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【SSです】幻想でない軽業師
[126]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 21:59:17 ID:??? リグル「幽香もいなくなっちゃったのかぁ……(反町もいなくなるんだよなぁ。つまんないなぁ……)」 メディスン「………………」 静葉「(一樹くん、それに風見幽香を慕う者も多い……)」 人当たりがよく、基本的には品行方正であった反町。 暴力的ではあるものの、カリスマ性を持ち多くのメンバーを率いてオータムスカイズへと加入した幽香。 彼らがいなくなる――そして、移籍をする。 これを受けてこのオータムスカイズからこれ以上の選手の漏洩を防ぐ……それが今、静葉に求められた役割であった。 静葉は己に求心力があるとは思っていない。 力があるともまるで思っていない。 それでも、秋の空と名付けられたこのチームの為に、昨日、辛い決断を下した妹の為に。 冷静に、顔には笑みを浮かべたまま、その口を開く。 静葉「皆も聞いたけれど、一樹くんが守矢フルーツズに移籍することになったわ」 サンタナ「そうそう、あれ、なんでなの!? あの妖怪の山の変態GKになんかされたの!?」 穣子「そういう訳じゃないわよ……反町も、色々考えての結論だわ」 静葉「ええ、一樹くんも色々考えて……そして、守矢フルーツズへと移籍をする事になった。 ………………」 そこまで言って、静葉は一拍置き、周囲を見回し……。 大妖精「あ、あの……他の選手で、オータムスカイズから守矢に移るのって……いいんでしょうか?」 静葉「(そこが1番手……か)いえ……幻想郷のチーム事情で言えば、選手のチーム間の移籍自体は何ら問題は無いわ。 誰かが移籍をしたいというのなら、それを止める事は誰にも出来ない」 大妖精「だ、だったらその……わ、私も守矢フルーツズに移籍したいかなぁ……って」 その大妖精の発言に、多くの者たちは驚きのまなざしを向ける。 ただ、これも――やはり静葉によっては予想の範疇であった。
[127]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 22:00:50 ID:??? 静葉「(大ちゃんは一樹くんを恐れている……正確には、一樹くんのシュートを……だけど、まあそれは些細な事。 要は彼女は、一樹くんのシュートを受けたくない。 敵対したくない。 ただ従順にいるしかない、と考えている。 ……一樹くんのシュートで吹き飛ばされる側を選ぶか、それとも味方として一樹くんがゴールを奪う場面を見るか。 その二択を提示されれば、迷わず後者を選ぶのは自明の理ね……)」 大妖精自身は、幻想郷でもトップクラスのセービングを誇るGKである。 ただし、彼女はその実力に見合わない程にまで、気弱だった。臆病と言える。 そんな彼女がオータムスカイズに残るという選択肢を取る筈が無い。 ある意味ここまでは予定調和であると言え……。 大妖精「チ、チルノちゃんも一緒に行こう! ね!?」 チルノ「うぇ? あたい?」 静葉「(そう、そうなる……)」 問題はその後――即ち、大妖精がチルノを引き連れて守矢へ移籍しようとする事である。 チルノと大妖精の仲については、今更説明する必要も無いだろう。 勝気でおてんばで頭が弱くて、しかし誰よりもド根性があるチルノ。 そして、そんなチルノと何故か仲良く、誰よりも彼女を気にかけている大妖精。 大妖精の性格ならば自分だけがこのチームを離れるという事を良しとしなかっただろうし、 何よりもチルノの顔面が反町のシュートで粉々にされるなど許せる筈が無いだろう。 よって、大妖精が移籍をする際にチルノを誘うというのもまた、予想が出来た。 静葉「私としては……チルノには、残って貰った方がありがたいのだけど」 チルノ「ん?」 静葉「大ちゃんがいなくなれば……やはりゴールを守るのに不安は残るもの。 シュートに対して無類の強さを発揮するチルノがいてくれれば、それでも安心は出来るわ」 チルノ「ん……んん?」 リリーW「チルノはゴール前にて最強って言ってるですよー」 チルノ「そう! やっぱりあたいってばさいきょーね!!」
[128]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 22:02:46 ID:??? まだ大妖精は仕方がない――彼女の意志は固い、まず説得は不可能だろう。 だが、チルノに関してはそうではない。 元々、チルノにしても当初はオータムスカイズと敵対していたのだ。 言ってみれば、大妖精と離れたチームで活動をするという事にもそこまで抵抗が無い筈である。 後はその自尊心を言葉巧みにくすぐってやれば、自然とその気になって残ってくれるだろうと考え、静葉は引き留める。 実際、静葉の予想通り、チルノはすっかりその気になった。 事実としてチルノのブロックが大妖精が抜けた場合チームの守備の柱になるとはいえ、 あっさりと感情がオータムスカイズに残る方へと傾く。 静葉「ええ、これからもチルノにはオータムスカイズの頼れる壁として……」 大妖精「だっ、駄目だよチルノちゃん!」 チルノ「え?」 静葉「……!」 後もうひと押しすれば、チルノはいとも簡単に残留を表明するだろう……と考えた矢先である。 先ほどよりも更に大声で、その静葉の言葉に待ったをかけたのが大妖精であった。 元来どちらかといえば小声である大妖精のその大声に一同が再び驚き視線を向ければ……。 大妖精「だ、駄目だよチルノちゃん……駄目だよぉ……」 チルノ「だ、大ちゃん?」 更に一同は驚く。 何せ、大妖精はその瞳に涙を浮かべていたのだから。 静葉の誤算は、大妖精の反町に対する畏怖が想像以上に大きかったという点だろう。 なまじセーブ力だけならば幻想郷トップクラスであるだけに計算違いをしていたのかもしれない。
[129]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 22:04:19 ID:??? だが、実際に、彼女はそれだけ反町を恐れていた。 無論、大妖精は反町の事をいい人だとは思う。世話になった事もある。尊敬が出来る人だとも思う。 しかしながら、それと、反町のシュートを受けるという事は別問題だ。 大妖精「お願いだからチルノちゃんも一緒に行こう! 私、チルノちゃんがボロボロになる所、見たくないよぉ……」 チルノ「………………」 自分がそんな事になる訳ない、と、いつものチルノなら言っていた所である。 ただ、相手が親友の大妖精だ。 彼女が本当に自分の身を案じていて、親身になって言ってくれているという事は誰よりもわかっていた。 それでも、チルノは迷いを見せる。 静葉がいて欲しいと言ってくれた事もある、そして……。 チルノ「(あの人間が移籍するんだもんなぁ……)」 元々、チルノ自身が反町を嫌っているという問題もあった。 妖精トリオにばかりかまけている……依怙贔屓しかしない人間、というのがチルノの反町に対する印象である。 実際の所は言う程妖精トリオの面倒も見ている訳ではないのだが、そこはそれ。 とにもかくにも、彼女が反町に対していい感情を持っていないというのは事実だ。 チルノ「(でも、大ちゃんがここまで誘ってくれてる……)」 故に迷う。 大妖精についていきたいと思う自分、必要とされる所で――かつ、嫌いな人間のいない場所でサッカーをしたいと思う自分もいる。 あまりおつむがよろしくないチルノは、それでも目いっぱい、うんうん唸りながら悩み、考え……。 チルノ「………………」 ちらり、と視線を横に向けた。 それを受け、視線を受けた女性は口を真一文字に引き――逡巡するようにその目を閉じ。 静葉「(! まずい……)チルノ、あのね……」
[130]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 22:06:05 ID:??? レティ「チルノが行くならば、私も行くわ」 静葉「っ!」 静葉が言葉を言い切る前に、その女性――レティ=ホワイトロックは短く告げた。 大妖精「そ、そうです! レティさんも一緒に行きましょう!!」 静葉「(……拙い。 これは……あまりにも……)」 レティ「(ごめんなさいね、静葉。 私もこのチームには愛着があるのだけど……)」 心の中で謝罪をするレティに対し、しかし、静葉は内心で歯噛みをする。 考えてみればそうである。 大妖精に誘われ、迷った挙句、チルノが最後の指針としうるのは誰なのか。 どう考えても、大妖精の次に縁の深いレティだ。 ならばレティはこの件について、どういうスタンスを取るのか。 彼女自身は、幻想郷全土で見れば希少とも言えるDFとして多くのチームから引っ張りだことなる……。 幻想郷界隈でも古参に入る選手である。 そんな彼女がこのチームに入った経緯と言えば、風見幽香とチームを結成していた為、 このチームに幽香が加入をする際共に入ったというもの。
[131]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 22:07:09 ID:??? チルノや大妖精という顔なじみがいたという事もあり、また元々春夏冬の4人組でチームを組んでいた中、 秋姉妹がいれば真に春夏秋冬がそろい踏みする事になるというものもあったが、 大本を辿れば至って単純なものであった。 では幽香がいなくなった現状――彼女の立ち位置はどうだろう? ……非常にフラットなのである。 彼女が内心で思ったように愛着があれど、執着は無い。 レティ「(キャプテンが抜けて、幽香もいない……戦力の大幅なダウンは免れない。 その上で私達が抜けたら、守備にまで大きく下がってしまうけれど……)」 それは重々承知ながら、レティは思う。 レティ「(あえて弱体化したチームでやる程の愛着まではない。 大ちゃんやチルノが移籍をするというのなら、なおのことね)」 レティ=ホワイトロック。体型通りの大らかさと雪のようなクールさを持つ彼女は、冷徹にそう決断を下した。
[132]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 22:08:11 ID:??? 或いはチルノや大妖精が残っていれば彼女も残留を表明したのだろうが、 大妖精は頑なに移籍を望み、チルノも迷っている状況である。 チルノに選択権を視線で委ねられた時から、彼女の選択は決まっていた。 レティ「(あちらの方が総合的な能力の高い選手が多いとはいえ、やはりDFの頭数自体はいなかった筈。 大ちゃんは正GKを取るのは難しいでしょうけど、そういうのを気にする性格ではないし……。 私とチルノなら、十分レギュラーとして活躍は見込める。 やはり、移籍をしない手は無いわね……)」 チルノ「そう! じゃあそうね、あたいも大ちゃんと一緒にいくわ!!」 大妖精「う、うん! うぅ……良かった。 良かったよぉ……」 レティ「……ごめんなさいね、みんな」 静葉「……いえ。 (止められなかった……守備の要が……3人も)」 叫びたくなる程の衝撃を受けながらも、それでも静葉は笑みを絶やさなかった。 大妖精、レティ、チルノ。いずれもオータムスカイズの守備の要である。 特に、大妖精の移籍は何よりも痛い。 静葉「(ストライカーと正GKを同時に失う……というか、誰をGKにすればいいのよ……!)」 リグル「チルノも行くんだ。 そっかぁ、反町もそっちなんだし私もそっちに移籍しようかな〜……」 静葉「リグルちゃんは……『オータムスカイズのエース』なんだから。 移籍するのはおかしくないかしら?」 リグル「え?」 静葉「それに、一樹くんがいなくなって……得点力が下がるのは目に見えているわ。 この上リグルちゃんまでいなくなったら、私達、どうしていいのか……」 リグル「ハッハァー!! そーだよね! うん、そーだと思ってたよ!! しょうがないなぁ、私ってばエースだしね! うんうん、まっかせて!! チルノ、大ちゃん、レティ! 負けないからね!!」 チルノ「おー!!」 静葉「(……みんなこれほど上手く、単純に事が運べばいいのだけど)」 因みに、あっさりと残留を表明していたものもいたという。
[133]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 22:09:40 ID:??? 一旦ここまで。
[134]森崎名無しさん:2018/01/30(火) 02:13:06 ID:??? 乙でした これは反町も責任感じちゃうだろうなぁ 静葉さんに頑張って勧誘してもらわないと…
[135]森崎名無しさん:2018/01/30(火) 09:33:54 ID:??? 性格的に仕方ないが楽な方に逃げちゃったか大妖精 選手としては−の選択だしこの性格を少しでも変えないと後で厳しくなりそう
[136]森崎名無しさん:2018/01/30(火) 11:32:07 ID:??? 乙でした 殺伐とした展開の中に安定のリグルw
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0ch BBS 2007-01-24