!?」 コーチ「……と、言うのは冗談としても。これからの戦いが厳しくなる事は確かじゃ。そんな時、ワシは頼りにならん。 じゃから。その時は仲間を頼るのじゃよ。……これはワシの勘じゃが。 鈴仙達の勝利は、ここに居る、14人の仲間達との絆にかかっている。そんな気がするのじゃて」 鈴仙「絆……ですか」 コーチ「左様。絆じゃ。それは功利主義により、往々にして一笑に付されるが、決して侮るべきものではないぞ」 鈴仙「はい……(絆。……絆、か。確かに、先のサンパウロ戦。私達は最低限の信頼こそあれども、 基本的には各国から合流して来たばかりの急造チームだったのかもしれない。だから、勝てなかった。 ……そう、考える事も出来るのかもしれないわね)」 魔界へのワープを間近に控え、大空高く飛んだ鈴仙に対し、コーチはそう諭す。 絆。鈴仙はそのある意味では夢想的で理想主義的な都合の良い言葉を。何度も心の中で繰り返した。 鈴仙「(今はまだ、結束したての15人の新チームだけど。……でも、私はこのチームを大事にしていきたい。それは確かだ)」 ここに居る鈴仙の仲間達は、リオカップの敗北や、プロジェクト・カウンターハクレイからの離脱という困難を受けても尚。 鈴仙の為に涙を流し、鈴仙の為に立ち上がってくれた、掛けがえの無い友人達である。 ならば――と。鈴仙は青空を肌に触れて感じながら、思う。リオカップは終わりではない。
[132]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:40:28 ID:??? 鈴仙「(次の魔界カップ、必ず勝つ。そして……皆でもっともっと試合をして、強くなって……笑い合うのよ!)」 新チーム・リトルウイングズの戦いは。今ここに始まったばかりなのだと。
[133]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/15(月) 23:50:20 ID:??? ――光を失って、視えたものがある。 ――光を失っても、失わなかったものがある。 希望の光は暴風によって打ち砕かれても、しかし決して消えなかった。 少女は、暗い絶望を歩ききり、その結果、天の果てにある希望を見出したのだ。 それは決して容易な事ではない。それは誰にでも出来る事ではない。 しかし、そんな少女を称える者は居らず。更なる試練を以て迎えられる。 しかし、もはや誰も、彼女を絶望させる事は出来ない。 彼女は全てを失い。にも拘わらず不変なる絆の欠片を、既にその手に握っているのだから――。 鈴仙奮闘記 第二部 第三章 リオカップ&海外修行編 完
[134]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/16(火) 00:02:18 ID:??? 〜聖輦船・船室〜 ゴオオオッ……。 パチュリー「さて鈴仙。貴女にこのノートを渡して……と。御免なさいね。今の貴女は目が――」 鈴仙「いえ、大丈夫です、パチュリーさん。集中して手で触れれば感覚で、何が書いてあるか分かりますから」 パチュリー「……そりゃあ、私だって魔力を手繰り寄せれば似たような事は出来るけれど。 しょっちゅうそんな事をしているんじゃ、妖力のコントロールが大変でしょうに。 良ければ、私が読んであげるけど」 鈴仙「本当に大丈夫ですって。それに、これも修行だと思えば! え〜っと、何々……」 パチュリー「やれやれ……。とんだ修行バカね」 外では空間を突き破る際に生じる轟音が生じているのを聞きながら、鈴仙はパチュリーに呼ばれ、 各々のメンバーに割り当てられた船室に来訪していた。 パチュリー「魔界への空間移動は数時間はかかる。だから今の内に、選手兼コーチとして、 現時点での戦力状況を、貴女に説明しておこうと思っただけなのだけどね……」 パチュリーの目的は現状分析にあった。リトルウイングズの面々は各国で修行を積んだため、 幻想郷に居た時とは比べ物にならない程に強くなっている。 しかし、彼女達の個人技は未だ拙く、世界を相手取るには物足りない――パチュリー自身も、自身をそう評している ――と考察している為、パチュリーは鈴仙の療養中の時間を使ってデータを分析。 現時点でのメンバーの寸評をノートに記していたのだった。そのノートには、こう書かれている。
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0ch BBS 2007-01-24